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投稿日:2026年07月24日 更新日:2026年07月24日
投稿日:2026年07月24日
更新日:2026年07月24日
「自分がここまでできるとは」。プログラミング未経験者が独自アプリも完成させる「テクノベート・シンキング」
- 末永昌也
- グロービス経営大学院講師
- 本橋敦子
- 編集者
「自分がここまでできるようになるとは思っていなかった」。受講後、そんな声が数多く寄せられる科目がある。グロービス経営大学院のテクノベート・シンキングだ。
プログラミング未経験のビジネスパーソンが、自らの手で業務アプリケーションを完成させるところまで到達する。だが、最も大切にしているのは、技術そのものではない。担当する末永昌也講師は「プログラミングができるようになることよりも、その裏側にある思考法を理解することの方がずっと重要」と語る。
AIの使い方を学びながら、業務課題を解決する思考力も鍛える。末永講師にその学びの中身を聞いた。
「AIを使う」と「成果が出る」は別物。いま必要な「認知限界を超える思考法」
──テクノベート・シンキングという科目では、どんなことを学ぶのでしょうか。
基本的には「テクノベート」時代の思考法について学んでいただきます。テクノベートとは「テクノロジー×イノベーション」を組み合わせた言葉で、テクノロジーが進化した現代において、イノベーションを生み出すための思考法です。
テクノベートとは? ~テクノロジーがビジネスの在り方を変える時代
既存のクリティカル・シンキングが「人の認知限界に最適化した思考法」だとすると、テクノベート・シンキングは「人の認知限界を超える思考法」だと言えます。例えばクリティカル・シンキングは例えば20代、30代とセグメントを切ったりしながら人間が理解しやすい粒度に対象の分解をし、因果を特定しながら課題解決を考えます。一方で、同じ20代と言っても全く同じ方はいません。個別の因果関係が明確に分からない複雑な状況でも、データなどの「相関関係」をもとに、不特定多数の方々に対して最適な解決策を提示することを重視するアプローチです。
また、この科目の大きなポイントとして、実践的なプロセスを重視しています。プログラミング的な発想であるアルゴリズム思考を学ぶところからスタートし、最終的にはご自身の手で自身の課題を解決するアプリケーションを実際に作成していただくところまでカバーしています。
──なぜその思考法が今のビジネスパーソンに必要なのでしょうか。
今まさにAIが広く普及する中で、この思考法の重要性はますます増していると考えています。
多くの現場で「AIを活用している」という声を聞きますが、「単にAIを使っている」ということと、「AIを使った先に成果が出ている」は別の段階だと思っています。多くの現場ではまだ十分な成果が出ていないのが実情です。成果を出すためには、現在の「課題」とありたい姿を明確に描くこと、そして全体像をしっかりと設計することが不可欠です。
これらを俯瞰して全体を組み替えながら、テクノロジーを活用してイノベーションを起こしていく能力こそが、今のビジネスパーソンに強く求められていると言えます。
課題とありたい姿を描き、自分の手でアプリを作るまで
──「課題とありたい姿を描く」「全体像を設計する」といった点は、授業ではどう教えているのですか。
まず、問題とは何か(イシューは何か)という定義からスタートします。「問題=ネガティブなこと」ではなく、現状とありたい姿のギャップこそが問題である、ということをしっかり伝えています。
つまずきやすいのは、ありたい姿をいかに高く描けるかという点です。ありたい姿を高く描かなければ、ギャップは生まれず問題になりません。たとえ現状が良い状態でも、ありたい姿をさらに高く設定すれば、そこに新たな課題が生じます。
全体像の設計には、当校オリジナルのトランジション・ダイアグラムというフレームワークを使っています。カスタマージャーニーにも通じる考え方で、対象をモデル化していくものです。最初から正しく描くのは難しいので、演習を通じて実践的に学んでいただきます。ここでは「モレなくダブりなく(MECE)」という観点が重要で、自分に抜けている観点は何かを、受講生同士の対話を通じて気づいていただくプロセスを用意しています。
──授業ではどんなAIツールを使うのですか。
前半では「テクノベート・シンキング」という思考のプロセスを学ぶため、AIツールを使うことはほとんどありません。アルゴリズム思考は、まずAIツールに頼らず自分自身の頭で考えて進めることが非常に重要だからです。
