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投稿日:2025年12月05日

投稿日:2025年12月05日

【後編】45歳からのキャリアプランニング――変化を味方にするための「学びを実践に変える力」

後藤 宗明氏
一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ 代表理事 チーフ・リスキリング・オフィサー
SkyHive by Cornerstone 日本事業担当
津田 恵氏
株式会社日立製作所 理事/グループ環境本部長 兼 グループサステナビリティ本部長
林 恭子
グロービス経営大学院 教員
筑波大学大学院ビジネス科学研究科博士課程前期 修了
筑波大学大学院人文社会ビジネス科学学術院 ビジネス科学研究群 経営学学位プログラム 博士後期課程 修了
学位:Ph.D(経営学)/ MBA
45歳からのキャリアプランニング――変化を味方にするための「学びを実践に変える力」

2025年度より新たに開講された「テクノベートMBA(TMBA)」「エグゼクティブMBA(EMBA)」のスタートを記念し、グロービス経営大学院にて特別セミナーを開催しました。前編では、AI時代のキャリアにおいてなぜリスキリングが重要なのか、後藤宗明氏の講演をもとにその本質を探りました。

後編では、グロービス経営大学院の教員・林恭子氏をファシリテーターに迎えたパネルディスカッションの模様をお届けします。キャリアの“折り返し地点”に立ったビジネスパーソンが直面する課題や不安。それをどう乗り越え、「学びを実践に変える力」を育んでいけるのか──。リスキリング、ロンジェビティ、そして「問いを立てる力」など、多面的な視点から、キャリアと人生のアップデートを図る実践知が語られました。

本記事では、後藤氏の講演内容を一部抜粋し、これからのキャリアを再構築しようとするミドル世代に向けたヒントをお届けします。

※動画でご覧になりたい方はこちら

ミドル世代のキャリアに必要な「変化への視点」

キャリアの「折り返し地点」で直面する3つの課題

:皆さまこんばんは。グロービス経営大学院教員の林と申します。今回のテーマは「45歳からのキャリアプランニング」ですが、実は私たち3人とも50代に入り、社会人としてのキャリアも30年を超えました。時代の大きな変化を経ながら、それぞれの意思決定や転機を乗り越えてきた背景を持っています。

今日セミナーにご参加いただいている皆さんも、同じように「これからのキャリアをどう描くか」を模索している方が多いのではないでしょうか。中には、表立っては言わないけれど、キャリアに対して不安や迷いを抱えているという方もいらっしゃるかもしれません。

だからこそ本日は、皆さんにとって少しでもリアルに想像ができるような、実践的かつ等身大のヒントを届けられたらと思っています。

ミドル世代のキャリアに必要な「変化への視点」

:それでは、まずは後藤さんにお伺いします。先ほどの講演では多くの示唆をいただきましたが、改めて、今の40代以上のビジネスパーソンが直面している最も大きな課題や変化には、どのようなものがあるとお感じでしょうか。

後藤:こういったテーマでは話が拡散しがちなので、少しまとめてきたのですが、私は今、日本全国を飛び回ってリスキリングの現場に関わっています。地方自治体の政策支援も行っておりまして、現在、47都道府県のうち24自治体でリスキリング政策の設計支援を行っているところです。そうした現場にいる中で強く感じるのは、大きく3つの課題です。

まず1つ目は、外部環境の変化を正しく知らないことです。これは日本語の壁もありますし、日本国内にいると海外の動きを体系的に捉えるのが難しい現実があります。そのため、テクノロジーや経済の構造変化がどのように起きているかということを、ミドル世代が十分にキャッチアップできていないと感じています。

2つ目は、それに連動して、変化への準備ができていないことです。情報が不足しているので、そもそも何に備えるべきかが分からない。この2つはつながっています。

そして3つ目が、私自身の経験でもあるのですが、「会社や社会の評価を鵜呑みにしすぎていないか」ということです。つまり、自分が今いる職場での評価を、そのまま自分自身の市場価値だと誤解してしまう。日本人は真面目なので、「評価されない=自分に価値がない」と思いがちです。私も40代の頃、自己評価がどんどん下がっていた時期がありました。

「変化し続けること」こそ、自分の価値になる

:ありがとうございます。本当におっしゃる通りで、とくにこの数年は地政学リスクも含めて外部環境の変化が激しく、企業の経営環境も複雑化しています。そんな中で、自分をどう客観的に捉え直すかというのは、簡単なようでいてすごく難しいテーマですよね。

そんな中で40代以上のビジネスパーソンにとって、「改めて、なぜ自己変革が重要なのか」、そして「変化し続ける自分でいるためには何が必要か」を教えていただけますか。

後藤:自己変革がなぜ重要なのか。正直に申し上げて、これは私自身が日本と海外を行き来しながら働いている今だからこそ、強く感じていることがあります。それは、日本社会では“年齢差別”が、ある意味で当たり前のものとして受け入れられてしまっているということです。例えば、年齢を理由とした早期退職の制度が導入されても、「まあそういうものだよね」と、誰も大きな声で異議を唱えない。そういった空気があります。

