PROFILE
大学卒業後、大手教育サービス会社にて営業・マーケティングと法務を経験。「経営の中心で力を発揮したい」「地方企業の活性化に貢献したい」という想いを両立させるため、35歳で東北基盤のハウスメーカーへのキャリアチェンジを決意。CRM部門やリノベーション事業の統括責任者を経て、同じく東北を拠点とする現職へ。現職では中期経営計画の策定や事業部門のハンズオン伴走を実践している。
※記事の内容はインタビュー当時のものです
経験やセンスだけでは、通用しない。
MBA取得を考え始めたきっかけや動機は何でしょうか?
「センスだけでは通用しない」と限界を痛感したことがきっかけでした。それまでのキャリアでは、営業・マーケティング、そして社内ジョブチャレンジで法務職を経験し、いわば「攻め」と「守り」両方のスキルを培ってきました。そして「より経営の中心で力を発揮したい」「地方企業の活性化に貢献したい」想いを実現するために35歳で地方企業へキャリアチェンジし、事業責任者として経営に携わるようになりました。
大手企業で経験を積み、“どんな環境でもやっていける”という漠然とした自信はありました。しかし、業界もエリアも異なる新しい環境での挑戦。経験やセンスだけでは通用しない現実を突きつけられました。さらに、「自分でやる」のではなく「チームに動いてもらう」という課題にも直面しました。どれだけ優れた戦略でもそれだけではチームは動かず、逆に現場で一緒に汗をかくだけでも、組織を目指すべき方向に導くことはできません。
そんな中、会社の後押しもありグロービス経営大学院の単科を受講しました。志の高い仲間と学ぶ中で、体系的に経営を学ぶことの意味を実感し、次第に学びに貪欲になっている自分に気付きました。特に心に刻まれたのは、「分かった、で1点。やってみた、で20点。壁にぶち当たって乗り越えた、でやっと100点」という教員からの言葉です。学びと実践を愚直に繰り返す覚悟ができ、「ここで学ぶことで壁を乗り越えられる」と確信しました。
「実践知」により、その日からの行動が変わる。
なぜグロービスのMBAを選択されたのでしょうか?
実務に直結した「実践知」が得られるためです。グロービスの授業では、ただ知識を学ぶだけでなく、「それを実務でどう活かすか」が徹底的に問われます。多くの授業では冒頭に「前回の学びをこの期間で実務にどう活かしたか?」と問われます。この問いから始まる共有の時間がとても刺激的で、「学んで終わり」ではなく、「実務に活かしてこそ意味がある」という思考パターンが自分の中に浸透していきました。
また、教員は一流の実務家ばかりで、経験に裏打ちされたリアルな知見が学べる点も魅力でした。カリキュラムも実践重視で設計されており、授業で得た学びをその日からすぐに活かせる内容。学びを具体的な実践と成果に結びつけたかった私にとって、グロービスで得る「再現性の高い実践知」はまさにぴったりでした。
その結果、授業を受けるたびに、自分の中で「経営に必要なピース」がひとつずつ埋まっていく感覚が得られました。ヒト・モノ・カネなど経営の「型」を体系的に学び、それをすかさず実践することで、意思決定の「判断軸」が身に付いていきました。
「真の心理的安全性」のもと、志を磨ける。
グロービスで学ぶ魅力は何でしょうか?
ひとつは「志」を磨ける場であることです。自分の「人間としての軸」と徹底的に向き合う時間となる「リーダーシップ開発と倫理・価値観」や「企業家リーダーシップ」が必修科目である点はそのひとつの象徴だと思います。それまでもキャリアプランと呼べるものはありましたが、「志」という軸ではっきりと問いかけられる経験は初めてで、深く自分自身を見つめ直すことができました。また、教員やともに学ぶ仲間もお互いの「志」を磨き合う存在であることも大きな魅力です。
また、その上で欠かせないのが「心理的安全性」の高さです。利害関係のないコミュニティーだからこそ、弱みを隠すことなくさらけ出せる。一方で馴れ合いになるのではなく、そこから建設的なフィードバックを受けられる。この絶対的な信頼感の中で得られる率直なフィードバックは、自分の成長に大きなプラスでした。単なる仲よしグループではなく、素の自分に向き合いながら切磋琢磨できる環境。これこそが真の心理的安全性なんだ、と体感できました。このような環境での成長実感は、これまで感じたことのない刺激を与えてくれました。
「いつか見た光景」が、確かな自信と経験値に。
卒業後、仕事に対する姿勢や進め方に関して何か変化はありましたか?