一方、後半のDay 5・Day 6では、ご自身の業務課題を解決するアプリケーションを、実際に自らの手で開発していただきます。生成AIを使ったチャットアプリケーションを自作されたり、既存の業務フローを代替する仕組みを作られたり、スマートフォンアプリとして実装されるなど、幅広いアウトプットが生まれています。中には、現実世界とQRコードを連携させて、ユーザー体験として非常に完成度の高いアプリケーションを作られた方もいらっしゃいます。
アプリケーションを作る際に使われるAIツール「AppSheet」の画面イメージ
──学生はツールの使い方をどのように学んでいくのですか。
MITが開発した「Scratch」というビジュアルプログラミングツールを活用しています。複雑なプログラミングの構文を暗記することなく、直感的な操作でプログラミングの基本やアルゴリズム思考を鍛えることができます。子供たちの教育にも広く使われているツールです。
学びのステップとしては、まず対話的なアプリケーションの作成からスタートし、データの並べ替えなどの処理を実践し、最終的にはレコメンデーション(あなたへのおすすめを紹介する仕組み) を実現する課題に取り組んでいただきます。段階的にステップアップすることで、Day 4の段階には、初めてプログラミングに触れたという方でもほぼ全員がレコメンデーションのプログラムの基本実装が実現できています。
プログラミングより「その裏側の思考法」。AIの解像度が変わる
──ツールを使うことで、学生は何ができるようになりますか。
学生のほとんどは、これまでアプリケーション開発やプログラミングに慣れていない初心者の方々です。ツールを実際に使い続けることで得られる一番の成果は、テクノロジーやプログラミングに対する心理的なハードルが大きく下がることだと思っています。
受講後の感想として、「自分がここまでできるようになるとは思っていなかった」という驚きや喜びの声を非常に多くいただきます。自ら作り上げたという成功体験だけでなく、他の学生から認められるという経験も、自信につながっているのだと思います。
ビジュアルプログラミングツール「Scratch」の画面イメージ
──「技術そのものを学ぶ場ではない」とも伺いました。
多くの方は最初、この科目を「プログラミングなどの技術を学ぶクラスだ」と思って受講されます。しかし私がよくお伝えしているのは、「プログラミングができるようになることよりも、その背景にある思想や思考を理解することの方がずっと重要だ」ということです。
プログラミングという言語の裏側には、必ずアルゴリズム的な思考が存在します。極端に言えば、自分で完璧なプログラムを書けなくても、裏側でどういう論理で実行されているのかを理解していればよい。この理解があるかないかで、AIに対する解像度に決定的な差が生まれます。
実際、受講生の大きな変化として、物事を具体的に「順序立てて」「細かい粒度で」考えるようになる点が挙げられます。自分のやりたいことを明確に言語化できなければ、AIに的確な指示は出せません。なんとなくの解像度が低い指示では、AIから適切な回答は得られない。AIへの指示の解像度をいかに高めるかという点で、まさにこのアルゴリズム思考が日常でも業務でも活きてきます。
──印象に残っている学生の変化はありますか。
特に印象に残っているのは、1年ほど前に受講いただいた方です。もともとエンジニアリングとは全くかけ離れた業務をされていて、最初はITについても全くわからない状態でした。しかし授業を通じて仕組み化の面白さや可能性を見つけられ、そこからITへの感度が非常に高まっていきました。
今でもその方とは繋がりがあるのですが、新しいAIの仕組みを次々と押さえて、実践の中で活かしていらっしゃいます。この領域は最初のハードルが高い分、一度突破すると一気に世界が広がり、それがご自身にとって強力な武器になっていくのだと思います。
「AIを使おう」から入らない。全体像から逆算するDXの進め方
──学んだことは、実際の仕事のどんな場面で活きますか。
一番大きいのはDXに対する考え方で役立つという点です。DXを進める上では、プロセス的な考え方や、ありたい姿をしっかり描くこと、実装における難易度や検討すべき観点をあらかじめ理解しておくことが重要になります。
実際のビジネス現場では、「とにかく新しいツールを入れましょう」というだけで進めてしまい、セキュリティのリスクや想定外の事態への対処に逆に時間が取られ、業務負荷が上がってしまうケースが多く見受けられます。そういった失敗を防ぎ、本質的な課題解決につなげるという観点で、ここで学んだ思考法は大きく活きてきます。
