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投稿日:2023年01月30日

投稿日:2023年01月30日

「G-CHALLENGE 2022 ~失敗したっていいじゃないか。ガンガンに行こう!~」最終選考会を開催 大賞は3チームに

グロービス経営大学院は1月29日(日)、ビジネスプランコンテスト「G-CHALLENGE 2022 ~失敗したっていいじゃないか。ガンガンに行こう!~」の最終選考会を東京校で開催しました。第1回から今年の第10回までに合計369チームがエントリーし、多くのグロービス生が新たな未来への一歩を踏みだしてきました。今回は54チームが応募。最終選考に進んだ8チームのプレゼンテーションを審査した結果、「Ai-wine」「Dea Dora」「株式会社薬zaiko」の3チームが大賞の栄誉に輝きました。大賞チームには、特典として最大1,000万円の出資を受けられる機会を提供します。

G-CHALLENGE 2022 概要

G-CHALLENGE 2022(GLOBIS Venture Challenge*)は、起業を目指す多くの在校生・卒業生にビジネスプランを競う場を提供し、立ち上げ資金を支援することで、より多くの起業を促すものです。加えて、その企業が将来的にメガベンチャーへ成長する足掛かりをグロービス・コミュニティから得られることを目的としています。出資にあたっては、学校法人グロービス経営大学院と株式会社グロービスがファンドを組成。大賞受賞者は最大1,000万円の出資を受ける機会を得ます。審査基準は、ビジネスプランの市場性、競争優位性、実現可能性、収益性が見込めることに加えて、社会性や経営メンバーの意志や志などグロービスの教育理念に即しているかを重視します。

*旧GVC。2019年より通称が変わりました。

大賞受賞チームのプレゼン

Ai-wine

代表者:古川 康子さん(東京校、2021年入学)
概要:ワインを扱う高級レストランで、現状はアナログで煩雑な仕入れから在庫管理、集客までの業務をワンストップで支援します。

Ai-wine(アイワイン)は、労働集約型が続くワインレストラン業界の経営を変革します。チームは、20年以上にわたってワイン業界に携わってきた元ソムリエの代表をはじめ、在庫管理のシステムエンジニア、データアナリスト、メディア事業開発、財務のスペシャリストがそろっており、在庫管理のDXを皮切りに、置き去りにされた人材確保や集客誘導を大きく改善します。

ワインレストランは近代化から取り残された業界です。10万種近いワインが国内輸入される複雑なニッチ市場を横断的にサポートする担い手はおらず、現場業務は手作業・マンパワー頼み。最近は人手不足が顕著で、営業時間も短縮傾向にあります。ボトルネックは在庫管理にありますが、収益性を高く望めないことから何十年も改善されていません。Ai-wineは、在庫管理のSaaSシステムを提供することで、レストランが常にアップデートされたワインリストを手間いらずで作成できるようにして、集客アップにつなげます。顧客会員はサービス利用で、①バラバラの売り込みにとらわれず、仕入れや最新情報を一括で得られます。②システム化された在庫管理で、リアルタイム更新のワインリストを公開。新たな優良顧客とつながれます。市場価格を反映させた適正価格の設定もできます。ワインを扱う日本の高級レストランやバーを主顧客とし、現状はアナログで煩雑な仕入れから在庫管理、集客までの業務をワンストップで支援します。

在庫管理のSaaSを導入してワインの保管状況を正確・リアルタイムに把握できるようにしたあと、EC、メディアのプラットフォームに発展させ、ワインに携わるレストラン、輸入商社、レストランのゲストをつなぎ、三方の課題を解決します。ワイン輸入商社も広告や情報発信に加わることで、営業効率を高め、新規顧客の獲得が可能となります。さらに、レストラン顧客は、レストランの情報をリアルタイムで収集し、ワインを軸にレストランを選ぶことが可能となります。レストランのゲストのみならず、ワイン好きが集まれるコミュニティとなるプラットフォームに発展させることで、ワインに関連した新たなビジネスの発信を担っていきます。成長する日本のワイン市場をさらに活性化させる牽引役となれるようスケールさせていきます。

Dea Dora

代表者:牧原 正樹さん(名古屋校、2022年卒業)
概要:がん経験者から取得する日々の記録によって個人データモデルを構築し、副作用ケアなどパーソナルサポートを行う事業です。

