名古屋校

名古屋校学生ブログ

  • ◆卒業後~MBAを終えて~

【卒業後~MBAを終えて~】30代自動車エンジニアがグロービスで得られたものとは?

市川さん写真 (1).png

【名前】市川 拓也

【勤務先】トヨタ車体株式会社

【入学年】2019年


<自己紹介>

中央大学大学院修了後、2013年にトヨタ車体株式会社に入社。2015年からは親会社であるトヨタ自動車に出向し、SUV、ピックアップトラック等のラダーフレーム開発を企画初期から担当。2020年の帰任後、新型ミニバン、MPVのシャシー設計を担当。現在は、乗用・商用バンの将来構想を考えるタスクフォースのメンバーを拝命。経営陣と将来の商品ラインナップについて検討している。202111月から社内公募により商品・事業企画部へ異動予定。2019年グロービス経営大学院に入学。2021年修了。

■「エンジニアは技術力だけでは戦えない」と思ったできごとがMBA取得のきっかけに

自動車エンジニアとしてキャリアをスタートさせた私にとって、入社3年目から出向した親会社でのできごとがすべての始まりでした。当時は慣れない業務に苦労しながらも、自社の領域拡大という目的を達成するために、やりがいを感じながら仕事をしていました。そんなある日、利益を確保するため上層部から今まででは考えられないような案が提示されました。エンジニアとして難題に立ち向かう気概を持った一方で、「これは本当にお客様が求めているクルマになるのか?」「気づかぬうちに『お客様目線』よりも『会社利益目線』になっているのではないか?」という疑問を抱きました。しかし、その疑問を晴らすために問題提起をしたくても能力も自信もなく、モヤモヤを抱えたまま、出向して3年の月日が経とうとしていました。

「仕事は一通り覚えた。でもこれからは技術力だけでは戦えない。お客様にモノやサービスを届けるエンジニアだからこそ、経営を知る必要があるはずだ。自分にとって、第二の強みを作りたい。」年末の実家のベッドで、ふと頭の中をよぎったのがMBAというキーワードでした。

MBAで何が学べるのかもあまり理解していない中、ちょうど会社の近くでグロービスの「体験クラス&説明会」が開催されることを知り、思い切って足を運んでみました。

グロービスではディスカッション形式の授業が特徴のため、当日もディスカッションを中心に体験しました。最初は不安に感じましたが、会社や年齢に捕らわれることなく、1つのテーマについてフラットに議論できることが、こんなに有意義で楽しいものなのかと鳥肌が立ちました。

「試しに1科目から始めてみよう。何事もチャレンジ!」そんな思いから単科生として学び始めることを決意しました。

単科生で最初に学んだ「クリティカル・シンキング」では、答えを出さなければならない問い(イシュー)に対して、主張と根拠を漏れなく構造的に整理する思考法を学びました。これは今の仕事でも活かされている学びの1つで、社内での資料作成や業務報告の仕方など、アウトプットの質が格段に向上しました。また、勉強会ではお互いの意見をぶつけることで、授業内容の理解度が深まると共に、意欲が高い仲間と一緒に成長できることに楽しさや喜びを感じていました。「この場所なら続けられる。2年後には経営を語れるくらい成長してみせる。」そう決意し、本科生への入試にチャレンジしました。

テクノベート科目が、自社が持つ課題に気づかせてくれた

本科入学後は、「ヒト・モノ・カネ」の基礎を網羅的に学んだ後、モノづくりの業界にいることもあり、テクノベート(進化したテクノロジー時代における新たな経営の在り方)の科目を重点的に学びました。

テクノベート・ストラテジー」では、情報社会における企業と顧客の関係性の変化と、それに伴い産業構造が大きく変化することを学びました。コスト優位性、差別化、バリューチェーンという既存の競争優位性ではなく、これからは「顧客体験価値」を考え、その価値を実現させるために、自社や業界を超えて戦略を立てる必要があるということでした。「今までのものより良いものを作れば売れる」では生き残れない。過去の成功体験からの脱却が急務であることに気が付きました。