だからこそ、年を重ねて、何もせずに待っていても、よいことなんて何ひとつ起きない。自分の側から変化を仕掛けなければ、何も始まらない。私自身、現在54歳です。昨日ニューヨークから帰国して、身体はまだ時差ボケの中にあります。でも、見ていただければ分かるように、今こうして話している私はギラギラしていると思いませんか(笑)

それは、「自分のミッション」として、海外で見聞きした最新の動きを日本の皆さんに届けたいと思っているからです。つまり、自分自身が変わり続けることにこそ、自分の価値があると信じている。それが、今の私の原動力になっています。

後藤:では、どうすれば“変化し続ける自分”でいられるのか。これは「リスキリング」と「ロンジェビティ」が鍵になると思っています。

私自身、40代半ばで暴飲暴食を続け、心身のバランスを崩しました。そこから健康を見直し、「健全な肉体に健全な精神が宿る」という言葉の重みを、身をもって感じるようになりました。ロンジェビティ・プログラムで心身の状態が回復すると、不思議と「もっと挑戦できるかもしれない」と思えるようになったのです。

そしてもうひとつ。今、日本で本気でリスキリングに取り組んでいる人は、私の感覚ではまだ1〜2割程度です。ただし、取り組めていない8割の人が怠けているかというと、そうではありません。身体やメンタルの不安から“変化する準備”が整っていないだけなのです。

だからこそ、スキルの習得と健康の維持、この両輪を回すことが“変わり続けられる自分”を支える基盤になると私は考えています。

正解志向を手放し、「学び続ける力」を身に付ける

:ありがとうございます。年齢による一律の線引きが、いまだに制度として存在しているのが日本の現状ですよね。定年制度がこんなに明確にある先進国は、実はほとんどありません。暫く前から「Age Discrimination(年齢差別)」という概念が国際的に注目され、年齢ではなく個人の能力や意欲を基準にしようという流れが進んでいます。だからこそ「役職定年って何?」という感覚が世界では当たり前ですよね。

正解志向を手放し、「学び続ける力」を身に付ける

後藤:本当に、とんでもない話ですよね。

:ですよね。先ほどのお話でも印象的だったのが、「未来を予測する最も手っ取り早い方法は、自分が未来をつくること」という考え方。後藤さんのご著書でもたしか書かれていましたが、改めてご紹介いただけますか?

後藤:正確な表現はちょっと忘れてしまったのですが、「未来を予測する一番の近道は、自分が未来をつくることだ」という言葉があります。まさに、その通りだと実感しています。

:とても大切な視点ですね。考えてみれば、自分自身は“資本”でもあるんですよね。今「人的資本投資」が注目されていますが、自分という資本にどう投資するか。それが学びであり、健康であり、ネットワーク構築でもあるわけで、経営者の視点で自分を捉えれば、ごく自然な行動になるはずだと感じました。

後藤:まさにその通りだと思います。

:ありがとうございます。では最後のご質問です。社会に必要とされ続ける存在であるために、今日ご参加いただいているビジネスリーダーの皆さんに、これからどのような力が求められてくるのか。改めて教えてください。

後藤:皆さんの中で、これまで小学校、中学校、高校、大学と、学級委員や生徒会など、何かしら“模範的なリーダー役”を担った経験がある方、どれくらいいらっしゃいますか?こういった場で聞くと、かなり多くの方が手を挙げるんですよ。実は私もそうです。

この問いを投げかけた理由は、このAI時代において、一番リスクになり得るのが「正解志向」だからです。とくに、小さい頃から求められる答えを出すことで評価され、それをリーダーとして実践してきた方にとっては、この正解志向が逆に足枷になる可能性がある。

私自身、それに途中で気付いて、道を少し“外れて”きました。その経験が、先の見えない時代を生き抜く“ストリートスマート”的な感覚につながっていると思っています。だからまずは、「正解志向を手放すこと」。これが、これからのリーダーにとっては非常に重要です。

そしてもうひとつが、「自らを変革し続ける力」。私はそれを「リスキリングし続けるスキル」と呼んでいます。30代ではグローバル分野のスキル、40代ではデジタル領域、そして今、50代ではロンジェビティ分野のスキル習得に取り組んでいます。自分のスキルを磨き続け、変わり続ける。それこそが、社会に必要とされ続けるリーダーの条件だと思います。

:ありがとうございます。「正解志向があだになる」というご指摘、本当にその通りですよね。正解を探して、ただ口を開けて待っていたら誰かが答えを入れてくれる。そんな姿勢では、これからの時代は立ち行かなくなる。やはり、自分で問いを立て、課題を見つけて考えていくという、クリティカル・シンキング的な思考が求められる時代です。

