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投稿日:2024年02月22日
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「G-CHALLENGE 2023~失敗したっていいじゃないか。ガンガンに行こう!~」最終選考会を開催 「大賞」は3チーム、新設した「KIBOW賞」は2チームに
グロービス経営大学院は2月18日(日)、ビジネスプランコンテスト「G-CHALLENGE 2023 ~失敗したっていいじゃないか。ガンガンに行こう!~」の最終選考会を東京校で開催しました。第1回から今年の第11回までに合計429チームがエントリーし、多くのグロービス生が新たな未来への一歩を踏みだしてきました。今回は60チームが応募。最終選考に進んだ8チームは、在学中の起業に関わる学びや、卒業後も続く起業支援の仕組みを活用してエントリーしました。
最終選考に進んだ8チームのプレゼンテーションを審査した結果、「株式会社Back Cast .Design」「ケアルン」「flagMe」の3チームが大賞の栄誉に輝きました。社会的インパクトを審査基準に加えた新設の「KIBOW賞」は、「flagMe」「ゆめつぼ」が受賞。受賞チームには、特典として最大1,000万円の出資を受けられる機会が提供されます。
G-CHALLENGE 2023 概要
G-CHALLENGE 2023(GLOBIS Venture Challenge*)は、起業を目指す多くの在校生・卒業生にビジネスプランを競う場を提供し、立ち上げ資金を支援することで、より多くの起業を促すものです。加えて、その企業が将来的にメガベンチャーへ成長する足掛かりをグロービス・コミュニティから得られることを目的としています。出資にあたっては、学校法人グロービス経営大学院と株式会社グロービスがファンドを組成。大賞受賞者は最大1,000万円の出資を受けられる機会を得ます。審査基準は、ビジネスプランの市場性、競争優位性、実現可能性、収益性が見込めることに加えて、社会性や経営メンバーの意志や志などグロービスの教育理念に即しているかを重視します。
*旧GVC。2019年より通称が変わりました。
代表者:北 敬介さん(東京校、2023年卒業)
概要:私たちは、建設プロジェクトをスムーズに進めることができる世界を作るために、プロジェクトのタスクにフォーカスしています。工事の実務を担う職人さんの動きもマイクロタスクで表現できるもので、そのタスクが網羅されることによって、建物を作るプロセスを効率化し、段階的に自動化できる部分が作れると考えています。
Back Castは自動化するデバイスとプロジェクトのプロセスをシームレスにつなぐことができるマネジメントツールに進化していきます。また、プロジェクトの中で必要になる諸官庁(建築確認機関、労働基準監督署、警察、道路所有者、など)への届け出、申請等もタスクによってスムーズにつなげることを実現します。
代表者:中西 貴大さん(東京校、2022年入学)
概要:高齢先進国である日本において、医療費の増加は大きな課題となっています。それに対し国の方針は病院の機能分化を図り、急性期病院での入院日数を短縮し、自宅を中心として退院を積極的に進めている状況です。また、日本人の約 6 割が自宅で最期を過ごすことを希望していることと、医療費抑制の観点からも在宅医療が推進されています。
私たちはそうした国の課題、日本人の希望を叶えるべく、病院の退院調整業務を起点に、誰もが自分らしく過ごせる世界を作っています。ケアルンは、人の生活や人生、それに関わる医療や福祉を一つのプラットフォーム上に載せ、その全ての繋がりが共鳴し合い、持続可能な質の高い医療を実現します。
代表者:古賀 美佳さん(福岡校、2023年入学)
概要:厚労省は昨年、老人ホームでの看取りを推進する方針を明示し、さらに 2024 年度の介護報酬改定で意思決定支援の導入を初めて提言しました。看取り難民問題は国の喫緊の課題です。みとringは、老人ホームで看取りができるよう考案されたサービスです。すでに複数の老人ホームで導入され、看取り数のみならず施設稼働率の向上に寄与することが証明されています。今後、全国の老人ホームに向けて本サービスを提供していきます。
