PROFILE
関西大学工学部を卒業後、2003年にアズビル株式会社(旧株式会社山武)に入社し、工場向け制御機器の国内営業を担当。約10年間の営業経験を経て、さらなる自己成長の機会を求め社内オープンチャレンジ制度を利用し、海外事業挑戦を決断。2015年4月から欧州販売現地法人Azbil Europe NVに出向。異文化や市場環境の違いに適応しながら国際経験を積み重ね、2024年4月、同社のManaging Director(社長)に就任。新たな成長と挑戦を追求しながらチームを牽引している。
※記事の内容はインタビュー当時のものです
ドイツ駐在で「このままではダメだ」と痛感した。
MBA取得を考え始めたきっかけや動機は何でしょうか?
ドイツの現地法人に駐在したことがきっかけです。それまでは国内の営業担当として働いていましたが、現地の営業を支援する立場に変わりました。国内で積み重ねてきた実績もあり、赴任当初は自信に満ちていましたが、現実は厳しいものでした。文化や市場環境の違いに戸惑い、現地の社員と衝突する日々が続きました。日本では当たり前のことが、ドイツでは通用しなかったのです。
最初は環境の違いや自分のポジションを理由に責任転嫁していました。しかし、現地の社員から「なぜ“日本では当たり前だから”という理由で、自分たちがやらなくてはいけないのか」と聞かれ、その理由さえ説明できない自分に無力感を覚えました。この経験から、自分を変えるためには行動しなければならないと痛感しました。
単科生制度を通じて、成長できる環境だと実感した。
なぜグロービスのオンラインクラスを選択されたのでしょうか?
グロービス経営大学院を選択した理由は複数あります。当時ドイツ在住だったため、オンラインかつ日本語で学べる手段として、「グロービス学び放題」を利用していました。もっと本格的に学びたいと考え始めたときに、グロービス経営大学院の単科生制度という存在を知りました。さらに、海外駐在を経験し、グロービスでMBAを取得した同僚が社内に2人いることが分かり、ひとりは駐在中、もうひとりは帰国後に受講していました。2人とも共通して語っていたのは「熱い仲間ができる」ということでした。
同僚の体験談に背中を押され、まずは単科生制度で「クリティカル・シンキング」から始めることにしました。自己投資としては決して小さい金額ではないからこそ、実際の授業を体験できて真剣に検討できる単科生制度は、私にとって良い選択肢だったと思います。
授業を通して、これまで知らなかった目から鱗が落ちるような学びや、レベルの高い教員の授業、ともに学ぶ学生の高い意欲を肌で感じたことを覚えています。自分の知識不足も痛感しながらも、「この環境なら確実に今より成長できる」と手応えを感じました。
健全な競争意識を高め合える、世界中の仲間たち。
グロービスのオンラインクラスで学ぶ魅力は何でしょうか?
最も魅力的だったのは、素晴らしい"戦友"との出会いです。社会人になると利害関係のない友人をつくる機会は、学生時代より少なくなると思います。しかし、オンラインで世界中のさまざまな人と学べるグロービスという場を通して、熱意を持った多くの仲間と出会うことができました。
授業では、クラスメートのレベルの高さに刺激を受けることが多かったです。毎回ケース(企業事例)を自分事として捉え、明確な主張と論理的な根拠を組み立て、一人の経営者として意思決定を行う。そんなクラスメートの学びに対する貪欲な姿勢に励まされ、お互いに高め合える環境でした。
私にとって、彼ら彼女らは好敵手であり、健全な競争意識を掻き立ててくれる存在だったのです。そのような仲間に出会い、刺激の満ちた環境で学べたことは、かけがえのない経験となりました。
人生の選択肢を増やすことが、自己投資のリターン。
学びをスタートするにあたっての懸念点をどのように解消されましたか?
入学を検討する際、最大の懸念は「家庭との両立」と「自己投資へのリターン」でした。
事前に1週間のスケジュールをシミュレーションしたのですが、なかなか大変そうというのが正直な感想でした。妻や家族の理解が何よりの助けとなりましたが、生活は一変。平日は子どもたちの就寝後、週末は1日中、勉強時間に充てるようになりました。ドイツの日曜日はお店が全て閉まるので、子どもたちの横で一緒に予習や復習に励みました。このように、時間管理を工夫したことで乗り越えることができました。
また、教員の方の「人はなぜ学ぶのか、豊かになるためである」「豊かさとは何か、人生の選択肢を増やすことである」という言葉に背中を押されました。当時の私は、自己投資のリターンは昇進や転職、起業など、可視化できるものばかりを考えていました。しかし、教員の方の言葉を受けて、学ぶことによるリターンには、人生を豊かにするような可視化できないものも多く含まれると気付き、入学を決意できました。
言葉だけでなく、行動してこそ意味がある。
学び始めた後、仕事に対する姿勢や進め方に関して何か変化はありましたか?
