MBA(経営学修士)とは

MBAとは

MBAとは、Master of Business Administrationの略です。日本では経営学修士と呼ばれ、経営学の大学院修士課程を修了すると授与される学位であり、資格とは異なります。

MBAプログラムでは、経営戦略、マーケティング、ファイナンス、リーダーシップといった「ヒト・モノ・カネ」に関連する企業経営に必要な知識を体系的に学ぶことができます。さらに、論理的思考力、課題解決力、コミュニケーション力など、複雑なビジネス環境において重要なスキルを身に付けることができるのが特徴です。

この「MBAとは」ページでは、現在の日本におけるMBAの位置づけや、海外、国内のMBAプログラムの特徴、かかる費用や経営大学院(ビジネススクール)選びのポイントなどの情報を提供します。

日本国内MBAの概況

かつてMBAといえば欧米のイメージが色濃かったものの、現在は国内MBAも活況です。2000年代からMBAホルダーの経営者による業績回復の実績が増えたことなどから、日本企業でもMBAホルダーの受け入れが盛んになってきました。また国内MBA自体も、かつては研究重視のMBAが中心でしたが、実践重視のビジネススクールも増えています。制度や校風も多様で、国内MBAも差別化・多様化が進み、進学者数は増加傾向にあります。ここでは国内MBAの概況を紹介します。

MBAの意味・MBAの価値とは

1.MBAとは経営学の修士号

MBAとは、Master of Business Administrationの略称です。日本語では経営学修士号、または経営管理修士号と呼ばれる学位であり、経営学の大学院修士課程を修了すると授与されます。

MBAはよく資格(国家資格や業務独占資格など)と混同されることがありますが、資格ではなく「学位」です。資格はある行為を行うために必要となるものですが、学位はある専門分野の学問を修めた人物に対して与えられる称号です。MBAプログラムを提供している大学院は、通称としてビジネススクールと呼ばれており、主に社会人を対象にしています。1881年の米国ウォートン・スクールが世界初のビジネススクールであり、1908年に設立されたハーバード・ビジネス・スクールが現在のMBA課程の基礎を作ったとされています。

各校の独自の発展に伴う受講者数の増加によってMBAの社会的な認知が高まったため、ウォートン校開講後からおよそ35年後にMBAプログラムの認証を行う国際機関が登場し、現在の発展につながりました。このことは、日本のモノづくりの現場において品質管理手法が十分に確立した後から、ISO9001などの認証が普及した歴史と多くの類似点があります。しかし、ビジネスプロフェッショナルの評価は、経営幹部やマネジャーとしての仕事でのアウトプットと結果により、MBAを取得したこと自体が評価されるのではないことは万国共通です。MBAプログラムの評価も同様に、「MBAプログラム修了生がどれだけ多岐にわたって活躍しているか」によって、社会的な評価がなされてゆくことでしょう。

MBAプログラムの目的は、経営者や経営をサポートするビジネスプロフェッショナルを短期間に育成することにあり、経営の3要素であるヒト・モノ・カネの知識習得をするカリキュラムが構築されているのが一般的です。また、アメリカをはじめとする海外のビジネススクールでは、テクノロジーなど時流に沿ったカリキュラムを用意しているスクールもあります。平均年齢は、海外では20代後半が中心、日本では30代半ば~後半が中心です。国内MBA各校は、「実践性を重んじるMBA」から「経営を学問と捉えアカデミック色の強いプログラムを提供するMBA」までさまざまな特徴があります。

MBAは役に立つのか?

「MBAは役に立つのか?」をテーマに議論された2019年8月13日放送のNewsPicks『The UPDATE』。グロービス経営大学院副学長(前研究科長)の田久保善彦がMBAの必要性や意義について語っています。

2.時代に合わせて変化を求められるMBA

1.既存の枠組みにとらわれないMBA

従来型のMBAのカリキュラムは、経営の3要素である「ヒト・モノ・カネ」の領域のみを提供していることが一般的です。一方で、テクノロジーの進化によって、ビジネスの構造自体が変わり、社会も大きく変化しています。また寿命も100年時代へと突入し、働き方やキャリア、人生の在り方も変わり始めています。経営の伝統的なセオリーは基本として保ちつつ、テクノロジーやデザインなどのカリキュラムを取り入れているMBAプログラムも出てきています。