そしてもうひとつ印象に残ったのが、「自らをリスキリングし続けるスキル」という考え方。これは、オックスフォード大学の研究グループが発表したレポートでも語られていました。働く人が2030年を生き抜くために必要なスキルの第1位が「ラーニング・ストラテジー(戦略的学習」だったんです。まさに、“学ぶ力”こそがこれから最も重要だと位置づけられているんですね。

“ノープラン”から始まった学び直しと転職の道のり

学ぶことで見つかった「人生をかけてやりたいこと」

:やっぱり戦略的に学んで自らをアップデートしていけることが、変化の激しい時代には本当に重要ですね。DXやAIだけじゃなく、これからも新たなテクノロジーや社会変化は次々とやってくる。でも、学び続ける力さえ備わっていれば、柔軟にアップデートし続けられる。もしかしたら、最強のスキルかもしれません。

さて、お待たせしました。ここからは津田さんに、たっぷりとお話を伺いたいと思います。まさに今日のテーマである「45歳からのキャリアプランニング」を体現されてきたそうですね。改めて、そのご体験を聞かせてください。40代でどのようにキャリアを見直し、どんな意思決定をされたのでしょうか。

津田:皆さん、こんばんは。私自身、今回のテーマはまさにど真ん中で、45歳のときに初めてグロービスの門を叩きました。それまでほとんどノープランで歩んできた人生でしたが、振り返って明確に意思決定したターニングポイントが2つあります。

私は新卒から約30年、同じエネルギー企業に勤めていました。前半の15年ほどは、自分の“パーソナルパワー”を活かして、英語力、交渉力、コミュニケーション力を武器に働いてきました。ところが、後半は女性活躍推進の流れもあり、未経験の分野での管理職を次々と任されるようになります。

最初はIR部長、次はCSR・環境部長(サステナビリティ部門)、その後はイノベーション担当へ。どれも経験ゼロの状態から、いきなり部門長としてアサインされたわけです。リーダーとして結果を出すには、ポジションパワーに頼るのではなく、リレーションパワーを最大限に活かして人を巻き込み、学びながら動いていく必要がありました。

そんなとき、IR部長として仕事を進める中で「財務の知識が圧倒的に足りない」と感じて、自ら調べて見つけたのがグロービスでした。最初は「経営者視点で財務を学べる」という噂を聞いて、ちょっと覗きに行った程度だったのですが、受講を重ねるうちにどんどん学ぶ面白さに引き込まれて……気が付いたら大学院(本科)に入学していました。

当初の目的だった財務を理解しようとするとマーケティングが必要で、マーケティングを理解しようとすると今度は人や組織のことが分からないといけない。そうやって芋づる式に学びを広げていくうちに、自然と体系的な経営知識が身に付いていきました。

そして、学びを広げる中で「自分が人生をかけてやりたいこと」に出会ってしまったんです。結果、入社から30年勤めた会社を離れ、志をベースに転職を決断。今の会社(日立製作所)で働き始めて、もうすぐ4年目になります。

もちろん最初は「転職なんてとんでもない」と思っていました。グロービスに通い始めた当時の上司に「転職するのか?」と聞かれたときは「何を言ってるんだろう」と本気で思いました。でも、学びを通じて志と向き合い、自分をアップデートしていった結果、自然と道が開けていったのだと思います。

「人生の正午」に考える問い

:ありがとうございます。今のお話、まさにキャリア論の文脈でも語られる「キャリアドリフト」という考え方に通じますね。これは元神戸大学の金井壽宏先生が提唱されていた言葉で、「キャリアは完全に計画どおりに歩むものではない、良い意味で“流れに身を任せること”も必要だ」という考え方です。

そしてもちろん、流されるだけではなく、「大事な節目にはしっかりと自分の手でハンドルを握り、キャリアの舵を取る」ことがセットになる、というのがこの言葉の意味です。まさに津田さんが長く同じ会社に勤め、学び直しを経て転職されるまでの道のりは、「ドリフトしつつ節目ではしっかりと決断する」というキャリアの実践例だと感じました。

また、仕事で新しい領域を任されるたびに「まず学ばなければ」と財務や会計から学び直しを始められたというのは、まさにリスキリングの実践でもありますよね。しかも、学びを進める中で、「財務を理解するにはマーケティングも必要」「マーケティングを学ぶには人間理解が必要」と、自ら学びの幅を広げていかれたというお話も印象的でした。

:もうひとつ感じたのが、「人生の正午」という考え方です。心理学者ユングが語った概念で、人生の折り返し地点。つまり太陽が最も高い昼を過ぎ、夕方へと向かうことに気づいたタイミングで、ああ、そうか、自分はこれから暮れて行くのか。自分は残りの人生をどう生きていくべきなのだろう」と内省が始まるというものです。

体力も少しずつ落ち始め、先を見通したときに、「残りの時間を何に使うのか」「私は何のために生きているのか」と、ふと立ち止まって考え込んでしまう。多くの人が経験する普遍的なテーマです。津田さんにとっては、その「人生の正午」がまさにグロービスでの学びの時期と重なったのではないでしょうか。

