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【卒業後~MBAを終えて~】大企業のエンジニアだった私が、グロービスを経て、なぜ社会起業家になれたのか

下村さんブログ写真.jpg【名前】下村 明司
【勤務先】株式会社 Magic Shields
【入学年】2017年

<自己紹介>
株式会社 Magic Shields Founder & CEO。
大学卒業後、ヤマハ発動機に入社。14年にわたりバイクの設計・開発やデザイン部門での新規事業開発、また発明活動などを行う。その後、世界から事故や暴力を無くすことを志し、2019年株式会社Magic Shieldsを創業。現在、高齢者の転倒による骨折を無くすため、転んだときだけ柔らかい床「ころやわ」の開発・販売を行う。2017年グロービス経営大学院入学、2019年卒業。

■エンジニアだった私が、なぜグロービスで学んだのか?
私は元々ロボットや乗り物が好きで、ロボットの修士を卒業後、ヤマハ発動機に入社し、レース用のバイクの設計・開発を行いました。プライベートでもレース活動を行っていましたが、ある時親友をレースの事故で失いました。それをきっかけに「事故や暴力から人を守ること」をコンセプトにし、様々な発明活動を行いました。例えば、テロや銃乱射事件から身を守れる持ち運べる盾、交通事故を防げるプロジェクションマッピングを用いた乗り物などです。当時の自分としては課題も解決策も良いと思っていましたが、材料費が高額でそのお金が回らず、広く社会に届けることが出来ませんでした。
明らかに困っている人たちがいるのに、それを放っておいていいのか?どうしたら届けられるか?と悩みました。そして、社会課題を解決するには、技術だけではなくビジネス構築能力の必要性を痛感したのです。

MBAは国内外に色々ありますが、社内研修でグロービスのカリキュラムを体験し、良さを実感したことと、実際に通っている友人に話しを聞き、ビジネスにとても活かせそうだと感じたためグロービスを選びました。まずは単科生としてグロービスに通い始めたのですが、多種多様な人達とディスカッションする中で、新たな視点・考え方を得ることができました。また、エンジニアとしての経験・知識が中心だった私が、ヒト・モノ・カネの基礎科目を順に受講していくことで、少しずつビジネスについて分かるようになり、楽しくなっていきました。そして、このまま学びを深めていけば、ビジネスの全体観を持って考える力が得られると思い、本科への進学を決意しました。

■カネ系の知識ゼロから、ベンチャーキャピタルへの的確なプレゼンができるように
グロービスではビジネスの基本を体系的、網羅的に学ぶことができました。エンジニアだった私は、カネ系の知識はゼロでしたが、アカウンティングファイナンスを受けたことで、大変成長できました。社会に価値を提供するために、会社が経済的にどのように回っていて、どのように分析し、どこを抑えなければならないか、それらを体系的に学べたことは、起業して代表取締役となった今、日々役に立っています 。

また「ベンチャー・キャピタル&ファイナンス」のクラスでは、出資を受けるベンチャーキャピタルの仕組み、企業評価のルールなど、ベンチャー企業の資金調達に必要となる考え方を学ぶことができました。起業の際、実際の資金調達では、30社以上のベンチャーキャピタルへのプレゼン・打ち合わせをこなす必要がありましたが、クラスでのプレゼンを何回もこなす中で、押さえるべきポイント・伝え方を身につけていたため、毎回的確な答えを持って臨み、対応することができたと感じています。

■切磋琢磨する仲間の存在、そして起業へ
私の人生を変える大きなきっかけとなったのは、志の授業/学事イベントGlobis Entrepreneur Clubの活動、そして新規事業や起業に関する授業でした。

志の授業/学事イベントでは、シャクルトンのような歴史上の偉人や田坂先生の教えを受けただけではなく、小児救急救命で働く医師や、福島の原発修理を行った同級生の話を聞けました。彼らの生き様を知り、目の前の大変な人達のために身を削って働いていることに感銘を受けました。一方、今の自分はどうだろうかと考えると、生活や健康に心配のない人たちを対象とした仕事をしている。これも大切な仕事ですが、自分にとって本当に今のままでいいのか?日々辛い思いをしている人がたくさんいるのに、何もしなくていいのか?自問自答を繰り返す中で、以前から持っていた社会課題を解決したいという想いが高まり、自らの志を「事故や暴力をなくすこと」に定めました。

