女性にとってのMBA

ついやっちゃう衝動買い……
購買のプロセスを知って
お買い物上手!

vol.2ついやっちゃう衝動買い......
購買のプロセスを知ってお買い物上手!

「よくお似合いですよ~」「限定◯個!」などの言葉につられて、まったく予定していなかったものを買ってしまう「衝動買い」。その場では納得したつもりでも、「なんで買っちゃったんだろう......」と後悔することってありますよね? ふらりと立ち寄ったお店で店員さんから薦められた洋服を買ったマナミ。ルンルン気分だったのも束の間、「これ、必要だったのかな......?」と後悔しつつあるようです。チエ先生と話をするうちに、買い物には本来たどるべき心のプロセスがあり、今回の買い物はその順序どおりに進んでいなかったことがわかってきました。

ついやっちゃう衝動買い......購買のプロセスを知ってお買い物上手!

チエ先生、昨日あるお店で洋服を買ったんですけど、その買い物が正解だったのかどうか、ちょっと自信がなくなってしまって。先生にはそういうことってないですか?

もう少し詳しく聞かせて。あなたはもともとその洋服が欲しくて買ったんじゃないの?

うーん、欲しかったというか、たまたま通りがかりのお店で気になった洋服を見ていたんです。そうしたら店員さんが話しかけてきて、試着してみたらサイズもちょうどで。店員さんも「よくお似合いです」って言ってくれて、買うことに決めたんです。

つまり、もともと服を買うつもりはなかったけれど、その場では納得して買った。でも時間が経ってその納得感が薄れているのね。衝動買いによくあるパターンね。

衝動買い......! 来月友達の結婚式があるから今月は節約しよう、余計な買い物はしないでおこうって決めてたのに〜。だから今になってモヤモヤしてるのかな。でも、嫌いな服を無理やり買わされたわけじゃないし......うーん、自分でもよくわからなくなってきました。

店員さんの「よくお似合いです」という言葉のほかに、印象に残っていることはない?

そういえば、「入荷待ちでやっと入ってきたんですよ」とか「今ある分が売れたら次はいつ入ってくるかわからない」ということも言われました。それを聞いて、心が揺さぶられたような......。

今買わなきゃ損だ!という気持ちになったのよね。ほら、「限定◯個!」とか書いてあると、買いたくなるのと一緒よ。

あっ、それよくあります! 洋服に限らず、「限定◯個」とか「本日限りの大特価」とか、そういう言葉に敏感かも。

じゃあ今回とは反対に、はじめから予定していた買い物をする時のことを思い出してみて。たとえば友達の結婚式用のワンピースを通りすがりのお店ですぐに買っちゃう?

それはないと思います。だいたいの予算を決めて、色やデザインのイメージとか、当てはまりそうなブランドも先に考えておくと思います。それから実際に見てまわるかな。

昨日のあなたの買い物と比べて、どうかしら?

あ......、プロセスや時間のかけ方が全然違う。

そうなの。昨日のあなたは本来たどるべきプロセスをすっ飛ばしてしまっているのよ。その一定のプロセスのことをマーケティング用語では、AIDMA(アイドマ)またはAISAS(アイサス)と略して言うんだけど、これを知っておくと、今後の買い物に役立つと思うわよ。

AIDMA、AISAS......なんのことだかさっぱりわかりませんが、衝動買いが防げるなら知っておきたい!

AIDMAとは、消費者の購買決定プロセスを表すモデルの一つ。消費者はまず、その製品の存在を知り(Attention)、興味をもち(Interest)、欲しいと思うようになり(Desire)、記憶して(Memory)、最終的に購買行動に至る(Action)と考え、各プロセスの頭文字をとって、AIDMAと呼んでいます。

このAIDMAのプロセスを、私たち消費者は無意識にたどっています。たとえば、新発売の口紅があったとしましょう。テレビCMや雑誌の広告などを見て「こんな口紅が新しく出たのか」と、その口紅の存在を知ることがAttention(注目)です。広告に起用されている女優さんのイメージ、あるいは色合いの美しさや「うるおい長続き」などの特長によってInterest(興味)、Desire(欲求)へと展開し、おのずとMemory(記憶)まで進みます。そして、実際に化粧品売り場に行って買う、Action(行動)に到達するわけです。

