- 創造と変革のMBA グロービス経営大学院
- MBA(経営学修士)とは
- MBAカリキュラム
MBAとは
MBAカリキュラム
1.ビジネスに必要な「ヒト・モノ・カネ」の3領域を学ぶ
MBAで学ぶカリキュラムは主に「ヒト・モノ・カネ」の3領域で構成され、組織行動・リーダーシップ・人材マネジメントやマーケティング・経営戦略、アカウンティング・ファイナンスなどの科目を中心に構成されています。加えて、ビジネススクールによっては思考力や統計、IT関連の科目を取り入れるところもあります。MBAプログラムの前半(1年次)では各領域の基礎を学び、後半(2年次)ではさらに専門的な内容や領域横断的な内容を学びます。これらのカリキュラムを通して経営全般の知識を体系的に勉強し修得するとともに、応用力と実践力を高めていきます。
海外MBAでも国内MBAでも、初年度に各領域の基本を学び、その後高度な内容となるカリキュラム体系はほぼ同一ですが、教育方針や授業スタイル、各領域で提供している科目や学ぶ内容などは各経営大学院(ビジネススクール)によってさまざまな特徴があります。
2.ケースメソッドやプロジェクトベースラーニングなどの多様な授業スタイル
マネジメントの実践力を身に付けることが目的のMBAプログラムでは、「ケースメソッド」「プロジェクト研究」など特徴ある授業スタイルを取り入れるビジネススクールが多くあります。
ケースメソッド(下部の用語説明参照)は、実践志向のビジネススクールでみられる象徴的な授業スタイルです。実在する企業の事例を物語調にまとめたものをケースといいます。ケースの主人公は、なんらかの経営課題に直面した経営者である場合が多く、学生は授業前にこのケースを読み込みます。そして自分がケースの主人公の立場だったら、状況をどう分析し、どのような戦略を計画し、実行するのかを考え、自分なりの考えを持った上で授業に参加します。授業では、教員やクラスメートとお互いの考えをぶつけ合いながら、さまざまな角度から自らの考えを検証し、限られた情報から意思決定するための「情報分析力」や「問題解決力」といった思考力を鍛えます。質の高いケースメソッドの授業を行うには、学生の十分な予習と、議論を整理し学習ポイントに結びつける高いファシリテーション能力を持った教員が必要不可欠です。教員のファシリテーション能力が低ければ、ケースメソッドを採用していても、学びの質に大きな差が出るため、ビジネススクールを選択する際にオープンキャンパスや説明会で実際に体験し、確かめるとよいでしょう。
このケースメソッドと対照的なのがレクチャー(講義)形式です。従来の日本の大学の講義にみられるように、教員が話す内容を聞いて覚えることで知識をインプットするスタイルです。アカデミック色の強い経営大学院ではレクチャー形式の授業比率が高いMBAプログラムもあります。このほか、グループ単位で演習を繰り返す「グループワーク形式」や、書物から学ぶ「輪講形式」、実際の企業へのコンサルテーションなどの実務を通して学ぶ「プロジェクトベースドラーニング」など、MBAのクラスには、さまざまなスタイルが取り入れられています。
また、「プロジェクト研究」を課すビジネススクールも多くあります。プロジェクトの内容はケースライティング、企業研究、ビジネスプラン策定などさまざまであり、実際に企業や経営者を訪問して調査する「フィールドワーク」を伴う場合が多く、よりリアルなマネジメントノウハウを体得する機会を提供しています。
用語説明
【 ケースメソッドとケーススタディ 】
ケーススタディとは、事例研究とも呼ばれ、できるだけ現在の自分が置かれている状況や時代に近い事例を詳細に分析することで、「なぜその企業が成功したのか」という要因分析を行うものである。一方、ケースメソッドとは、ケーススタディで行う事例分析にとどまらず、分析結果を通して、異なる状況や事例においても使えるような、普遍的な学びや気付きを得ることに重点を置いた学習方法である。さらにケースメソッドでは、ケースの主人公の立場で、ビジネス上の課題に対して自分なりの戦略案を立てた後、クラスでその戦略案の整合性や実現可能性について議論することで、意思決定の要点や思考プロセスを学び取っていくという特徴もあり、ハーバード・ビジネススクールなどのトップスクールで広く用いられている教育方法である。