また、Globis Entrepreneur Clubではたくさんの先輩起業家にお会いしました。社会を革新的に良くするため、起業して動きまくっている先輩たちを見て、自分もそうありたい、自分も挑戦したい、自分にも出来ると思えるようになり、起業を志すようになりました。

「事故や暴力を無くす」という志の実現に向けては、当初は社内で新規事業として実現しようと考えていました。しかし、様々なアプローチから検討を重ねた結果、起業しゼロベースで世界中の人に自分の想いを発信することのほうが、応援者をより多く増やしていけるのではと考えたのです。

起業に気持ちが傾いてからは、新規事業や起業に関する授業は全て履修しました。これにより起業の際、学びを活かしあらゆる準備をすることが出来ました。
大学院2年目には本格的に起業準備をしていたため、「研究プロジェクト」で事業内容を固めたいと考え始めました。なぜなら、研究プロジェクトでは、事業内容を考えることから事業化するまでの過程を、学びながらチームメンバーと真剣に議論することができ、講師からアドバイスをもらうこともできるため、人生最大のチャンスだと捉えたからです。

まずは重要なチームメンバー集めを行いました。課外活動としてタグ付け会を実施し、普段話さない人と接する機会を持ったり、アイデア出し会や研究プロジェクトに興味がある人を募って話したりする中で、必要な専門性を持つ人(例えばマーケティングやITに強い人など)を口説きました。チームメンバーが決まり、晴れて研究プロジェクトにも合格した後は、事業内容を決めるために100個くらいアイデアを出し合い、そこから3個ほどの事業計画を作成。その後2個ほどプロトタイプを作成するなどし、ようやく現在の「ころやわ」に辿り着きました。ここでは、今まで培ってきたノウハウや、様々な発明活動をしてきた経験がおおいに役立ちました。

研究プロジェクトの仲間とは、半年間本当に真剣に事業化に向けて取り組みました。実際に現場に行き転んで困っている人の話を聞いたり、改善策を一緒に考えたりしていく中で、熱量も上がって行きました。またグロービス主催のビジネスプランコンテスト「G-Challenge」に何回も挑戦する中で、協力者も増えました。大賞を受賞できた時には、新たにこの事業に本格的に参加する思いを固めてくれるメンバーも出てきました。

グロービスの仲間と起業して良かったことは、次のようなことがあります。
・価値観、考え方が揃っている
・ビジネスの体系的な知識を持っており、共通言語もあるので、スピーディに対応できる
・一緒に深く学んできたことで人となりが分かっており、信頼感がある
・グロービス生特有の強い想いや、想いを形にする(アクションを起こす)力がある
・チームメンバー以外にも、たくさんの大学院仲間の支援が得られる

弊社の事業は、グロービスに来て同級生との出会いの機会を取りにいかなければ、決して生まれなかった事業です。現在も日々色んなことが起きていますが、彼らがいなければ乗り越えることはできませんでした。予め創業チームの皆が同じ授業で学んでいることで、予想外の課題を最小限に出来ていると感じます。

■最後に
現在大事にしているのは、お客様目線で考えることです。私は転倒骨折をなくしたいと思っていますが、その前にお客様の大事にしていることは何か?困っていることは何か?を探り、そこからどんなビジネスモデルを描き、転倒骨折の削減へ繋げていけるのかを考えています。

日々色んなアイデアを試していますが、これらをスムーズに考え実行できているのは、グロービスでの学びにより、ビジネス全体を見られるからこそだと思います。エンジニア時代の知識や経験だけでは、到底できませんでした。今後の目標は、5年後には「ころやわ」を一般化させること。そして転倒骨折で苦しむ方や家族を無くしていきたいと思っています。

人類は先祖代々の活動により、太古よりずっと安全で豊かな社会を営めるようになりました。しかし社会にはまだまだたくさんの課題があります。私たちの子供、孫など後世がもっと幸せになれるように社会を変えていきます。そして後世に続く学びと、志の価値観を広めていきたいです。