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  • ◆卒業後~MBAを終えて~

【卒業後~MBAを終えて~】実践的な学びと内省を通じて軸を見出し、キャリアチェンジを実現 ~事業開発×電力・エネルギー業界というキャリア~

桔梗さん.jpg【名前】桔梗 聡
【勤務先】株式会社Looop
【入学年】2015年


<自己紹介>
株式会社Looopコミュニティ代表取締役。再生可能エネルギーの最大普及を通じエネルギーフリー社会の実現を目指す株式会社Looopにて、再エネ投資ファンドの組成・運営を行う子会社の事業推進・経営管理に従事。新卒で入社した総合商社では10年間にわたり、LNG(液化天然ガス)プロジェクトの管理・オペレーション・事業開発、LNGトレーディング等に携わる。その後インフラ投資ファンドを経て、Looop参画後は海外ファンド事業の立ち上げ・運営、国内外の事業開発に従事。2020年10月より現職。2015年グロービス経営大学院入学、2017年卒業。

■キャリアの行き詰まりに対する危機感
現在私は、ベンチャー企業で再生可能エネルギー分野における投資事業の新規開発、海外ファンドの運営、事業会社の経営等に携わっています。思えばグロービス在学時は、大企業で化石燃料分野における既存プロジェクトのオペレーションに忙殺される日々でした。エネルギー業界や中東地域向けの投資という要素は共通していますが、卒業後の数年で随分と遠いところまで来たものだなと思います。

グロービスで学ぼうと思ったきっかけは、キャリアの行き詰まりや自分の能力開発における危機感でした。
新卒入社以来ずっと同じ案件を担当し、会社からは高い評価を受けていました。しかし、このままでは目の前の業務に対応するばかりで思考停止に陥り、年齢を重ねる毎にキャリアの幅が狭まっていくのではないか。既存案件のオペレーションで20代を終えようとする中、もともと志していた事業開発・組織経営のキャリアビジョンとの乖離が広がっていくのではないか。そんな懸念を抱いていました。
そのため、事業を創造し組織を動かしていくための基礎体力を養うこと、高い志と能力を持った社外の仲間との切磋琢磨によって自身を客観視すること、それらを通じ自分のキャリアの選択肢を広げることを目的として、グロービスへの入学を決意したのです。


時は流れ、グロービス卒業後に2回のキャリアチェンジを経て、現在は希望していた事業開発と組織経営に携わっています。小さな子会社で、イチから事業を創っていく段階ですが、社会に新しい価値を生み出すことができる機会をいただき、本当にありがたいことだと思っています。
ここまで紆余曲折あり、多くの失敗や挫折、迷いがありました。今も手探りの状況に変わりないですが、それでも自分が今、ある程度やりたいことを実現できているのは、グロービスの学びが大きな役割を果たしていると感じています。

■事業開発領域、ベンチャー企業へのキャリアシフトの原点
私のこれまでのキャリアの主軸は、「投資・事業開発」、「電力・エネルギー業界」、「海外(主に中東、アジア)」です。グロービスでの経験は、このうち最初の2軸の形成に寄与したと思っています。

まず一つ目のキャリア軸「投資・事業開発」についてですが、入学当時から「いずれ事業開発に携わりたい」という希望を持っていました。ただ当時は、既存事業のオペレーションしか経験しておらず、自分の適性や能力に自信を持てずにいました。隣の芝生が青く見えるだけで、本当に自分がやりたいことなのか確信が持てずにいたのだと思います。それが、グロービスのクラスを通じて事業創出の疑似体験ができたことで、自分の描くキャリアの方向性に確信を得ることができ、その後の挑戦につながったと感じています。

グロービスには、マーケティングファイナンス等MBAのコアとなる科目を終えた後に、展開科目として「創造」や「変革」をテーマとした科目群があります。ゼロから事業を「創造」することや、困難に直面した組織を「変革」することは経営で最も難しいテーマであり、ヒト・モノ・カネを構成するあらゆる要素を踏まえた総合格闘技として臨むことが求められる領域です。私はこの創造科目と変革科目の大半を履修しましたが、どの科目も非常にチャレンジングで充実した内容でした。基本科目群の学びを総動員して、より実践的な内容に挑む展開科目群は、他のMBAと一線を画すグロービスの大きな魅力のひとつだと私は思っています。

