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投稿日:2023年11月08日

投稿日:2023年11月08日

リユニオン2023~卒業生が集い、最新の経営知を学び互いの成長や志を確かめ合う~

11月5日(日)にグロービス経営大学院・東京校にて「リユニオン2023」が開催されました。東京・大阪・名古屋・仙台・福岡をはじめ、日本各地・海外からリアルまたはオンライン参加も含めて約400名の卒業生が参加。グロービスの最新の研究テーマやカリキュラムについて、教員からセッション形式で学びながら、卒業生同士で議論を交わし、互いの成長や志を確かめ合いました。

【リユニオン2023概要】
リユニオンは、グロービスの3つの教育理念である「能力開発」「志」「人的ネットワークの構築」に沿って、入学同期の仲間が5年に一度キャンパスに集い交流し、お互いの成長を確認し合い、在学時と同様にともに学ぶ場です。リユニオンでは、以下4つの場を提供しています。

  • 卒業後のグロービスの姿とテクノベート時代の世界No.1に向けた方向性について知る場
  • グロービスの最新の研究テーマやカリキュラムを教員からセッション形式で学ぶ場
  • ビジネスの第一線で活躍する卒業生同士が興味のあるテーマで議論をする場
  • お互いの旧交を温め、成長を確かめ合える交流の場

開会式

オープニング・副学長挨拶

スピーカー:田久保 善彦 グロービス経営大学院 副学長

「おかえりなさい!」という一言から始まった副学長 田久保の挨拶。リユニオンに参加する意義について、「思いきり楽しみながら新たな知見をアップデートしてほしい。そして能力開発・人的ネットワークの構築・自身の志について再確認してほしい」と卒業生に語りかけました。

第1部 全体会「グロービスの現在と未来」

スピーカー:君島 朋子 グロービス経営大学院 研究科長

グロービス経営大学院の前身である、グロービス・オリジナルMBAプログラムGDBA(Graduate Diploma in Business Administration)を開講した2003年の入学者は23名でした。

その後、2006年にグロービス経営大学院を開学し日本語MBAプログラムを、2009年には英語MBAプログラムを開講。東京、大阪、名古屋、仙台、福岡とキャンパスを拡大し、2015年にはオンラインMBAプログラムを開講。加えて、2017年4月に水戸、同年10月には横浜に特設キャンパスを開設し、2019年8月にはシンガポールにも拠点を構えました。2020年10月には横浜・特設キャンパスを移転し、常設化しました。

また、時代の変化に合わせて「テクノベート(テクノロジー×イノベーション)」領域を設け、順次科目を追加し、カリキュラムの改編を続けています。さらに卒業後も学び続けられる特別講座「アルムナイ・スクール」をスタートさせるなど、人生100年時代に卒業生の皆さんが成長し、互いに高め合い、つながり続けられるよう、常に学びの場を進化させ続けています。

2023年には1,000名以上の入学者を迎え、卒業生の総数は7,890名を超えました(日本語MBAプログラム)。学生のネットワークも、急速に拡大しており、アルムナイ・アワードの5人の受賞者をはじめとして、多くの卒業生が各界で活躍の場を広げています。今後は、オンラインクラスと通学クラスが融合した「ハイブリッド型MBA」として、より多くの人にグロービスの学びを提供できるよう努力を続けます。

研究科長の君島は、「今後も素晴らしい卒業生の皆さんとつながり続けられるよう、卒業生の皆さんへのサポート拡充も進めていきます。卒業後もアルムナイ・スクールやクラブ活動、あすか会議、互縁ネットなどの機会をさらに活用していってほしい」と語りました。

これからもグロービス経営大学院は、ビジネス環境の目まぐるしい変化に対応した「新時代のMBA」を常に模索し、卒業生が誇れる学校であり続けるべく進化を続けていきます。

第2部 全体会「メルカリ創業期から10年の軌跡と鹿島アントラーズでの新たな挑戦」

スピーカー:小泉 文明氏 株式会社メルカリ取締役会長 兼 鹿島アントラーズ・エフ・シー代表取締役社長
モデレーター:堀 義人 グロービス経営大学院 学長
 

急激な外部環境の変化により、ビジネスの在り方が変わり、ベンチャー企業も数多く生まれ、多様なチャレンジの機会が生まれています。起業経験をお持ちの小泉氏より、メルカリでの10年を振り返りながら、鹿島アントラーズで新たにチャレンジされている取り組みや、今考えていることなどをお伺いしました。セッションを通して、テクノベート時代のキャリアについて卒業生とともに考える時間となりました。

第3部 分科会

教員セッション-A 【創造】デジタルプラットフォームの栄枯盛衰

担当教員:高原 康次

本セッションでは、GAFAM、そしてメルカリやマネーフォワードといった日本を代表する近年の急成長企業が、スタートアップ時から採用するデジタルプラットフォームの構築手法と競争の勝ち抜き方について、事例を通じて理解を深めました。

