MBA(経営学修士)とは

MBAとは、Master of Business Administrationの略です。日本では経営学修士と呼ばれ、経営学の大学院修士課程を修了すると授与される学位であり、資格とは異なります。この「MBAとは」ページでは、現在の日本におけるMBAの位置づけや、海外、国内のMBAプログラムの特徴、かかる費用や経営大学院(ビジネススクール)選びのポイントなどの情報を提供します。

MBAの意味・MBAの価値とは

1.MBAとは経営学の修士号

MBAとは、Master of BusinessAdministrationの略称です。日本語では経営学修士号、または経営管理修士号と呼ばれる学位であり、経営学の大学院修士課程を修了すると授与されます。

MBAはよく資格(国家資格や業務独占資格など)と混同されることがありますが、資格ではなく「学位」です。資格はある行為を行うために必要となるものですが、学位はある専門分野の学問を修めた人物に対して与えられる称号です。MBAプログラムを提供している大学院は、通称としてビジネススクールと呼ばれており、主に社会人を対象にしています。1881年の米国ウォートン・スクールが世界初のビジネススクールであり、1908年に設立されたハーバード・ビジネス・スクールが現在のMBA課程の基礎を作ったとされています。

各校の独自の発展に伴う受講者数の増加によってMBAの社会的な認知が高まったため、ウォートン校開講後からおよそ35年後にMBAプログラムの認証を行う国際機関が登場し、現在の発展につながりました。このことは、日本のモノづくりの現場において品質管理手法が十分に確立した後から、ISO9001などの認証が普及した歴史と多くの類似点があります。しかし、ビジネスプロフェッショナルの評価は、経営幹部やマネジャーとしての仕事でのアウトプットと結果により、MBAを取得したこと自体が評価されるのではないことは万国共通です。MBAプログラムの評価も同様に、「MBAプログラム修了生がどれだけ多岐にわたって活躍しているか」によって、社会的な評価がなされてゆくことでしょう。

MBAプログラムの目的は、経営者や経営をサポートするビジネスプロフェッショナルを短期間に育成することにあり、経営の3要素であるヒト・モノ・カネの知識習得をするカリキュラムが構築されているのが一般的です。また、アメリカをはじめとする海外のビジネススクールでは、テクノロジーなど時流に沿ったカリキュラムを用意しているスクールもあります。平均年齢は、海外では20代後半が中心、日本では30代半ば~後半が中心です。国内MBA各校は、「実践性を重んじるMBA」から「経営を学問と捉えアカデミック色の強いプログラムを提供するMBA」までさまざまな特徴があります。

MBAは役に立つのか?

「MBAは役に立つのか?」をテーマに議論された8月13日放送のNewsPicks『The UPDATE』。グロービス経営大学院研究科長の田久保善彦がMBAの必要性や意義について語っています。

2.時代に合わせて変化を求められるMBA

1.既存の枠組みにとらわれないMBA

従来型のMBAのカリキュラムは、経営の3要素である「ヒト・モノ・カネ」の領域のみを提供していることが一般的です。一方で、テクノロジーの進化によって、ビジネスの構造自体が変わり、社会も大きく変化しています。また寿命も100年時代へと突入し、働き方やキャリア、人生の在り方も変わり始めています。経営の伝統的なセオリーは基本として保ちつつ、テクノロジーやデザインなどのカリキュラムを取り入れているMBAプログラムも出てきています。

そして、変化の激しいこの時代の中でよりよく生きるために、個々人のキャリアや生き方、志に向き合う場も求められています。MBA各校は、時代の変化に合わせた独自のカリキュラムの提供や、1科目からの受講が可能な制度の実施、また国際認証を取得するなどの方法で特徴を打ちだしています。

国際認証機関の認証するMBAは、従来型のMBAの枠組みで認証されているものであり、時代の変化に応じた内容になっていることを保証するものではありません。これからのMBA選びにおいては、従来型のMBAか、時代の変化に対応した新時代のMBAなのかは、重要な判断軸になるでしょう。

2.多様な受講スタイルに進化を遂げるMBAスクール

変化はカリキュラムだけではなく、受講スタイルにも生じており、キャンパスへの通学だけでなく、オンラインでの受講も可能なビジネススクールもあります。オンラインでのMBAの授業は、動画を見て学ぶ形式と教室と同様に、ライブディスカッション形式など大学院によって違いがあります。また、キャンパスでの受講とオンラインでの受講を科目ごとに選べるビジネススクールも存在します。ご自身のライフスタイルにあった受講形式を選択できるスクールを選ぶことが可能な時代になりました。