また、「デザイン思考と体験価値」では、先に述べた顧客体験価値を具体的に考え、商品やサービスを幅広く考える手法を学びました。特に自社の場合は、親会社からの委託業務が主軸であるため、業務を改善する力には長けている一方、お客様が本当に望まれていることは何かを会社の事業にとらわれずに発想する力、それを踏まえて自社で必要とされることは何かを考える当事者意識が不足していることに気が付きました。

そこで、「自社が抱えている課題を少しでも解決していきたい。」と思い、学んだ手法を用いて新たな商品・サービスを考える活動を自部署のメンバーで実施することにしました。正直最初は苦労しました。今までずっと業務改善を叩きこまれてきたメンバーに対して、いきなり新しいことを発想してもらうことは簡単なことではありません。悩んだときに思い出したのが「組織行動とリーダーシップ」で学んだジョン・コッターの8段階のプロセスでした。1段階目に危機意識を高めることから始め、ビジョンを周知させてメンバーの自発を促す。まずは外部環境をメンバーで共有して危機意識を高めることから始めました。共有する際も、なぜ他社はそのような戦略を取るのか、自社がやったときの背反は何か、などの学びを入れながら理解度を深める工夫も行いました。すると、「自社が提供しなければならない商品・サービス」を考え、自部署がやらなければならないことを主体的に考えるメンバーが少しずつですが増えてきました。これは、自社の変革において大きな一歩であると実感したと同時に、MBAの学びで会社に貢献できたという喜びも感じました。

このような活動がきっかけとなり、最近では、将来の会社の商品・サービスを考えるタスクフォースのメンバーにアサインされ、経営陣と一緒に会社の将来について議論しています。少しずつですが、グロービスの学びをアウトプットすることで活動の幅が広がり、結果として自信にもつながっています。

■グロービスの「人的ネットワーク」が、想像もできなかった自分へと成長させてくれた

能力開発はもちろんですが、私がグロービスに入学してよかったと感じる最大の理由は、一生涯共に学んでいける仲間との「人的ネットワーク」を得られたことだと思っています。

「折角グロービスに入学したから、全拠点の学生とつながってみたい。」そんな思いから2年次に参加した「あすか会議」の学生企画委員では、オペレーションリーダーを担当しました。コロナの影響により、グロービス初の大規模オンラインカンファレンス化となりましたが、リーダーとして必ずやり切るという強い思いを持って、仲間と共に一からオペレーションを考えました。結果、当日は大成功を収めることができました。この数ヶ月間学んだことをアウトプットする場になったことはもちろんですが、1つのものを一緒に作り上げた仲間は、私の誇りであり、一生涯付き合える「家族のような信頼関係」が築けたと感じています。今でもその仲間とは連絡を取り合い、お互いに刺激をもらっています。

また、このつながりから仲間に誘われて「研究プロジェクト」にも参加しました。テーマはまさに「人的ネットワーク」。現代のビジネスパーソンにおける「人的ネットワーク」の大切さについて、700名以上のアンケートやインタビューから、体系化することができました。現在は、ビジネス書の出版を目指し、講師や仲間と共に執筆活動を続けています。更に、そのつながりで日本の製造業を盛り上げることを目的としたクラブを仲間と一緒に立ち上げました。現在では1000名以上の会員に向けて、ワークショップや講演会などのイベントを企画しています。「研究プロジェクト」も「クラブ活動」も入学当時の自分では想像すらできていなかったことですが、グロービスの「人的ネットワーク」のおかげで、卒業後も活動が続くほどの充実した学生生活となりました。

■最後に

仕事でのモヤモヤがきっかけとなり、「技術と経営の両方に強みを持って会社に貢献したい」という志で始めたグロービスは、私自身の人生にとって大きな変化点となりました。授業で身に付けた能力で仕事の幅が広がっただけではなく、グロービスの仲間と共に、日本の製造業全体を考えるほど視座が上ったと思います。

グロービスは、能力開発はもちろんのこと、自分自身のの実現に向けて一緒に成長してくれる仲間と出会えるプラットフォームだと思っています。授業料は決して安くはありませんが、自分自身の行動次第で、何倍も何十倍も多くのことを得られます。あと必要なものは、チャレンジするためのちょっとした勇気だけです。私みたいに、グロービスで「人生を変える経験」をしてみませんか?