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投稿日:2025年09月19日
投稿日:2025年09月19日
【教員×学生 鼎談】人を動かし、組織を導く力をどう磨くか――「組織行動とリーダーシップ」で学ぶリーダーの本質
- 高田 翔さん
- 卒業生 東京校・2025年卒業
- 前田 陽佑さん
- 卒業生 東京校・2025年卒業
- 林 恭子
- グロービス経営大学院 教員
- 池田 桃香
- グロービス コンテンツオウンドメディアチーム
ビジネスの成果は、「人」と「組織」がどう動くかによって大きく左右されます。優れた戦略を描くだけではなく、それを現場で動かしていく“人の力”が求められます。だからこそ、「組織をどう動かすか」「人とどう協働するか」といった問いは、単にリーダーや管理職だけのものではありません。全てのビジネスパーソンにとって、重要なテーマだと言えるでしょう。
グロービス経営大学院の基本科目「組織行動とリーダーシップ」は、リーダーとしてどのように組織を動かすべきかを、多様なケース(企業事例)を通じて深く考える実践的なクラスです。リーダーシップのあり方、組織変革、エンパワーメント、イノベーションの推進などをテーマに、フレームワークを用いながら、議論と内省を繰り返していきます。
本記事では、グロービス経営大学院の教員と、実際に「組織行動とリーダーシップ」を受講された学生との鼎談インタビューを通して、受講したきっかけや、授業からの学びがこれからのビジネスにどのように活かされるのかを詳しくご紹介します。組織を動かす力を身に付けたい方、これから自分なりのリーダーシップを見つけたい方に、ぜひご覧いただきたい内容です。
ビジネスの本質は「人」にある
林:ビジネスに欠かせない経営資源には何があると思いますか?一般的には、「ヒト・モノ・カネ」、そして最近では「情報」も加えられるようになりました。今回ご紹介する「組織行動とリーダーシップ」は、その中でも最も重要な資源ともいえる「人」に焦点を当てた科目です。つまり、「人」という経営資源、最近は資本とも捉えられますが、を、どうすれば最大限に活かせるのかを考える授業です。
例えば、ある企業が素晴らしい経営戦略を立てたとします。でも、それだけで企業が成功を収められるでしょうか。きっとそう簡単にはいきませんよね。なぜなら、戦略を実行するのは「人」だからです。どれほど優れた戦略でも、組織の中で人が適切に動かなければ、実現されることはありません。だからこそ、ビジネスにおいては「人に影響を与え、効果的に動いてもらう力」が不可欠なのです。
この「組織行動とリーダーシップ」は、そうした視点を学ぶための科目として、世界中のビジネススクールで必修とされています。グロービスでも、学生の多くが早い段階でこの科目を受講しています。
クラスでは、個人の心の動きを理解するための心理学や、集団の行動パターンを紐解く社会学などをベースに、組織行動論のフレームワークを学びます。そして、それを活かして、有効なリーダーシップの発揮方法を探っていきます。
人を動かす力に、不安を感じている全ての人へ
林:どんな方におすすめの科目かというと、「人と一緒に働いている全ての方」です。
まず、すでに部下やチームを持っている方には、すぐに現場で使えるヒントがたくさんあります。これまで自己流でマネジメントをしてきたけれど、どうもうまくいかない。あるいは、「このやり方でよかったのかな」と不安を感じている。そういった方にとって、日々の問題意識を整理し、具体的な改善方法を見出すきっかけになるはずです。
一方で、リーダーシップというのは、役職や肩書きに関係なく発揮できるものでもあります。たとえチームを持っていなくても、まわりに働きかけて、より良い仕事をしたいと考えている方、組織を少しでも良くしていきたいと思っている方──そうした全ての方にとって、この科目で学ぶ理論やフレームワークはとても有効です。
「組織行動とリーダーシップ」を通して、ぜひご自身の仕事や働き方をグレードアップしていただけたら嬉しいです。
本を読むだけでは越えられない“現場の壁”
林:ここからは、お二人に実際に受講されたときのことを伺っていきたいと思います。受講を決めたとき、どんな課題や問題意識を持っていたのか、そしてどんな期待を抱いていたのかをお聞かせください。
前田さん:受講を決めたのは、ちょうど本社の企画部門に配属されたタイミングでした。会社全体を動かすような立場になったことで、それまで経験してこなかった課題に直面し、「組織をどう動かすか」というテーマを理論的に学びたいと思ったんです。
自己流で試行錯誤してきたり、本を読んで組織マネジメントについて学んだりはしていました。ただ、それを実務に落とし込もうとすると、どうも上手くいかない。「理論は分かるけれど、現場ではどう応用すればいいのか」が見えなかったんです。これは自分に足りない部分だと感じ、この科目を受講することにしました。
林:なるほど。本に書いてあることと、実際に使えることは別物ですよね。理論を知っているだけでは行動に移せない場面も多いですし、いざ人を動かそうとすると「どこから始めればいいのか」と立ち止まってしまう。まさにそういう経験をされていたということですね。
