PROFILE
2000年に理学療法士国家資格を取得し、介護施設や病院でリハビリ専門職に従事。リハビリ部門責任者として訪問リハビリの立ち上げやメンバーマネジメントを担当。その後はバックオフィス業務へと領域を広げ、現在は医療法人の経営企画室に所属しながら、病院と介護老人保健施設の事務長を兼務。現場経験を経営に活かしつつ、専門職育成や制度改定などセミナー講師としての活動を行っている。
※記事の内容はインタビュー当時のものです
積み重ねてきた経験の、“答え合わせ”がしたかった。
MBA取得を考え始めたきっかけや動機は何でしょうか?
私がMBAを意識し始めたのは、コロナ禍の真っ只中でした。医療・介護業界で働く中で、業界全体はもちろん、社会そのものが急速に変化していく様子を目の当たりにし、漠然とした不安を感じるようになりました。先行きが見えない日々の中で、自分自身の進むべき道に迷いが生じていました。
また、これまでのキャリアや培ってきたスキルに対する“答え合わせ”がしたいと思ったこともきっかけのひとつです。自分がこれまでマネジメント職として実践してきたことに対して、「果たしてこれでよかったのか」という問いをずっと抱えていました。誰かが正解を教えてくれるわけでもなく、確かめようのないまま自分の経験だけで走り続けてきたことに、不安を抱いていたのです。
この先もマネジメントを担っていく立場である以上、自分の判断が誤っていたことで、関わる人に不利益が生じるようなことはあってはならない。だからこそ、単なる経験の積み重ねではなく、体系的な知識と実践に基づいた学び直しが必要だと強く思うようになりました。
心理的安全性のある学びの場。
なぜグロービスのMBAを選択されたのでしょうか?
自分がこれまで医療・介護業界でやってきたことが、ほかの業界でも通用するのか。正直、自信がありませんでした。私たちの業界は、一般的なビジネスの現場とは文化や価値観が異なる部分も多く、「まわりについていけないのではないか」という不安がありました。
しかし、体験クラスや単科生制度などを通して、その不安はすぐに解消されました。グロービスには、学生一人一人の考えを尊重してくれる空気があり、間違ってもきちんと受け止めてもらえる心理的安全性があります。この安心感があったからこそ、「知らない」「分からない」と言えるようになり、「間違ってもいいからまずは発言してみよう」と思えるようになりました。
40歳を過ぎてからの挑戦に不安がなかったと言えば嘘になります。それでも、グロービスには年齢も業種も異なる多様な仲間がいて、互いに支え合いながら前に進んでいける。だからこそ、私はこの場を選んで本当によかったと心から思っています。
第一線で活躍する実務家から、「現場で使える力」を学べる。
グロービスで学ぶ魅力は何でしょうか?
グロービスの大きな魅力は、実務の第一線で活躍する教員陣から学べる点です。単に理論を学ぶだけでなく、「現場でどう使うのか」を徹底的に考えさせられる実践的な学びが特徴的です。
グロービスには、すでに社会人として一定の経験を積んできた学生たちが集まり、それぞれに課題意識や目的を持って学んでいます。だからこそグロービスの授業では、ケース(企業事例)を自分事として捉え、「自分ならどうするか」という視点が常に求められます。知識を受け取るだけでなく、自ら問いを立て、答えを導く。非常に実践的で、刺激的な学びの場だと思います。
また、学ぶ環境のあたたかさも印象的でした。教員や卒業生、事務局のサポートが行き届いており、誰かがつまずいても、自然と手を差し伸べる文化があります。それぞれが異なるバックグラウンドや目的を持ちながらも、「一緒に乗り越えよう」という一体感が常に感じられました。
事務局にはMBAを取得した方もいらっしゃるので、学生の苦労や悩みに対して深い理解と共感を持って接してくれることも、安心して学び続けられた理由のひとつです。
「問いを立てる力」が、マネジメントの質を向上させた。
卒業後、仕事に対する姿勢や進め方に関して何か変化はありましたか?