津田:おっしゃる通りで、私にとっての「人生の正午」は46歳でした。

その頃、介護していた母が亡くなったんです。人の死というものをすごくリアルに目の当たりにした瞬間でした。そしてちょうど同じ時期、グロービスでは「自分は人生をかけて何を成し遂げたいか」を考えるフェーズに差し掛かっていて……。死と向き合いながら、まさに「どう生きるか」を突きつけられるような経験をしていました。

その少し前から私は部長職に就いていましたが、当時は「失敗してはいけない」「うまくやらなければ」という思いばかりが先行して、小さくまとまってしまっていたんです。変革が求められる立場にいながら、守りに入っていた。だからか、なぜか評価も思うようについてこなかった。そんな中で「私はこのままでいいのか」「この働き方、この生き方で本当にいいのか」と、さまざまな問いが一気に押し寄せてきたのが46歳の時でした。

学びを通して、自分自身の葛藤や問いと真正面から向き合う

:津田さんはグロービスでの2年間で、さまざまな学びや気付きを得られたとのことですが、その後のキャリアや人生に影響を与えた体験があれば、ぜひ教えてください。

津田:もともと私は、グロービスでの学びを通じて「自分の仕事の答え合わせ」をしていた感覚がありました。

「あのときプロジェクトが上手くいかなかったのは、こういう理論を知らなかったからか」といった具合に、これまでの経験を振り返りながら、自分なりに納得を積み上げていったんです。でも、ひとつだけどうしても答えが見つからなかった問いがありました。

それが「女性がリーダーであるとはどういうことなのか?」ということです。

当時、社内にロールモデルと呼べるような女性リーダーがいなかったこともあり、私は必要以上にプレッシャーを感じていました。勝手に「強くなければいけない」「毅然としていなければいけない」と思い込み、今振り返れば相当迷走していました。

でも、グロービスでの学びが私を支えてくれました。例えば、「研究・起業プロジェクト」の授業では、「女性の能力と経験の関係性」について文献を読み込んで考察したり、「ベンチャー戦略プランニング」の授業では「女性を支援するビジネスは成り立つか」というテーマで議論をしたり。自分自身の葛藤や問いと真正面から向き合える時間があったんです。

また、周囲の仲間たちとこれまでの経験を率直に語り合う中で、「こういうことに悩んでいるのは私だけじゃない」「女性であることをリーダーシップにどう活かすかは、もっと自由であっていい」と思えるようになっていきました。

その中で、最終的に私が辿り着いたのは、「大企業の意思決定層にもっと多様な人材が必要だ」という確信でした。これは私個人の感覚ではなく、構造的な課題であり、社会的なテーマなんだと理解できたんです。

この気付きが、自分が何を成し遂げたいのかをはっきりさせてくれましたし、その後のキャリアの選択にも大きく影響したと思います。

「変化が当たり前の時代」にキャリアを面白くするには?

「好き」「得意」「社会の役に立つ」が重なる場所を見つける

林:津田さんの今のお話を聞きながら、さっき後藤さんがおっしゃっていた「学際的なつながりの中から大事なものが見えてくる」という話にも通じるものがあるなと思いました。

もともと財務のスキルだけを学ぶつもりでグロービスに来られたのに、さまざまな授業を通して気付きが広がっていく。ご自身は起業家ではないけれど、ベンチャー系の授業も受けてみて、そこから得た視点がその後のキャリアを形作っていく。まさに、点がつながってストーリーになるという体験だったのだと感じました。

林:では、ここからはお二人に共通の質問をさせてください。

私たち40代以上のビジネスパーソンは、若い時は「会社で真面目に働いているだけで、成長し評価されてきた」世代かもしれません。でも、役職が上がるにつれ、同じ会社や同じ部署にいるとしても、過去と同じことを磨くだけでは通用しなくなる。新しいインプットや新しい視座がないと役に立たなくなっていく。加えて、更に外部環境の変化も速く、激しくなっている。とくに今はDXはおろか、AIXも迫る。役割の変化に、テクノロジーの進化、地政学的な変化やリスクも掛け合わさり、40代以上の我々に求められるものがどんどん変わってきそうですよね。

こうした「変化の掛け算」が求められる時代に、自分のキャリアを考えることは、正直しんどいことでもあると思います。不安や恐れが大きくなっても不思議ではない。

そんな時代だからこそ、自分自身のキャリアを「面白いもの」「ポジティブなもの」として捉え直すには、どんな考え方やスタンスが大事だと思われますか。

後藤:海外出張中に、自分でもハッと気付いたことがあります。それは「自分の好きなこと、得意なことから社会課題を見るスコープを持つ」というのが、私の答えです。

「好きなことを仕事にしよう」といった言葉はよく聞きますが、実際に社会課題とつながっているかという視点はあまり持たれていない。例えば「少子高齢化」というテーマ。多くの日本人は、これをネガティブに受け止めがちですし、メディアの報道もどちらかといえば不安を煽るトーンが強いですよね。