そして、変化の激しいこの時代の中でよりよく生きるために、個々人のキャリアや生き方、志に向き合う場も求められています。MBA各校は、時代の変化に合わせた独自のカリキュラムの提供や、1科目からの受講が可能な制度の実施、また国際認証を取得するなどの方法で特徴を打ちだしています。

国際認証機関の認証するMBAは、従来型のMBAの枠組みで認証されているものであり、時代の変化に応じた内容になっていることを保証するものではありません。これからのMBA選びにおいては、従来型のMBAか、時代の変化に対応した新時代のMBAなのかは、重要な判断軸になるでしょう。

2.多様な受講スタイルに進化を遂げるMBAスクール

変化はカリキュラムだけではなく、受講スタイルにも生じており、キャンパスへの通学だけでなく、オンラインでの受講も可能なビジネススクールもあります。オンラインでのMBAの授業は、動画を見て学ぶ形式と教室と同様に、ライブディスカッション形式など大学院によって違いがあります。また、キャンパスでの受講とオンラインでの受講を科目ごとに選べるビジネススクールも存在します。ご自身のライフスタイルにあった受講形式を選択できるスクールを選ぶことが可能な時代になりました。

【実務家教員が語る】次世代リーダーに求められる能力とMBAの真価

テクノロジーの急速な進化とともに、価値観や働き方も多様化する時代においてMBAが持つ真の価値とはどのようなものでしょうか。グロービス経営大学院の教員であり、ビジネスの第一線で活躍する実務家である井手 伸一郎、山中 礼二、廣瀬 聡の3名と、グロービス経営大学院研究科長の君島 朋子が、この問いについてパネルディスカッションを行いました。

3.MBA選びの基準に欠かせないのは、卒業生の活躍

MBA選びの基準には育成方針、授業の質、カリキュラム、利便性、人脈形成、取得までの金額などさまざまなものがあります。またとくに日本では、MBA取得がマネジャーや経営幹部への登竜門となる欧米と比べ、MBA取得と企業側の採用や評価とはあまりリンクしていません。そこには国際認証の有無も実際には関係なく、重視されるのは、経営者として、あるいはビジネスプロフェッショナルとしての個人の「能力」と「実績」です。したがって、国内MBAを志向する場合は「どの大学のMBAプログラムが、自分の能力を最大化できるか」という視点で選ぶことが重要になってきます。

それを見極めるために、最も分かりやすいのが、卒業生の活躍です。卒業生の活躍を知るには、新聞などさまざまな記事で学校名を目にする場合もありますが、各校のサイトで紹介されていたり、各校のキャンパスや説明会で卒業生と話をしたりすることもできます。また、ご自身の周囲のMBAホルダーに直接話を聞いてみるなど機会は無数にあります。加えて、MBAは資格取得スクールのように、知識だけを得る場ではありません。人脈形成もMBAがもたらす価値ですので、その観点においても、MBA選びの基準には、「卒業生の活躍」という視点は欠かせません。

活躍する卒業生・在校生Active alumni and current students

MBAを取得するまでのステップ

MBAを取得するまでのステップについて、グロービス経営大学院での流れを例にご紹介します。

説明会に参加する

入学を検討しているスクールの説明会に参加します。スクールの教育理念やカリキュラム、制度・学費について確認すると同時に、学びのスタイルが自分に合っているかどうかや、自身が実現したいことを本当に叶えられるかを押さえておきましょう。グロービスでは、説明だけでなく、実際の授業と同様に参加者や教員とのディスカッションを楽しみながら、授業の進め方や学び方を体験できる「体験クラス&説明会」を実施しています。

STEP
1

科目等履修生(単科生)として
受講を開始する

一部の大学院では、科目等履修生として基本科目を先行受講できる制度が用意されており、実際に授業を受けてから入学を判断することができます。 グロービスでは、大学院(本科)入学前に1科目(3ヶ月)から学べる「単科生制度」で、年4回学び始められる機会があります。また、単科生として修得した単位は、条件を満たせば本科の修了要件単位として認められます。

各科目は1月、4月、7月、10月から学び始めることが可能

STEP
2

大学院に入学する

出願資格が認められ、入試(書類審査や筆記試験、面接など)に合格すると大学院(本科)入学となります。入試では、実務におけるこれまでの取り組みの中で何を大切にしてきたのか、今後自分がどのようなキャリアを歩み、社会に対して貢献していきたいかを明確にすることが求められます。