もっとも、人によってはAttentionで終わったり、InterestやDesireまで進んだけれども何らかの理由でActionを起こさないケースもあり得ますが、製品を売る側はこのプロセスを基軸に、さまざまな戦略を立て、購買行動へ導こうとしています。

AIDMAイメージ

また、製品やサービスの多様化にともない、定番とされてきたAIDMAに当てはまらないケースも増えており、プロセスモデルの細分化が進んでいます。実店舗に足を運ばずにインターネットを介して買い物をするネットショッピングもその一つ。この場合は、AIDMAのDesireがSearch(検索)に置き換わり、結果を受けてただちにActionに進み、さらにSNSなどを介して購入実績をShare(共有)に至るプロセスモデルが一般的です。

これらの購買決定プロセスを知っておくと、今、自分がどの段階にあるのかを客観視でき、購買の是非を冷静に考えるゆとりが生まれやすくなります。広告のイメージや店員のセールストークに惑わされ、急激に高まった興味や欲求だけで行動しようとしていないか、振り返りの習慣をつけることで、不必要なものは買わずに済むはずです。

先生が言っていた意味がよくわかりました。昨日の買い物って、AIDMAでいうところの「Action」に到達するまでの他のプロセスを飛ばしてしまっていたんですね。

そうね。それに店員さんの働きかけがなかったら、「Desire」が高まらなかったんじゃないかしら?

確かにそうですね。もしあの時店員さんが来なかったら、多少欲しくなっていてもガマンしていたと思います。じゃあ、スイーツの行列に思わず並んじゃうとか、店員さんにプッシュされたわけじゃないのに、自分で動いちゃう場合はどうすれば......。

行列に並ぶのはどうして? その都度、自分に問いかけてごらんなさい。「みんなが並んでいるから」って思うかもしれないけど、それって自分への言い訳に過ぎないの。明快な答えが導き出せないならやめておくべきね。

なるほどー。そういえば、昨日もレジでお金を支払う時、ちょっとだけ迷いが出たんです。買っちゃっていいのかなって。でも、あっても困らないものだし、もうすぐお給料日だし、ま、いっか!って、言い訳しちゃってました。振り返ってみると、私、そんな言い訳を重ねて、衝動買いをたくさんしてきたような......。

そんなに落ち込むことないわよ。大事なのは、同じ失敗を繰り返さないこと。あなたは買い物の失敗を防ぐノウハウを学んだのだから、次はそれを生かすことを考えて。

失敗は成功のもと、ですもんね。今度、お店やネットで買い物をする時は、AIDMA、AISASを呪文のように心で唱えることにします。私、もう店員さんのセールストークに耳を貸したりしませんから!

まぁまぁ、そんなにムキにならずに(笑)。洋服なら素材やお手入れの仕方など、店員さんに聞いてみないとわからないこともあるから、服選びのパートナーとして上手に付き合えばいいの。

行動を急がずに、自分に問いかけてみることが大事

その場では納得して買ったつもりが、あとでもっとコストパフォーマンスのよいものが見つかったり、そもそも必要ではなかったことに気づいたりして後悔しがちな衝動買い。何度も繰り返してしまう人は、AIDMAやAISASの購買行動プロセスをたどった買い物だったのかどうか、確認してみましょう。

衝動買いでは、Attention(注目)からDesire(欲求)またはSearch(検索)までの時間が極端に短く、十分な比較検討を試みずにAction(行動)へとなだれのように進んでいく傾向があります。その原因は、店員さんのセールストークなど外的なものだけとは限りません。その場しのぎの言い訳で自分自身にGOサインを出していませんか?

心のメカニズムを理解し、観察することが、衝動買いをしそうな時のブレーキになります。とっさの言い訳を差し挟まずに、本当に納得のできる買い物かどうか、自分の心に問いかけてみましょう。

AIDMA、AISASは本来、広告宣伝等のビジネスで活用されるプロセスモデルですが、これは私たちが賢い消費者になるための指針でもあるのです。衝動買いによるムダを抑えて、有効なお金の使い道を見つけてくださいね。

監修者:村尾佳子

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