グロービス経営大学院

お知らせ

2021年02月01日

2021年02月01日

最大1,000万円出資「G-CHALLENGE 2020 ~失敗したっていいじゃないか。ガンガンに行こう!~」大賞は4チームに

グロービス経営大学院は1月31日(日)、ビジネスプランコンテスト「G-CHALLENGE 2020 ~失敗したっていいじゃないか。ガンガンに行こう!~」の最終選考会をオンラインで開催しました。第1回からこれまで269チームがエントリーし、多くのグロービス生が新たな未来への一歩を踏み出してきました。今回は46チームが応募。最終選考に進んだ8チームのプレゼンテーションを審査した結果、「株式会社 Magic Shields」「Nexuspiral株式会社」「株式会社アニポス」「スマプラAI」の4チームが大賞の栄誉に輝きました。大賞チームには、特典として最大1,000万円の出資を受けられる権利を授与します。

【G-CHALLENGE 2020 概要】

G-CHALLENGE 2020(GLOBIS Venture Challenge*)は、起業を目指す多くの在校生・卒業生にビジネスプランを競う場を提供し、立ち上げ資金を支援することで、より多くの起業を促すものです。加えて、その企業が将来的にメガベンチャーへ成長する足掛かりをグロービス・コミュニティから得られることを目的としています。出資にあたっては、学校法人グロービス経営大学院と株式会社グロービスがファンドを組成。大賞受賞者は最大1,000万円の出資を受ける権利を得ます。審査基準は、ビジネスプランの市場性、競争優位性、実現可能性、収益性が見込めることに加えて、社会性や経営メンバーの意志や志などグロービスの教育理念に即しているかを重視します。 

なお、本年のG-Challengeではグロービスが出資をしているプログラミングスクール、株式会社DIVE INTO CODE(代表取締役 CEO 野呂浩良.GMBA2014期)の卒業生も参加しました。

*旧GVC。2019より通称が変わりました。

大賞受賞チームのプレゼン

◆ 株式会社アニポス

代表者:大川拓洋さん(グロービス経営大学院2016期生、オンライン)
 概要:ペット保険を分かりやすく簡単に利用できるものにすることで、必要な動物医療を提供していける仕組みを創り出す。

株式会社アニポスは、ビジョンに「全ての人がより良い適切な動物医療を享受し、動物と幸せに暮らせる世界を創る」を掲げたペット保険DX会社です。私たちは、ペット保険業界・市場の課題解決を目指し、元臨床獣医師をはじめ、ペット医療(保険)分野において、技術力、実行力を有したメンバーで、ペット保険のUX向上と、より良いペット医療環境創りに取り組んでいます。

 今のペット保険には多くの課題があります。それは、ペット保険が高額であると感じることや、加入機会が少なく、また利用者が適切な保険を選ぶことも利用することも複雑であり手間がかかるという課題です。アニポスでは、診療明細書の写真を撮るだけで保険金精算が完了するスマホアプリサービスと、そのシステムとシームレスにつながる、ペット保険会社の業務を「デジタル化・自動化」するペット医療特化型AI-OCRを基盤にしたアニポスサービスを提供することで、これらの課題を解決しています。 ペット保険は保険分野で唯一の成長マーケットであり、私たちはそのペット医療環境を支える上で重要な役割をはたしているペット保険業界をより効率的に、良いものにしています。

 今後のプランとしては、データ蓄積によって実現する査定の自動化、獣医師サポートサービスを含めペット保険会社の求めるサービスをスピーディーに提供しながら、ペット保険未加入者へのサービスも提供していきます。 現在アニポスアプリで提供している「動物病院の明細書で寄付」の仕組みを始め、ペットの飼い主様に喜ばれる新規サービスの実装で、飼い主様、ペット保険会社様等のペット医療業界のプレーヤーが全員喜ぶような仕組みを用いて、アニポスをスケールさせていきます。

◆Nexuspiral株式会社

代表者:増田直之さん(グロービス経営大学院2016期生、大阪校)
 概要:先端のゲノムデザイン技術で一つでも多くの病気を克服することをビジョンに掲げるベンチャー企業。