授業を終えた後の一番のアウトプットは、全体像を描き、そこから逆算して考えることができるようになることです。逆算から考えないと、どうしても「AIを使おう」という手段から入ってしまう。全体像から逆算することで、人が課題解決すべき領域とシステムに任せる領域の切り分けが明確になります。システム関係をよくわからないままベンダーに丸投げしてプロジェクトが炎上する、といった事態も防げます。AIやシステムへの解像度が高い状態で、開発ベンダーやエンジニアと適切に対話しながら、実効性のある課題解決へ導けるようになるのです。
──どんな人にこの科目を受けてほしいですか。
基本的には、幅広いビジネスパーソンの方々に受けていただきたいです。特に、これまでシステム開発に全く関わったことがないという方にこそ、ぜひ受けていただきたい科目です。これからの時代、テクノロジーを活用する思考法は、あらゆるビジネスパーソンにとってほぼ必須のスキルになっていると考えています。
「DXを推進して自分の業務課題を解決したい」という方や、「AIやツールを一度使ってみたけれど、うまく使いこなせず難しいと感じた」という方にとって、特に有用な学びになるはずです。
──最後に、これから学ぶ人へメッセージをお願いします。
私たちは今まさに、大きな変化の時代の中にいます。「アプリケーションを開発する」と聞くと、最初はハードルを感じられる方が非常に多いです。しかし、最終的には、ご自身の手でアプリケーションを作れるようになる方が本当にたくさんいらっしゃいます。最初から難しく考えすぎず、ぜひ楽しんで受けていただきたいと思います。
体験クラス&説明会日程
体験クラスでは、グロービスの授業内容や雰囲気をご確認いただけます。また、同時開催の説明会では、実際の授業で使う教材(ケースやテキスト、参考書)や忙しい社会人でも学び続けられる各種制度、活躍する卒業生のご紹介など、パンフレットやWEBサイトでは伝えきれないグロービスの特徴をご紹介します。
「体験クラス&説明会」にぜひお気軽にご参加ください。
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体験クラス&説明会とは
体験クラス
約60分
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授業を体験
学校説明
約60分
大学院・単科生の概要や
各種制度について確認
グロービスならではの授業を体験いただけます。また、学べる内容、各種制度、単科生制度などについても詳しく確認いただけます。
※個別に質問できる時間もあります。
説明会のみとは
学校説明
約60分
大学院・単科生の概要や
各種制度について確認
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オープンキャンパスとは
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大学院の概要および入試内容の
確認やディスカッション形式の
授業を体験
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※個別に質問できる時間もあります。
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※日程の合わない方、過去に「体験クラス&説明会」に参加済みの方、グロービスでの受講経験をお持ちの方は、個別相談をご利用ください。
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末永昌也
グロービス経営大学院講師
大学院卒業後、HRベンチャーに入社しエンジニアとして複数のプロダクト開発を経験。
その後Startup Weekend世界大会入賞を機にEdTechサービスを手がける株式会社LOUPE(現ARROWS)を共同創業。CTOとしてプロダクトの新規立ち上げ、技術リードを行う。グロービスに入社後はグロービス学び放題等の立ち上げに関わり、現在はグロービス・デジタル・プラットフォームにおける開発統括を行う。
本橋敦子
編集者
大学卒業後、全国紙の記者として10年勤務。仙台支局で事件・事故、裁判、行政、スポーツ、東日本大震災の被災地を取材したほか、異動後の東京経済部では流通・小売り、通信、フェムテックなどをテーマに執筆した。現在はグロービスにて、オウンドメディア「GLOBIS学び放題×知見録」の編集等を担当。

