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複式簿記Double-Entry Bookkeeping
複式簿記とは企業の経済活動や事象のうち、企業の資産・負債・資本に影響を及ぼす取引を識別する際、その影響を二面的に把握して記録する方法である。
たとえば現金を支払い、商品を仕入れるという活動は一つの取引であり、この取引により企業には商品という資産が増加すると同時に現金という資産が減少する、という二通りの影響が生じる。複式簿記ではこれら二つの事実が帳簿に記録される。
簿記には単式簿記と複式簿記の二種類がある。単式簿記とは、一つの勘定科目で取引を記録する方法である。たとえば、クレジットカードで消耗品を購入する場合、購入日には取引を記録せず、決済日に現預金の減少のみを記録する。単式簿記は記載の仕組みがシンプルであることから、家計簿など現金収支の把握を目的とする場合に利用される。
一方、企業活動においては多様で膨大な取引を正確に把握することが求められる。複式簿記では一つの取引を原因と結果の両面から捉えることでより正確な記録が可能となる。こうした理由により企業会計においては古くから複式簿記が採用されている。
複式簿記には「借方」と「貸方」の二つの側面があり、「借方」と「貸方」は必ず同額になるよう記載しなければならない。また、各取引については勘定科目というグループにわけて記録する。勘定項目は「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」の5グループで、財産にかかわる取引があった場合、必ずそのどれかに当てはまる。
なお、企業のどのような経済活動や事象が「取引」に該当するかは次の基準にしたがって判断される。簿記上の取引に該当する為には、その事実がすでに発生していて、企業の資産・負債・資本に影響を及ぼしており、その影響が合理的な正確度で金額的に測定できなければならない。したがって、簿記における取引は日常用語としての取引と必ずしも一致していない。
このよう二面的な記録がすべての取引について実施され、それを集計して最終的に財務諸表が作成されることになる。
なお、複式簿記の起源については古代ローマ説や中世イタリア説など諸説あるが、14世紀から15世紀のルネッサンス期にヴェネチア商人たちによって発明されたといわれている。
日本では、明治時代に福沢諭吉がアメリカのテキストを翻訳した「帳合之法(ちょうあいのほう)」などが複式簿記の始まりであり、以降洋式の複式簿記が全国に広がったといわれている。
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