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投稿日:2026年05月29日
投稿日:2026年05月29日
【数字を武器に変える】「アカウンティング基礎」で学ぶ、仕事を面白くする会計の学び方
- 柏木 真由子さん
- コンサルティングファーム
在校生(2026年入学) - 岡田 祐之さん
- ハウスメーカー
在校生(2026年入学) - 森 暁郎
- グロービス経営大学院 教員
- 池田 桃香
- グロービス コンテンツオウンドメディアチーム
「アカウンティングは経理・財務の人が学ぶもの」「数字が苦手」と思ったことはありませんか。グロービス経営大学院の「アカウンティング基礎」は、財務の専門家を育てるための授業ではありません。営業、企画、コンサルタント、クリエイターなど、あらゆるビジネスパーソンが「数字でビジネスを捉える力」を身に付けるための科目です。
本記事では、グロービス経営大学院の教員と、実際に「アカウンティング基礎」を受講した学生2名との鼎談インタビューを通して、受講前に抱えていたイメージの変化から、授業での気付き、そして実務への活かし方まで、リアルな声をお届けします。「アカウンティングって、自分に必要なのかな」と感じている方にこそ、ぜひご覧いただきたい内容です。
アカウンティングで、仕事が面白くなる理由
森:アカウンティングを学ぶ一番の理由、それは仕事が面白くなることです。仕事が数字で示せるようになると、何が上手くいって何が上手くいっていないのか、それが明確に見えてくる。さらに、自分の仕事が会社の業績のどこに貢献しているのか、ということも数字を通じて分かるようになります。そうして視野が広がっていくと、自分の担当業務という「点」が社会全体の動きや社会課題という「面」につながり、ビジネスへの解像度がどんどん上がっていく。そういう効果があるんです。
次によく聞かれるのが、「アカウンティングを学ぶと、日々の仕事で何が変わるのか」という問いです。一番の変化は、仕事の中で「やりたいことはやりたい、やりたくないことはやりたくない」と自信を持って言えるようになることだと思っています。
私はニューヨークをはじめ、海外や外資系企業でも長く仕事をしてきましたが、アカウンティングの知識やアプローチは万国共通です。まさに、アカウンティングは世界共通の言語。これを身に付けることで、活躍の場が一気にグローバルに広がります。世界どこに行っても、仕事が楽しくなり、自分の主張に自信が持てるようになるのです。
「自分の人生を、自分でコントロールする」ために
森:私が日々教壇に立ち続けているのは、自分の人生を自分でコントロールできる人をひとりでも増やしたいという思いからです。ぜひ皆さんにも、そう生きてほしいと強く願っています。そのために、アカウンティングを学んでほしいのです。
アカウンティングが扱うお金というものは、皆さんや皆さんの家族を幸せにすることもできれば、その逆もあり得る。だからこそ、悔いのないお金の選択、人生の選択をして、最高に素敵な人生を送ってほしいと考えています。
「数字が苦手」には、2種類ある
数字とは、無縁のまま30年以上働いてきた
森:ここからは、実際に「アカウンティング基礎」を受講された方にお話を伺います。受講前にどんなイメージや課題意識を持っていたか、まず岡田さんからお願いします。
岡田さん:はじめは「簿記的なものを学ぶのかな」という感覚で受講を決めました。
私は営業一筋でキャリアを歩んできたので、アカウンティングで取り扱うような“数字の世界”とはまったく無縁でした。仕事柄、お客さまが住宅ローンを申し込む際に銀行へ取り次ぐことがあり、その際に企業の決算報告書を受け取ることもあったんですが、開いてみてもまったく内容が分からない。結局、数字を読み解けないまま、その場をやり過ごしていたんです。今振り返ると、もっとちゃんと向き合えればよかったなと思っています。
森:数字の世界をずっとスルーしてきた自分から、そこを乗り越えようということですね。このまま「アカウンティングに蓋をしてしまう」という生き方もあったかもしれない。それでもあえて学ぼうと決意されたのは、何かきっかけがあったんですか?
岡田さん:ずっと引っかかっていたのが、新聞を読んでいても数字の意味が分からないまま字面を追うだけで、「こういうことがあったんだ」とストーリーを語るだけに終わっていた、ということです。情勢をちゃんと把握できているのか、記事を本当に理解できているのか。そこにずっと不完全燃焼感がありました。
住宅の知識なら、長年の経験で引き出しはある。でも、ひとりのビジネスパーソンとして、お客さまと対等に会話をするとなると、数字が絡む話題では途端に置いてきぼりになってしまう。そのままでいいのかという危機感が、受講への決め手になりました。
森:まさに、危機感がひとつの分岐点になるということですね。
会計の知識はあった。なのに、使えなかった
柏木さん:アカウンティングを受講する方には数字への苦手意識を持っている方が多い印象ですが、その苦手には2種類あると思っています。ひとつは、これまで勉強したことがないので何となく怖い、というタイプ。もうひとつは、一応勉強はしてきたけれど使いこなせていないという感覚から来る苦手意識です。私自身は、後者でした。
前職ではスタートアップ企業への出資に関わる仕事をしており、財務諸表や事業計画を見る機会がありました。簿記やビジネス会計の資格勉強もしたことがあります。それでも、実際に財務諸表を見て分析や提案をするとなると、個別の数字の読み方は分かっても、どこから手をつけて全体を論じればいいのか分からない。得た知識が意思決定に結びついていない。そのもどかしさが、ずっとありました。アカウンティングを経営やビジネスを理解するための武器にしたい、その一心で受講しました。
森:知識はあるのに、使いこなせない。それはなぜだったと思いますか?
