GLOBIS Articles

  • テクノロジー
  • イノベーション
  • インタビュー
  • ビジネストレンド
  • テクノベートMBA
  • エグゼクティブMBA

投稿日:2025年02月12日

投稿日:2025年02月12日

TMBA&EMBA 〜ビジネス現場と同じスピードで進化する、2つのMBAプログラム〜

君島 朋子
グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長(日本語MBA)
鈴木 健一
グロービスAI経営教育研究所 所長
桐山 隼人
グロービス経営大学院 教員
TMBA&EMBA 〜ビジネス現場と同じスピードで進化する、2つのMBAプログラム〜

グロービス経営大学院(以下、グロービス)は、これまでの日本語MBAプログラムを2つのトラックに分け、20代・30代の若手を対象としたテクノベートMBA(以下、 TMBA)と、マネジメント層もしくは近しい40代以上を対象としたエグゼクティブMBA(以下、EMBA)を2025年より開講する。2つのトラックそれぞれにどのような狙いがあるのか、どんな人材を社会に輩出したいと願っているのか。研究科長の君島朋子および、2つのトラックにおいてテクノベート※ 領域の科目を担当する鈴木建一氏(グロービスAI経営教育研究所所長)と桐山隼人氏(株式会社サイバーセキュリティクラウド取締役CSO兼CISO)に聞いた。

※テクノベート‥「テクノロジー」と「イノベーション」を組み合わせた造語。グロービスの7つある科目領域のうちの1つで、特に力を入れて科目開発が進められている。

本記事は、情報誌『スタディサプリ社会人大学院 2025年度版』(2024年7月19日発行、リクルート社)に掲載されたインタビューを、一部再編集して転載したものです。

テクノロジーが経営判断を左右する

君島:テクノロジーの影響を受けて、時代の変化の激しさは勢いを増すばかりです。一方、私たちの健康寿命はどんどん延びて人生100年時代、あるいは80年働く時代が来たとも言われています。キャリアが80年近くにわたるということは恐らく、どこかのタイミングでビジネスについて学び直す方が増えると考えています。

鈴木:若手の皆さんには現場のリーダーとして、テクノロジーを駆使したイノベーションを牽引する存在になっていただきたい。そして、実務経験を積まれた40代以上の方々には、テクノロジーを使って解決したいことは何か、産業や企業戦略の意思決定に必要な知見としてテクノロジーを理解していただきたい。どちらの方々も、しっかりとお迎えできるようにしたいという想いから今回、2つのトラックを用意しました。

桐山:若手の皆さんからアイデアが上がったときに、それが理解できないと意思決定そのもののスピードがボトルネックになってしまいます。これからの経営層には、テクノロジーに関する意思決定をご自身で咀嚼して、社内外のステークホルダーに自分の言葉で説明できることも求められています

実装を学ぶより、意思決定のスピードを上げる

君島:とはいえ、私たちはエンジニアの方々をたくさん育てようとしているのではありません。経営層にとって必要なのはあくまでテクノロジーを事業化したり、既存事業をテクノロジーで支え直すためのスキルです。エンジニアの方々と一緒にテクノロジーでビジネスを実現していく経営層、そして現場を引っ張るリーダーを育てたいという意図です。

桐山:日本で初めてインターネットが普及し始めた、1995年頃の状況がいい例だと思います。当時も、インターネット自体の仕組みに詳しい経営層なんてごく僅かでした。でも、インターネットを使えばどんなことが解決するのか、その提供価値については類推できるので、意思決定のスピードが早ければビジネスとして成長できます。ある地点からの情報を誰かに伝えるということで言えば、インターネット以前にも電話の存在がありましたからね。今後も、量子コンピューティングといった新しいテクノロジーが次々に登場すると思われますが、歴史上そのあたりの原理原則はあまり変わっていません。

テクノロジーも“言語”。理系だけの得意分野ではない

鈴木:いま注目されている生成AIも結局、人間がいかに適切な言語で指示ができるか、指示の言語化ができるかっていうことに尽きるんですよね。自分はいわゆる文系でエンジニアじゃないから、テクノロジーは理系の方にお任せしますではなく、文系と理系の得意分野の垣根は既に崩れ始めているんです。だから「テクノロジーを理解すること」をアレルギーに感じず、知見を磨いていただきたいと思います。