授業で展開されるケース(企業事例)に本気で向き合うことで、実務上起こるさまざまな出来事が「いつか見た光景」だと感じられるようになりました。
授業では、グローバル企業のCEOや地方企業オーナーの意思決定、奇跡的な事業成長から不祥事による失墜まで、多岐にわたる経営のシーンを何度も疑似体験します。これらのケースを単なる教材としてではなく「当事者意識」を持って取り組むことにこだわりました。すると次第に、実際の仕事で類似のシーンに遭遇したときに「あ、あのケースと同じだ」と感じるようになっていきました。「この積み重ねを経験値と呼ぶんだな」と体感しました。
例えば、新規事業の立ち上げを任されたときのことです。市場分析やビジネスの筋は間違いなかったのですが、リソース不足や既存事業との対立、それら疲弊感からのメンバーの心理的離反など、数々の問題に直面しました。しかし、受講した「ベンチャー・マネジメント」の学びと照らし合わせることで、今起こっていることは「成長痛」である、と冷静に捉え直すことができました。その上で「戦略を柔軟にピボットする」「チーム内の景色合わせを徹底する」「チーム外の応援者を増やす」といったことを地道に実行することで、事業を軌道に乗せることができました。
実務においてはいくら綿密に計画しても「想定外」が起こりますが、グロービスにおける質の高い疑似体験と、実務での実践サイクルを回すことにより、未知の状況でも何段階も深いレベルで打ち手を考えられるようになりました。
一生を通じて志を高め合える仲間。
グロービスのMBAで得たものを一言で表現すると何になりますか?
「MBAプログラムで得られたものは?」という問いであれば前述の「実践知」と答えますが、「“グロービスのMBA”で得たものは?」という問いに対し自然に出てくるのは「志を共有し、磨き合える仲間」という解です。
在学中から「一生を通じて志を高め合える仲間を得たい」という想いがありました。そして、実際に出会った仲間たちと、卒業後の今も定期的に集まって互いの目標を語り合い、刺激を受けています。単なる懇親会や同期会ではなく、志の実現度を振り返り、意見を交換し合う「磨き合いの場」が続いていることに、大きな価値を感じています。
特に、仙台校の多くの仲間には、「地元・地方をよくしたい」という共通の想いがあります。現時点での私の志は「地方発の『光る組織』を量産する」――。地方に転身したからこそ肌で感じる首都圏一極集中に対する課題感や、地方企業のポテンシャルに気付き、「その変革の中心で、自分ならではの価値を発揮したい」という想いがグロービス生活を通じて強まっていったのです。
そういった志をぶつけ合い磨き合える仲間はまさに「同志」であり、その存在は自分にとって大きな原動力になっています。
声をあげれば必ずつながれて、一緒に形にできる信頼感。
グロービスの人的ネットワークを通じて得たものは何ですか?
多様なスキルやバックグラウンドを持つ仲間が集まっており、「相談すれば必ず何かヒントや連携が得られる」という確信が持てるネットワーク。仕事で何か新しいことをやりたいときや、壁にぶつかったときに大きな力になってくれます。
実際に、仙台校の同期とゼロから取り組んだ新規商品のプロジェクトでは、商品化やブランディングまでお互いの強みを活かしながら実現しました。また、行政を巻き込んだ東北地方の観光業や漁業の活性化プロジェクトでは、仙台校の卒業生とタッグを組むことができ、共通の学びや価値観を土台に議論を深めることができました。これらの取り組みは、単なるジョブマッチングではなく、学びを共有する同志との協力だからこそ実現できたもので、相乗効果で成果が大きく変わったと実感しています。
このネットワークのすごいところは、「まだ直接関わりがない人でも、仲間を介していつでも誰とでもつながることができて、すぐに同じ熱量やフレームワークで議論が始められる」ということです。「挑戦したい」という想いを支え後押ししてくれる、かけがえのない存在だと感じています。
「改善か、変革か」を見極める。
受講した科目の中で特に印象に残っている科目は何ですか?
