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投稿日:2026年04月27日
投稿日:2026年04月27日
【横浜市×横浜国立大学×グロービス産官学連携クラブ】イノベーション都市・横浜が挑む、産官学連携の可能性
- 甘粕 亜矢
- 横浜市経済局ビジネスイノベーション部長
- 大橋 直之
- 横浜市経済局ビジネスイノベーション部イノベーション推進課 担当課長
- 山本 亮一
- 横浜国立大学 研究推進機構 教授 産官学連携推進部門・副部門長
- 松橋 由希
- 横浜国立大学 研究推進機構 産官学連携推進部門 産官学連携支援室 産官学連携コーディネーター
- 得能 淳
- グロービス経営大学院 特設キャンパス責任者(横浜・仙台・水戸)
- 池田 桃香
- グロービス コンテンツオウンドメディアチーム
日本の大学発ベンチャーは、2024年度時点で5,074社(経済産業省「令和6年度大学発ベンチャー実態等調査」)。10年前の約3倍です。しかし、CEOの最多経歴は「大学・公的研究機関の教職員・研究者」 ——経営経験のない研究者が事業を率いるケースが多く、事業化のノウハウをどう補うかは、いまだ多くの現場で課題のままです。
その課題に向き合う取り組みが、横浜で動き始めています。横浜市・大学・グロービス経営大学院の公認クラブ「GIAC(産官学連携クラブ)」が手を組み、研究者と経営人材候補がチームを組んでディープテック領域の事業プランをゼロからつくる産官学連携の試みです。今回は、横浜市・横浜国立大学の方々を交えて、なぜこの連携が生まれたのかを聞きました。
産官学連携のきっかけ
卒業生の「やりたい」が、三者連携の起点になった
得能(グロービス):きっかけは、グロービス経営大学院の公認クラブ「GIAC(産官学連携クラブ)」のメンバーから、「横浜の大学と何かできないか」という相談を受けたことでした。グロービス横浜キャンパスは、2020年に横浜市とイノベーション人材の創出に向けた連携協定を結んでいましたし、横浜キャンパスに馴染みのあるGIACの幹事メンバーにとっても、横浜でこういった取り組みを起こしたいという思いがあった。そこで私に話が来たのです。
その後、2024年12月に横浜市内でイノベーションに携わる方々を横浜キャンパスに招いてディスカッションする場を設け、そこでGIACのメンバーと横浜市の方々をつなぎました。そこから約1年をかけて、今回の連携が形になっていきました。甘粕さんはそのディスカッションの場にもご参加いただいていましたが、当初どのような印象を持たれましたか?
甘粕(横浜市):実は、GIACさんが横浜の大学と連携したいと考えていたことは、その時点では知らなかったんです。グロービスの卒業生が集まって横浜の未来を語る場に呼んでいただいた、という認識でした。
ただ、懇親会で横浜の大学と連携したいというGIACのメンバーの方とお話しする中で、所属先でのお仕事の内容や、それぞれの熱量が伝わってきました。横浜市としても「産学連携を推進したい」という思いはありましたが、具体的な研究者と直接関わって事業化を目指すような取り組みは、それまであまりできていなかった。「こういう熱量を持った方々と一緒にやれるなら、新しいことができるかもしれない」と感じました。
得能(グロービス):その後、具体的に連携に向けた話し合いが始まってからも、甘粕さんには「仕事じゃないのに、なんでこんなにやってくれるの?」と驚かれた記憶があります。
甘粕(横浜市):本当にびっくりしました。「昼休みか夜じゃないと時間が取れないんです」と聞いて、普通の仕事の合間にここまでやってくれるんだ、と。
甘粕(横浜市):大学にご協力をお願いする前に、横浜市側でも「いったい何をするのか」を固める期間が結構長かったんです。GIACさんがどんな組織で、どんな人が関わり、これまで何をしてきたのか。理解を深め合うところから始まりました。お互いを知る期間を経て、スケジュールや進め方がようやく固まってから、大学に「こういうことをやりたいのですが、ご協力いただけますか」とお声がけできたという流れです。
得能(グロービス):横浜国立大学さんには最初、松橋さんにお話が届いたかと思いますが、当時の率直な印象を聞かせてください。
松橋(横浜国立大学):グロービスさんのことは以前から知っていたので、経営人材の方々が横浜市さんを間に挟んで支援してくださるのかなというイメージはすぐに持てました。
ただ、先生方にどう説明しようか、そもそも先生方がこういった連携を望んでいるだろうかという不安も正直ありました。実際に先生方と話してみると、「起業はしたいけれど、事業化の戦略が弱い」という声が多くて。グロービスさんのような経営のプロフェッショナルが加わることで、新しい視点から研究シーズを見てもらえると感じ、これはよい取り組みになるのではないかと思いました。横浜市さんが間に入ってくださることで、先生方への説明もしやすくなりますし、うまくいくとよいなと率直に感じました。
