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投稿日:2020年11月25日

投稿日:2020年11月25日

ミドルマネジャーたちが考える「これからの会社のつくり方」―石坂産業×同志サーベイ

貫洞 晴一
石坂産業 人財開発室 室長
鈴木 祐介
株式会社パラドックス 執行役員/ブランディング・プロデューサー/クリエイティブ・ディレクター/PARADOX創研 所長/東京校2014年卒業

「自然と共生する、つぎの暮らしをつくる」というミッションのもと、ゼロ・ウェイストをキーワードに産業廃棄物と向き合う石坂産業には、その高い技術から世界中からの見学者が後を絶たない。そんな同社の次なる挑戦がトップダウン型組織からの進化だ。パラドックス「同志サーベイ」を題材にミドルマネジャー自らが打ち手を考えていく彼らの軌跡をたどる。(前編はこちら

足りないのは上司と部下の対話

鈴木:同志サーベイで測定してみたら、いろいろな課題が出てきた。そこで、ミドルマネジャーたち自身に解決策を考えてもらうプログラムを研修に盛り込んだわけですよね。

貫洞:そうです。ミドルマネジャー自身が自ら考え、手を打つことによって会社の風土が良くなっていくだろうと思ったのです。風土というものは、もちろん会社が醸成する部分もありますが、社員自らが作るところも大きいですから。

鈴木:具体的にどんな風にプログラムを進めていったのですか。

貫洞:毎週みんなで集まり、サーベイ結果について話し合いをしました。サーベイのおかげで共通言語、共通認識ができた気がします。合宿形式の研修も実施していますので、お互いかなりコミュニケーションできるようになりました。「自分たちが変わらないとこの会社は変わらないんだ」という責任感も生まれたのでは。突っ込んだ話し合いをするうちに、「みんな部下を愛してる?」という話題になったり。「愛してはいないよね」「それどころか、部下を道具として考えているかもしれない」なんていう議論も出てきました。

議論を経て、8月の末に代表に報告会を行いました。90くらいの設問結果を「自分自身を理解していない」「部下のことを知る機会がなかった」など、12の因子に区分けして課題分析し、伝えています。自分の思いを語りながら涙しているミドルマネジャーもいました。

実は8月までサーベイについて代表にほとんど報告していませんでした。代表には、指示通りに動くとやらされ感が生まれる、自分たちでやることによって実現可能性も高まるんです、と話して理解してもらいました。

鈴木:打ち手はどのくらい見えてきましたか。

貫洞:残念ながら、まだ半生(はんなま)です。「どこを変えなければいけないのか」という大事な部分がまだ見えない。議論が分散しています。ただ、話し合いから「そもそも上司と部下の対話が少なすぎるんじゃないか」という声が出てきました。部下の価値観を上司たちが理解していないんじゃないか、と。上司たちは声はかけていると言いますが、よく聞くと「頑張ってる?」と部下に聞いているだけなんですね。

鈴木:サーベイ結果のどの部分に「対話の少なさ」を感じたんでしょう。

貫洞:「上司の価値観を知らない」とか、「自分の価値観を上司が知らない」という人が多かったんです。「価値観なんてそもそも伝えたこともない」という人もいました。

要するに仕事の指示はしても、上司が自分の価値観を伝えるような場面はほとんどない。まして部下の価値観について聞くシーンは全くない。特に工場のプラント系は、就業中はずっと作業をしていて、コミュニケーションをとる余裕がありません。

こういう話をすると、「じゃあ僕は毎日15分、部下と向き合います」「全員と対話します」と言い出すミドルマネジャーもいましたが、現場で10人部下を抱えていたりする。現実的ではありませんよね。かと思えば「部下をラーメン屋に連れていってます」という人もいて。「そこで何を話しているの?」と聞いてみると、自分の成功談や価値観を話していたりする。それでは、対話になりません。まず何のために対話するのか、対話とは何かを理解することから始めなくては。

鈴木:メンバーのことを知ろうと対話しても、何を知ったら知ったことになるのか、という問題がありますね。1on1が無駄話だけになってしまったり。

貫洞:ですので、私自身、1on1ではとにかく部下の話を傾聴するようにしています。仕事の困りごとを聞いても指示しないように。それで、対話とは何なのかを相手が理解してくれたら、彼の部下への接し方も変わるんじゃないかと。

継続することに意味がある

鈴木:貫洞さんが他社にこのサーベイを勧めるとしたら、どういう企業を選びますか。

貫洞:社員にいきいき働いてほしいと思っている企業、利益以外に大事なものがあるとわかっている企業や、社員に長く勤めてもらいたいという企業ですね。そういう企業にとって、同志サーベイは自社を振り返るいい材料になるのではないでしょうか。研修に力を入れている会社にとっては、いいツールになると思います。

鈴木:従業員満足度調査は健康診断、同志サーベイは「胃カメラを飲んでみました」という感じでしょうか。健康診断はもちろん大切。一方で、気になるところがあったら、掘り下げて調べることも大切ですよね。今後はどんなふうにサーベイ結果を活かしていきますか。

貫洞:ミドルマネジャーが話し合いを続けていることは、他の社員も知っています。サーベイも受けていますし。今後は、プロジェクトを立ち上げるというより、ミドルマネジャークラスが社員会で「ここに課題があるんだ」という話をして具体的な打ち手を提案する、という段取りを考えています。そのうえで皆と対策に取り組んでいければ。

ただ、対策を打つことがゴールだとは思っていません。大事なのは、継続していくこと。2年、3年と続けていくところに価値があるのかなと考えています。

鈴木:定期的に経過をモニタリングして、実際に会社やみなさんは変わっていったのかとか、変わっていないところはどこなのかを見ていただく。そのうえで打ち手を考えて実行する、というサイクルを続けるとよいと思います。

貫洞:マネジャーたち自身で考え、振り返れるようになったことがまず大きな前進だったと思っています。同志サーベイからいい材料を頂きました。できれば今後、サーベイを導入した企業が増え、当社がどんなレベル、立ち位置なのかわかると嬉しいですね。

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貫洞 晴一

石坂産業 人財開発室 室長

鈴木 祐介

株式会社パラドックス 執行役員/ブランディング・プロデューサー/クリエイティブ・ディレクター/PARADOX創研 所長/東京校2014年卒業