「イノベーションによる事業構造変革」です。この科目は、「地方発の『光る組織』を量産する」という自分の志をどのように実現していくべきか、深く考えるきっかけを与えてくれました。授業では、それまでに学んだ「経営戦略」や「マーケティング」の基礎を踏まえ、イノベーションとは何か、そしてそれを阻む要素や難所にどう向き合うべきかについて、実践的かつ泥臭く掘り下げて学びました。
ひとつの軸になったのが、「変革の本質を見極める」という考え方です。授業の冒頭で「その取り組みは“ふりかけ”か?“炊き込みご飯”か?」という問いの設定がありました。ふりかけは、ご飯に“味をつけ加える”表層的な改善。一方、炊き込みご飯は、具材や調味料から“ご飯そのもの”を変えるいわば根本的な変革。この問いによって、自分が進めるプランは“改善”なのか、“根本的な変革なのか”を見極める重要性を学びました。どちらが良い悪いという話ではなく、本質を捉えないままに進めると、ミスマッチが起きたり、成果が中途半端になったりすることを実感しました。
また、授業で学んだ「イノベーションを阻む3つの“不”」に自分の考えを加えたオリジナルのフレームワークを持ち、実務で壁に直面したときはこれと照らし合わせて考えるようにしています。これにより問題の本質を押さえた上で新しい突破口を導き出せるようになりました。これらの学びは今となっては自分の原点となっています。
「悩む時間」が「考え抜く時間」に変わった。
グロービスへの出願を考えている皆さんにメッセージをお願いします。
グロービスでの学びを通じて、私の中から「悩む」という時間がなくなりました。これは精神論ではありません。授業の中で「悩むと考え抜くは違う」という言葉をもらい、それ以来、問題に向き合う姿勢が大きく変わったのです。もちろん日々「悩ましい」問題は発生しますが、そんなとき「どうしよう」と悶々とするだけの時間は、今はもうなくなりました。まず問題を構造的に捉えた上で「本質は何か。どんな選択肢があり得るか。どこから手をつけるべきか」といった思考プロセスに切り替えられるようになりました。
こうした学びと実践の反復で、経営戦略の合理性や経営判断の軸を強化していったわけですが、卒業後の今は、戦略の正しさや合理性だけでなく、「どうすればチームのモチベーションを高めながらそれを継続的に実行できるか」「組織として再現性を高めるためには何が必要か」といった点に一層関心が強まっています。「どれだけ立派な戦略やビジネスモデルがあっても、実行する人の心がついてこなければ成果にはつながらない」という入学当時からの課題感と改めて正面から向き合うため、現在はコーチングや組織開発を学び、変革の実行確度を上げることに挑戦しています。
グロービスでの学びは、単なる知識の習得にとどまりません。仲間とともに志を磨き合いながら、学びと実践を愚直に繰り返す。これにより「実践知」を積み重ね螺旋状に成長し続ける。同じ想いを共有できるさらなる同志と出会い、ぜひ、この一生モノの体験を共有し合いたいです。
体験クラス&説明会日程
受講をご検討中の方は「体験クラス&説明会」にお気軽にご参加ください。グロービスの授業内容や雰囲気を体感したことがきっかけで、一歩踏みだした在校生や卒業生がたくさんいます。実際に参加された方からは「グロービスの学びを疑似体験したことで、実務に活かせるイメージを掴めた」「授業の熱量や実践的な学びに刺激を受けた」といったコメントをいただいています。
また「体験クラス&説明会」では、忙しい社会人の皆さんが学び続けられる仕組み(各種制度や具体的なスケジュール)もご案内しています。各キャンパスでは、実際の授業で使う教材(ケースやテキスト、参考書)をお手元でご覧いただくことも可能です。パンフレットやWebサイトでは伝えきれないグロービスの魅力をご紹介します。