Nexuspiral株式会社はアカデミアで開発された核酸のみを用いてゲノム編集を行う技術(PODiRシステム)の実用化を目指し設立したベンチャーです。共同研究者の間世田英明博士の研究成果を2015年に特許出願し、本技術の実用化開発を推進するため2019年1月にNexuspiral株式会社を設立しました。

 思い通りに標的遺伝子を改変する技術であるゲノム編集技術は、現代生物学の様相と進歩のスピードを一変させました。しかし、既存のゲノム編集技術では、確実な遺伝子編集を行うことは難しく、また標的外の部位を編集してしまうという課題がありました。私たちが実用化を目指すPODiRは、こうした既存のゲノム編集技術が苦手とする正確な編集が可能であり、タンパクが不要なことによる細胞への送達が容易となることが特徴となっています。こうした特徴はヒト医療応用など特に高い精度の求められる遺伝子編集において、大いに価値提供が可能です。

 これまでにヒトを含む動物・植物・微生物のゲノム編集に成功しており、幅広い用途に対して応用することができます。事業内では本技術をもとにして研究ツール用途および医療用途としての技術の実証を進め、事業化につなげることを計画しています。

◆株式会社 Magic Shields

代表者:下村明司さん(グロービス経営大学院2017期生、名古屋校)
 概要:社会課題となっている高齢者の転倒による骨折を防止するため、転んだときだけ柔らかい床「ころやわ」を開発・製造・販売。

株式会社 Magic Shieldsは、骨折予防床「転んだ時だけ柔らかい床 ころやわ」の開発、製造、販売を通じて高齢者の転倒による大腿骨骨折という社会課題を解決する会社です。転倒骨折が減るだけでなく、看護師・介護師、また高齢者の家族の負担を減らすことができ、人材不足や経営の改善にも取り組んでいます。 

高齢者の転倒による骨折は、大きな社会課題です。高齢者は身体機能の低下により、転倒時に上手く受け身をとることができず骨密度も低下しているため、簡単に骨折してしまいます。高齢者の転倒による骨折は屋内で多く発生しています。そこで私たちは、屋内環境(床)を改善することで骨折のリスクを最小限にできると考えました。「ころやわ」は、歩いているときは硬く、車椅子も使えるが、転んだ時には柔らかく凹んで衝撃を吸収する、転んだときだけ柔らかい床です。 

現在、高齢者の毎年100万人が転倒・骨折し、介護の原因の上位となっています。また大腿骨骨折だけでも医療費・介護費は約2兆円もかかっています。これまで世の中では、業務時間の10~25%の人手をかけて転ばせないようにしてきましたが、それでも現在の骨折数があります。私たちは「ころやわ」で「真に骨折を予防する」ことを目指し、骨折の不安を抱えるすべての人が簡単かつ安全に使える製品とサービスを提供します。

◆スマプラAI

代表者:木村 洋介さん(グロービス経営大学院2018期生、東京校)
 概要:ガジェット機器のAI相場診断アプリ。ガジェットを早く高く売りたいユーザーと集客を拡大させたい買取業者をマッチングさせるプラットフォーム。

スマプラAIは、売りたいユーザーと買取業者をマッチングする、スマホの買取プラットフォームです。 

中古スマホを売りたいユーザーは、自分のスマホの自己査定が難しく、いつ、いくらで売れるのかわからないこと。加えてフリマアプリで売るとなっても取引連絡など手間がかかることが課題です。一方、買取業者は、査定の際に動作確認などの買取業務にかかる工数が多いことが課題です。スマプラAIでは、売りたいユーザーと買取業者の買取マッチングを提供し、スマプラAI独自の、自動査定による買取依頼を出すことで、いついくらで売れるのかがわかります。また買取業者は新たな集客になるのはもちろん、AI自動査定によって査定内容を共有することで査定プロセスを省略することが出来ます。 

チームには、中古スマホの売買販売経験やEC業界の知見保持者、財務・会計のプロフェッショナル、機械学習エンジニアとしてDIVE INTO CODE卒業生が参画。消費者が抱えるスマホ利用の課題を解決し、不要品を可能な限り再使用し循環型社会を形成するために取り組んでいます。

