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- MBA(経営学修士)とは
- MBAと中小企業診断士の違いや活かせる業務


MBAとは
MBAと中小企業診断士の
違いや活かせる業務
「ビジネスや経営について体系的に学びたい」という方々が比較検討するものにMBAと中小企業診断士の2つがよく挙げられます。これらの違いや評価、そして活かせる業務についてみてみましょう。
1.MBAと中小企業診断士
MBAとはMaster of Business Administrationの略で日本語では経営学修士号と呼ばれる学位であり、大学院の修士課程(ビジネススクール)を修了すると授与されます。MBAは資格ではなく、「学位」です。資格はある行為を行うために必要となるものですが、学位はある専門分野の学問を修めた人に対して与えられる称号です。
中小企業診断士は、中小企業支援法に基づく国家資格であり、中小企業者が適切な経営診断や助言を受ける際、その選定を容易にするため経済産業大臣が一定のレベル以上の能力を持った者を登録するための制度です。MBAも中小企業診断士も、ビジネスや経営について学ぶという意味では似ていますが、学び方や身につく能力はまったく異なる場合もあります。
2.取得方法について
MBAは経営学修士号であることから、まずは国内、または海外の大学院(ビジネススクール)の入学試験を受験し、合格することが必要です。仕事を休職、あるいは辞めて通学するフルタイムの大学院と、仕事を続けながら平日の夜間や週末に通うパートタイムの大学院の2種類があります。
最近では通学しなくてもオンラインで授業を受けられる大学院もあります。大学院によって修了要件が異なりますので、検討する際は自身の目的を確認した上で、各大学院のオープンキャンパスや体験クラスなどに参加し、目的に沿った内容を学べるのか、通い続けられそうかなどを事前に確認したほうがよいでしょう。
MBA選びについては、こちらをご参照ください。
中小企業診断士は国家資格であり、試験に合格する必要があります。第1次試験は、「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・政策」の知識を問う7科目について、選択式(マークシート式)で行われます。第2次試験は、「組織・人事の事例」「マーケティング・流通の事例」「生産・技術の事例」「財務・会計の事例」について筆記試験、および口述試験が行われます。中小企業診断士として登録を受けるには、第2次試験に合格した後3年以内に、実務従事要件を満たすか、登録実務補習機関で15日間の実務実習を受講し修了することが必要です。登録の有効期間は5年間で、更新研修を受けるなどの要件を満たし続ける必要があります。
3.学習内容について
MBAと一概に言っても、大学院によって育成方針、カリキュラムや授業や教員の質、利便性などが異なります。日本国内のパートタイムであれば標準2年間という時間をかけるのですから、自身の目的に沿った大学院を選ぶことが何より重要となります。従来型のMBAのカリキュラムは経営の3要素であるヒト・モノ・カネの領域のみを提供していることが一般的です。
一方で、最近ではテクノロジーの進化によって、ビジネスの構造自体が大きく変わっており、次世代に対応したカリキュラムを提供している大学院も出てきています。また資格取得スクールのように合格するための知識を得るのみではなく、修了後のキャリアを見据えたネットワーク形成などにも注目したいところです。
MBA選びについては、こちらをご参照ください。
中小企業診断士の学習領域は、試験科目に対応します。第1次試験は、「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・政策」の7科目、第2次試験は、「組織・人事の事例」「マーケティング・流通の事例」「生産・技術の事例」「財務・会計の事例」の4領域となりますので、企業経営の基本的な知識についてインプットすることとなります。
4.身につく能力について
MBAも中小企業診断士も学ぶ過程においてビジネスや経営についての知識が得られ、今まで知らなかった新しい世界に触れられるという点については同じです。学位や資格取得のみが目的であれば、それでも十分です。しかし、目的が実務で成果を出すことや、次代で価値創出できる人材になる、ということであれば、知識そのものにはあまり価値はなく、重要なのは確固とした論理思考力に基づいたコミュニケーション能力や、さまざまなケース(企業事例)で複雑な課題を読み解き、取りうる戦略の選択肢を挙げ、リスクなどを踏まえた上で最終的な意思決定する能力を鍛えることです。
その点において、MBAと中小企業診断士は決定的に異なります。中小企業診断士は、あくまでも外部から中小企業の経営診断や助言ができるようになるという前提ですが、MBAは自らが経営者として意思決定し、未来の戦略を立案し、実行する能力を鍛えるところまでを目的としているためです。とはいえ、MBAも大学院によって育てたい人物像や学ぶ内容はさまざまで身につく能力は異なりますので、自身のキャリアイメージに沿って、大学院選びをするようにしましょう。
5.キャリアについて
MBAは今後より複雑性を増していくビジネスの現場で、経営者や経営者を支える経営陣、管理職だけではなく、自らの頭で考えて行動することが求められるあらゆるビジネスパーソンにとってキャリアの選択肢を広げてくれるものとなるでしょう。とはいえ繰り返しとなりますが、大学院によって育成したい人材像や提供しているカリキュラム、授業の進め方や通っている方々が異なるので、自身の将来のキャリアイメージに照らし合わせて、大学院を選ぶことが重要となります。
一方で、中小企業診断士は、中小企業の経営診断や助言を前提としており、中小企業基盤整備機構、商工会議所、都道府県などの中小企業に対する専門家派遣や経営相談、中小企業支援機関のマネジャーの募集などにおいては、中小企業診断士が条件となっている場合が多いことから、公的機関での仕事を今後のキャリアとしてイメージしている場合には有効だと考えられます。
6.MBAと中小企業診断士どちらを取るべきか
ここまで述べてきたように、MBAと中小企業診断士どちらとも、ビジネスや経営の基本を学ぶことは共通していますが、以下のように取得できる能力や向いている方に違いがあります。
MBAが向いている方
- 経営についての全体像を体系的に学びたい
- 実務で成果を出したい
- 問題発見力、論理的思考力、コミュニケーション能力を鍛えたい
- ビジネスの現場で起こりうる課題に対する意思決定能力を上げたい
- 人的ネットワークの構築をしたい
中小企業診断士が向いている方
- 外部から中小企業の経営診断や助言をする業務につきたい
- 中小企業診断士の資格を要する公的機関でのキャリアを築きたい
自身に必要な能力や目指すキャリアに応じて、よく考え選択することが重要といえるでしょう。