PROFILE
高校卒業後、株式会社セントに入社。事務器やオフィス家具の営業に7年間従事。その後家業を手伝うため、株式会社武田の笹かまぼこに入社。一営業、営業部長を務め、現在は代表取締役社長として東日本大震災からの復旧復興を果たした。最近では、度重なる緊急事態宣言などで人流が止まってしまったコロナ禍を乗り越え、自社の本社工場への観光客誘致や笹かまぼこの販路拡大、地域とのコラボレーション活動(事業開発、商品開発)を促進・展開している。
※記事の内容はインタビュー当時のものです
被災した自社の基盤を固め、復旧復興を果たしたい。
MBA取得を考え始めたきっかけや動機は何でしょうか?
弊社が創業80年を目前に控えた2011年3月に東日本大震災が発生し、弊社も津波で被災しました。工場や店舗の中に津波が押し寄せ、機械や什器、商品は処分することになり、2代目である父親も亡くなりました。途方にくれたものの、何とか復旧し、3代目である長兄と三男の私で経営をしていくことになったのです。
その後、会社の基盤を固めるために経営を学ばねばらないと一念発起し、ある経営者団体に参加して、経営指針(経営理念、ビジョン、方針、戦略、部門計画など)を作ったのですが、そこである程度満足してしまっていました。
しかし、ときがたっても思うように計画は進まず、数字も上がらないと悩んでいたとき、その団体の勉強会で、グロービスの教員によるマーケティングの特別講座を受ける機会に恵まれたのです。そのとき、こんな視点や考え方があるのか、これを身に付けねば会社を危機に追い込んでしまうのではないかという危機感を覚えたのと同時に、東日本大震災からの復旧復興を果たしていくためにも必要なことだと強く感じ、すぐに受講の申し込みをしました。
悶々としていたときにグロービスと出会い、刺激を受けた。
なぜグロービスのMBAを選択されたのでしょうか?
被災後は、書籍を読みあさったり、経営を学ぶさまざまな機会に飛び込んだりしたのですが、中途半端な知識からロマン(理想)やそろばん(数字)だけに偏ったり、根性論に終始したり、周囲に一方的な考えを押しつけていました。こうして仕事を進めてもうまくいくはずはなく、悶々としていたときにグロービスと出会ったのです。
経営を学べるところがさほどない仙台において、経営を基礎から学べ、志を育み人間性を磨くことができ、幅広い人脈を構築することができる。ビジネスを成功させるうえで網羅すべきものを全て備えていたのは、グロービスだけでした。事務局スタッフの方の東北復興に対する熱意にも感化されました。
また、グロービスに通っていた知人の存在も大きいものでした。実際に授業を経験している人の話を聞き、学んだことを仕事に役立てイキイキとしている姿に刺激を受け、グロービスならその知人のように輝けるのではないかと考えたのです。
何かを発信すると人が集まり、解決に動き出せる。
グロービスで学ぶ魅力は何でしょうか?
魅力はたくさんありますが、大きくは3点です。まず1つ目は、教員も学生もみな、現在ビジネスに携わっている人ばかりなので、現在進行系の成功と失敗を通した経験を持ち合わせており、そうした人たちと職場を離れたリスクフリーな環境の中で活発なディスカッションができるという点です。また、授業で扱うケース(企業事例)で、さまざまなビジネスの進め方、成功や失敗を疑似体験でき、それを自社のビジネスにも当てはめて考えることで、成功の確率を高められるといったメリットがあります。
2つ目は、人とのつながりが広がり続ける点です。グロービスでは、「私はこんなことをしている、考えている」などと発信すると、それに共鳴して人が集まり、一緒に問題解決を図ったり活動を始めたりすることが多々あります。
3つ目は、自らの志や価値観を見つめ直せる科目がある点です。ひとりでは気付けない深層心理が、教員やクラスの仲間とのディスカッションを通して浮かび上がってきます。
ちなみに、グロービスでの学びを活かして商品開発を行ったところ、前身商品(改良前)に比べて売上が5倍に跳ね上がったり、グロービスの仲間と取り組んだプロジェクトに共感いただいた東北学院大学の学生さんとのコラボ商品の販売を始めたりと、今までになかった展開につながっています。
経営者としての覚悟を持って、粘り強く問題解決に取り組めるように。
卒業後、仕事に対する姿勢や進め方に関して何か変化はありましたか?
グロービスで学んできたことが自信となり、卒業後は経験したことのない新しい挑戦に怯むことなく取り組めるようになりました。また、必要なタイミングで過去の学びを振り返り、実務で実践することで、グロービスで得た知識やスキルを活かしながら成功確率を高められるようになっていると感じています。
グロービスでは、ケースを通じてあらゆる業界・会社の経営者としての意思決定を疑似体験できるので、経営者として持つべき心構えや倫理観を学ぶことができました。加えて、コロナ禍という大きな変化を経験したこともあり、経営者としての「覚悟」をより強く持つようになりました。グロービスで身に付けたスキルや思考の体力、そして経営者としての覚悟があるからこそ、粘り強く問題解決に取り組めるようになったのだと思います。
ビジネスを戦い抜くための「武器」を手に入れた。
グロービスのMBAで得たものを一言で表現すると何になりますか?