Dea Doraは、食とデータの力でがんからの復帰をサポートする事業を行う会社です。経営メンバーは、デジタルテクノロジーと医療、アカデミアが融合した、多様性に富んだチームです。加えて、多くの医療現場の専門家の監修により、がんを取り巻く社会課題をテクノロジーで解決していくことを実現します。

がん経験者の食事や栄養管理の問題は、食思不振、吐き気、味覚障害などさまざまで、個人にとって深刻な課題です。しかし、まずは病気を治す医療の中では、それらの優先順位は高くありません。とくに退院した後は、専門知識を有する管理栄養士による指導が、積極的に行われていないのが現状です。私たちは、退院後に現役復帰していく人たちの前向きなチャレンジをサポートします。具体的には、普段の食事やメンタルといった、なかなか病院で相談できない部分について、専門家とのオンライン面談やデータ分析を用いたサービスを提供していきます。

日本で新たにがんになる人は毎年100万人規模で、その数は年々増加しています。本事業の想定顧客となる、退院後のサポートが必要な人も増え続けているのが現状です。初期には大学病院やがんセンターなどのアカデミアと連携したPoCにてPMFを実現し、加えて各種患者団体イベント、学会でのブースによるリアル展開とWebマーケティングによる顧客獲得を目指します。その後、法人を展開し、成長を加速させます。

※PoC:「Proof of Concept」の頭文字を取った言葉。新たなアイデアやコンセプトの実現可能性やそれによって得られる効果などについて検証すること。
※PMF:「Product Market Fit」の頭文字を取った言葉。顧客の課題を満足させる製品を提供し、それが適切な市場に受け入れられている状態のこと。

株式会社薬zaiko

代表者:海老沼 徹さん(東京校、2021年卒業)
概要:アレルギー患者の情報と薬の入手の非効率を解消することで、アレルギー患者にシームレスな医療体験を提供するオンライン薬局です。

株式会社薬zaikoは「医療との関わり方をもっと気軽に」というビジョンを掲げたオンライン薬局事業を営む会社です。私たちは、中でもアレルギー領域の課題解決を目指し、薬剤師をはじめ、アレルギーの原体験を持つメンバーで、患者の医療体験価値向上に取り組んでいます。

今のアレルギー患者には2つの課題があります。それは、さまざまな環境要因により適切な情報の入手が非効率になっていることと、薬局での待ち時間が長く薬の入手が非効率になっているということです。弊社のサービスである『アレル』では、自社のオウンドメディアで情報を届け、今後普及する電子処方箋と連携することにより、これらの課題を解決していきます。アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎の患者数は増加傾向であり、今後これらの需要は高まってくるものと予想されます。『アレル』はアレルギー業界をより効率的によいものにしていきます。

本事業は社会性が評価され、経済産業省主催の「始動Next Innovator 2021」でシリコンバレー選抜に選ばれ、Demo dayでは優秀賞を受賞しました。また、足立区の創業プランコンテストでは最優秀賞を受賞し、東京都主催の青山アクセラレーションプログラムにも採択されております。中でも私たちの強みはメンバー全員が重度のアレルギー体験があり、患者ファーストの組織理念が浸透していることです。今後も多くのアレルギー患者の力を借りて、スケールさせていきます。

最終選考8チームの飽くなき挑戦

今回、最終選考に進んだのは、「Ai-wine」「anmeets travel」「株式会社薬zaiko」「Dea Dora」「Back Cast」「Farmhand」「Vキック」「Lump.」の8チームです。

「Ai-wine」は、アナログで煩雑な仕入れから在庫管理、集客までの業務をワンストップで支援するサービスについてプレゼンしました。「anmeets travel」は、風景画像や旅動画を選択すると、その場所に行くための予約手配が全てお任せできるビジュアル直感型オンライン旅行サイトについて、「株式会社薬zaiko」は、アレルギー患者の情報と薬の入手の非効率を解消することで、アレルギー患者にシームレスな医療体験を提供するオンライン薬局について熱く語りました。

「Dea Dora」はがん経験者から取得する日々の記録によって個人データモデルを構築し、副作用ケアなどパーソナルサポートを行う事業についてプレゼンしました。「Back Cast」は、技術者の知見が整理されていない建設業界タスクをモジュール化し、建設業界の課題を解決するプラットフォームについて、「Farmhand」は、コンサルティング、アドミニストレーション、リクルート、教育というCAREサービスを通じて、農業分野における人材マネジメントソリューションについて語りました。