私はもともと変化に前向きなタイプでしたが、今は「なぜ変えるのか」「それによって何が得られるのか」といった根拠を持って変化を進められるようになりました。感覚に頼るのではなく、納得感のある意思決定ができるようになったと実感しています。
「今やっていることは何のためか」という視点を持ち、立ち止まって問い直すようになりました。以前から「このやり方で本当に正しいのか」「この仕事の目的は何か」と考えることはありましたが、そうした問いを曖昧にせず、しっかりと言語化し、考え抜くようになったのが大きな変化です。
また、「効率化」への考え方も変わりました。以前からツールや仕組みを取り入れて業務効率の改善に取り組んでいましたが、今は「なぜ効率化が必要なのか」「効率化によって何を生み出すのか」といった目的まで踏み込んで考えるようになりました。効率化の目的は単に時間を短縮することではなく、人にしかできないマネジメントやコミュニケーションの時間を確保すること。こうした目的思考で行動できるようになったのは、学びの大きな成果だと感じています。
変化を楽しむ力と、心の余裕。
グロービスのMBAで得たものを一言で表現すると何になりますか?
「変化を楽しむ力」と「心の余裕」、この2つが自分にとって最も大きな収穫だったと感じています。
「変化を楽しむ力」は、ケースメソッドや教員との対話、そして仲間たちとのディスカッションから育まれました。異業種の人たちが直面した困難や、それをどう乗り越えてきたのかを学ぶ中で、「こんなやり方もあるんだ」「そうすればよかったのか」と視野が広がっていきました。
以前の自分であれば、大きな困難に直面したとき、立ち止まっていたかもしれません。でも今は、頂上の見えない山を前にしても「どう乗り越えようか」と考え、「こうすれば登れるかもしれない」と自然と道筋が描けるようになりました。
その結果として、不安で立ち止まる時間が減り、「これもやってみよう」と新しい挑戦に踏み出せるようになりました。そして、こうした前向きな一歩を積み重ねることで、自然と「心の余裕」も生まれてきたと感じています。
今では、「次はこんなことに取り組んでみたい」と、新しい目標やチャレンジが浮かぶようになりました。挑戦がまた次の気付きや学びを生み、さらに成長につながる。そんなよい循環が、自分の中にできつつあることを実感しています。
つながりが、自分の「挑戦」を後押ししてくれた。
グロービスの人的ネットワークを通じて得たものは何ですか?
グロービスで得たつながりは、私にとって“挑戦の背中を押してくれる存在”でした。とくに印象に残っているのは、副業で取り組んでいる講師活動の幅が大きく広がったことです。
授業やセクション活動を通じて出会った方から、「自社の勉強会でスピーカーとして話してみませんか」とお声掛けいただき、実際に登壇する機会がありました。ちょうど業界の制度改定があった時期で、「その変化をどう乗り越えるか」というテーマで、生き残り戦略についてお話ししました。
実は、以前から「いつかやってみたい」と思っていた内容でしたが、なかなか一歩を踏み出せずにいた自分に、グロービスの仲間が背中を押してくれたのです。
この経験をきっかけに、今年もまた登壇のご依頼をいただくなど、新たな挑戦が続いています。今の自分の立場や課題意識に共感してくださった方が、信頼と期待を込めて声を掛けてくださったことは、大きな励みになりました。
また、グロービスの人的ネットワークの魅力は、「広がる」だけでなく「深まる」ことにもあります。グロービスには、真剣に学び合う仲間が集まっています。時には悩みながらも、互いに支え合い、刺激し合いながら前に進んでいく。その中で生まれたつながりだからこそ、「まずはこの人に相談してみよう」と思える関係性ができたのだと感じています。
「正論だけでは人や組織は動かない」という悩みを解消する学び。
受講した科目の中で特に印象に残っている科目は何ですか?