得能(グロービス):続いて山本先生、初めにお話を聞かれたときの率直な印象をお聞かせいただけますか。
山本(横浜国立大学):正直に言うと、横浜市さんからの紹介がなければ、お引き受けしていなかったと思います。こういった連携の話はさまざまな企業や団体から届きますが、信頼度を自分たちだけで測るのは難しい。横浜市さんが入ってくださるなら、安心して一緒にやっていけると判断しました。
実際に、横浜市さんが1年ほどかけて信頼関係を醸成してくれたからこそ、このスピードで動けた。二者だけであれば、もっと時間がかかっていたはずです。
産官学連携における経営人材への期待
「後方支援」から「伴走支援」へ
得能(グロービス):改めて、今回の取り組みに期待したことを教えていただけますか。
甘粕(横浜市):これまでの横浜市の関わりは、大学の産学連携部門へのサポートを通じた後方支援——つまり、研究者と直接向き合って事業化を目指すような関与ではありませんでした。
今回の枠組みでは、GIACの方々に経営面での伴走をしていただき、大学の研究者の方々にシーズを出していただく。横浜市はそこを側面から支援する。そういう形であれば、個別の具体的な成果が見える取り組みになるのではないかと考えました。
また、GIACが関わることの価値として注目したのは、MBAというバックグラウンドを持つ方々の専門性です。ディープテックの支援にはそういった知見が必要でしたし、GIACのネットワークを通じて、多様な専門家ともつながれる点も魅力でした。
甘粕(横浜市):世の中にはさまざまなアクセラレーターやオープンイノベーションの取組がありますが、「声は掛かるけれど、それで実際に何ができたの?」という声も正直あります。そういった“オープンイノベーション疲れ”とも言える状況の中で、GIACとなら具体的に見える成果を目指せるのではないかと感じました。
また、進め方についても、シーズ起点で進めるのかニーズ起点で進めるのかといった議論を事前にしっかり重ねることができました。まずはシーズ起点で、研究者の方々が持つ技術から可能性を探っていく。こなれてきた段階でニーズ起点のアプローチも取り入れていく。そういった方向性を一緒に考えられたことは、この連携ならではの価値だったと思います。
研究者に必要なのは「これまでにない視点」
山本(横浜国立大学):私がGIACさんに最も期待したのは、多様性です。これまでにない視点を持って研究シーズを見てもらうことで、新しい可能性を示してもらえるのではないかと感じました。横浜市さんはこれまでも大学のスタートアップ支援に取り組んでこられましたし、本学もそういった取り組みに参加してきました。今回、新たに加わるグロービスさんに期待したのは、まさにその広い視野です。
スタートアップ界隈には若い方やスタートアップ出身の方が多い印象ですが、ディープテックの事業化には、大企業での経験や、さまざまなキャリアを積んできた方々の視点が特に有効だと思っています。そういった多様なバックグラウンドを持つ方が集まっているのが、グロービスさんの特徴だと感じています。
得能(グロービス):大企業出身の方もいれば、何度も転職を経験した方、大企業からスタートアップに移った方など、本当にさまざまな経歴の方がいますからね。
松橋(横浜国立大学):大学の中にいると、専門領域の外からの視点はなかなか入ってきません。「この技術はここにしか使えない」と思い込んでいても、見方を変えれば全く別の大きな市場につながることがある。経営のプロフェッショナルからそういった視点を提供してもらえることで、先生方の意識も変わるのではないかと期待しています。先生方がふだん接する研究者や学会のつながりだけでは、なかなか得られない視点です。
「研究者が起業する時代」に残る課題
得能(グロービス):研究シーズを事業化するうえで、研究者の方が直面する課題はどのようなものでしょうか。
山本(横浜国立大学):長い目で見ると、そもそもなぜスタートアップなのか、というところから話す必要があります。以前は企業にライセンスして社会実装を任せるのが一般的でしたが、それでは思うように進まないケースが多かった。スタートアップ支援が充実してきた流れの中で、「自分で事業化する」という選択肢が現実的になり、研究者が自らスタートアップを立ち上げる動きが出てきたのです。
松橋(横浜国立大学):そのうえで、事業化の壁は大きく分けると、「技術面」と「ビジネス面」の2つがあります。技術面では、実験室レベルで実現できたことを、どう量産化するかが見えないというケースが多い。ビジネス面では、マーケティングやビジネスモデルの策定を、研究者ひとりでこなすのはほぼ不可能です。専門性を持った人材が入ってこなければ、事業化は難しいと感じています。