1990年代、通信とコンピューティング技術の急速な発展を背景に、デジタルプラットフォームが生みだされました。マイクロソフトのOSを皮切りに、プラットフォーム同士の戦国時代とも呼べる激しい競争と栄枯盛衰がおこりました。プラットフォームを採用する企業は同業種で採用しない企業よりも営業利益率や時価総額が高いという調査もあります。

デジタルプラットフォームは、ネットワーク効果を通じたWinner-takes-allという勝者総取りをもたらし、新たな産業の礎となる強力な経営手法になりました。この手法を活用し社会に創造と変革をもたらすスタートアップが増えています。ユニコーンは1,000社を超え、さらには時価総額100億ドル超えのデカコーンも数十社登場しています。

一方で誤解も多く、デジタルプラットフォームの構築を試みて大量に投資をしたものの、失敗に終わったり、自社で構築したネットワークが時に重みとなり失敗したりした事例も数多くあります。 こうした数々の事例を通して、テクノベート時代の企業の勝敗を分かつデジタルプラットフォームについて、卒業生とともに考えました。

教員セッション-B 【思考】生成系AIの出現によって「クリティカル・シンキング」はどう変わるのか

担当教員:岡 重文

生成系AIの目覚ましい進化は誰もが知るところとなってきています。では、「クリティカル・シンキング」で学習してきた論理的な思考は、今後、不要になるのでしょうか。逆に新たな思考技術として身につけなければならないことはあるのでしょうか。

本セッションでは、 「クリティカル・シンキング」で扱ったテーマについて、生成系AIは何が得意で、何はまだ苦手なのか実際に実験を通して現時点でみえてきたことを紹介しました。同時に、生成系AIの思考傾向はどのようなものか、それを踏まえて、どんなテーマをどのように頼むとよいのか。さらに、我々がどんな役割を担っていけばよいのかを整理しました。

生成系AIという“新しい仲間”と上手く協創して、今まで以上の成果を出していくための思考法について、解像度高く考える時間となりました。

第4部 分科会

教員セッション-A【テクノベート】生成系AIの進化は「テクノベート・シンキング」の問題解決プロセスをいかに進化させるか?

担当教員:梶井 麻未、鈴木 健一

Amazon、Facebookに代表されるように、顧客に対して個別のニーズや状況に最適化された体験価値を提供することができるようになった21世紀デジタル社会において、ビジネスリーダーがデータとICTやAIを利用してビジネスの問題解決を行うために必要となる考え方やスキルを扱う科目が「テクノベート・シンキング」(2016年開講)です。

2023年、目覚ましい進化を遂げたChatGPTをはじめとする生成AIが「テクノベート・シンキング」で提唱する問題解決プロセス「ありたい姿(実現したいビジネス・サービス)を構想し、データやアルゴリズムを検討し、具体的なITサービス・アプリとして実装する」にどのような変化・進化をもたらすかを考えました。

本セッションでは、自然言語処理(大規模言語モデル等)を中心に生成AIの技術的トレンドや実用可能なツール活用事例についてもご紹介しながら、これからの問題解決プロセスの変化・進化について具体的に考察していきました。

生成AIの浸透を受けて、卒業生がそれぞれ向き合っているビジネスはこれからどのように変化していくか。そして、これからの時代のビジネスリーダーに求められる姿や具備すべき視点やスキル、組織の在り方などについて理解を深めました。

教員セッション-B【志】サステナビリティ経営を支えるDeep Purpose -SXを推進するリーダーたちの志

担当教員:竹内 秀太郎

近年の企業経営においてサステナビリティへの関心が高まっていますが、その取り組みの実態には企業ごとに濃淡があります。企業組織内でも、投資家からの圧力に晒される経営層と学校教育でSDGsを学んできた若手層に比べ、現場最前線でビジネスを牽引しているミドル層の感度が相対的に低いとされています。組織が一枚岩になって一貫した取り組みを実現できている例は必ずしも多くはありません。

長期的観点から経済的価値と社会的価値の両立を目指す「サステナビリティ経営」。その実現に向けて組織を変革する「SX:Sustainability Transformation」の推進力の根源はどこにあるのでしょうか。SXの旗振り役の本気度はどのようにして高まるのでしょうか。

本セッションでは、ランジェイ・グラティHBS教授の「Deep Purpose」の概念を援用し、複数の日本企業の事例を紹介しながら、SXを推進するリーダーたちの「志」を掘り下げていきました。