最終選考8チームの飽くなき挑戦

今回、最終選考に進んだのは、「株式会社アニポス」「Travapp」「株式会社Keeper」「Nexuspiral株式会社」「株式会社 Magic Shields」「タクセル」「株式会社エルシオ」「スマプラAI」の8チームです。

「Travapp」のMohit Vivek Kumbhojkarさんは、インドの旅行者が抱えるストレスを解決するためのタクシー配車アプリケーションサービスを「株式会社エルシオ」李蕣里さんは老眼/老視の方が、クリアな視界で生活できるようサポートするオートフォーカス眼鏡のプレゼンをしました。 

また、「株式会社Keeper」の横田洋一さんは介護士と利用者双方にとってより良い介護の現場の実現を目指すクラウドサービスを、「タクセル」明壁 佳久さんはおひとりさま高齢者が不安を感じている死後事務について受任を行う”行政書士などの専門家”をマッチングするWebプラットフォームをプレゼンをしました。

新型コロナウィルス拡大防止の緊急事態措置実施期間中の開催となったこの日、日本全国・全世界から900名以上のグロービスの在校生・卒業生がオンラインで参加しました。プレゼンターの志や熱意あふれるプレゼン、綿密に練られたビジネスプランや成長戦略に、すべての参加者が真剣に耳を傾けていました。

また、審査員でもあるグロービス経営大学院の教員は、常に真摯な姿勢でプレゼンに向き合い「重要なステークホルダーはだれか、またその人たちとどう関係構築し、どう満足させるのか」「事業者がサービスを導入してくれるようにどのような工夫、体制作りをするのか」「競合がなぜできないのか、競争優位性は」といった実現可能性や事業の継続性について、鋭い質問などが飛び交いました。

8チームのプレゼンの後、グロービス経営大学院で「創造系」の科目を担当する教員・山中礼二がグロービスの『創造の生態系』について説明しました。


起業家を取り巻く「創造の生態系」とは

 グロービス経営大学院には、起業家を育てる「創造の生態系」が存在しています。今回集まったグロービス生たちにとって、「G-CHALLENGE」は最初の一歩にすぎません。この後には、2019年4月に開始したシードステージの企業を対象とするアクセラレーションプログラム「G-STARTUP」があります。将来的に日本を代表するベンチャー企業へ成長することが期待されるスタートアップを採択し、成功した起業家やベンチャー支援の専門家などによる講義を実施し、現役ベンチャー・キャピタリストによるメンターが伴走することでプロダクト開発・事業開発を支援しています。その次には「GLOBIS Alumni Growth Investment」(G-Growth)があります。累計1億円以上の調達実績を条件に、1社あたり最大1億円を出資するプログラムで、これまで7社への投資をすでに行っています。

VC事業で培った知見を活かした「起業」に直結する科目

「創造」系の科目では、起業や新規事業立ち上げを志す学生が、現場で直面する課題を具体的にイメージできるように、グロービスが有するベンチャーキャピタル部門(グロービス・キャピタル・パートナーズ)の投資先のベンチャー企業の経営経験をもとに作成したケースも織り交ぜながら議論していきます。グロービス・キャピタル・パートナーズは、1,000億円の資金を150社超の企業に投資している国内最大規模の独立系ベンチャーキャピタル。ケースには、豊富な投資成功事例から得た知見を色濃く反映させています。実際にこれらの科目を通じて作成したビジネスプランをもとに多くの起業家が誕生しています。


<「創造」系科目>

ベンチャー・マネジメント

ベンチャー・キャピタル&ファイナンス

ベンチャー戦略プランニング


グロービス・アントレプレナーズ・クラブ(GEC)

グロービスには、起業家・起業をこれから目指す方を支援し、それぞれを結びつける組織として、グロービス経営大学院公認の「グロービス・アントレプレナーズ・クラブ(GEC)」というクラブ活動が存在します。「日本を代表する起業家を輩出し、相互支援を果たす」ことを目的とした、在校生・卒業生約2,670名(2020年4月現在)が在籍するグロービスの最大のクラブ活動です。起業に関する情報共有、人材のマッチング、起業家を招いた講演、新規ビジネスの相談の場として、知恵・経験・人脈の全国に及ぶ起業家支援のプラットフォームの役割を果たしています。これまで、この活動を通じて、80名を超える方々が起業し、うち数社が数十億円レベルのベンチャー企業へ成長しています。