得能(グロービス):これまでに事業化を進めた事例はありましたか。
山本(横浜国立大学):外部機関と3年ほど連携し、1社のスタートアップを立ち上げることができました。そこでの重要なポイントのひとつは、経営を担う人材でした。研究者が技術を持っていても、経営を誰かが担わなければ会社は動かない。その役割を連携先の方に引き受けてもらうことで、初めて形にできた事例です。
一方、補助金を活用して経営人材とのマッチングや事業のブラッシュアップを試みた取り組みもありましたが、補助金が終了した段階で止まってしまった。目に見える成果として結実した例は、まだ多くありません。継続的な仕組みづくりの難しさは常に感じています。
GIACさんは仕事ではないのに、ここまで本気で関わってくれる。好きだから一生懸命やれる方々がいるんだな、と感じました。楽しそうに動いている姿が印象的でしたし、そうした姿勢は自然と伝わってくるものです。意志のある方々と一緒にやれるのは、心強いですね。
横浜発のモデルを、次につなぐ
得能(グロービス):今後、この取り組みをどのように発展させていきたいとお考えですか。
甘粕(横浜市):来年度以降も取り組みを続けながら、市内の他の大学にも広げていきたいと考えています。2026年3月に成果を発表する予定ですが、それをひとつの区切りにしつつ、研究者の方々との関わりをどう引き継ぐか、個別の事業化フェーズへとどうつなぐかを検討していきます。経営人材だけでなく技術人材も求められている中で、グロービスの卒業生の知見がさまざまな形で活きてくると期待しています。
また、自治体のルールは地域によって違いますが、私たちがぶつかった壁を整理しておくことで、他の自治体が同じ取り組みをする時のヒントになると思っています。
松橋(横浜国立大学):期間が短かったことで、今年度は成果がまだ見えにくい部分があります。だからこそ、継続が大切です。発表する場を設け、先生方が互いに刺激し合えるような環境ができれば、この取り組みは広がっていく。一回限りで終わらせず、積み重ねていくことが重要だと感じています。
山本(横浜国立大学):“横浜モデル”として広く発信されることで、研究者が事業化に挑戦しているリアルを届けられると思います。それが次の研究者や機関への示唆にもなる。そういう形で広がっていけば嬉しいですね。
体験クラス&説明会日程
体験クラスでは、グロービスの授業内容や雰囲気をご確認いただけます。また、同時開催の説明会では、実際の授業で使う教材(ケースやテキスト、参考書)や忙しい社会人でも学び続けられる各種制度、活躍する卒業生のご紹介など、パンフレットやWEBサイトでは伝えきれないグロービスの特徴をご紹介します。
「体験クラス&説明会」にぜひお気軽にご参加ください。
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体験クラス&説明会とは
体験クラス
約60分
ディスカッション形式の
授業を体験
学校説明
約60分
大学院・単科生の概要や
各種制度について確認
グロービスならではの授業を体験いただけます。また、学べる内容、各種制度、単科生制度などについても詳しく確認いただけます。
※個別に質問できる時間もあります。
説明会のみとは
学校説明
約60分
大学院・単科生の概要や
各種制度について確認
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オープンキャンパスとは
MBA・入試説明
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大学院の概要および入試内容の
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授業を体験
卒業生
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※一部体験クラスのない開催回もあります。体験クラスの有無は詳細よりご確認ください。
※個別に質問できる時間もあります。
該当する体験クラス&説明会はありませんでした。
※参加費は無料。
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甘粕 亜矢
横浜市経済局ビジネスイノベーション部長
大橋 直之
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得能 淳
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池田 桃香
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