「パワーと影響力」です。学ぶ前は、「自分の主張をどう通すか」という強引なイメージを持っていたのですが、実際はまったく異なりました。むしろ、「あるべき姿にどう近づけていくか」という、本質的なリーダーシップの在り方を深く問う内容だったのです。
何よりも心に残っているのは、「正論だけでは人は動かない」という視点です。ほかの科目ではフレームワークやロジックを学び、いかに正しい判断を導くかに焦点が当たりますが、この科目では、「相手の立場に立つこと」「感情を理解すること」「関係性をどう築くか」といった、人を動かす“目に見えない力”の扱い方が問われました。
とくに「相手の靴を履く」という考え方、つまり、相手の状況や視点を自分のことのように理解しようとする姿勢は、実務において強く意識するようになりました。私が働く医療・介護業界はピラミッド型の組織構造で、制度や文化に根ざした壁も多く、事務方が新たな取り組みを進めるには、伝え方や立ち回りに大きな工夫が求められます。
この科目を通じて、自分の意見を通すために必要なのは「正しさ」ではなく、相手に届く形で伝えること。さらには、相手の力を借りながら、どうすれば理想の状態に近づけるかを戦略的に考える力だと学びました。また、変革の過程では避けられないコンフリクト(対立)についても、あらかじめ起こりうる衝突を想定し、自分の立場を見極めて動くという冷静な視点を得られたのも、大きな学びでした。
「もう一度学生として学び、楽しむ」経験ができる。
グロービスへの出願を考えている皆さんにメッセージをお願いします。
もし今、出願を迷っている方がいるなら、まずは一歩踏み出してみてください。私自身、入学前は不安や迷いがありましたが、今では心から「この決断をして本当によかった」と思っています。
これまで長い時間をかけても解決できなかった課題や、言語化できずに悩んでいたこと。その答えや糸口が、グロービスの学びの中でクリアになることが何度もありました。すぐに答えが出るわけではありませんが、「どう考えればよいか」という道筋が、自分の中で少しずつ見えるようになっていきます。
そんな経験を通じて、自分自身を俯瞰して見る力も養われ、結果として相手の視点にも立てるようになる。私はこのプロセスこそが、グロービスで得られる一番の価値だと思っています。
とくに、経営やマネジメントに関わる立場にある方、あるいは40代・50代でキャリアの次のステージを模索している方ほど、「いまさら学び直すのは…」と感じるかもしれません。私もそうでした。ですが、今の時代、過去の経験ややり方だけでは乗り越えられない局面が、これから必ず訪れます。そのとき、自信を持って意思決定をするためには、知識や経験に加えて、柔軟な思考と高い視座が必要です。
グロービスで過ごす2~3年は、確かに忙しく、決して楽ではありません。でもその先にある「仕事の質の向上」は、何ものにも代えがたい財産になります。年齢はまったく関係ありません。むしろ、豊富な経験を持つ方こそ、その学びを最大限に活かせる場です。
そして何より、「もう一度学生として学び、楽しむ」時間はとても貴重です。仕事では責任やプレッシャーに追われがちですが、グロービスではその立場を少し離れて、学びを純粋に楽しむことができます。私にとっても、そんな時間があったからこそ、自分自身と向き合い、次のステップに進む力が生まれたのだと思います。
体験クラス&説明会日程
受講をご検討中の方は「体験クラス&説明会」にお気軽にご参加ください。グロービスの授業内容や雰囲気を体感したことがきっかけで、一歩踏みだした在校生や卒業生がたくさんいます。実際に参加された方からは「グロービスの学びを疑似体験したことで、実務に活かせるイメージを掴めた」「授業の熱量や実践的な学びに刺激を受けた」といったコメントをいただいています。
また「体験クラス&説明会」では、忙しい社会人の皆さんが学び続けられる仕組み(各種制度や具体的なスケジュール)もご案内しています。各キャンパスでは、実際の授業で使う教材(ケースやテキスト、参考書)をお手元でご覧いただくことも可能です。パンフレットやWebサイトでは伝えきれないグロービスの魅力をご紹介します。