STEP
3

働きながら通う大学院での2年間

大学院生(本科生)として、ビジネスで成果を出すための力を身に付けます。グロービスでは、働きながら標準2年の学生生活を送るため、学びをすぐに実務へ応用することができます。また、能力開発だけでなく、人的ネットワークの構築や志の醸成を目的とした学事イベントが用意されているため、多様な業種・職種・年代の仲間とともに、多くの時間をかけて自分自身を見つめ、これからのキャリアについて考えていきます。

STEP
4

MBA取得(修了)

修了要件単位を修得し、所定の条件を満たすと大学院修了(卒業)となり、MBA(経営学修士)の学位が授与されます。グロービスでは卒業後も、合宿型カンファレンス「あすか会議」や同窓会、卒業生向け特別講座、SNSコミュニティなどを通じて一生涯の友と呼べる仲間とつながり続けることができます。お互いに高め合い、支え合いながら、それぞれの志の実現に向かって歩んでいきます。

STEP
5

MBAプログラムで学ぶメリット

MBAやビジネススクールで得られるものは、「経営の知識」にとどまりません。その知識を活かして、意思決定力を鍛え、実務において成果を上げることが本質的な価値といえます。また、多様な人材と出会い、幅広いネットワークを築くことで、自己成長の機会も得られます。

さらに、MBAを取得することでキャリアの幅が広がり、年収増加や昇進、独立・起業の可能性も高まります。グロービス経営大学院の卒業生へのアンケート(2022年度)では、回答者の93.2%が処遇・キャリア面でポジティブな変化を実感しており、特に「社内外で評価を高めることにつながった」という回答が92.0%に上っています。

単に知識を得るだけではなく、生涯にわたるネットワークの構築やキャリア形成においても、MBAやビジネススクールには多くのメリットがあります。ぜひ体験クラスに参加し、その価値を自分の目でお確かめください。

MBAプログラムの受講形式・期間・費用

MBAプログラムには、海外留学・国内通学・オンライン、フルタイム・パートタイムの選択肢があります。とくに海外留学を選択する場合、欧米かアジアかなどの選択肢で、費用や期間、使用言語などがそれぞれ異なります。

受講形式については、ひとつの科目を週末だけの短期集中型で学ぶ形式もあれば、1週間や2週間ごとに間隔を空けて学ぶ形式もあります。前者は期間が短く済むメリットがありますが、学びを実践に活かすサイクルがないため、定着しにくい、実務に活かすイメージが持ちにくいなどのデメリットがあります。後者は期間が長くかかってしまうデメリットがありますが、学びと仕事での実践のサイクルによって、実務をより意識した学びを得られるメリットがあります。

MBAのカリキュラムはヒト・モノ・カネが基本となるものの、学び方や学習の仕組みが異なると、得られるスキルにも差が出ます。学校によって人脈形成の仕組みや、卒業生の活躍度合いなどにもバラツキがあります。MBA取得後のキャリアは、とくに米国においてビジネススクールを卒業したMBA取得者の給与設定が学士卒より高いなど、欧米では企業から採用や昇格などで高く評価される傾向にあります。プログラムだけでなく、それぞれの学校の特徴や費用を踏まえ、ご自身の目的にあった選択を検討する必要があります。

MBAカリキュラム・教員・学生

MBAカリキュラムでは、「ヒト・モノ・カネ」の3領域は世界共通で、組織行動・リーダーシップ・人材マネジメントやマーケティング・経営戦略、アカウンティング・ファイナンスなどの科目を中心に構成されています。経営に必要な知識を体系的に学べますが、その学び方はビジネススクールによって異なります。レクチャー(講義)中心のものからディスカッション(討議)が中心のものまでさまざまです。とくにケースメソッドを取り入れるディスカッション形式のビジネススクールでは、教員の実務経験やファシリテーション能力、学生の質も非常に重要なポイントです。

MBAというビジネスプロフェッショナルを育成する大学院では、教員には、経営の体系的な知識はもちろん、当該分野の深い知見と実務経験が重要視されます。加えて、ケースメソッドの授業では、議論をコントロールし、学生に学習の要点を理解させる高度なファシリテーション能力が求められます。そのため、教育の質を高めることに熱心なビジネススクールでは、教員のファシリテーション能力をトレーニングするための仕組みや人材を擁するなどの事例もあります。