「Vキック」は、介護施設の入所に必要とされる、最低限の機能に絞ったシンプルで安価な身元保証サービスについて、「Lump.」はファッションブランドとショップの空きスペースをマッチングし、あらゆるお店にファッション販売空間を作り出すプラットフォームについてプレゼンしました。

日本全国・全世界から563名のグロービス生が参加しました。プレゼンターの志や熱意あふれるプレゼン、綿密に練られたビジネスプランや成長戦略に、全ての参加者が真剣に耳を傾けていました。また、審査員でもあるグロービス経営大学院の教員は、常に真摯な姿勢でプレゼンに向き合い「競争戦略や参入障壁をどのように築いていくのか」「データの活用方法など、事業の展望についてどう考えているのか」「事業者にサービスを導入してもらうためにどのような工夫を行うのか」といった実現可能性や事業の継続性について、鋭い質問などが飛び交いました。

8チームのプレゼンの後、グロービス経営大学院で「創造系」の科目を担当する教員・高原康次がグロービスの『創造の生態系』について説明しました。

起業家を取り巻く「創造の生態系」とは

グロービス経営大学院には、起業家を育てる「創造の生態系」が存在しています。今回集まったグロービス生たちにとって、「G-CHALLENGE」は最初の一歩にすぎません。この後には、2019年4月に開始したシードステージの企業を対象とするアクセラレーションプログラム「G-STARTUP」があります。将来的に日本を代表するベンチャー企業へ成長することが期待されるスタートアップを採択し、成功した起業家やベンチャー支援の専門家などによる講義を実施し、現役ベンチャー・キャピタリストによるメンターが伴走することでプロダクト開発・事業開発を支援しています。その次には「GLOBIS Alumni Growth Investment」(G-GROWTH)があります。累計1億円以上の調達実績を条件に、1社あたり最大1億円を出資するプログラムで、これまで8社への投資をすでに行っています。

VC事業で培った知見を活かした「起業」に直結する科目

「創造」系の科目では、起業や新規事業立ち上げを志す学生が、現場で直面する課題を具体的にイメージできるように、グロービスが有するベンチャーキャピタル部門(グロービス・キャピタル・パートナーズ)の投資先のベンチャー企業の経営経験をもとに作成したケースも織り交ぜながら議論していきます。グロービス・キャピタル・パートナーズは、1,200億円規模のファンドを運営し、200社超の企業に投資している国内最大規模の独立系ベンチャーキャピタル。ケースには、豊富な投資成功事例から得た知見を色濃く反映させています。実際にこれらの科目を通じて作成したビジネスプランをもとに多くの起業家が誕生しています。

<「創造」系科目>
ベンチャー・マネジメント
ベンチャー・キャピタル&ファイナンス
ベンチャー戦略プランニング

グロービス・アントレプレナーズ・クラブ(GEC)

グロービスには、起業家・起業をこれから目指す方を支援し、それぞれを結びつける組織として、グロービス経営大学院公認の「グロービス・アントレプレナーズ・クラブ(GEC)」というクラブ活動が存在します。「日本を代表する起業家を輩出し、相互支援を果たす」ことを目的とした、在校生・卒業生3,834名(2023年1月現在)が在籍するグロービス最大のクラブ活動です。起業に関する情報共有、人材のマッチング、起業家を招いた講演、新規ビジネスの相談の場として、知恵・経験・人脈の全国におよぶ起業家支援のプラットフォームの役割を果たしています。これまで、この活動を通じて、80名を超える方々が起業し、うち数社が数十億円レベルのベンチャー企業へ成長しています。

グロービス・アントレプレナーズ・クラブ(GEC)活動レポートはこちら
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審査発表

審査員

田久保 善彦
グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長

井上 陽介  
グロービス経営大学院 教員 グロービス創造ファカルティ・グループ リーダー

仮屋薗 聡一
グロービス経営大学院 教員(「ベンチャー・キャピタル&ファイナンス」等担当)
グロービス・キャピタル・パートナーズ 共同創業パートナー
一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会 名誉会長

山中 礼二
グロービス経営大学院 教員(「ベンチャー・キャピタル&ファイナンス」等担当)
KIBOW社会投資ファンド 代表パートナー

小早川 鈴加
グロービス経営大学院 教員(「ソーシャル・ベンチャー・マネジメント」等担当)
KIBOW社会投資 インベストメント・プロフェッショナル 

野呂 浩良
株式会社DIVE INTO CODE 代表取締役 CEO(特別審査員)