看取りは、日常の中にあり誰もがその人らしく看取られる権利を有します。死について考えることは縁起でもないことでしょうか。もしそうならば、その縁起でもないことを、私たち看取りのスペシャリストが、ビジネスの力で幸せなプロセスに変革します。
代表者:大坪 さやかさん(大阪校、2023年入学)
概要:子どもがひとりで料理ができるようになる子ども料理教室を運営しています。料理は簡単に達成感を味わうことができます。作った料理で周りの人を喜ばせることもでき、自己肯定感が育まれます。子どもたちの心を育む「こども料理教室」を、全国に増やしていきたいと思っています。
こども料理教室は、全国に 200 ヶ所以上ありますが、小規模なところが多いです。そんな中、ゆめつぼのこども料理教室は、毎月 230 人以上参加しており、日本最大規模となっています。フランチャイズ展開を開始し、5 校加盟しています。こどもの頃から料理をすることで、心と体が健康な大人が増えていきます。そんな未来を一緒につくっていきませんか?「こころの栄養で次世代を育む」というミッションで活動しています。
最終選考8チームの飽くなき挑戦
今回、最終選考に進んだのは、以下の「native.」「SolTech United」「flagMe」「ファーマメイト」「Space Finance」「ケアルン」「株式会社Back Cast .Design」「ゆめつぼ」の8チームです。
「native.」は、生年月日の統計学を掛け合わせたパーソナリティカード『native. card』を通じ、価値観、嗜好性でのマッチングをデザインするソウルメイトマッチングアプリについてプレゼンしました。「SolTech United」は理化学研究所の技術に基づいた、きわめて軽い超薄型の次世代太陽光電池を提供する事業について、「flagMe」は、高齢者施設の看取りを支援するサービス『みとring』について熱く語りました。
「ファーマメイト」は、ライフイベントにより働く場所を失った「ママさん薬剤師」の活躍の場を創出し、薬局の人手不足・店舗運営の効率化の課題を解決するサービスについてプレゼンしました。「Space Finance」は宇宙関連企業の事業拡大の支援に向けて、宇宙産業に特化した貸付を主軸とするファイナンスサービスについて、「ケアルン」はアナログ作業で非効率な病院の退院調整業務を、デジタルでスマートにするサービスについて語りました。
「Back Cast .Design」は、経験者不足の建設業界におけるタスクをモジュール化し、建設業界の課題を解決するマネジメントツールについて、「ゆめつぼ」は子どもが1年で料理ができるようになる子ども料理教室についてプレゼンしました。
最終選考会には、日本全国・全世界から多くのグロービス生が参加しました。プレゼンターの志や熱意あふれるプレゼン、綿密に練られたビジネスプランや成長戦略に、全ての参加者が真剣に耳を傾けていました。また、審査員でもあるグロービス経営大学院の教員は、常に真摯な姿勢でプレゼンに向き合い、「競合や市場についてどのように捉えているのか」「今後の成長シナリオに向けて、ステークホルダーをどのように巻き込んでいくのか」「ユニットエコノミクスや収益モデルをどのように実現させるのか」といった実現可能性や事業の継続性について、鋭い質問などが飛び交いました。
8チームのプレゼンの後、グロービス経営大学院で「創造」系の科目を担当する教員・鳥潟 幸志がグロービスの『創造の生態系』について説明しました。
起業家を取り巻く「創造の生態系」とは
グロービス経営大学院では、「ベンチャー・マネジメント」「ベンチャー戦略プランニング」など、ベンチャー企業の成功事例から学ぶ「創造」系の科目や、『G-CHALLENGE』への挑戦を目標に学生の起業活動を支援する半年間に及ぶ研究・起業プロジェクト『G-INCUBATE』を提供。また、起業準備中の方へのメンタリングの実施、新規事業の実行支援など、在学生だけではなく、卒業生へも、起業支援のための様々な仕組みを提供しています。さらに4,000人を超える在校生・卒業生が在籍する学校公認クラブ活動「GEC(グロービス・アントレプレナーズ・クラブ)」では、起業を志す多くのメンバーが交流しています。