一般的に研究志向・アカデミック色の強いビジネススクールがレクチャー形式の傾向にあり、実践志向のビジネススクールがディスカッション形式の傾向にあります。MBAを検討する際は、カリキュラムや費用だけでなく、教員の実務経験の有無や学生の質、志向性などを、実際に体験クラスなどでご自身の目で確かめることをおすすめします。

MBAランキング

海外においては、どの学校のMBAプログラムの出身者かどうかを重視される傾向が強く、大手メディアが海外ビジネススクール・国内ビジネススクールのランキングを公開しています。またランキング以外の参考指標として、MBAの教育品質を評価する認証も存在します。

日本国内においては2004年以降、全ての大学は文部科学大臣が認めた機関による認証評価を7年以内ごと、専門職大学院は5年以内ごとに受けることが義務づけられています。また国際認証機関もあり、申請を行い認証を取得している日本のビジネススクールも存在します。ただし国際認証の評価要件には、研究や教員のPh.D比率の基準などがあり、実務家教員の割合は下がりやすく、アカデミック色が強くなる傾向にあるなど、ランキングや認証の有無はあくまで参考情報に過ぎません。大切なのは、ご自身がMBAに求めることを提供できるスクールかどうかです。

よくあるご質問FAQ

  • MBA取得は企業から評価されますか?

    急激な環境変化に対応するために意思決定のスピードも要求されるようになる中で、短期間で効率よく経営の幅広い知識やマネジメントスキルを身につけられるMBAプログラムは、日本企業からも注目されています。ただし、企業が評価するのはMBAという学位ではなく、MBAで学んだものを活かして実務で実績を出せることです。そのため、学びを通じて実績につながる能力、特性を身につけられるビジネススクールを選ぶことが重要になります。詳しくはこちらをご覧ください。

  • ビジネススクール(MBAプログラム)ではどのような内容が学べるのでしょうか?

    ビジネススクール(MBAプログラム)では、人材マネジメント・リーダーシップ、マーケティング・経営戦略、財務・会計といったヒト・モノ・カネという経営資源を有効に活用するために必要な知識を体系的に学べます。MBAカリキュラムについての詳細はこちらをご覧ください。

  • 20代でMBAを取得する意味はあるのですか?

    20代の内に経営を体系的に学ぶことで、より早期に活躍する場を確立できる可能性は確実に高まります。また、自らのキャリアの選択肢も広げることができます。20代で大学院に進学され、「売上アップに貢献できた」「新規事業を立ち上げた」「希望していた転職や異動希望が叶った」などさまざまな学生の活躍を「学生の声」ページで紹介しています。

  • 経営を学ぶ目的で、中小企業診断士の取得も考えています。MBAとどのような違いがあるのでしょうか?

    「ビジネスや経営の原理原則について学びたい」と考える方が比較検討するものとして、MBAと中小企業診断士の2つがよく挙げられます。

    まず、MBAは学位であり、中小企業診断士は国家資格という違いがあります。

    一般的にMBAは、自らが組織のリーダーとして意思決定や戦略を立案し、実行する能力を鍛えるところまでを目的としています。実務で成果を出すために、汎用性のある問題発見・解決力、コミュニケーション能力、意思決定能力を鍛えたい方や人的ネットワークを構築したい方には、MBAがおすすめです。

    一方、中小企業診断士は、中小企業の経営診断や助言をできるようになることを目的としています。中小企業基盤整備機構や商工会議所など、公的機関での仕事を今後のキャリアとしてイメージしている場合には有効です。

    両方ともビジネスや経営について学びますが、学習内容や身につく能力が異なり、目指すキャリアに応じて、よく考えて選択することが重要です。

    詳細は「
    MBAと中小企業診断士の違いや活かせる業務」をご覧ください。

  • なぜグロービスは「実践的なMBA」と評価されているのですか?

    「実践的なマネジメント能力」の開発のみならず、リーダーとして成果を上げるために必須の「志」や「人間力」を育むことに徹底してこだわっているためだと考えています。ビジネス界から高く評価され国内最大のビジネススクール(MBAプログラム)となったグロービスの、他校には真似ができない取り組みについては、こちらのページをご覧ください。