PROFILE
藤田保健衛生大学(現藤田医科大学)医学部2004年卒。飯塚病院総合診療科および頴田病院総合診療科に9年間勤務ののち、2018年にスタートした総合診療専門医制度に先んじて、藤田医科大学総合診療プログラムを2015年に3名の専攻医(専門研修を行う医師)とともにスタート。同時に豊田地域医療センター(150床)の総合診療医を中心としたコミュニティホスピタルへの変革を開始した。
「教育の力で医師を育て、地域そして世界を変革する」の理念のもと、指導医が集い・総合診療の教育制度教育環境が整い・病院が増え、多くの患者さんを診ることを可能にした。総合診療医は全ての健康問題に向き合う専門医として、現在は目下の課題に日々取り組んでいる。
※記事の内容はインタビュー当時のものです
「総合診療をインフラに」。そのために経営スキルを身に付けたい。
MBA取得を考え始めたきっかけや動機は何でしょうか?
2018年より始まった総合診療専門医制度がきっかけです。総合診療医とは、ひとつの臓器にとどまらず、 それぞれが影響する関係や原因を推論できる高い診断力と、 ほかの診療科との連携を見極める力を持つ医師です。日常生活における心理的な悩みや家族やその地域も詳しく知り、本人のみならず家族まるごと診ることができる令和の町医者のイメージです。日本では新しいこの専門医制度ですが、実は欧米に50年遅れており、OECD各国では平均約30%の医師が総合診療を選択する中、日本ではわずか2%の医師が選択するにすぎません。
この総合診療は、今後地域に大きく必要とされ、また医師の新しいキャリアとして重要だと考えます。
私は「総合診療をインフラに」という志を持っています。そのためには病院を経営し、医師の教育プログラムを作り、その価値を複製していかなければいけません。その仕組みを作るためにMBAで得られる経営のスキルが必要だと考え、取得を決めました。
世間知らずな自分の引け目を払拭してくれる環境。
なぜグロービスのMBAを選択されたのでしょうか?
医師は、キャリアを重ねるにつれ、リーダーや経営者になっていく可能性が高い職種です。にもかかわらず、医学部教育6年間の中ではマネジメントを学ぶ機会はほとんどないと言っても過言ではありません。また、自身の専門以外の分野に触れる機会も少ないです。
私はこうした状況にありつつ、医師の中で管理職としての立場が上がっていってしまい、自分自身の世間知らずなところやマネジメント経験の不足を引け目に感じ悩んでいたのです。そんな私にとって、名のある企業に勤めている方、すでに起業している方をはじめ、さまざまな業種、職種、役職の人が集い、同じ立場で机を並べて闊達にディスカッションしているグロービスの授業が大変眩しく見えました。
この場所に飛び込んでみれば、自分の悩みを払拭できると感じ、入学を志しました。
志の実現に向けて着実に行動できるようになった。
卒業後、仕事に対する姿勢や進め方に関して何か変化はありましたか?
医師の仕事は本質的には命を救うことですが、患者にとって良い医療を継続するリーダーたるには、今携わっている臨床や、今まで磨いてきた専門性、今後の論文執筆などの延長だけではうまくいかないと、薄々気が付いてきました。
上述の「総合診療をインフラに」するためには、医学部で学ぶことだけでなく、ヒト・組織を動かすリーダーシップ、医師を目指した志の再確認、アカウンティングやマーケティング、オペレーション戦略に関するビジネス・フレームワーク(組織を動かす基礎知識)、ミドルマネジメントとコミュニケーション(現時点の立場と権限で組織の中で成果を出すために必要なスキル)が重要なのです。こうした知識やスキルを得て、志の実現に向けて抜け目なく、着実に近づけるようになったと思います。
自分自身の器を広げられた。
グロービスのMBAで得たものを一言で表現すると何になりますか?
自分自身の器を広げられたことだと思います。堀学長から「組織はリーダーの器以上にならない」と言われたことが強く印象に残っています。また同時に「器を大きくすることはできる」とも言われました。グロービスでの学びを通じて、視野が広がり、医療分野以外のさまざまな知見を得、実践的な意思決定の訓練も積みました。正に、自分の器を大きくできたと思います。
医療業界を変えるマネジメント教育の場。
グロービスの人的ネットワークを通じて得たものは何ですか?
これまでの医学教育ではなかなか十分でなかった、マネジメント教育、アントレプレナーシップ教育の構築に取り組んでいます。
具体的には、現在までに「医師のためのマネジメント基礎」という3時間×4回の勉強会を複数回行ってきました。それにより、どのような対象にどのような内容を届けるべきかについて、解像度が上がってきています。今後は更に内容を改善し、より本格的に医学教育の中にインストールしていくことができたらと考えています。
これは、医学教育の中でのマネジメント要素不足という課題感を共有してくださった田久保副学長のサポートや、学生として出会った同志の存在など、グロービスの人的ネットワークなしには成し遂げられないことだと思っています。今後、医療業界を大きく変えることにつながっていくかもしれないと、ワクワクしています。
医療の価値を高め、複製していくための学びを得た。
受講した科目の中で特に印象に残っている科目は何ですか?
「サービス・マネジメント」です。「医療はサービスなのか」という点は議論の余地のあるテーマですが、医療はサービス業の4つの特徴(無形性、同時性、変動性、消滅性)を持っており、サービス業そのものとも言えます。
「サービス・マネジメント」を受講したことで、サービス業として医療をどう提供していくべきか真正面から考えた結果、今いる病院や提供している総合診療の価値をいかに高め、将来に向けてどう複製していくかについての学びを得ることができました。医療は眼の前の患者さんに最善を尽くすことは言うまでもなく最も大切なことでありますが、一方で医療をより多くの方に届けるという視点、別の場所でも同じ価値を提供できるという点も、もうひとつ大切なことと思います。医療業界に携わっている方には、ぜひ受講をおすすめします。
多くの刺激と学びをもらえるコミュニティー。
グロービスへの出願を考えている皆さんにメッセージをお願いします。
医師である私は、これまで医療業界の人とだけ長く付き合ってきました。そんな私にとって、グロービスを通じて出会った他業界の友人によるコミュニティーは、多くの刺激と学びをもらえる、とても貴重なものとなりました。同じ業界や職種の人との付き合いしかない方は、グロービスで学び多様性に富む仲間を作ってはいかがですか。
体験クラス&説明会日程
受講をご検討中の方は「体験クラス&説明会」にお気軽にご参加ください。グロービスの授業内容や雰囲気を体感したことがきっかけで、一歩踏みだした在校生や卒業生がたくさんいます。実際に参加された方からは「グロービスの学びを疑似体験したことで、実務に活かせるイメージを掴めた」「授業の熱量や実践的な学びに刺激を受けた」といったコメントをいただいています。
また「体験クラス&説明会」では、忙しい社会人の皆さんが学び続けられる仕組み(各種制度や具体的なスケジュール)もご案内しています。各キャンパスでは、実際の授業で使う教材(ケースやテキスト、参考書)をお手元でご覧いただくことも可能です。パンフレットやWebサイトでは伝えきれないグロービスの魅力をご紹介します。