PROFILE
法政大学経営学部卒。大学卒業後、地元岩手にUターンし、リゾートホテルの運営会社、岩手ホテル&リゾートに入社。6年間ホテル現場や営業の経験を積み、2010年に家業である志戸平温泉株式会社入社。婚礼部門、営業部門、マーケティング部門、総支配人を経て、2022年11月、代表取締役社長に就任。会社は1830年創業。
※記事の内容はインタビュー当時のものです
体系的に学ばなければ、複雑な経営課題に対応できない。
MBA取得を考え始めたきっかけや動機は何でしょうか?
家業である志戸平温泉が大きな転換期を迎え、「感覚や経験だけに頼るのではなく、理論に裏付けされた判断や施策を考えられるようになりたい」と強く思ったことがきっかけでした。
営業やマーケティングといった特定の領域を見ていた立場から、経営全体を見る立場に変わり、複雑に絡み合う経営課題を整理して解決する力が必要だと痛感したからです。経営に関する本を読んで学ぼうとしましたが、断片的な知識だけでは全体像を掴むのは難しく、適切な意思決定を行うには不十分だと感じていました。
また、社長就任はまだ決まっていない時期でしたが、「そのときを迎えて準備不足で悔やむことがないよう、今から経営者としての覚悟を持ちたい」という想いもありました。そこで「MBAなら経営全体を体系的に学び、実践に活かせるスキルを磨ける」と考え、挑戦を決意しました。
仙台キャンパスが、学びの可能性を広げてくれた。
なぜグロービスのMBAを選択されたのでしょうか?
ひとつは、アクセスのよさです。私は岩手に住んでいて、仙台キャンパスは通学可能な距離にありました。東京などの学校に通うのは現実的に難しい状況だったので、仙台にキャンパスがあるという点はとても魅力的でした。
もうひとつは、星野リゾートの星野佳路さんの影響です。当時、YouTubeで星野さんが出ている動画をよく見ており、その中で「グロービス」という名前を何度も耳にしました。そしてある日、仙台駅で堀学長の看板を目にしたとき、「これが星野さんが話していたグロービスなのか」と興味を抱いたのです。もともと経営を学びたいと考えていたこともあり、「グロービス=MBA」という認識がつながり、まずは体験クラスに参加してみようと決めたのです。
実際に体験クラスに参加してみると、参加者の多様なバックグラウンドや、実務に直結した授業内容にすっかり魅了されました。「ここなら、自分が求めている学びを得られる」と確信し、迷わず入学を決意しました。
「業界の常識」にとらわれない新しい発見の場。
グロービスで学ぶ魅力は何でしょうか?
豊富な実務経験を持つ教員の方々から学べることです。大学の先生のように理論中心で教えるのではなく、現場での実体験をもとに授業が進むので、「実際のビジネスではこのように応用できるのか」という具体的な気付きが得られます。理論と実務が結びついた学びは、非常にリアリティーがあり、日々の仕事にも直結する内容ばかりです。
また、多様なバックグラウンドを持つ学生と一緒に学べる環境も、グロービスならではの魅力です。これまで私は、自分の業界内だけで仕事をしてきたため、どうしても議論の視点が限定されていました。しかし、グロービスでは業界の枠を超えた議論が行われるので、まったく違う考え方に触れるたびに「こういう見方もあるのか」と新たな発見がありました。
とくに印象に残っているのは、自分の中にあった業界の常識や固定観念が、ほかの業界では当たり前でないことに気付かされた瞬間です。そうした気付きが、新しい視点や価値観を生むきっかけになり、私の考え方を大きく広げてくれました。
感覚や経験に頼らず、判断できるようになった。
卒業後、仕事に対する姿勢や進め方に関して何か変化はありましたか?
これまでは感覚や経験に頼って判断することが多かったのですが、今では物事をより論理的に、体系的に考える癖がつきました。例えば、実務で課題に直面したときには、その課題を分解し、解決すべき要素を整理してから対応するようになりました。グロービスで学んだフレームワークやケース(企業事例)を応用することで、状況を整理しやすくなり、より的確な判断ができるようになったと思います。
学びと実践を同時並行で進められたのもよかったです。授業で学んだことをすぐに試してみたり、実際の経営課題に直面したりしたときに、似たような状況のケースを思い出して解決策を見出せたりしました。例えば、戦略を変更する際は、業績が落ち込む時期があります。しかし、さまざまなケースを学んだことで、その落ち込みも想定内の課題として捉えられるようになりました。これは誰もが通る道なのだと理解できたことで、迷わずに戦略の方向性を定めることができます。切羽詰まった状況での学びだったからこそ、全てが自分事として深く身に付いたと感じています。
200年続く家業の歴史を振り返り、果たすべき役割が明確になった。
グロービスのMBAで得たものを一言で表現すると何になりますか?