前田さん:理論としては「こうすればいい」と理解できても、具体的にどう応用すればいいのかが分からない。結局、行動に移せずに止まってしまうことが多かったんです。だからこそ、成功事例を知ったり、自分の仕事に当てはめて考えたりする機会がほしいと思っていました。
強いカリスマ性がなくても、チームは動かせるのか
高田さん:僕は、“人を動かす”ということにずっと苦手意識がありました。以前、営業組織でマネジメントをしていたのですが、周囲のマネージャーは強いカリスマ性で引っ張る典型的なリーダータイプが多かったんです。正直、僕はそういうタイプではなかったので、周囲とのスタイルの違いに戸惑いを感じていました。
その結果、上手くマネジメントできず、部下が離れてしまったという苦い経験もしました。そんなことがあって、「そもそもリーダーシップとは何なのか」を理論的に学んでみたいと思ったんです。シラバス※を見て、この科目ならリーダーシップを体系立てて学べると分かり、救いを求めるような気持ちで受講を決めました。
林:今のお話、本当に共感される方が多いと思います。考えてみれば、リーダーシップの発揮の仕方を学んでからリーダーになる人は、実際にはほとんどいませんよね。多くの方が現場で任されて、手探りで役割を果たす中で、「このままでいいのだろうか」と不安を抱えている。だからこそ、お二人のように問題意識を持って受講される方がとても多いんです。
先ほどもお伝えしましたが、組織行動論は心理学と社会学をベースにしています。組織全体をどう動かすかという視点もあれば、一人一人のメンバーとどう向き合うかという視点もある。その両方を学びの中で結びつけていくことが、この科目の大きな特徴だと思います。
※シラバス…学習要項のこと。主に科目概要/ねらい、各Dayの授業内容・課題指示などが記載されている。
目に見えない理念が、組織を変える力になる
林:この科目は全6回(Day1~Day6)で、扱うケースや学びのポイントも毎回異なります。ここからは、印象に残っている回について伺っていきたいと思います。
高田さん:特に印象に残っているのは、スターバックスのケースです。理念が人をどう動かし、業績にまで影響するのかを考える回でした。理念がしっかり浸透していれば成果につながるけれど、ブレてしまえば業績も落ちてしまう。そのリアルな事例が心に残りました。
理念って目に見えないものなので、普段の仕事でどう行動につながるのかイメージしにくいですよね。でもこのケースを通して、「理念はここまで人を動かすのか」と強く実感できました。
もうひとつ印象的だったのは、キリンビールのケース(※)です。変革のリーダーシップについて学ぶ回で、「過半数を味方につければ、オセロのように変革は一気に進む」という考え方を知りました。まず誰をどう巻き込むのか、その定量的なアプローチがとても新鮮で、今でも印象に残っています。
林:理念の力や変革を進めるための具体的なヒントなど、実務に直結する学びが多いですよね。組織を変えたいという問題意識を持つ方は本当に多いので、まさに役立つケースだったと思います。
※本記事の内容は受講当時のものであり、現在は科目改訂により別のケースを使用しています。
リーダーシップに「唯一絶対の正解」はない
前田さん:私にとって特に印象的だったのは、Day1のリーダーシップの議論と、Day4のユニリーバのケースです。
Day1では、「リーダーシップとは何か」をテーマに、クラスメイト全員でブレストのように意見を出し合いました。出てくる答えはどれも正解でありながら、唯一の正解は存在しない。リーダーシップにはいろんな形があることを再確認できました。
その上で、フレームワークを用いながら「目標に向かってどう部下を導き、支援していくか」を論理的に学べたのがとても面白かったです。
さらに印象的だったのは、リーダーシップは生まれつきの資質ではなく、後天的に身に付けられるものだと学んだことです。それを知って、「きちんと学べば自分も必ずリーダーシップを身に付けられる」と前向きな気持ちになれました。
林:リーダーシップを学ぶ科目ではありますが、経営を担う人材を育成するのが、グロービスの学校としての使命でもあります。だからこそ、経営とリーダーシップをどう結びつけるかという視点を持ちながら、初回から経営環境分析を含んだフレームワークを使って考えていきました。
また、リーダーシップには唯一絶対の形があるわけではなく、置かれた環境や状況に応じてどう発揮するかを選択するもの。その点も皆さんと一緒に学びましたね。
前田さん:自己流で「こういうリーダーが良いのではないか」と考えることはできますが、フレームワークを使って論理的に分析し、状況に応じて最適な行動を選択していく考え方はとても新鮮でした。ケースを読むだけでは気付けないことも、分析を通じて「こうすれば組織は動くんだ」と理解できました。
特にユニリーバのケースでは、グローバルに展開する大企業の変革を扱ったのですが、CEOの思いつきではなく、フレームワークに基づいて組織を動かしている。そのプロセスを知れたのは大きな学びでした。
林:なるほど。自信を持って意思決定や主張ができるようになったんですね。そうすると、プレゼンテーションや説明の場でも、以前よりうまく伝えられるようになったのではないですか?