グロービス・アントレプレナーズ・クラブ(GEC)活動レポートはこちら

起業家にグロービスが選ばれる理由はこちら

卒業生・在校生の起業サポートはこちら

審査発表

審査員

村尾佳子(審査員長)
グロービス経営大学院 経営研究科副研究科長(日本語MBAプログラム)

井上陽介
グロービス経営大学院 教員
グロービス創造ファカルティ・グループ リーダー

小川智子
グロービス経営大学院 教員(「テクノベート・ストラテジー」等担当)

高原康次
グロービス経営大学院 教員 (「ソーシャル・ベンチャー・マネジメント」等 担当) ベンチャー・サポート・チームリーダー
G-STARTUP事務局長

廣瀬聡
グロービス経営大学院 経営研究科副研究科長(日本語MBAプログラム)・事務局長

野呂浩良
株式会社DIVE INTO CODE 代表取締役 CEO(コントリビューター)


その後、審査員の議論を経て、審査員長のグロービス経営大学院 経営研究科副研究科長 村尾佳子が大賞チームを発表、プレゼンターにエールを送りました。

このG-CHALLENGEというコンテストは、皆さんのチャレンジ精一杯後押しして、実現に向けて支援するという目的で開催しています。今回は、社会を良くしたい・社会の困りごとを解決したいという思いが伝わってくる、大変グロービスらしいプランの数々で共感するものが多かったように思います。また、プランのクオリティーは本当に高く、年々質が上がっていることも学校として誇りに思っています。 

受賞チームはこれからがスタートです。引き続き挑戦の成功確率を上げながら、事業活動を進めていってください。そして、オーディエンスの皆様も、今日の内容に刺激をうけ、新たな企画をしたり、仲間と協力をして社会をよくしていっていただきたいと感じます。みなさんのチャレンジをいつも応援しています。


大賞を獲得した4チームのみなさんに受賞後に心境を伺いました。

株式会社 Magic Shields 下村明司さん 

「ありがとうございます。現場を回っていると本当に悲惨な状況を目の当たりにすることがあり、皆さまから社会的ニーズの高さというものを感じております。特にコロナの影響で医療現場は困難な状況と聞いております。一刻も早く皆さまにこの製品を届けたいと思っています。是非、皆さんも困っていらっしゃる方がいれば我々に声をかけてください。」


Nexuspiral株式会社 増田直之さん  

 「この度はこのような名誉ある賞を受賞できたこと、大変光栄です。他のチームの皆さんのピッチを拝見させて頂き、非常にレベルが高いと感じておりました。それでも受賞することができたのは、今日まで多くの方々に助けて頂いたからだと感じております。本当に感謝しております。ありがとうございました。」


株式会社アニポス 大川拓洋さん 

「審査員の皆様、そしてオーディエンスの皆様、本日はありがとうございました。またファイナリストの皆様、この最終選考を一緒に戦い抜けたこと、誇りに思っております。私たちはペット医療というものを起点に今後も社会を良くするために尽くします。グロービスコミュニティの一員としてチャレンジし続けることを忘れることなく、No challenge, No gainの精神で挑戦し続けたいと思います。」


スマプラAI 木村洋介さん 

「ありがとうございます。我々は開始して間もない事業で、まだスタートラインに立ったばかりです。このスタートラインに立てたのは一年近くこの事業を共にしてくれた仲間との出会いがあったからだと思っています。本当に感謝しています。今後も応援していただける皆様や仲間からの期待を裏切ることのないよう、一日一日を大事にし、より良い開発ができればと考えています。


  • 最終選考チーム「Travapp」

    最終選考チーム「Travapp」

  • 最終選考チーム「エルシオ」

    最終選考チーム「エルシオ」

  • 最終選考チーム「タクセル」

    最終選考チーム「タクセル」

  • 最終選考チーム「Keeper」

    最終選考チーム「Keeper」

  • 最終選考審査風景

    最終選考審査風景

  • 審査員の質疑応答

    審査員の質疑応答