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投稿日:2025年08月31日
投稿日:2025年08月31日
社会課題解決に挑む力を養う:グロービス経営大学院「ソーシャル・ベンチャー・マネジメント」科目とは
- 本橋敦子
- グロービス コンテンツオウンドメディアチーム
社会課題がますます複雑化・多様化する現代において、持続可能な方法で社会にインパクトを与えるソーシャル・ベンチャーの重要性は高まっています。
グロービス経営大学院が提供する「ソーシャル・ベンチャー・マネジメント」科目は、こうした社会的課題に取り組むための実践的スキルを学べる貴重な機会です。
本記事では、本科目の内容や特徴、対象者、受講者の声を通じて、その価値を紹介します。
ソーシャル・ベンチャーとは:慈善を超える、ビジネスの最前線
本科目では、ソーシャル・ベンチャーを「財務的な持続可能性を担保しつつ、社会的インパクト(重要な社会課題の解決を通じて社会に与える好影響)の極大化を目指す団体」と定義しています。
これは単なる慈善活動ではなく、ビジネスの論理と社会的な志を両立させる挑戦であり、現代の経営の先端的な姿といえます。
近年、格差拡大や気候変動、地域コミュニティの衰退など、社会課題が深刻化するスピードやスケールが増しています。
こうした問題を解決するために、営利と非営利の境界を超えた「ソーシャル・ベンチャー」が重要な役割を果たしています。
特に、ビジネスの拡張性と持続性を活かしながら、志ある事業展開を可能にする点で注目されています。
ロジックと構造で学ぶ:全6日間のケースメソッド授業
本科目は全6回構成で、世界・日本のソーシャル・ベンチャーを題材にしたケースメソッドで展開されます。
学びの核心は、「社会課題を構造化し、再現可能な事業モデルに落とし込む」点にあります。
- Day1:グラミンとムハマド・ユヌスに学ぶ社会起業の原点
- ソーシャル・ベンチャーの定義と役割を理解
- ソーシャル・ベンチャーの定義と役割を理解
- Day2:創業期とステークホルダー戦略
- 岩佐大輝とGRA、M-PESAを通じてゼロからの価値創造を学ぶ
- 岩佐大輝とGRA、M-PESAを通じてゼロからの価値創造を学ぶ
- Day3:拡大期の壁と組織開発
- TABLE FOR TWOや半谷栄寿の事業進化からスケールの難所を分析
- TABLE FOR TWOや半谷栄寿の事業進化からスケールの難所を分析
- Day4:インパクト投資と評価指標の設計
- アキュメン・ファンドのケースで社会的価値を定量化する手法を学ぶ
- アキュメン・ファンドのケースで社会的価値を定量化する手法を学ぶ
- Day5:社会的インパクトの最大化と拡張性
- フローレンス、カタリバを事例に、組織戦略とスケーラビリティを探る
- フローレンス、カタリバを事例に、組織戦略とスケーラビリティを探る
- Day6:総括と実践のフレームワーク化
- 起業計画や行動戦略を「コミットメントシート」として明確化
- 起業計画や行動戦略を「コミットメントシート」として明確化
対象者:志ある起業家・経営者・実務家へ
本科目は、以下のような方に適しています。
- ソーシャル・ベンチャーの起業を志す方
- 経営陣として社会事業への関与を考えている方
- すでにソーシャルビジネスに関わっている実務家
社会課題の変化は待ったなしです。一人の力では解決できない今、グロービスは志を共有する仲間との出会い、互いに支え合うネットワークを提供します。
現場で活きる戦略とネットワーク:受講者の声
本科目を修了したある受講者はこう語ります:
「授業でまず学んだのが、社会課題の構造分析です。『構造化』することで、社会課題の裏にある社会システムの欠陥が見えるようになり、そこを議論のスタート地点にするという手法を学び、実務でも転用しています」
また、マネタイズの難しさについても深く学べたとの声があります。
「サービスを受ける人からの支払いが少ないため、持続的なビジネスモデルを構築するには多様な資金源を設計する力が必要です」
さらに、共通の志を持つ仲間と出会い、授業後に交流を続けている受講者もいます。
同じ熱量で社会課題と向き合う人同士がネットワークを構築できる点も本科目の大きな価値です。
まとめ:変革の時代に、インパクトを最大化する経営を学ぶ
グロービス経営大学院の「ソーシャル・ベンチャー・マネジメント」科目は、単なる知識提供ではなく、実践的なケース分析と深い議論を通じて、社会課題に本気で取り組む人材を育成する講座です。
将来的にソーシャル・ベンチャーを立ち上げたい方や、社会的インパクトのある事業に参画したいと考える方にとって、大きな一歩となるでしょう。
本橋敦子
グロービス コンテンツオウンドメディアチーム
大学卒業後、全国紙の記者として10年勤務。仙台支局で事件・事故、裁判、行政、スポーツ、東日本大震災の被災地を取材したほか、異動後の東京経済部では流通・小売り、通信、フェムテックなどをテーマに執筆した。現在はグロービスにて、オウンドメディア「GLOBIS学び放題×知見録」の編集等を担当。