その後、審査員の議論を経て、審査員長のグロービス経営大学院 経営研究科 研究科長 田久保 善彦が大賞チームを発表、プレゼンターにエールを送りました。

「グロービス経営大学院の強みは何ですか」と聞かれたときに、私がいつもお答えしているのが「場を作る力」です。G-CHALLENGEもそのひとつの場だと思います。予選を含めて54チーム、200名以上の学生が、相当な時間とエネルギーを注ぎ込んでこの場を作っています。

そんな場を作った皆さんが共通して持っているのが、グロービスの教育理念でもある①能力開発②人的ネットワーク③志だと思います。能力開発をすることで見える景色が変わって、入学当初は考えていなかった起業などの新しいことにチャレンジする。人的ネットワークでチームを作って、切磋琢磨しながらビジネスプランを創り上げる。そして誰かひとりの志に心を動かされたり、議論の中でチームの志が生まれたり。このように皆さんが能力開発をして、ネットワークや仲間を作り、志を大切にすることで、創造と変革の種になっていくのだと思います。卒業した後も、ぜひこの場のエネルギーや熱量を次の学年につないでいってください。

大賞を獲得した3チームのみなさんに受賞後に心境を伺いました。

Ai-wine 古川さん
「自分の能力やキャリアに行き詰まりを感じて、グロービス経営大学院のクリティカルシンキングを単科で受けたのが2020年7月。当時はGチャレ出場も大賞も雲の上の存在でした。MBA本科生(大学院生)、24時間の起業ピッチGIP、メンターの伴走で半年かけて事業を練る研究プロジェクト、卒業生のネットワークあすか会議......。こうした様々な機会に勇気を少し出して足を伸ばした先に、2023年1月29日の舞台がありました。私一人の力は、わずかだと自覚しています。この2年半、一緒に学んできた仲間、視野を広げていただいた教員の皆さま、事業プランを練るにあたって支えてくださったお客さま。そして何よりもAi-wineの仲間たちに感謝しています。次の一歩に向けて頑張ります。ありがとうございます」

審査員の講評
多数のインタビューを経た顧客課題に対する解像度の高さは、私たちにとってのモデルになる。ビジネスプランには伸びしろがあるので、今後ビジネスプランをよりブラッシュアップして、商流を握るところまで持っていってほしい。

Dea Dora 牧原さん
「今回の受賞は全く想定していなかったので、名前を呼ばれて大変驚きました。このチームはベンチャー・キャピタル&ファイナンスの時に集まったメンバーです。そのときから今まで、ピボットを繰り返しながら一緒に事業プランを考えてきました。最後までメンターの方にも相談し、悩みました。メンバーはもちろん、多くの仲間に育ててもらった事業だと思います。本当にありがとうございました」

審査員の講評
すばらしかった。最高点をつけた審査員の数が一番多かった。取り組むテーマやチームの皆さんのそれぞれの強みが、稀有な組み合わせだった。プレゼン以上に質問への回答がよかった。プレゼンはもっとよくなると信じている。

株式会社薬zaiko 海老沼さん
「このような素敵な賞をいただけたことに感謝いたします。僕らのやりたいことはひとつです。後ろ向きなアレルギー患者さんを少しでも前向きにできたらと思います。この度はありがとうございました」

審査員の講評
アレルギー患者に向き合うだけでなく、コミュニティを形成し、ドクターにまでステークホルダーを広げていくというネットワーク形成に向けた実際の行動を高く評価した。また、この具体的な行動がプレゼンテーションの随所に感じられ、これからの事業の可能性を期待させた。一方で事業成長については、足立区のコミュニティからどうやって全国に広げられるのか、という課題がある。この点については次の成長に向けた事業課題として、チャレンジしていってもらいたい。

  • 最終選考チーム「Ai-wine」

    最終選考チーム「Ai-wine」

  • 最終選考チーム「Dea Dora」

    最終選考チーム「Dea Dora」

  • 最終選考チーム「株式会社薬zaiko」

    最終選考チーム「株式会社薬zaiko」

  • 最終選考審査風景

    最終選考審査風景

  • 最終選考会場風景

    最終選考会場風景