柏木さん:数字がたくさん並んでいると、細部ばかりに目が行ってしまうんです。利益率が何パーセントだとか、現預金の動きがどうだとか。そこに気を取られてしまって、全体をどう分析すればいいのか分からなかった。それが正直なところでした。
アカウンティングは、実務に活きたのか
分析の「入口」が、変わった
森:実際に学んでみて、アカウンティング基礎での学びや気付きが、今のお仕事や意思決定にどのように役立っているか教えてください。
柏木さん:以前は財務諸表を目にしても、分析がなかなか前に進まなかった。でも授業を通じて、分析の仕方やこの分析は何のためかという目的を考えるようになってから、向き合い方がまったく変わりました。
具体的には、事業計画や財務諸表を見るとき、まず数字から入るのをやめました。その会社はどんなお客さまに、どんな価値を提供しているのか。そこから考え、その価値を提供するために何が必要で、どんな活動をしているかを整理してから、はじめて財務諸表に移る。そういう癖がつきました。そうすると、数字ひとつひとつの変化にきちんと意味を見いだせるようになって、数字と向き合うこと自体が楽しくなりましたね。
森:まさに授業でも毎回、いきなり数字を見るのではなく、まずお客さまは誰で、何をしている会社かを徹底的に問い続けました。それを実践してくださっているということですね。
数字という共通言語で、社長と話せるように
岡田さん:私はお客さまとのコミュニケーションが変わりました。アカウンティングを学び始めてから、商談相手の企業の財務諸表を事前に調べるようになったんです。
財務諸表は公表されていますから、誰でも見ることができる。その企業の財務体質はどういう特徴で、どこにコストがかかっているのか。さらに、担当の方がどんな部署でどんな課題を抱えているのかまで、少し踏み込んで理解しようとする姿勢が生まれました。それが、自分にとっての第一歩でした。
実際にこんなことがありました。ある企業から建物の建築についてご相談をいただいたのですが、その企業がその年度に出した利益を不動産に転換したいというご相談だったんです。内部留保やROEの知識が自分の中に根付いていたからこそ、その企業の経営者との会話の中でごく自然に使えた。そのとき初めて、学びが自分のものになっていると実感しました。
森:そういう瞬間が、一番嬉しいですよね。
数字の見方が変わった瞬間
「この数字で、経営者はよしと言うのか」
森:具体的に、印象に残っているケースやフレーズはありますか。
柏木さん:とくに印象に残っているのは、サイゼリヤの予測財務諸表を作る回です。みんなが予習で一生懸命作り上げてきて、授業中に発表し合うのですが、「これまでのトレンドだと伸び率はこのくらいだから」という数字ベースの予測がずらりと並ぶんですね。そのときに先生がおっしゃったんです。「この数字で、経営者はよしと言うのかな」と。
その一言が、ものすごく印象に残っています。「数字遊びやExcelの演習じゃなく、これは経営の授業なんだ」と、そのとき初めて腹に落ちた気がしました。
「木を見るな、森を見ろ」
岡田さん:最初の授業で先生がおっしゃった「木を見るな、森を見ろ」という言葉です。細かい数字より、まず全体像を見よ、ということですね。私自身、予習の段階で細かい数字を見ていて、これからこういう世界に入っていくのかと、得体の知れない不安を感じていたんです。でも、そのひと言で霧が晴れた感じがしました。数字には必ず裏付けられたストーリーがある。その理解が、一気に深まりましたね。
森:「森を見る」ことの大切さは、基礎クラスだからこそ一番強調したいポイントです。数字の細部に入る前に、まずその会社がどんなお客さまに何の価値を提供しているかを考える。そこから入ることで、数字の意味がまったく変わってきますから。
クラスメートとの学びが、最高の教材
同じ財務諸表を見ても、見えるものが違う
森:学びは教員からだけではありません。クラスメイト同士の学び合いも、グロービスの授業の大切な要素です。グループワークや勉強会で印象に残っていることがあれば、ぜひ聞かせてください。
岡田さん:ひとつは、企業名当てクイズです。6社の財務諸表が社名を伏せた形で提示されて、「この財務諸表はどの会社のものか」をグループで話し合うのですが、業界の特性や企業の特徴をスパッと言い当てる方がいて、驚きました。超初心者の私からすると、なぜそこから分かるのか。それと同時に、自分もこう読めるようになれるかもしれないという期待が、その瞬間に芽生えたんです。
もうひとつは、柏木さんが立ち上げてくれた勉強会です。オンラインで画面に数字やプロセスが映し出されると、いろんな意見がすごいスピード感で形になっていく。その場の熱量がとても印象的でした。勉強会を通じてツールの使い方まで広がって、本当に収穫が多かったですね。