でも、先日ニューヨークで開催されたロンジェビティ関連の国際会議に参加した際、日本の少子高齢化に対する評価がまるで違っていたんです。「なぜ日本人の高齢者は生きがいを持って、こんなに元気に働いているのか?」「これからのヒントは日本にある」と。

そのとき、改めて思ったんです。自分自身、今「リスキリング」や「ロンジェビティ」に取り組んでいますが、それは単に社会課題だからというよりも、自分の好きなテーマや得意な視点から、自然に向き合ってきたものだったんだなと。

というのも、私は昔から海外での新しい動きに興味があり、それを日本に伝えたいという思いがありました。日本の企業社会には少しフィットしない(笑) 自分だからこそ、“外”と“中”の橋渡しのような役割が向いていた。今まさに、海外での知見を持ち帰ってリスキリングを伝えるというのは、自分にとって自然なキャリアの形なんです。

さらに言うと、40代の頃は本当にいっぱいいっぱいで、生きるのに必死でした。体調も崩し、うつも経験して、「このままじゃまずい」と思って、健康や働き方を見直し始めた。それが結果として「ロンジェビティ」という分野に出会うきっかけにもなりました。

だから今、もし自分のキャリアに迷っていたり、これからどう変わっていこうか悩んでいる方がいたら、“自分の好きなこと・得意なことというレンズ”で社会課題を見てみることをおすすめしたいんです。そうすると、ポジティブに向き合えるヒントが見えてくるし、「自分にできること」が輪郭を持ち始める。まずは、自分が気になるテーマや興味のある領域から、社会や未来を見てみる。それが、これからのキャリアの突破口になるかもしれません。

津田:考えていたことが後藤さんと同じでびっくりしました。私も、ポジティブにキャリアを築いていくために大切なのは、「好き」「得意」「社会の役に立つ」という3つが重なる場所を見つけることだと思っています。

例えば、好きで得意なことだけをやっていても、社会に貢献していないと、周囲の応援は得られません。逆に、好きで社会の役に立つことでも、得意でなければ思うような成果は出にくいでしょう。また、得意で社会の役に立つことをやっていても、それが好きでなければ続けるのがだんだんと苦しくなってきます。

この3つがぴたりと重なったところに、自分が本当にやりたいことを据えられたとき、不思議と前向きなエネルギーが湧いてくる。そんな実感があります。だから私も、後藤さんの意見に完全同意です。

林:お二人のご意見が見事に重なりましたね。これから残りの人生の時間をどこに使うかという視点で考えたとき、自分が楽しく、手応えを持てることに取り組むのはとても大切です。その上で、新しいスキルやテーマに接続していけば、キャリアの幅や可能性も自然と広がっていくはずです。

どのように「リスキリング」を実践すべきか

主観に頼らない「強み」の探し方

林:ここで、参加者の皆さんから寄せられた質問の中から、多かった声を取り上げたいと思います。まずは「自分の強みをどうやって見つけましたか?」という質問です。背景としては、現在グロービスに通いながらも、自分に自信が持てない、会社の事業と直結するような専門性もまだ見つかっていない、だからこそ今、自分の強みを探しているとのこと。

これは多くの方に共通する悩みかもしれません。津田さんと後藤さん、それぞれどのようにご自身の強みを見つけられたのか、教えていただけますか。

津田:私は「ストレングス・ファインダー」というフレームワークを活用しました。34の資質から自分の強みを可視化するツールなんですが、特に上位5つは、自分が自然に発揮できる力だと思っていて、そこを大切にしています。逆に、苦手なことは無理に克服しようとせず、「周りの力を借りる」と割り切るようにしています。

今では、自分の組織メンバー全員のストレングス・ファインダーの結果を一覧で管理していて、「このタスクはこの人に頼もう」とか、「この2人に組んでもらったらよい化学反応が起こりそう」といった具合に、お互いの強みを活かすチームマネジメントをしています。

後藤:私の場合は、「苦手なことを明確に切り捨てたこと」が、結果的に強みに磨きをかけたと思っています。新卒で銀行に入ったんですが、入社してすぐに気付いたんです。「自分はオペレーション業務や定型タスクが本当に苦手だ」と。そこで、自分はこのフィールドでは戦えないと感じて、営業職に舵を切りました。

営業ではそれなりに成果を出していたんですが、あるとき上司がこう言ってくれたんです。「営業スキルもいいけど、君のすごいところは、最後まで徹底的に調べる姿勢だ」と。その言葉が、自分の強みを客観的に認識する大きなきっかけになりました。

今は海外のリスキリング関連情報を膨大に調べていますが、それもこの「調べる力」がベースにあります。だから、強みというのは意外と“自分では気付けない”ことが多いんです。

