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「答えを出すべき問い」は何か?ロジカルシンキングの基本を学ぶ<DAY3>

2019年05月09日

  • 思考
  • 実践的
岩越 祥晃 グロービス経営大学院教員/グロービス・マネジメント・スクール教員

最初に、前回触れたこの連載コラム最大のポイントについて改めて確認しておきたいと思います。


論理的に考えるとは、「問い」と「答え(=主張と根拠のセット)」を考えることでした。


論理的思考力を鍛えたいと思ったら、何かを考える際には、次の「3つの問い」を自分に投げかける癖をつけましょう。


・答えを出すべき「問い」は何か?(考える目的を明確にする)
・その「問い」に対して自分はどう答えるのか?(主張を明確にする)
・なぜその答えなのか?(根拠を明確にする)


この後も「ロジカル・シンキング」において外せないポイントをいくつかお伝えしていきますが、最優先で押さえておきたいのがこのポイントです。では、今回は「3つの問い」の1つめ、「答えを出すべき問いは何か?」について、触れてみたいと思います。

「答えを出すべき問い」を押さえる

以下は、とある会社での上司と部下の会話です。部長が中堅社員の菅沼さんに、自部署の新入社員について話をしているようです。


部長:新人の三好くん、最近元気ないね。ちょっと気になっているんだよね。


菅沼:そうですか?先週末に彼と飲みに行きましたが、そんな素振りはなかったですけどね。仕事の話なんか一切せずに、楽しそうに趣味のキャンプやサッカーの話ばっかりしてましたよ。


部長:そうか、それならいいんだが・・・。そろそろ入社して半年、仕事にも慣れてきて、大きなミスを犯しかねない時期だからな。入社1年目を無難に切り抜けられるのかは、うちの会社での今後のキャリアに影響するからね。


菅沼:私が見たところ、三好は慎重派だと思うのですが・・・。


部長:これまで山ほど新人を見てきた経験からいうと、そういった性格はあんまり関係ないな。ちなみに新人の気が緩むこの時期に、どんなアドバイスが有効だと思う?


菅沼:・・・。


部長:まぁ、それはさておき、三好くんは菅沼くんを慕っているみたいだから、しっかり面倒をみてやってくれよ。悩んでいるようなら折を見て、アドバイスをしてやってくれ。あと、とくに今週は三好くんをよく見ておいて欲しいんだ。週末に人事部と三好くんとの面談があるようだから、それまでに君の見解を報告してもらえるかな。


菅沼:はい、わかりました。


 

どこの会社にでもあるような会話ですが、ここで考えてもらいたいことがあります。菅沼さんは、この会話の中で仕事を進める上で致命的なミスを犯しています。いったい何がまずいのでしょうか。


菅沼さんはすぐに「はい」と答えていますが、週末に部長の期待に沿った報告がきちんとできそうでしょうか。菅沼さんの立場になって考えて欲しいのですが、部長が菅沼さんにお願いしたことはいったい何なのでしょうか。「問い」の形で言葉にするとしたら、どのような内容になるでしょうか。


2人の会話をあらためて眺めながら、部長から求められていそうなことを「問い」の形にしてみると、


「三好くんの元気がない原因は何か?」
「我が社で新人がキャリアップするには何が重要なのか?」
「三好くんが大きなミスをしないために必要なサポートは何か?」
「新人が入社半年程度の時期にミスを起こしてしまう原因は何か?」
「人事部との面談の前に部長に知らせておくべきことは何か?」


など、色々と考えられそうですね。さて、皆さんなら、どの「問い」に答えを出すでしょうか。


部長の話を素直に受け入れるなら、「三好くんの元気がない原因は何か?」について報告するだけでよいのかもしれません。しかし、部長は三好さんのことを話題にしながら、菅沼さんの育成能力や観察力を試しているようにも見えますし、もしかすると人事部から部内の育成方法についてなんらかの指摘を受けていて、その対応策を検討しているのかもしれません。


ここに上げた会話だけでは情報が限られているため、どのような背景があっての依頼なのかは推測になってしまいますが、ここで着目すべきことは菅沼さんが自ら会話をクローズし、部長の依頼をいとも簡単に受け入れてしまっていることです。


部長から求められていることを明確にしないまま対応を進めても、週末までの限られた時間で部長の期待に沿った適切な報告ができる可能性は低いでしょう。仮に、期待に沿う報告ができたとしても、それはたまたま運が良かっただけなのです。


今回の場合、菅沼さんは部長に上述したような複数の「問い」をぶつけ、どれに答えを出すべきなのかを確認する必要があったのです。もし部長が複数の「問い」を選んだ場合は、残された時間に限りがありますので、すかさず優先順位を部長に確認するべきなのです。


ビジネスにおいて何かを考える際に、真っ先にやるべきことは、答えを出すべき「問い」を押さえることです。何かを考える際のスタート地点は、常に「問い」なのです。そして、「問い」を押さえる際のポイントのひとつは、答えを出すべき「問い」を上長や同僚、取引先など、関係者としっかり認識合わせをして外さないことなのです。


次回(DAY4)も引き続き、「答えを出すべき問い」について考えたいと思います。


岩越 祥晃グロービス経営大学院教員/グロービス・マネジメント・スクール教員

担当科目は「クリティカル・シンキング」「ビジネス・プレゼンテーション」「ファシリテーション&ネゴシエーション」。同志社大学法学部政治学科卒業、関西学院大学大学院経営戦略研究科修了(MBA)。エンタテインメント関連企業を経て、グロービスに入社。現在は、グロービス経営大学院及びグロービス・マネジメント・スクールの教員及び教材の開発を担当するとともに、株式会社グロービスにてマーケティング業務のマネジャーも務めている。

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