第5部 分科会

教員セッション-A【モノ】テクノベート in マーケティング ~All デジタル時代のマーケティングを考える

担当教員:嶋田 毅、花崎 徳之

近年、デジタル施策をマーケティング活動に組み込む動きも多岐にわたり、機械学習や生成AI、ロボティクスなどの新たなテクノロジーを活かしたマーケティングのやり方やマーケターの仕事そのものを変革する企業も現れています。

本セッションでは、マーケティングにおけるテクノベートの概要や実現に向けたカギなど、マーケティング5.0といわれる時代における新たなマーケティング活動について考えました。単なるデジタルテクノロジーの活用に留まらず、広く顧客体験設計においてヒューマンタッチとテックタッチをどう組み込んでいるかといったことを見ていきました。

国内外の数々の事例を交え、マーケティングをテクノベートするためのカギについて卒業生と一緒に考えていく機会となりました。

教員セッション-B【ヒト】テクノベート時代に組織のウェルビーイングを高める

担当教員:若杉 忠弘

今、ウェルビーイングが注目を集めています。幸せな社員は、生産性が1.3倍、創造性が3倍と言われ、ウェルビーイングは社員と組織の双方にメリットをもたらします。

しかし、急速に職場に浸透し始めているAI・ロボットが、社員のウェルビーイングを低下させている事実はあまり知られていません。AI・ロボットに仕事が取って代わられると、自己肯定感が下がり、人間関係も希薄となり、心身の健康を損なうのです。

本セッションでは、最新の認知科学や心理学、そして企業事例をもとに、 組織のウェルビーイングを考える基本フレームワークを提示した上で、AI・ロボットがウェルビーイングに与える負の影響を理解し、ウェルビーイングを高めるソリューションについて考えました。

教員セッション-C【カネ】新時代のビジネスモデルのバリュエーション

担当教員:廣瀬 聡

グローバルに目を向けると、(Generative)AI、デジタルプラットフォーム、IPビジネス(エンタメ)など、デジタル/テクノロジーの進化の中で、新たなビジネスモデルを構築し、指数関数的な成長(期待)とそこからの破格のバリュエーションを実現している企業が生まれています。例えば、Apple、Amazon、NVIDIA、Tesla、HYBEなどが挙げられます。一方で、多くの日本企業においては、この流れに乗り切れていない現実があります。

破格のバリュエーションを実現しているグローバル企業と日本企業との比較を通じて、日本企業は何故この波に乗ることができないのか、本質的な課題は何か、波に乗れている企業との違いはどこにあるかを学びました。さらに、自分たちは何に取り組んでいくべきかについてファイナンス理論の視点も加味しながら考察する時間となりました。

第6部 全体会「学長セッション」

人生企画力〜堀学長の人生から紐解く、幸せでクリエイティブな生き方とは〜

スピーカー:堀 義人 グロービス経営大学院 学長 
卒業生モデレーター:藤井 寛達さん(名古屋校・2011年卒業)、住田 裕子さん(名古屋校・2016年卒業)

最後の全体会は、卒業生モデレーターの藤井 寛達さん(名古屋校・2011年卒業)と住田 裕子さん(名古屋校・2016年卒業)が、ライブアンケートで集めた質問を学長の堀に投げかける「学長セッション」です。学長の堀と卒業生は、実行力をテーマに、志・知・ネットワークに関するさまざまな意見交換を行いました。多くの質問が寄せられ、学長の堀はそれらにひとつずつ経営者としての意見を述べていきました。

「これまでの人生を振り返って幸せですか」という質問に対して、「自分にとっての幸せの定義は、やりたいことができている状態。よい仲間と成長できて、社会に貢献できている実感やフェアな報酬が得られる環境がよい仕事なのではないか。そして自分のミッションが明確であれば、困難を乗り越えるプロセスも楽しめると思う」と語りました。

「使命感や危機感を自分事化するにはどうすればよいか」という質問に対して、「能力があって社会的に恵まれた立場にいるのであれば、コミュニティや周囲に貢献しようという考えを持つ。その中でもとくに、人がやらないこと・できないことに注力をすることが重要」と述べました。

「これまでの経験の中で不安とどのように向き合ってきたのか」という質問に対して、「不安を感じるというのは、健全な状態である証拠。不安や恐怖は自分を守ってくれる感情なので、自分の気持ちに素直でいることは大事。ただ、そのままだと前に進めないので、『なぜ不安を感じているのか』と思考のプロセスに置き換えて原因や解決策を考える」と伝えました。

最後に堀は、「挑戦することで、自分に足りない能力が分かるようになる。試練がなければ成長はない。学んできた知識と培ったネットワークを最大限に活かして、楽しみながら挑戦して『創造と変革の志士』としてより高みを目指してほしい」とエールを送りました。

閉会式

クロージング挨拶

午前10時から始まったリユニオンもいよいよ閉会。閉会式の始めの挨拶では、リユニオンの実行委員長の松岡 弘樹さん(東京校・2016年卒業) が、今回イベントを支えてくれたリユニオン委員のメンバー全員とともに登壇。

