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投稿日:2025年08月01日

投稿日:2025年08月01日

【世界MBAランキング解析】AI時代の「実践知」と「高ROI」で選ぶグロービスMBA

本橋敦子
グロービス コンテンツオウンドメディアチーム

この記事からわかること

  • 「実践性」と「ROI(費用対効果)」に重点を置く主要MBAランキングの最新動向
  • ハーバードやスタンフォードなどの上位校が「行動型学習」(ケースメソッド、PBL)を強化している背景
  • 国際認証を「あえて取らない」戦略により、実務に直結する「実践知」教育を追求するグロービスMBAの独自性
  • グロービスMBAが「高ROI」と実務成果(年収増加・新規事業など)を生み出す方法

はじめに|MBAの価値は“理論”から“実践”へ

今、世界のMBAランキング上位校――ハーバード・ビジネス・スクール、スタンフォード大学経営大学院、INSEAD、ロンドン・ビジネス・スクールなど――は、「実践性」「即戦力」「費用対効果」を重視する方向へ舵を切っています。

この潮流を顕著に示すのが、個々のランキング機関の指標の変化です。
「理論」から「行動」への変化という市場の要求に応える形で、2020年代前半にかけて「実践性」の指標を体系的に導入・強化してきました。

例えば、Bloomberg Businessweekは2021年に方法論を刷新し、「Learning(学習体験)」を主要な評価指標の一つとしました。これは、学生へのアンケートに基づき、教授の質だけでなく、ケースメソッドと理論のバランス、チームワーク、実地学習といった実践的な学習経験の満足度を深く評価するものです。

FTの「Global MBA Rankings」は、伝統的な給与増加率に加え、2023年の方法論改定でESG(環境・社会・ガバナンス)や多様性といった、現代のビジネスリーダーに求められる倫理的かつ実践的な側面の評価を強化しました。これにより、MBAが単なる収益性だけでなく、社会的な変革力を教える役割を評価対象に取り入れています。

QS Global MBA Rankingsは、長年にわたりValue for Money(費用対効果)とEmployability(就業力)に非常に高い比重を置いています。最新の方法論では、Employability (40%) と Value for Money (20%) が合わせて全体の60%を占めます。特にROI指標では、学費や機会費用に対するリターンを算出し、MBAが長期的なキャリア成果への投資としてどれだけ合理的かを評価しています。

これらの変化は、MBAが知識の習得から、不確実性の高い時代に現場で成果を出し、組織と社会に変革をもたらす「行動知」の獲得へと価値の中心を移していることを明確に示しています。

参考

なぜ「実践性」重視のMBAが増えているのか

MBA教育で知識よりも判断力や実行力といった「実践性」が重視されるのは、以下の3つの要因があるとみられます。

AIによる「知識の優位性」の喪失

生成AIが財務分析、市場リサーチ、データ処理といった従来のMBAの知識に基づく作業を自動化したため、知識の網羅性が個人の優位性ではなくなりました。
企業は、AIが分析し提供した「データ」や「分析結果」を鵜呑みにするのではなく、それを基に「洞察(インサイト)」を導き出し、その洞察の切り口や分析の方向性を指示し、行動へとつなげられる人材を求めています。

教育の核の「判断力・実行力」へのシフト

AIが分析を担う時代において、MBA教育の価値は「何を知っているか」から「どう判断するか」「どう行動するか」へ移行しています。

  • ケースメソッドの重視: ハーバードやスタンフォードなどのトップスクールでは、経営者の立場で意思決定を行うケースメソッドを中心に据え、不確実な状況下で判断を下し、実行をリードする能力を教育の核としています。

不確実な時代に必要な「変革力」と「共創力」

地政学リスクやAIの普及など、激変する経営環境に対応するため、実世界での経験を通じた能力育成が不可欠です。

  • PBL(課題解決型学習)の導入: INSEADやロンドン・ビジネス・スクールでは、実在企業とのコンサルティング・プロジェクトなど、PBL(Problem-Based Learning)を強化。知識を実践に転化する「行動の教育」を通じて、複雑な状況で変革を主導し、他者と共創する能力を養っています。

