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APVadjusted present value
APVとは、事業やプロジェクトの経済的価値をフリー・キャッシュフロー(FCF)の価値と節税効果の価値に分解して評価するバリュエーションの方法。調整現在価値。企業の資本構成が大きく変化し、NPV法(Net Present Value:正味現在価値法)を適用しにくい場合に用いられる。事業を構成する様々なキャッシュフローについて個別にDCF法を適用することで事業価値を正確に見積もろうとするもので、当初、MITのスチュワート・マイヤーズ教授によって提唱された。
一般に、ファイナンス理論において、事業の経済的価値を評価する指標としてはNPVが最適であるとして多用される。NPV法は、割引率となるWACC(資本コスト)が一定という前提のもとに計算するのだが、実務においては、必ずしもこの前提が当てはまらない場合がある。例えば、M&Aは、借入れを活用して行われることが多いが、そうした場合、企業の資本構成は当初から大きく変化し、かつ返済に伴って毎年変化することが多いため、WACCを一定とするという前提は使えない。大規模なリストラや、破綻企業の再生、あるいは、極めて大きな巨大プロジェクトを行う場合も同様である。
そうした場合に用いられるのがAPVだ。APVでは、事業の経済的価値を、資産が生み出すFCFの価値と、負債による節税効果の価値を分解して事業の経済的価値を求める。これは、事業の経済的価値 = 投資家の手取り = 債権者のCF+株主のCF = FCFの価値+節税効果の価値という前提に基づいている。
APVを計算する際、FCFの現在価値を計算するときの割引率としては、100%株主資本の場合の資本コストを用い、βはアンレバードのβUを用いる。一方、節税効果の現在価値を計算するときの割引率は借入金利を用いる。
仮に、FCFの現在価値が100億円(割引率を100%株主資本の場合の資本コストとして計算)、節税効果の現在価値が30億円(割引率を借入金利として計算)とすると、そのプロジェクトの経済的価値は130億円となる。
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