君島:企業規模が大きいほど、テクノロジーを活用した新規事業を立ち上げたり既存事業を変革することは、とてもパワーがかかると思われます。しかし、現場から上がってきた提案を経営層がきちんと経営判断できなければ、物事は動きません。テクノロジーを活用したビジネスを創造したり、それを支えたり。お互いの立場から貢献し合えるような人材の育成を目指しています。

ディスカッションを通じて、自分の中での気づきを得る

君島:もちろん、グロービスらしいアウトプット重視の教育手法は、テクノベート領域においてもほとんど変わりません。基礎科目以外は実際に企業が直面した課題解決をまとめた資料を読み、もし同じ立場ならどのような経営判断をするか、授業でディスカッションを深めていきます。

桐山:例えば、私の担当する「ビジネス・サイバー セキュリティ」では、とある企業における重大なセキュリティ・インシデントが題材です。ある日、夜中に突然の電話で叩き起こされます。どうやら会社で重大なインシデントが発生したけど、すぐには関係者に連絡を取れない、正確な情報もほとんどそろわない。そんな状況で、あなたならどうしますか?といった疑似体験をやるわけです。翌朝、世の中に対して正確な説明をしなくちゃいけない、部下からの報告、外部からの圧力、次から次へとやって来るものにどうやって対処しますか、と。

鈴木:まさに教科書では学べない、自分の手と頭をフル回転させる学び方ですね。外にある知識をインプットしたりインストールするよりも、ニュースで観たことがあるような事例を使ってディスカッションを深めていく。さまざまな対話をするうちに、自分の中から気づきが生まれたり、考え方を獲得することができます。

教員も、最新テクノロジーの研究開発に

桐山:普段から脳の筋トレというか、そういう学習のループに身を置いておかないと、最新技術をキャッチアップすることすら難しいですよね。サイバーセキュリティの世界では、世の中のすべてのセキュリティに関する技術的情報のキャッチアップはもう無理だと言われています。キャッチアップより、技術革新のスピードの方が断然早いんです。

鈴木:それで言うとグロービスは、技術革新のスピードを早くから注視していて、2017年の時点でAI経営教育研究所を設立しているんですね。おそらく当時、世界的に見ても経営大学院やビジネススクールでテクノロジー技術開発のための研究所を所有しようという発想はほとんどなかったと思います。そして教員自身が研究開発に取り組み、担当科目などでも知見を共有していて、まさにテクノベートを体現する存在になっています。それこそが、私たちが推す「テクノベート」の大きな裏打ちになっています。

テクノベートの本質を追求し、思考と検証のサイクルを

桐山:テクノベート領域は、いま学んだことも3年後には大きく形が変わっていることでしょう。どちらかというと、そんな変化が激しい世の中を渡り歩いていくためのマインドセットや考え方を身に付けるために学んでほしいと思います。従来の企業競争ルールは、赤が勝つか白が勝つか、どちらかに大きく賭けて大きく勝ちましょうというものでしたが、今は期待値が1を少しでも超えていれば続ける価値があり、続けていれば成長に繋がる、そういうルールに変わって来ています。これはテクノロジーの進化により、いろいろなビジネスで実装と検証ができるようになったからです。

鈴木:いくらでも試せるから、たくさん思考して検証することが大切ということですね。テクノロジーについて学び、それをご自身の事業に引き寄せて適応させ、それをどう支えていくか。その思考力を養うことこそが「テクノベート」の本質だと捉えています

君島:TMBA・EMBAもまた、MBAプログラムの完成形だとは思っていません。どこかの時点で、最終形態になることを目指しているわけでもありません。環境の変化やニーズの変化に応じて、それらを先取りした教育プログラムを提供しているのがグロービスです。大学院の2年間を通して仲間とともにご自身をアップデートし、卒業後もいろいろな変化を楽しみながら受けて立ってほしいと願っています。

TMBA・EMBAの科目例

テクノベート基礎

テクノベートがビジネスにもたらす可能性の理解やAIの理解と時代に合わせた問題解決アプローチ、テクノベート時代に求められるリーダーシップやキャリアについて学ぶ科目。デジタル時代に求められる基礎となるビジネス・リテラシーを身に付けることが目的。(詳細はこちら