中でも、ベンチャーの事業計画をグループワークでイチから企画し作り込んでいくクラスは、とてもエキサイティングでした。そのクラスでは、最終回に各グループが作り上げたビジネスプランを発表し、どの事業に投資をしたいか審査員の評価を受けるのですが、私が参加したグループが最優秀プランとして選定されたのです。このグループワークの過程で、自分自身も一定の貢献を果たせたと感じられたことが、実際にその領域で挑戦していく際の自信につながっています。また、ベンチャー企業へのキャリアチェンジを真剣に検討するようになったのも、この時の経験があったからだと言えます。

加えて、私はファイナンス系の科目も重点的に履修したのですが、これまで仕事で直接関わることがなく苦手意識を持っていたファイナンス領域の基礎知識や考え方を学び、強い関心を持つことができたことが、商社からファンドへの転職に際しての後押しになったと思っています。

■理想とする社会の実現を、この業界から
二つ目のキャリア軸「電力・エネルギー業界」については、「企業家リーダーシップ」という科目において、自身の志を真剣に見つめ直した経験が土台となっています。

私がエネルギー業界に身を置いたのは必ずしも主体的な選択ではなく、総合商社の入社時配属によるものでした。それもあって、当時は「この業界に今後も情熱をもって関わっていきたいのか」に確信を持てずにいたのです。そんな中、クラスでネルソン・マンデラや松下幸之助といった偉大なロールモデルについて学びを深め、彼らが皆、自分の可能性を信じて目の前の機会に全力で取り組むことで大きな志を実現していったことを学びました。その上で自身の半生を振り返り、学生時代に途上国の現場を訪れた時から抱き続けてきた問題意識、すなわち、社会に存在する理不尽な不平等、選択の自由を得られない人々の存在に思い至ったのです。そして、「世界のすべての人々に、選択の自由が与えられる世界」をつくりたいという自身のビジョンに向かって、社会インフラである電力・エネルギー分野における持続可能なビジネスを通じて貢献できるのではないか、と思えるようになりました。

これまで携わってきた業界が、自分が問題意識を持つ社会課題に向けたひとつのアプローチになり得るという認識に至り、深い自己肯定感を得られたことは、その後のキャリア構築に大きな土台を与えてくれたと思います。実際に昨年から参画しているLooopは、「エネルギーフリー社会の実現」をビジョンとして掲げており、私の目指す社会像と一致したことが、転職を決断した決め手のひとつにもなっています。

また、慣れ親しんだ会社の中ではなく、そこから飛び出して多様なバックグラウンドを持ったグロービスの仲間と、多様な業界のケーススタディを通じて真剣に議論すること、つまり他流試合を重ねていくことで、未知の分野に対して抵抗感なく取り組んでいく姿勢を自然と持てるようになったことにも、大きな意義があったと思います。そこで得られた仲間の多くもまた、転職・起業・独立といったチャレンジを続けており、卒業後も多くの刺激を受けています。

■終わりに
キャリアの軸や志について色々と書いてきましたが、今まで私は決して計画的にキャリアを積み上げてきたわけではなく、失敗や挫折を繰り返しながら、偶然の出会いに助けられてきたと感じています。
ここで語ったことは、振り返って後付けで言える結果論に過ぎません。きっとこれからも、私の紆余曲折は続いていくと思います。

そんな手探りで行き当たりばったりの人生でも、ひとつ確かに言えること、それはグロービスでの経験が、道に迷った時の拠り所、立ち返るべき原点のひとつになっているということです。同時に、この先のキャリアを照らし出す、道標としての役割も果たしていると思っています。多くの人が、グロービスの学びを通じて、そのような人生の新しい原点や道標を見出し、飛躍していかれることを心から願っています。