営業責任者として、営業戦略やマーケティング戦略を立案する立場になったものの、これまで経験のない業務に戸惑っていました。しかし、「クリティカル・シンキング」で論理的かつ説得力のある説明方法を身に付け、「マーケティング・経営戦略基礎」でフレームワークの使い方を学び、実務で即実践するようにしました。このように組織の戦略を一から自身で考えられるようになったのは、大きな変化です。
さらに、「企業家リーダーシップ」では、陽明学の「知行合一」※1の考え方に出会いました。以前は「言行一致」※2を心掛けていましたが、それは「口に出さなければ、行動しなくてもよい」という逃げ道を残していたことに授業の中で気付きました。行動しないのは、知らないのと同じこと。行動してこそ、意味がある。真のリーダーシップとは、まさに知行合一の精神なのだと学びました。
今後は、グロービスで得た学びを存分に活かし、率先垂範※3の姿勢で経営に携わっていきたいと考えています。言葉だけでなく、行動する。その実践を通して、組織を牽引していきます。
※1知行合一…知識と行為は一体であり、真の知識は実践によって裏付けられるということ
※2言行一致…口で言うことと行動とに矛盾がないこと。
※3率先垂範…自分で手本を示すこと。人より先に立って物事を行い、模範となること。
多様な視点に触れることで、考え方が広がった。
グロービスの人的ネットワークを通じて得たものは何ですか?
人的ネットワークを通じて、多様な価値観と新たな視点を得ました。
異なるバックグラウンドを持つ仲間たちと交流することで、自身の考え方を見直す機会が増えました。特に月1回のセクションメンバーとの集まりでは、勉強会や雑談を通じてさまざまな価値観に触れることができました。同じ日本人でも、考え方がここまで異なるのかとたびたび驚かされ、その違いから多くの新しい視点を学んだのです。
時差の関係で多くのイベントに参加することは難しかったものの、同世代の仲間たちとは、仕事や人生について気兼ねなく語り合える深い関係性を築くことができました。社会人になってからは、仕事関係や子育て関係など、新たな人間関係を築く機会は限られていましたが、ネットワークを通じて自身の視野が広がりました。
評価制度の運用を変革し、メンバーの行動変容につなげた。
受講した科目の中で特に印象に残っている科目は何ですか?
「人材マネジメント」です。
これまで、人事制度は単に与えられたものを実行するだけで、その背景や意義を深く考えたことはありませんでした。しかし、この授業を通じて、人材マネジメントの重要性と目的を理解できました。今でこそ社内の人事マネージャーとの会話や組織運営において、具体的かつ論理的に説明できるようになりましたが、この科目を受講していなかったら、今の立場で何も分からず苦労していたと思います。
授業では、ケースを活用して基本的なフレームワークから、リアルな現場での実践方法を学びました。その中で当時、形骸化していると感じていた現地法人のMBOについて、現場での運用やメンバーへの説明の仕方を見直すことにしました。単なる“評価や賞与のための仕組み”で終わらせずに、組織が何を期待しているのか、なぜこの取り組みを行うのかを伝えるようにしたことで、メンバーの行動変容につなげられました。
未知への挑戦は、飛躍のチャンス。
グロービスで学ぶことを考えている皆さんにメッセージをお願いします。
成長するためには、居心地のいいコンフォートゾーン※から抜け出して、未経験の領域に挑戦することが不可欠です。確かに新しいことに挑戦するのは、不安や苦労を伴いますが、逃げずに、主体的に飛び込む姿勢が重要だと思います。不安や苦労を成長の兆しと捉え直せば、それは乗り越えるべき障壁ではなく、飛躍のチャンスとなるはずです。
検討する段階にあるということは、自身の課題が明確になりつつあるサインだと思います。グロービスでの学びがその課題解決につながるかどうかは、最終的には本人次第ではありますが、経験豊かな教員陣と成長意欲ある学生に巡り合えることは間違いありません。そんな仲間との対話を通じて視野が大きく広がり、真の課題やその解決策など多くの気付きを得ることができるでしょう。
実際に、私のまわりでも「もっと早く受講したかった」と語る仲間は少なくありません。迷っているのであれば、コンフォートゾーンから抜け出し、グロービスに挑戦してみることをおすすめします。
※コンフォートゾーン…文字通り「居心地のいい場所」。コンフォートゾーンにいると、自分が今持っているスキルセットで対応することができ、あまり努力する必要がないとされる。
体験クラス&説明会日程
受講をご検討中の方は「体験クラス&説明会」にお気軽にご参加ください。グロービスの授業内容や雰囲気を体感したことがきっかけで、一歩踏みだした在校生や卒業生がたくさんいます。実際に参加された方からは「グロービスの学びを疑似体験したことで、実務に活かせるイメージを掴めた」「授業の熱量や実践的な学びに刺激を受けた」といったコメントをいただいています。
また「体験クラス&説明会」では、忙しい社会人の皆さんが学び続けられる仕組み(各種制度や具体的なスケジュール)もご案内しています。各キャンパスでは、実際の授業で使う教材(ケースやテキスト、参考書)をお手元でご覧いただくことも可能です。パンフレットやWebサイトでは伝えきれないグロービスの魅力をご紹介します。