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投稿日:2025年06月07日
投稿日:2025年06月07日
【実例で学ぶ】企業内イノベーションを実現する方法とは?──MBA科目「イノベーションによる事業構造変革」の全貌
- 本橋敦子
- グロービス コンテンツオウンドメディアチーム
なぜ今、「企業内イノベーション」が求められるのか
テクノロジーの進化や市場環境の急速な変化により、従来のビジネスモデルは限界を迎えつつあります。日本企業でも新たな成長の柱を模索する動きが加速しており、企業内において新規事業を構想・実行できる人材の必要性が高まっています。
こうした背景のもと、「社内起業」や「ビジネスモデル変革」を担うリーダーを育成するために、グロービス経営大学院では実践的なMBA科目「イノベーションによる事業構造変革」を提供しています。
実践的に学ぶ「イノベーションによる事業構造変革」とは
本科目は、既存の組織や市場の慣性に挑みながら、新たな事業を創出・拡大していくための知見と実行力を養う内容で構成されています。 対象者は、企業内で新規事業を推進したい方や、その支援に携わりたいと考えるビジネスパーソンです。
以下のような観点から、理論と実践を結びつけて学びます。
- 経営戦略に基づく事業ポートフォリオの再構築
- マーケティング視点による市場創造
- 組織開発と人材マネジメント
- 不確実性を乗り越えるリーダーシップ
代表的なケーススタディ──IBM・ネスプレッソ・レゴに学ぶ変革の要諦
以下のような国内外の企業事例を扱いながら、変革のリアルな難所と打開策を学びます。
- IBMのEBO(新規事業創出プログラム)
- ネスプレッソ:既存リソースから生まれた革新商品
- レゴ:ビジネスモデル転換と変革のポイント
- コマツ:スマートコンストラクションによる産業構造変革
- ブラザー工業:組織にDNAとしてのイノベーションを埋め込む方法
これらの事例を通じて、実際の企業がどのようにイノベーションを構造的に実現しているかを多角的に考察します。
受講者の実体験に学ぶ──本科目がキャリアと企業に与えたインパクト
受講した学生からは以下のような実践成果が報告されています。
- 中小企業支援に転身した卒業生:「この科目はMBAの総決算でした。『なぜ日本にはイノベーションが生まれないのか』という問題意識を通じ、変革を実現するための理論と実践を深く学ぶことができました。受講をきっかけに、日本の中小企業やベンチャーの新規事業支援に本格的に取り組むようになりました」
- 海外駐在のビジネスパーソン:「海外では最先端技術を駆使し一気に発展する現象が起きています。そうしたことは知っていましたが、自分が企業内でどう関わればよいかは分かっていませんでした。この科目を通じて、イノベーションの本質や実現への道筋、周囲を巻き込む力などを体系的に学べました」
彼らに共通するのは、「まず自分が動く」ことの重要性を理解し、社内での変革を“自分ごと”として捉えている点にあります。
本科目では、多様な企業のイノベーション事例に触れながら、自社の現場に照らし合わせて考える機会が豊富にあります。 単なる成功事例ではなく、「なぜこの取り組みが必要だったのか」「どのような困難があったのか」「どう乗り越えたのか」という構造的な視点を持って振り返ることで、受講生自身の課題感や行動に対する内省が深まっていきます。
こうした変化は、単に知識を得たことによるものではなく、「実際の現場で活かせるレベルまで思考を深める」ことができた結果であり、この科目の最大の価値の一つと言えるでしょう。
ちなみに:ミドル主導のイノベーション実現に関する研究プロジェクトより
社内でイノベーションを起こす際の課題について、グロービス経営大学院の「研究・起業プロジェクト」の中で、中間管理職による変革の実践に焦点を当てた調査研究をご紹介します。
その中で導き出されたのが、「NINJA」と呼ばれる、ミドルに求められる5つの資質です。
- Network(人脈と社内外連携)
- Insight(課題の本質を見抜く力)
- Nemawashi(根回し力、巻き込み力)
- Joy(困難も楽しむ姿勢)
- Ambition(当事者意識と志)
この「NINJA」は、トップダウンに依存せず、ミドル層が自ら仕掛け、周囲を巻き込む“ミドル発のイノベーション”を進める上での鍵とされています。
詳しくは、GLOBIS学び放題×知見録の記事「ミドル主導のイノベーションは本当に可能なのか?」をご参照ください。
まとめ──社内でイノベーションを起こす第一歩は、自分が始めること
企業のイノベーションは、トップダウンで一気に進むこともあれば、ミドル層がじわじわと進める「漢方薬的」なアプローチもあります。
どちらにせよ重要なのは、「始める」ことです。社内に閉じこもらず、社外の知見を取り入れながら、仲間を巻き込んで進める力が、今まさに求められています。
グロービス経営大学院の「イノベーションによる事業構造変革」は、そうした“変革の起点”となるための知識とネットワークを提供します。
本橋敦子
グロービス コンテンツオウンドメディアチーム
早稲田大学文化構想学部卒。新聞記者を経て、グロービスのオウンドメディア編集を担当。