「志」です。これまでは、自分の行動の根っこにある目的を明確に言葉にできていませんでした。自分が何のために生きるのか、そして何を成し遂げたいのか。グロービスでの学びを通して、その答えを見つけられたのは大きな収穫でした。
私にとって、志は仕事の指針であり、行動を支える基盤です。その中心にあるのが、会社を支える従業員たちの幸せを実現し、地域や社会に貢献したいという想いです。当社は事業再生の途上にありますが、これまで幾度も困難を乗り越える際に、従業員たちが大きな支えとなってきた歴史があります。祖父が残した記録にも、その姿が鮮明に描かれていました。
こうした背景から、従業員への恩返しを果たすことが、私にとって最も重要な使命のひとつになっています。従業員が「ここで働いていてよかった」と心から思える職場を作り、全員で力を合わせて企業を成長させていく。それによって地域社会にも貢献し、200年続いてきた会社の歴史を未来につないでいきたいと思います。
共通言語を持つ仲間との対話が、経営のアイデアを生む。
グロービスの人的ネットワークを通じて得たものは何ですか?
卒業後も仙台校の仲間とのつながりは深く、さまざまな場面で助けられています。
例えば、社長に就任する際、会社の理念と経営方針を明確にするために、同期入学の学生が壁打ち相手になってくれました。ひとりでは気付けなかった視点やアイデアをもらうことができ、非常に心強かったです。また、新しいビジョンを作るプロジェクトでは、同期が社内のプロジェクトチームに加わってくれています。ディスカッションを通じて、普段の視点では気付けないような新しいアイデアや発想が生まれるのは、大きな刺激となります。このような取り組みを仲間とともに進められるのは、グロービスで築いた信頼関係があってこそだと実感しています。
さらに、経営者という立場になると、社内では対等に意見交換できる相手が限られる中で、「ここが課題なのではないか」と率直に指摘してくれる仲間は、本当にありがたい存在です。同じ学びを共有しているからこそ、経営の共通言語を持ちながら意見を交わせるのも、大きな価値だと感じています。
地域に生きる自分を見つめ直すきっかけになった。
受講した科目の中で特に印象に残っている科目は何ですか?
「企業の理念と社会的価値」です。この授業を通じて、自分自身の価値観や行動の指針を深く掘り下げる機会を得ました。一つ一つのケースやディスカッションも重要でしたが、最も大きな学びは、それらを自分自身に落とし込み、自分のルーツを見つめ直す過程にありました。
授業の中で、私は祖父が書き残した自伝を読み返し、私たちの会社や地域の歴史を振り返る機会を得ました。そこから、過去の人々がどのように支え合いながら現在につながる道を築いてきたのかを知り、自分がその延長線上にいることを実感しました。このプロセスを通じて、「地域や会社を支えてくれた多くの人たちへの恩返し」という想いが、私の中で明確な志へと形作られました。
また、この授業では、自分にしかできない役割についても深く考えさせられました。外部から来たプロ経営者のように高度なスキルや経験を持つ人はたくさんいますが、地域の歴史やこれまで支えてくれた人々に対する責任を果たせるのは、自分自身しかいないと気付いたのです。それを自分の強みとしてどう活かすかを考えた結果、「まずはここで働く人たちを幸せにすること」を、自分の使命とすることができました。
学んでいなかったら、今の自分はいなかった。
グロービスへの出願を考えている皆さんにメッセージをお願いします。
MBAでの学びは、本当に人生を変えてくれるものです。グロービスでの新しい仲間との出会いや、多様な視点に触れるディスカッションを通じて、自分の固定観念から解放され、物事の見方が大きく広がりました。そして、「自分は何を目指して生きていくのか」という志をより明確にすることができました。もし学んでいなかったら、今の自分はなかっただろうと強く思います。
確かに、大変なこともあるかもしれません。しかし、振り返ったときに「あのとき一歩踏み出してよかった」と必ず思えると私は確信しています。もし「もっと成長したい」「新しいことに挑戦したい」と感じているなら、迷わずその気持ちを信じて一歩を踏み出してください。もっと可能性を広げていきたいという想いがあるなら、その一歩が人生を大きく変えるきっかけになります。
体験クラス&説明会日程
受講をご検討中の方は「体験クラス&説明会」にお気軽にご参加ください。グロービスの授業内容や雰囲気を体感したことがきっかけで、一歩踏みだした在校生や卒業生がたくさんいます。実際に参加された方からは「グロービスの学びを疑似体験したことで、実務に活かせるイメージを掴めた」「授業の熱量や実践的な学びに刺激を受けた」といったコメントをいただいています。
また「体験クラス&説明会」では、忙しい社会人の皆さんが学び続けられる仕組み(各種制度や具体的なスケジュール)もご案内しています。各キャンパスでは、実際の授業で使う教材(ケースやテキスト、参考書)をお手元でご覧いただくことも可能です。パンフレットやWebサイトでは伝えきれないグロービスの魅力をご紹介します。