前田さん:そうですね。フレームワークは構造的になっているので、実はプレゼンの組み立てにも近いんです。起点があって、筋道があって、ゴールがある。その流れを意識して考えるので、自然とプレゼンの内容にも活かせました。結果として、相手に納得感を与える説明につながったと思います。
林:それは嬉しい変化ですね。受講前に抱えていた課題を考えると、この学びを通じて自信を持ってメンバーと向き合えるようになったのは、とても大きなことだと思います。リーダーシップは生まれ持った資質だけでなく、後天的に伸ばしていける。そう実感されたのではないでしょうか。
高田さん:はい。もちろん、これで完璧なリーダーになれたわけではありません。ただ、「リーダーシップは磨いていけるものだ」と分かったことが、自信につながりました。実務でも、以前より前向きに取り組めるようになったと感じています。
林:ありがとうございます。お二人が学びを実務に活かして、自信を持ってリーダーシップを発揮されていることが伝わってきて、私もとても嬉しいです。
林:ありがとうございます。今日はお二人にたくさんのお話を伺いました。あらためて、人というのは「心を持った資源」ですよね。その心をどう理解し、どう働きかけ、組織として成果につなげていくか。それを学ぶのが、この「組織行動とリーダーシップ」という科目です。
ぜひ多くの方に受講していただき、ご自身の成長、そして組織の発展につなげていただきたいと思います。本日はありがとうございました。
編集後記
「組織をどう動かすか」「リーダーとしてどうあるべきか」。正解のない問いに、受講生のお二人が等身大で悩み、向き合い、少しずつ自分なりの答えを見つけていく姿がとても印象的でした。
この科目では、「リーダーシップとは何か」「どう人を巻き込み、組織を導くのか」といったテーマに対して、ケースを通じて深く考えていきます。その過程では「クリティカル・シンキング」で培った思考力を土台に、状況を構造的に捉え、フレームワークを活用しながら意思決定する力が求められます。ただ考えるだけでなく、現場で使える“実践知”として自分の中に落とし込んでいく。そんなプロセスが大きな学びになるのではないでしょうか。
そして何より、「人」や「組織」というテーマは、自分自身の経験と結びつきやすく、自然と“自分事”として捉えられるのも魅力です。だからこそ、得た気付きや視点が、日々の仕事やマネジメントに直結する実感が持てるのかもしれません。
注目したいのは、この学びが「管理職」や「リーダー」という肩書きの有無に関係なく活きてくるという点です。20〜30代の方にとっては、「自分がどんなリーダーになれるのか」を模索し始める時期。その過程で、自分らしいマネジメントスタイルを見つけたり、リーダーシップの多様性に気付いたりすることは、大きな意味を持つはずです。
これからリーダーとしての一歩を踏み出したい方や、マネジメントに悩む方にこそ、自信を持っておすすめしたい科目です。
▼「組織行動とリーダーシップ」の科目詳細はこちら
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※個別に質問できる時間もあります。
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学校説明
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大学院・単科生の概要や
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高田 翔さん
卒業生 東京校・2025年卒業
通信会社で商品企画を担当。5年後・10年後の市場や顧客ニーズを見据え、戦略立案から新商品の企画・開発までを手がけている。中長期視点での事業づくりを担いながら、業界の変化に対応した新たな価値提供に挑戦している。
前田 陽佑さん
卒業生 東京校・2025年卒業
銀行でキャリアをスタートし、営業店での顧客対応を経て、現在は本部の企画部門に所属。営業部門の戦略立案や組織設計、新商品の企画、お客様へのアプローチ戦略の検討などを担当している。現場と本部、両方の経験を活かし、組織全体の変革に取り組んでいる。
林 恭子
グロービス経営大学院 教員
筑波大学大学院ビジネス科学研究科博士課程前期 修了
筑波大学大学院人文社会ビジネス科学学術院 ビジネス科学研究群 経営学学位プログラム 博士後期課程 修了
学位:Ph.D(経営学)/ MBA
米系電子機器メーカーのモトローラで、半導体、携帯電話のB2B事業に携わった後、ボストン・コンサルティング・グループへ。HRマネジャーとしてプロフェッショナル・スタッフの採用、能力開発、リテンション・プログラム開発、ウィメンズ・イニシアチブ・コミッティ等、幅広く人材マネジメントを担当。グロービスではマネージングディレクターとして人事を含む管理部門全体を統括し、働きがいのある企業としての各賞の受賞へ。現在は、組織・人事研究グループのリーダーとして教育プログラム開発や、研究・執筆、リーダーシップ、ダイバーシティ、パワーと影響力、キャリア開発、パーパス経営等の領域を中心にグロービス経営大学院での講義、企業研修、講演などを多数務める。
イートアンドホールディングス、萩原電気ホールディングス、及びコーア商事ホールディングズ(何れもプライム上場)社外取締役。学校法人柳心学園 理事。公益財団法人首藤奨学財団 評議員。経済同友会会員。国際戦略経営研究学会 常任理事。組織学会、産業・組織心理学会、経営行動科学学会員。
池田 桃香
グロービス コンテンツオウンドメディアチーム