3.「経営知識+実務経験+ファシリテーション能力」がよい教員の条件
ビジネスプロフェッショナルを育成する経営大学院(ビジネススクール)では、教員に求められる要件も独特です。MBA取得もしくは、経営の体系的な専門知識を持ち合わせていることは大前提ですが、担当分野の深い知見と実務経験が重要視されます。加えて、ケースメソッドのクラスでは、議論をコントロールし、学生に学習の要点を理解させる高度なファシリテーション能力も求められます。
国内の多くのビジネススクールでは、従来の大学や大学院の教員に見られる学識豊かな研究家教員に加えて、ビジネス経験が豊富な実務家教員の採用を増やすスクールが増えています。しかし、国内MBAの実務家教員の割合はまだ少ない状況です。「実践性」を特徴にあげているビジネススクールでも実務家教員の割合は50%以下のところも多いのですが、中には実務家教員が90%以上のビジネススクールも存在します。
4.MBA学生の平均年齢は海外MBAは20代後半、国内MBAは30代が中心
ビジネススクールにはさまざまな職種や年齢のビジネスパーソンが集っています。平均年齢は海外MBAと国内MBAで若干異なります。海外MBAの平均年齢は20代後半ですが、国内MBAの平均年齢は30代中盤の学校が多いといわれています。欧米では大学を卒業してそのまま、あるいは2~3年社会人として経験を積んだ後、会社を辞めてMBAを取得し、その後転職するというキャリアが多く見られます。
一方、日本ではばらつきはあるものの、5~10年程度の社会人経験を積む中で、初めて管理職になる前後に経営を体系的に学ぶことの必要性を認識し、MBA取得を目指すビジネスパーソンが多いようです。そのため欧米に比べるとやや年齢層が高く、30代がボリュームゾーンとなっています。
5.実践志向 vs 研究志向、ジェネラリスト vs スペシャリスト
すでにこの世にMBAプログラムが提供され始めて、1世紀以上が経過しました。もともと経営者を短期間で育成するために始まったMBAプログラムですが、社会から求められる人材像が多様化し、また多くのビジネススクールが設立される中で、「育てたい人材像」も学校ごとに特徴が出ています。ビジネススクールの掲げる「育てたい人材像」を比較検討するには、2つの軸で見てみると分かりやすいでしょう。
ビジネススクールの育てたい人材像を比較、検討するためには、実践志向/研究志向、ジェネラリスト/スペシャリストの2軸を用いるとよい。
ひとつは、「ジェネラリスト or スペシャリスト」という軸です。CEOやCOOのように、経営全般を俯瞰して意思決定していくには、幅広い視野と思考力、高いマネジメント能力などのジェネラルな能力が求められます。一方で、CFOやCTOなど特定分野の専門性を求められる経営ポジションもあります。また投資銀行などは、ファイナンスのプロとしての素地を持つ人材を求めるでしょう。こうしたニーズに応えるために、特定分野に力を入れて経営のスペシャリストを輩出することを特徴とするビジネススクールも存在します。
もうひとつは、「実践志向 or 研究志向」という軸です。もともとMBAはビジネスの現場で活躍できる人材を育てることを目的としていますが、経営研究の成果(論文や学会での発表など)を強く意識する経営大学院も存在します。 故にMBAプログラムを選ぶ場合は、各ビジネススクールの「育てたい人材像」をしっかりと確認する必要があります。各スクールの掲げるメッセージと、実際に提供されているプログラムや授業とが乖離している可能性もあるので、可能な限り在校生・卒業生の話を聞いたり、オープンキャンパスで行われる体験授業などに積極的に参加したりしながら、各ビジネススクールの特徴を自分の目で見極めることが重要でしょう。