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レジリエンス Resilience
レジリエンスとは、精神医学上は「極度の不利な状況に直面しても、正常な平衡状態を維持することができる能力」( Bonanno,G.2004)と定義される。日本語では「回復力」「適応力」として解釈されることもあり、困難な状況や環境の変化に対して適応するための個人の能力の一つである。
元来、孤児に対する追跡研究の中で、過去の困難な経験から抜け出せない人々と、困難な経験を克服している人々がいることが確認され、その違いについての研究によって明らかになってきた概念である。
「ストレス」とも類似しているが、ストレスは困難な状況や環境の変化に対して感じる違和感・感情であるが、レジリエンスとはそういった違和感や感情に対して「適応する」「対処する」という能力である。レジリエンスは後天的に高められる能力であり、心理学の領域では認知行動療法等によるセルフトレーニングも提唱されている。
個人でレジリエンスを高めるという観点もあるが、近年は組織単位でのレジリエンス向上も注目されている。ビジネスにおいては常に、市場環境の変化に応じて柔軟に適応することが求められる。とくに環境の変化がより激しい昨今、変化にいかにスピーディーに適応できるかどうかは、企業の存続にも関わっている。すなわち、組織のレジリエンスの高さは、自社の戦略や戦術を環境変化に適応させることができるため、社会において価値の高いビジネスを行える可能性があることを投資家や株主に印象づけることにつながる。
また、レジリエンスの高い組織・企業は、市場の変化を察知し、それらが自社に与える影響をより速く正しく考える習慣が養われていると考えられる。それらの習慣は、結果的にリスク管理能力を高めることとなり、ビジネスで発生する様々なリスクに対して適切に対応するスピードや能力を持つことに通ずる。
組織のレジリエンスを高めるためには、変化に対する適応力だけではなく、環境変化にゆるがない独自のブランド力を強化しておくことも重要である。顧客に愛されるロングセラー商品を持ち、長い歴史のある企業は、価格設定だけではない魅力があることも多い。そういった企業は、時代の変化や顧客のニーズに合わせて形を変えながらも、独自のブランド力を大事にしている。
よって、組織のレジリエンスを高めるためには、市場の変化やニーズに適応するだけではなく、自社の独自のブランド力をより強化しておく必要がある。そういった変化への対応や独自のブランド力の強化にあたっては、困難な課題が発生することも多い。困難な課題に対峙し、解決していくためには、すなわち、個人のレジリエンスを高めておくことも重要である。そのためには、日頃から長期的な視点や多角的な視点で物事を見て、考えることが重要である。
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