実際、私がよく実施しているワークショップに「スキルの言い合いっこ」というものがあります。例えば、普段あまり仲のよくない部署同士でお互いの“すごいところ”をフィードバックし合うと、「そんなふうに思ってくれていたのか」と新たな発見があるんですね。

自分の強みは、自分で見つけようと頑張るよりも、周囲との対話の中で“言われて気付く”ことの方が多い。 ぜひ他者との関わりを通じて、自分では当たり前だと思っていた力が、実は大きな強みだと気付く機会をつくってみてください。それだけでも、自己肯定感はぐっと上がるはずです。

林:津田さんはツールを使って、後藤さんは他人の言葉から、自分では気付かなかった資質を発見されていますよね。自分の主観だけで強みを見つけようとせず、客観的なツールや他者の視点をうまく取り入れる。これは、強み探しに悩んでいる方にとって大きなヒントになるのではないでしょうか。

ミッドライフクライシスは「誰にでも起こる通過点」

林:では、次の質問に移ります。参加者の方から多く届いたテーマなのですが、「ミッドライフクライシスはありましたか。どう乗り越えましたか」というものです。「子どもには反抗され、会社では管理職として“使われているだけ”なのではと悩む」「今まさにその時期にいる気がする」という切実なコメントも届いています。お二人はいかがでしょうか。

後藤:当時は自覚していなかったんですが、振り返れば完全にミッドライフクライシスでした。40代半ばから、「もう社会に必要とされていない」と本気で思い込んでしまい、とにかくネガティブ一色でした。会社での評価も低く、“使えないおじさん”のように扱われていた時期もあります。

象徴的だったのが、フリーアドレスの職場での出来事です。出社したら、いつも自分が座っている場所に別の社員が座っていたんですね。もちろん制度上は当たり前のことなんですが、その瞬間「ついに自分の居場所すら無くなった」と感じて、ガクッと気持ちが落ち込みました。今思えば、全てをネガティブに受け止めるミッドライフクライシスの真っただ中にいたんだと思います。

体の変化も追い打ちをかけました。四十肩・五十肩になった方は共感していただけるかもしれませんが、夜眠れないほど痛いんですよ。体力の衰えはそのままメンタルにも響きます。

ただ、肩の痛みが治りはじめた頃から気持ちもようやく晴れて、「まだ自分は変われる」と思えるようになりました。さらに今は、ロンジェビティ分野の知見もあって、生物学的年齢(バイオロジカル・クロック)を若返らせる研究が進んでいます。私自身、実年齢は54歳ですが、生物学的年齢は45歳。血管年齢など、9歳分若返っています。

年齢をただ受け入れるのではなく、「逆行させる」という発想もあり得る。ミッドライフクライシスに直面している方には、その可能性もぜひ知っていただきたいと思っています。

津田:この質問をしてくださった方、本当に大変な状況なのだと思います。人生って決して上手くいくことばかりではないですよね。私自身も転職をして、30年慣れ親しんだ大阪を離れて東京に来た直後、次々と試練が続きました。

まず、突然目が見えにくくなり、転職後に5回も手術を受けました。視界が不安定だと日常生活にも支障が出て、転んで骨折もしました。会社に行っても、知っている人が誰もいない環境。助けてくれる人も最初はいませんでした。仕事も上手く回らず、毎日落ち込むことばかりでした。そんなときは必ず、自分に「私は、なぜこの決断をしたのか」 「思い描いている世界に1ミリでも近づけているだろうか」と問い直すようにしていました。

そして不思議なことに、振り返ると必ず“1ミリ”くらいは前に進んでいる。たとえ小さくても、自分が望んだ方向に進めていると感じられると、また明日から頑張れるんです。

「実践する場をつくる」ことがリスキリングの鍵

林:リスキリングや学びの重要性は理解している。ただ、せっかく知識を得ても、それを実際に使う場がなければスキルとして定着しにくい。自分でアウトプットできているかどうかも分からず、成果が実感しづらい。そんな悩みを抱える方も多いようです。

会社で評価されることが満足感につながる場合もあるけれど、そうでないとき、学びが活きているという手応えはどこで得られるのか。お二人はどうお考えでしょうか。

津田:ありますよね。自分ができていないのでは、と感じてしまう“思い込み”も多いと思います。いわゆるインポスター症候群(自身の成功や能力を認められず、自身の能力や成果を過小評価してしまう心理状態)のように、自信が持てなくなっているケースも……。

そうしたときに私が意識しているのは、フィードバックを積極的にもらうことです。落ち込んだときほど、「私の良いところを教えてください」と素直に頼んでしまいますね。先ほども話に出ましたが、自分が思っている「できていない」が、他人から見れば「できている」ということもよくあるんです。なので、客観的に見直すことが第一歩だと思います。

後藤:これは、日本のリスキリングにおける大きな課題だと感じています。私は「学びっぱなし問題」と呼んでいるんですが、背景には「リスキリング=学び直し」という和訳の浸透があります。これはもともと、メディアが広めた表現なんですが、実際には誤解を生みやすい。