森:アカウンティングのクラスって、オンライン勉強会との相性がとてもよいですよね。数字を画面共有したり、いろんな会社の決算書を比較したりしながら、どのようなプロセスで分析し、表計算ソフトを操作し、その結果から解釈を導いているのか、といった様子をお互いに見ることができますからね。
予測と現実のズレに、経営者の意思があった
柏木さん:勉強会はとても印象に残っています。みんな積極的で、毎回テーマを決めて開催することが多かったんです。
とくに印象に残っているのは、好きな企業を1社選んで過去の業績を調べ、翌年の財務諸表を予測して作り、実際の結果と答え合わせをするという勉強会です。私はトレンドの数字をもとに予測を立てたんですが、現実には利益率も売上の伸びも自分の予測とズレていた。そのズレを見たとき、ここに企業の意思や工夫、施策が反映されているんだと、手を動かしながら腹に落ちる瞬間がありました。
さらに、予測を立てようとすると数字だけ見ていてもしょうがないので、みんなでIRサイトを開いて「この会社ってこんなビジネスもやってるんだ」とワイワイ言いながら調べる。さまざまな業界の人が集まるグロービスならではの醍醐味が、勉強会でも存分に発揮されていました。
森:実在する会社の予測財務諸表を作って答え合わせまでやるというのは、なかなかできることではありません。まずお作法を学んで、財務諸表を作れるようになる。でもそれだけだと「お作法通りにやりました」で終わってしまう。現実との差分にこそ、経営者の意思や社員の必死の努力が宿っている。予測財務諸表って、実は非常に面白いものなんですよね。
数字の先に、ビジネスのストーリーが見えてくる
森:アカウンティングと聞くと、「数字が苦手で……」「自分は財務・経理の仕事じゃないから」とおっしゃる方がほとんどです。そんな不安を感じている方、苦手だと思い込んでいる方に向けて、メッセージをいただけますか。
柏木さん:まず、大丈夫です。安心してください。このクラスに集まる方のほとんどが、なんとなく苦手意識を持って入ってきます。勉強会でも、同じように不安を抱えた仲間が集まって、助け合いながら学び合える。たくさんの仲間を作れる場としても、このクラスはとてもよい機会だと思います。
それから、「数字は自分に関係ない」と思っている方も多いと思いますが、実はそんなことはありません。毎日買い物をして、働いてお給料をもらっている。自分が仕事をした結果が、会社の売上や費用に必ずつながっている。それが分かるようになると、世界が広がる感覚がありますし、仕事のやりがいにもつながります。数字を理解して損はないと思います。
岡田さん:受講してみて、本当に身になったと感じています。2つお伝えしたいことがあります。ひとつは、数字は世界共通の言語だということです。財務諸表は、単位こそ円・ドル・ユーロと違いますが、構成している要素は世界共通です。それが読めるようになるだけで、この学びは十分に実りがあると思います。
もうひとつは、数字はあくまでも結果であり、未来を予測するための素材に過ぎないということです。大切なのは、その数字にたどり着くまでに企業がどんな活動をしてきたかという定性的な部分も深く考えること。未来を予測するとき、どんなストーリーや戦略を描くか。いくつものストーリーを立てて考え、アウトプットしていく。この思考の訓練は、学びの場だけでなく実践でも極めて役に立ちます。「ストーリーがどう数字に現れるか」という視点で学ぶと、きっと楽しくなると思います。
森:お二人が話してくれた通りです。苦手意識を持つ必要はまったくありません。よく聞くのが「計算がたくさんあるのでは」という不安ですが、そんなことはない。計算はExcelがやってくれます。大切なのは、その数字を皆さんがどう受け止めて、どんな価値を、どんな世の中を作りにいくか。そのためにアカウンティングを学ぶということです。
学ぶ過程も、その先に広がる世界も、本当にエキサイティングです。ぜひ前向きな気持ちで、アカウンティングの世界に飛び込んできてほしいと思います。
編集後記
「数字が苦手」「経理の仕事じゃないから関係ない」——そう思っている方こそ、読んでほしい取材でした。
お二人に共通していたのは、アカウンティングを学んだことで「数字の計算ができるようになった」のではなく、「数字の向こうにあるものが見えるようになった」という変化です。財務諸表の数字は、企業の意思決定の積み重ねであり、経営者や社員の行動の結果でもある。その視点を持つことで、仕事の景色がまったく変わる。お二人の言葉は、そのことを教えてくれました。
アカウンティングは、財務・経理の専門家だけのものではありません。営業でも、コンサルタントでも、どんな職種であっても、数字でビジネスを捉える力は武器になる。この記事が、「自分には関係ない」という思い込みを手放すきっかけになれば嬉しく思います。
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