2018年10月には、在校生または卒業生が起業したベンチャー企業を対象とする投資プログラム『GLOBIS Alumni Growth Investment(通称:G-GROWTH)』を開始。累計1億円以上の調達実績を条件に、1社あたり最大1億円を出資するプログラムで、これまでに9社へ投資を行っています。
加えて、グロービスでは、ユニコーン企業を100社輩出するプラットフォームの構築を目指し、シード期の起業家を対象とするアクセラレータープログラム『G-STARTUP』を2019年4月に開始。将来的に日本を代表するユニコーン企業へ成長することが期待されるスタートアップを採択し、成功した起業家やスタートアップ支援の専門家などによる講義を実施。メンターとして、グロービス・キャピタル・パートナーズの現役ベンチャー・キャピタリストも参画し伴走することで、プロダクト開発・事業開発を支援しています。
このように、グロービスグループ全体で、『G-INCUBATE』『G-CHALLENGE』『G-STARTUP』『G-GROWTH』を通じた起業支援、スタートアップ企業の事業開発・成長支援を展開、「創造の生態系」構築を精力的に推進しています。
VC事業で培った知見を活かした「起業」に直結する科目
「創造」系の科目では、起業や新規事業立ち上げを志す学生が、現場で直面する課題を具体的にイメージできるように、グロービスが有するベンチャーキャピタル部門(グロービス・キャピタル・パートナーズ)の投資先のベンチャー企業の経営経験をもとに作成したケースも織り交ぜながら議論していきます。グロービス・キャピタル・パートナーズは、1,800億円規模のファンドを運営し、202社の企業に投資している国内最大規模の独立系ベンチャーキャピタル。ケースには、豊富な投資成功事例から得た知見を色濃く反映させています。実際にこれらの科目を通じて作成したビジネスプランをもとに多くの起業家が誕生しています。
<「創造」系科目>
≫ベンチャー・マネジメント
≫ベンチャー・キャピタル&ファイナンス
≫ベンチャー戦略プランニング
グロービス・アントレプレナーズ・クラブ(GEC)
グロービスには、起業家・起業をこれから目指す方を支援し、それぞれを結びつける組織として、グロービス経営大学院公認の「グロービス・アントレプレナーズ・クラブ(GEC)」というクラブ活動が存在します。「日本を代表する起業家を輩出し、相互支援を果たす」ことを目的とした、在校生・卒業生4,067名(2023年5月現在)が在籍するグロービス最大のクラブ活動です。起業に関する情報共有、人材のマッチング、起業家を招いた講演、新規ビジネスの相談の場として、知恵・経験・人脈の全国におよぶ起業家支援のプラットフォームの役割を果たしています。これまで、この活動を通じて、100名を超える方々が起業し、うち数社が数十億円レベルのベンチャー企業へ成長しています。
≫グロービス・アントレプレナーズ・クラブ(GEC)活動レポートはこちら
≫起業家にグロービスが選ばれる理由はこちら
≫卒業生・在校生の起業サポートはこちら
審査員
井上 陽介
グロービス経営大学院 教員 創造ファカルティ・グループ リーダー
仮屋薗 聡一
グロービス経営大学院 教員
グロービス・キャピタル・パートナーズ 共同創業パートナー
一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会 最高顧問
小早川 鈴加
グロービス経営大学院 教員(「ソーシャル・ベンチャー・マネジメント」等担当)
KIBOW社会投資 インベストメントプロフェッショナル
髙原 康次
グロービス経営大学院 教員 創造ファカルティ・グループ ファカルティ・コンテンツリーダー(「ベンチャー戦略プランニング」「G-INCUBATE」等 担当)
山中 礼二
グロービス経営大学院 教員(「ベンチャー・キャピタル&ファイナンス」等担当)
KIBOW社会投資ファンド 代表パートナー
審査委員長コメント
その後、審査員の議論を経て、審査員長の井上 陽介が大賞チームを発表し、エールを送りました。
G-CHALLENGEは、今年で11回目を迎えました。今回は60ものビジネスプランが提出され、福岡や仙台、大阪、そして日本語MBAだけでなく、英語MBAといったさまざまな方がこの場に集まりました。本当に多様な方がチャレンジしてくれていることに、心から感謝しています。