リスキリングは本来、学び直すことではなくて「新しいスキルを獲得する」ことを意味します。つまり、新しい知識を得るだけじゃなくて、それを実践してはじめてスキルになるんですよね。だから、知識だけを蓄えていても、それを使わなければ“リスキル”にはならない。

ただ現実には、今の日本の働く環境の中で、それを実際に使う場がないという人も多い。そこが一番のハードルです。じゃあどうするかというと、やっぱり自分から実践の場を取りにいくということが大事になってきます。

例えば、副業や兼業を通じて、今の仕事とは違うフィールドで自分のスキルを試してみるとか。あるいは、同じ会社の中でも、配置転換や“社内副業”のような形で新しい経験を積めることもあると思います。それが難しければ、週末や夜の時間を使って、ボランティア活動に参加するという方法もありますよね。私も参加したことがあるのですが、例えば「英語を教える代わりにプログラミングを教えてもらう」みたいな、スキルの物々交換のようなコミュニティも今はオンライン上に結構あります。

要は、与えられるのを待つのではなく、自分から“実践する場”をつくっていくこと。それが、リスキリングを本当の意味で機能させる鍵だと思います。

:自分では「何も成長できていない」「学んでばかりで実践が伴っていない」と感じることもあるかもしれません。でも、そういう時こそ、他の人の目を借りて客観的に見てもらうことが大切です。実際には、周囲からは違うふうに見えているかもしれませんよね。

また、学んだことを活かすには、やはり自分から動いていくことが何より大事です。副業や兼業に挑戦してみるのもいいですし、人と教え合うのも効果的です。「教える」という行為は、学んだことを一番自分の中に定着させる方法とも言われています。そうしたアウトプットの機会を、積極的につくっていく。ぜひ、意識して取り組んでいただければと思います。

変化に向き合いながら、自らをアップデートし続ける

:最後に、ご参加の皆さまがこれからより充実したキャリア、そして人生を歩んでいくためのメッセージを、お二人からいただければと思います。

津田:皆さんに最後にお伝えしたいのは、迷ったときこそ「難しい方を選ぶ」ということです。「なんとなく避けたいな」と感じる方向に、意外と大きな学びや成長の機会が隠れていることがあります。そうしたチャレンジを通して、コンフォートゾーンの外に出ることで、新たな実践のチャンスも得られていくのだと思います。

つらいこともあるかもしれませんが、そうした道の先にこそ得難い経験があると信じています。ともに頑張っていきましょう。本日はありがとうございました。

後藤:最後に、今日伝えきれなかったことをひとつお話しさせてください。皆さん、ご自身が勤めている会社の社長や役員の顔を思い浮かべてみてください。その中で、「うちの社長、あるいは役員は、リスキリングを常に続けている」と感じる方は、どのくらいいらっしゃるでしょうか。……たぶん、あまり多くはないのではないかと思います。

だからこそ、これからのリーダーには変化に適応し、自らをアップデートし続ける姿勢が求められています。変化が激しい今の時代において、リーダーには、未来を先取りしながら先手を打つ力が必要です。そして、起こりうる変化をいくつかのシナリオとして描き、状況に応じて柔軟に行動を修正していく力も求められます。さらに、そのような変化の中でも、迷いながらでも人を導いていく覚悟と姿勢も欠かせません。

このセミナーにご参加されている皆さんは、まさにこれからの時代を担うリーダー候補だと思っています。ぜひ、変化に向き合いながら、自らをアップデートし続ける存在であり続けてほしいと思います。本日はありがとうございました。

:お二人とも、本当にありがとうございました。

体験クラス&説明会日程

体験クラスでは、グロービスの授業内容や雰囲気をご確認いただけます。また、同時開催の説明会では、実際の授業で使う教材(ケースやテキスト、参考書)や忙しい社会人でも学び続けられる各種制度、活躍する卒業生のご紹介など、パンフレットやWEBサイトでは伝えきれないグロービスの特徴をご紹介します。

「体験クラス&説明会」にぜひお気軽にご参加ください。

STEP.1参加方法をお選びください

ご希望の受講形式と同じ形式での参加をおすすめしています。

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絞り込み条件:

  • 12/20(土) 14:00~16:00

    体験クラス&説明会

    開催:オンライン(Zoom開催)
    本科(MBA)への進学を検討している方・進学を視野に単科で1科目から学び始めたい方向け

  • 1/8(木) 19:30~21:30

    体験クラス&説明会

    開催:オンライン(Zoom開催)
    本科(MBA)への進学を検討している方・進学を視野に単科で1科目から学び始めたい方向け
    ※開講間近のため、ご案内できる1月期クラスの日程が限られます。1月期検討の方はなるべく早い日程の「体験クラス&説明会」にご参加ください。