3つの「一生の宝」です。
1つ目が、ビジネスパーソンとして戦っていくための武器です。受講前は拠り所となる知識やスキルがなく、丸腰で戦いに挑んでいたため、当然勝率も低い状態でした。しかし、グロービスでこれまでにない考え方や視点を学び、しっかりとした武器を持てたことで、勝率を上げることができています。
2つ目が切磋琢磨し頑張り合える仲間、3つ目が人生をかけて成し遂げたい志です。自分の志実現に向けて一生懸命活動していると、その想いに共鳴してくれる仲間が集まってきてくれます。そうした仲間たちとさまざまなコラボレーションを生みだし、ひとりでは決して実現できない新しい価値創造や変革を成し遂げられるようになりました。そしてこのように仲間たちと活動する中で、さまざまな気付きや変化があり、小志(数ヶ月から数年の一定期間、人生をフルコミットする目標のこと)が、少しずつ大志に向かっていると感じます。
業界や会社の枠を超えた仲間とのコラボレーションが生まれた。
グロービスの人的ネットワークを通じて得たものは何ですか?
価値創造のコラボレーションです。ここでは、グロービスの仲間と一緒に取り組んだプロジェクトを3つ紹介したいと思います。
1つ目は、仙台駅ビルのテナントコンペに参加するためのプロジェクトです。マーケティングや商品開発など、学びを活かしながら毎週ミーティングをして、結果としてコンペを勝ち抜きテナントに入ることが決まりました。
2つ目は、笹かまぼこ自販機の開発プロジェクトです。コロナ禍で対面販売の機会が減少し、非対面・非接触の新しい販売スタイルが注目を集める中で、自動販売機で無人化・セルフ化事業などで活躍しているグロービスの仲間と「何か突破口を見いだせないか」と開発しました。地元のニュースにも取り上げられるなど、おかげさまで大変話題となり「物言わない販売員」として活躍しています。
3つ目は、白ワインに合う笹かま缶詰「canささ笹かまアヒージョ」の開発プロジェクトです。この商品を開発するきっかけは、東日本大震災の経験でした。当時、避難所で笹かまぼこを提供していましたが、日持ちがしないので非常食としての限界を感じていました。そこで常温で日持ちがする缶詰に着眼したのです。笹かまをそのまま缶詰にしようと試みたのですが、技術や品質の観点からなかなかうまくいかず頓挫。従来通りの発想では状況を打破できないと考え、何か違う需要を生みだせないかと考えるようになりました。
そんなときにワイン好きのグロービスの同期と「白ワインに合うものが作れないか」という話になり、ワイナリーを経営しているグロービスの仲間に相談したのです。その結果、アヒージョの開発を進めることになり、味の監修にも関わってもらえることに。さらに缶詰の加工は、東日本大震災で被災し、復興への想いを同じくする木の屋石巻水産様と提携し、3社の地域コラボ商品として完成しました。ストーリー性・シーンの創出・味わい・デザイン・プレゼン内容などの観点で高く評価され、2020年新東北みやげコンテストにて最優秀賞を受賞。さまざまなメディアにも取り上げていただき、大変話題の人気商品となりました。
自分の目で見て、耳で聴いて、肌で感じてみてください。
グロービスへの出願を考えている皆さんにメッセージをお願いします。
現状のままでは近い将来、限界に達してしまうだろうと感じている方――私もそうでした。だからこそ、あなたはこのページをご覧になっているのだと思います。ぜひグロービスの扉を開けてみてください。あなたが抱えている問題を可視化し、それを解決する方法を見つける場所がグロービスです。
グロービスでは体験クラスやさまざまなセミナーを開催していますし、1科目から受講できる「単科生制度」がありますので、自分の目で見て、耳で聴いて、肌で感じてみてください。必ず新しい気付きや刺激、仲間との出会いがあるはずです。それはあなたの将来にとって、素晴らしい財産となるでしょう。そこからさらに2、3年集中して学びを深め、よりよい経営者、あるいはビジネスパーソンになるため、よりよい会社を作るため、よりよい世界を創るために一緒に学びましょう。
体験クラス&説明会日程
受講をご検討中の方は「体験クラス&説明会」にお気軽にご参加ください。グロービスの授業内容や雰囲気を体感したことがきっかけで、一歩踏みだした在校生や卒業生がたくさんいます。実際に参加された方からは「グロービスの学びを疑似体験したことで、実務に活かせるイメージを掴めた」「授業の熱量や実践的な学びに刺激を受けた」といったコメントをいただいています。
また「体験クラス&説明会」では、忙しい社会人の皆さんが学び続けられる仕組み(各種制度や具体的なスケジュール)もご案内しています。各キャンパスでは、実際の授業で使う教材(ケースやテキスト、参考書)をお手元でご覧いただくことも可能です。パンフレットやWebサイトでは伝えきれないグロービスの魅力をご紹介します。