グロービスとして、創造の生態系の輪を広げていくことが、世の中に価値を提供していく大きなポイントだと考えています。G-CHALLENGEのみならず、『G-INCUBATE』というビジネスプランを作る科目もありますし、『G-GROWTH』という在校生・卒業生向けの投資ファンド、さらにアクセラレータープログラム『G-STARTUP』やグロービス・キャピタル・パートナーズというVCもあります。また今回から、KIBOW賞が加わりました。社会的インパクトを与える企業への投資活動を通じて、社会に新たな価値を生み出す起業家を支援していきたいと考えています。これからもこうした挑戦の場を通して、さらにチャレンジの輪を広げていきたいと思っています。ともに前へ進んでいきましょう。
受賞チームコメント
受賞したチームのみなさんに受賞後に心境を伺いました。
株式会社Back Cast .Design 北さん
「昨年のリベンジが叶いました。事業化し、プロダクトも開発でき、ようやくこの場に立てたことを非常にうれしく思います。これからもどんどん事業を成長させていきますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました」
審査員の講評
「どれくらい情熱と執念を持って取り組めるか、ということが事業を成し遂げるための大きなエネルギーの源泉になると思います。まずはひとつの特定のセグメントから着実に進めていき、現場で成功事例を積み重ねていってください。こうした形にするのが難しい分野でのチャレンジは、きっと今後の競争優位性を築く礎となっていくと思います」
ケアルン 中西さん
「このような貴重な場を設けていただき、誠にありがとうございました。このサービスを構築するにあたって、本当に多くの方にインタビューをさせていただきました。この場を借りて感謝を申し上げたいと思います。このサービスが患者さまのもとへ届くことが何よりも重要なので、引き続き頑張っていきたいと思います。本日はありがとうございました」
審査員の講評
「中西さんの圧倒的な当事者意識が、評価ポイントのひとつでした。非常に深い課題がある業界で、これまで色々なスタートアップがチャレンジしていましたが、課題を打破するのはなかなか難しいところがありました。最初のエコシステムを作るまで、中西さんなら1年以内にやってくれるのではないか。そんな期待も込めて、大賞に選出いたしました」
flagMe 古賀さん
「私たちは『リーダーシップ開発と倫理・価値観』という授業で、人間の真理は2つしかないということを学びました。それは、人が必ず死ぬということと、それがいつかは分からないということです。ここから私たちの志がスタートしています。私たちのチーム名には、生まれた人は必ず自分の価値観という旗を持って人生を歩んでいる、人生という山を登り切ったその山頂にその旗を立てて欲しい、全ての人にこれが届き日本の文化になってほしい、という想いが込められています。必ずやり遂げたいと思います」
審査員の講評
「皆さんの覚悟が伝わる、心を掴むプレゼンテーションでした。実際に有料老人ホームには終末期に関する深いペインが存在しています。色々なステークホルダーと協力しながら、少しでも多くの人が幸せになるようなソリューションを提供していってほしいと思います。このサービスが社会の当たり前になっていくことを目指して、そのリーダーとしてぜひ引っ張っていってください」
ゆめつぼ 大坪さん
「7月にG-CHALLENGEがあると知ったときから、絶対にKIBOW賞を取りたいという強い気持ちでここまでやってきました。今回受賞できたのは、グロービスの皆さんのおかげです。クラスで一緒になった方に、一緒に戦略を考えてもらったり、あすか会議のパワーナイトで皆さんに相談に乗ってもらったりしました。ひとりではミッションは実現できないと思うので、これからもまわりの人を頼りながら頑張っていきたいと思います」
審査員の講評
「今回KIBOW賞の観客投票がいちばん多かったのが本チームでした。料理を通じて自己肯定感を育むことができるということは、審査を行う立場からしても目から鱗でした。また、なかなか規模化が難しい料理教室というビジネスにおいて、規模化できるオペレーションを作り上げられるのかという点が、ひとつの大きなポイントでした。子どもたちの自己肯定感が低いこの国の現状を変えたいという強い想いを持って、今後も頑張っていってほしいと思います」