該当する体験クラス&説明会はありませんでした。

※参加費は無料。

※日程の合わない方、過去に「体験クラス&説明会」に参加済みの方、グロービスでの受講経験をお持ちの方は、個別相談をご利用ください。

※会社派遣での受講を検討されている方の参加はご遠慮いただいております。貴社派遣担当者の方にお問い合わせください。

※社員の派遣・研修などを検討されている方の参加もご遠慮いただいております。こちらのサイトよりお問い合わせください。

後藤 宗明氏

一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ 代表理事 チーフ・リスキリング・オフィサー
SkyHive by Cornerstone 日本事業担当

早稲田大学政治経済学部卒業後、1995年に富士銀行(現みずほ銀行)入行。2002年、グローバル人材育成を行うスタートアップをNYにて起業。2011年、米国の社会起業家支援NPOアショカの日本法人設立に尽力。米国フィンテック企業の日本法人代表、通信ベンチャーのグローバル部門役員を経て、アクセンチュアにて人事領域のDXと採用戦略を担当。2021年、日本初のリスキリングに特化した非営利団体、一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立。2022年、AIを利用してスキル可視化を含むリスキリング・プロセス支援を行う米国のSkyHive Technologiesの日本代表に就任。

石川県加賀市「デジタルカレッジKAGA」理事、広島県「リスキリング推進検討協議会/分科会」委員、経済産業省「スキル標準化調査委員会」委員、「日経リスキリングコンソーシアム」ボードメンバー、英Economist誌主催「Economist Impact's Advisory Panel on Green Skills」アドバイザー、山形県 21世紀山形県民会議「DX山形経済再生、コロナの先へ」アドバイザー、リクルートワークス研究所 客員研究員を歴任。日本全国にリスキリングの成果をもたらすべく、政府、自治体向けの政策提言および企業向けのリスキリング導入支援を行う。

インドネシア政府主催「Future Skills Summit2023」、GSMA主催「Mobile World Congressバルセロナ2024」、日本経済新聞社主催「日経リスキリングサミット」では岸田首相との車座対談にも登壇する等、講演多数。また、「クローズアップ現代」「漫画家イエナガの複雑社会を超定義」(NHK)、「ノンストップ!」(フジテレビ)などのテレビ番組でもリスキリング解説を行い、ダイヤモンドオンライン、東洋経済オンライン、プレジデントオンライン、月刊経団連などの媒体などにも寄稿多数。

著書『自分のスキルをアップデートし続ける「リスキリング」』(日本能率協会マネジメントセンター)は「読者が選ぶビジネス書グランプリ2023」イノベーター部門賞を受賞。続編『新しいスキルで自分の未来を創る「リスキリング実践編」』、『中高年リスキリング これからも必要される働き方を手にいれる』(朝日新聞出版)、2025年9月に新著『リスキリング【人材戦略編】』を上梓。

津田 恵氏

株式会社日立製作所 理事/グループ環境本部長 兼 グループサステナビリティ本部長

京都大学教育学部を卒業後、大阪ガス株式会社に入社。海外事業に長年従事した後、IR部長、CSR・環境部長、イノベーション推進部長を務めて退職。2021年株式会社日立製作所入社。2022年4月よりサステナビリティ推進本部長、23年4月より環境も兼務し、日立グループ全社のサステナビリティ・環境の戦略策定と実行をリードしている。プライベートでは、「日本の大企業を変える女性役員を増やす」をモットーに仲間たちと活動を推進中。

2006年ハーバード大学ケネディ―スクールフェロー。2019年グロービス経営大学院卒業。京都府出身。

林 恭子

グロービス経営大学院 教員
筑波大学大学院ビジネス科学研究科博士課程前期 修了
筑波大学大学院人文社会ビジネス科学学術院 ビジネス科学研究群 経営学学位プログラム 博士後期課程 修了
学位:Ph.D(経営学)/ MBA

米系電子機器メーカーのモトローラで、半導体、携帯電話のB2B事業に携わった後、ボストン・コンサルティング・グループへ。HRマネジャーとしてプロフェッショナル・スタッフの採用、能力開発、リテンション・プログラム開発、ウィメンズ・イニシアチブ・コミッティ等、幅広く人材マネジメントを担当。グロービスではマネージングディレクターとして人事を含む管理部門全体を統括し、働きがいのある企業としての各賞の受賞へ。現在は、組織・人事研究グループのリーダーとして教育プログラム開発や、研究・執筆、リーダーシップ、ダイバーシティ、パワーと影響力、キャリア開発、パーパス経営等の領域を中心にグロービス経営大学院での講義、企業研修、講演などを多数務める。

イートアンドホールディングス、萩原電気ホールディングス、及びコーア商事ホールディングス(東証プライム上場)社外取締役。学校法人柳心学園 理事。公益財団法人首藤奨学財団 評議員。経済同友会会員。国際戦略経営研究学会 常任理事。組織学会、産業・組織心理学会、経営行動科学学会員。