「5年間の歩みを振り返ると、悩んだり苦労したりしてそれぞれの時間を過ごしてきたのではないでしょうか。今日この場に集まった皆さんのうれしそうな表情を見て、このリユニオンが5年に一度行われることが、私たち卒業生にとって尊いことだと改めて感じました。また5年先に、皆さんとお会いできることを楽しみにしています」と挨拶をした。

続けて、グロービス経営大学院 研究科長の君島が「今年は東京校・オンライン合計で約400名の卒業生が集まり、過去最大の規模で開催することができました。本日のセッションや旧友との再会を通して、どのようなことが心に残っているかぜひ胸に問い掛けてみてください。そして学びや思い出、仲間など、在学中と本日のリユニオンでたくさんの再結合が起こっていたらうれしいです。グロービスはいつまでも皆さんの母校なので、リユニオンに限らず、いつでも帰ってきてくださいね」と締めくくりました。

5年後の再会に向けた更なる挑戦を誓い合う

最新の学びと仲間のエネルギーに触れ、さらなる「創造と変革」 の挑戦へとつながる場

  • オンラインと会場を結び再会

    オンラインと会場を結び再会

  • 当日交流会の様子

    当日交流会の様子

  • 幹事の皆様の挨拶

    幹事の皆様の挨拶

  • 当日の会場風景(“5年後の誓い”を書く卒業生)

    当日の会場風景(“5年後の誓い”を書く卒業生)

  • 集合写真

    集合写真

5年ぶりに集まった卒業生たちは、久々に顔を合わせた仲間たちと近況を伝え合い、経営の最新知を得て、互いの「志」を確かめ合いました。リユニオンをきっかけに、卒業生たちは5年後の再会に向けて今日からまた新たな「創造と変革の道」へと進んでいきます。

グロービス卒業後も続く交流と学びの仕組み

グロービスSNS(オンラインコミュニティ)

在学時期や居住地を超えて、全在校生・卒業生がオンライン上でつながる機会を提供するビジネス・プラットフォーム「互援コミュニティ」。気軽に情報交換や質問・相談ができるこのオンラインコミュニティは、 日本国内だけでなく海外にも広がっています。卒業後も互いのビジネスやキャリアをサポートする仕組みが用意されています。

投稿・活用例

○○業界の最新動向について情報交換したい。
自社でエンジニアを募集しているので紹介して欲しい。
開発した新サービスを応援 / シェアして欲しい。
シンガポール転勤が決まったので、現地ネットワークと繋いで欲しい。
キャリアチェンジを希望しているので、業界の内情を教えて欲しい。
起業の準備中で法律や資金調達のアドバイスが欲しい。

機能紹介

コミュニティ機能

コミュニティ機能

クラブ活動、出身毎などのコミュニティ。在校生・卒業生は、クラス以外にも、個人の関心に合わせて、多数のコミュニティに所属。ゆるめの募集や依頼、携わった新製品や新サービスのリリース案内など、グロービスの仲間への呼びかけに利用されたり、日々日々の気づきの共有など、オンラインでも活発な交流が生まれています。

学生検索

学生検索

10,000名を超える在校生・卒業生を検索しコンタクトを取ることが可能です。起業の相談や事業開発のためのインタビューなどで活用されています。実際に、学生検索を通じて知り合った仲間と新しいビジネスを創出されたり、グロービスの人的ネットワークによって新たな人生を切り拓いた方も多くいらっしゃいます。

卒業生向け特別講座(アルムナイ・スクール)

卒業生に対象を限定した特別講座(アルムナイ・スクール)を開講しています。先行き不透明な変化の時代を先導するリーダーには、一生涯、学び続けることが求められます。卒業生に限られた質の高い学習環境で、同窓と真剣な議論を交わしながら、経営知にとどまらない幅広い能力や人間力を磨き続けます。

講座例:「AIビジネスリテラシー」
野呂 浩良氏(株式会社DIVE INTO CODE 代表取締役)

講座例:「中国古典に学ぶリーダー哲学」
守屋 淳氏(作家)

講座例:「経営層のための税務戦略」
谷 保廣氏(公認会計士、税理士、証券アナリスト)

講座例:「リーダーのためのデザインリテラシー」
稲葉 裕美氏 (株式会社OFFICE HALO代表取締役)

講座例:「リーダーのための実践的会社法」
藤本 欣伸氏(西村あさひ法律事務所シニアパートナー)

講座例:「DX時代の新経営戦略」
吉田 素文氏(グロービス経営大学院教員)

講座例:「マネジメントに役立てるリベラルアーツ基礎」
市瀬 博基氏(デジタルハリウッド大学 客員准教授、東京外国語大学 非常勤講師)