参考

グロービス経営大学院が追求する「実践知と費用対効果」:国際認証をあえて取らない実務重視のMBA戦略

グロービス経営大学院は創立以来、「創造と変革の志士を育てる」という理念のもと、実践知を重視してきました。
1992年の創業時から、ケースメソッド、ディスカッション、グループワークを通じて、学生自身が意思決定を行う体験的な学びを提供しています。

実務重視のための戦略的選択:国際認証をあえて取らない

グロービス経営大学院は国際認証(AACSB, AMBA, EQUISなど)を取得しておらず、上記の機関が発表するランキングには残念ながらこれまでランクインしていません。

これは、グロービスが実務で成果を出せる力を育てる教育を最優先するための戦略的選択です。国際認証は、教員のPh.D取得率や学術研究の量と質など、研究重視の教育モデルに即した基準が多く、認証取得を目指すことで、実践性を教育の中心に据えることが難しくなるリスクがあります。

グロービスは、このリスクを回避し、時代や市場環境の変化に合わせて柔軟にカリキュラムを再構成し、実務直結型の教育品質を維持するために、あえて国際認証制度には参加しないという独自の教育方針を貫いています。

AI・デジタル時代への対応と具体的なキャリア成果

AI・デジタル時代に対応する「テクノベートMBA」では、FigmaやPythonといったツールを活用した実践型カリキュラムを展開し、学生の多くが在学中から実職場で導入・実行し、キャリアの中断なしに新規事業の立ち上げ、社内変革プロジェクトの主導といった具体的な成果を生み出しています。

現役の経営幹部を対象とするエグゼクティブMBAでも、デジタル変革(DX)を自社で主導するための戦略的意思決定や、組織変革を伴うリーダーシップの強化に焦点を当てています。

2024年の卒業生アンケートでは、56.3%が「年収が増加した」と回答し、増加した人の平均年収は1.75倍に、さらに98.9%が「年収アップにグロービスMBAが役立った」と回答しています。
これは、国際認証という枠組みにとらわれない教育アプローチであっても、実務で成果を生む力を着実に育てられることの証明です。

創業当初から理論と実践の両輪を教育の中心に据えてきた点が「実践性重視MBA」の源流として、世界から注目を集めています。

参考

グロービス経営大学院 カリキュラム一覧 https://mba.globis.ac.jp/curriculum/
グロービス経営大学院が国際認証を取らない理由とは?実務重視型MBAの真価を解説https://mba.globis.ac.jp/knowledge/detail-25197.html
卒業後の変化・キャリアアンケート https://mba.globis.ac.jp/alumni/questionnaire/

まとめ|MBAは“実践性”と“費用対効果”で選ぶ時代へ

Bloomberg Businessweek、FT、QS Global MBA Rankingsの指標改定は、MBA教育の価値が「知識伝達」から、現場で成果を生み出す「実践知」と「行動力」、そして「ROI(費用対効果)」へと明確に進化していることを示しています。

グロービス経営大学院は、この実践重視の潮流を30年以上前から先取りし、国際認証にとらわれずに時代に合わせたカリキュラムの柔軟な再構成を行ってきました。

AI時代に求められる「学びを即座に成果に変える力」と、圧倒的な費用対効果。
この二点を兼ね備えたグロービスMBAは、変化の激しい時代において、合理的かつ現実的な投資の一つとなるでしょう。

本橋敦子

グロービス コンテンツオウンドメディアチーム

大学卒業後、全国紙の記者として10年勤務。仙台支局で事件・事故、裁判、行政、スポーツ、東日本大震災の被災地を取材したほか、異動後の東京経済部では流通・小売り、通信、フェムテックなどをテーマに執筆した。現在はグロービスにて、オウンドメディア「GLOBIS学び放題×知見録」の編集等を担当。