デザイン思考と体験価値

ケースを通じた議論によって、人間中心的な発想からテクノロジーを活用し、顧客の体験価値を一新するイノベーションの事例について理解を深める。グループを組成し、3ヶ月間継続的にプロジェクトワークをしながら、デザイン思考の手法、ビジネスへの生かし方について学ぶ。(詳細はこちら

テクノベート・プロダクトマネジメント

ビジネスとして規模化し、AI活用に繋がりうるプロダクト開発に関わるマネジメント全般を学ぶ。ユーザーニーズを発見し、関係者の力を引き出しながらそのニーズを満たすプロダクトを構築することで、指数関数的な事業成長を牽引する役割を想定。(詳細はこちら

ビジネス・サイバーセキュリティ

サイバーセキュリティはIT専門家だけでなく経営全体にとって重要なテーマ。経営の観点からリスクと機会をとらえ、基盤技術、危機に備える組織マネジメント、危機対応の考え方など、エグゼクティブに求められるサイバーセキュリティのリテラシー向上を目指す。(詳細はこちら

体験クラス&説明会日程

体験クラスでは、グロービスの授業内容や雰囲気をご確認いただけます。また、同時開催の説明会では、実際の授業で使う教材(ケースやテキスト、参考書)や忙しい社会人でも学び続けられる各種制度、活躍する卒業生のご紹介など、パンフレットやWEBサイトでは伝えきれないグロービスの特徴をご紹介します。

「体験クラス&説明会」にぜひお気軽にご参加ください。

STEP.1参加方法をお選びください

ご希望の受講形式と同じ形式での参加をおすすめしています。

STEP.2参加を希望されるキャンパスをお選びください

STEP.3日程をお選びください

絞り込み条件:

  • 3/15(土) 14:00~16:00

    体験クラス&説明会

    開催:オンライン(Zoom開催)
    本科(MBA)への進学を検討している方・進学を視野に単科で1科目から学び始めたい方向け

  • 3/18(火) 19:30~21:30

    体験クラス&説明会

    開催:オンライン(Zoom開催)
    本科(MBA)への進学を検討している方・進学を視野に単科で1科目から学び始めたい方向け

  • 3/29(土) 14:00~16:00

    体験クラス&説明会

    開催:オンライン(Zoom開催)
    本科(MBA)への進学を検討している方・進学を視野に単科で1科目から学び始めたい方向け

該当する体験クラス&説明会はありませんでした。

※参加費は無料。

※日程の合わない方、過去に「体験クラス&説明会」に参加済みの方、グロービスでの受講経験をお持ちの方は、個別相談をご利用ください。

※会社派遣での受講を検討されている方の参加はご遠慮いただいております。貴社派遣担当者の方にお問い合わせください。

※社員の派遣・研修などを検討されている方の参加もご遠慮いただいております。こちらのサイトよりお問い合わせください。

君島 朋子

グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長(日本語MBA)

東京大学大学院総合文化研究科・修士課程修了(学術修士)。法政大学大学院経営学研究科・修士課程修了(経営学修士)。マッキンゼー・アンド・カンパニーにて、食品、通信、医薬、金融、インフラなど各企業への戦略・組織コンサルティングに従事。その後グロービスに参画し、現在はグロービス経営大学院 経営研究科 研究科長として企画運営を統括。教員としては、思考領域・ヒト領域の科目を担当する。キャリアデザイン学会・日本労務学会会員。株式会社ラポールヘア・グループ社外取締役。

鈴木 健一

グロービスAI経営教育研究所 所長

東京大学大学院工学系研究科修了。米国シカゴ大学経営大学院修士課程修了。修士(工学)、MBA。野村総合研究所、A.T.カーニー社にてマネージャーとして経営コンサルティング業務に従事した後、グロービスに参画。開学から10年にわたり事務局長として大学院を運営。現在は思考系、テクノベート系科目の科目開発、授業を担当するほか、グロービスAI経営教育研究所(GAiMERi)の所長を務める。

桐山 隼人

グロービス経営大学院 教員

東京大学工学部卒業。東京大学大学院新領域創成科学研究科修了。グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了。修士(環境学)、MBA。日本アイ・ビー・エム、シマンテック、アマゾンウェブサービスジャパンを経て、現在は株式会社サイバーセキュリティクラウド取締役CSO兼CISO。