3.MBA選びの基準に欠かせないのは、卒業生の活躍

MBA選びの基準には育成方針、授業の質、カリキュラム、利便性、人脈形成、取得までの金額などさまざまなものがあります。またとくに日本では、MBA取得がマネジャーや経営幹部への登竜門となる欧米と比べ、MBA取得と企業側の採用や評価とはあまりリンクしていません。そこには国際認証の有無も実際には関係なく、重視されるのは、経営者として、あるいはビジネスプロフェッショナルとしての個人の「能力」と「実績」です。したがって、国内MBAを志向する場合は「どの大学のMBAプログラムが、自分の能力を最大化できるか」という視点で選ぶことが重要になってきます。

それを見極めるために、最も分かりやすいのが、卒業生の活躍です。卒業生の活躍を知るには、新聞などさまざまな記事で学校名を目にする場合もありますが、各校のサイトで紹介されていたり、各校のキャンパスや説明会で卒業生と話をしたりすることもできます。また、ご自身の周囲のMBAホルダーに直接話を聞いてみるなど機会は無数にあります。加えて、MBAは資格取得スクールのように、知識だけを得る場ではありません。人脈形成もMBAがもたらす価値ですので、その観点においても、MBA選びの基準には、「卒業生の活躍」という視点は欠かせません。

よくあるご質問FAQ

  • MBA取得は企業から評価されますか?

    急激な環境変化に対応するために意思決定のスピードも要求されるようになる中で、短期間で効率よく経営の幅広い知識やマネジメントスキルを身につけられるMBAプログラムは、日本企業からも注目されています。ただし、企業が評価するのはMBAという学位ではなく、MBAで学んだものを活かして実務で実績を出せることです。そのため、学びを通じて実績につながる能力、特性を身につけられるビジネススクールを選ぶことが重要になります。詳しくはこちらをご覧ください。

  • ビジネススクール(MBAプログラム)ではどのような内容が学べるのでしょうか?

    ビジネススクール(MBAプログラム)では、人材マネジメント・リーダーシップ、マーケティング・経営戦略、財務・会計といったヒト・モノ・カネという経営資源を有効に活用するために必要な知識を体系的に学べます。MBAカリキュラムについての詳細はこちらをご覧ください。

  • 20代でMBAを取得する意味はあるのですか?

    20代の内に経営を体系的に学ぶことで、より早期に活躍する場を確立できる可能性は確実に高まります。また、自らのキャリアの選択肢も広げることができます。20代で大学院に進学し、修了された方のアンケートをこちらからご覧ください。

  • 経営を学ぶ目的で、中小企業診断士の取得も考えています。MBAとどのような違いがあるのでしょうか?

    「ビジネスや経営の原理原則について学びたい」と考える方が比較検討するものとして、MBAと中小企業診断士の2つがよく挙げられます。

    まず、MBAは学位であり、中小企業診断士は国家資格という違いがあります。

    一般的にMBAは、自らが組織のリーダーとして意思決定や戦略を立案し、実行する能力を鍛えるところまでを目的としています。実務で成果を出すために、汎用性のある問題発見・解決力、コミュニケーション能力、意思決定能力を鍛えたい方や人的ネットワークを構築したい方には、MBAがおすすめです。

    一方、中小企業診断士は、中小企業の経営診断や助言をできるようになることを目的としています。中小企業基盤整備機構や商工会議所など、公的機関での仕事を今後のキャリアとしてイメージしている場合には有効です。

    両方ともビジネスや経営について学びますが、学習内容や身につく能力が異なり、目指すキャリアに応じて、よく考えて選択することが重要です。

    詳細は「
    MBAと中小企業診断士の違いや活かせる業務」をご覧ください。

  • なぜグロービスは「実践的なMBA」と評価されているのですか?

    「実践的なマネジメント能力」の開発のみならず、リーダーとして成果を上げるために必須の「志」や「人間力」を育むことに徹底してこだわっているためだと考えています。ビジネス界から高く評価され国内最大のビジネススクール(MBAプログラム)となったグロービスの、他校には真似ができない取り組みについては、こちらのページをご覧ください。