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投稿日:2022年01月13日

投稿日:2022年01月13日

最高の仲間と駆け抜けた5カ月ー日本ビジネススクール・ケース・コンペティション(JBCC)優勝チームインタビュー・前編

グロービス経営大学院東京校
平田真子チーム(2020年入学)
日本ビジネススクール・ケース・コンペティション(JBCC)優勝チーム

国内MBA生が、企業の抱える問題をテーマに戦略提言を競う「日本ビジネススクール・ケース・コンペティション(JBCC)」。2021年大会では、グロービス経営大学院東京校・平田チームが優勝・日本経営賞・トリプルバリュー賞の三冠という快挙を達成。その道のりを、チームメンバーに聴いた。(全2回前編)

チームメンバー紹介

(写真左から)
奥野 元貴さん/メーカー勤務。金属分野に詳しく、今回のケースでは知識面を大きくサポート。JBCCは今年度初トライ
中川 雅志さん/グロービス社員であり、グロービス経営大学院の受講生でもある。2020年はプレJBCC*に参加
平田 真子さん/商社勤務。2020年に続きJBCC参加は2度目。並行してあすか委員も担当
岡田 昌洋さん/IT業界勤務。平田さん、中川さんと同セクション(大学院のホームクラスのこと)。平田さんと同じくJBCCは2度目のトライ
岩松 琢磨さん/医療機器業界勤務。平田さんと一緒にあすか委員を担当。JBCCは今年度初トライ

*プレJBCC:2020年度に行われた、グロービスOB主催の疑似的なJBCC大会(非公式)

全国からMBA生が挑む知的バトル「JBCC」

参加者999名と過去最多を記録した2021年大会。全体スケジュールは、7月中旬にケース配布、8月中旬に予選資料を提出。9月中旬に予選通過チームが発表となり、10月中旬に本選を迎えるというハードな3ヵ月間。かつ、予選通過率だけでも4%という究極の狭き門。その門をかいくぐって本選にたどり着いたツワモノたちは、5ブロックにわかれプレゼンでトップを競う。各ブロックの代表1チームがグランドファイナルに進出、最終決戦に挑むというまさに「知の力試しコロシアム」。名だたる大学院からエントリーした学生たちのトップに輝いた5人の顔は、喜びと感謝に満ちていた。

「この優勝は多くの方々に支えていただいた結果。感謝でいっぱいです」(平田さん/チームリーダー)

「本選の前日まで粘りました。あすか会議のリーダーズディスカッションでご縁ができた有識者(グロービス卒業生)の方に発表を聞いていただいたら、強烈なダメ出しをくらい……前日でしたが、みんなでその対応を話し合ったおかげで、本選の審査員との質疑応答が上手くできた。本当に、みなさんのご協力のおかげです」(中川さん)

「僕としては『やりたいことを全部やって、結果も出せる』と示せたのも嬉しい。働きながら大学院に通うだけでも大変だけれど、今回のメンバーのようにあすか委員やJBCCなど、プラスアルファの活動に取り組んで結果を出した先駆者の姿は、後輩の大学院生にとっても励みになると思います。ちなみにほとんどのメンバーは研究プロジェクト(卒業研究)にも取り組んでいます。『どれかひとつ』という発想ではなく、『やりたいことは全部挑戦』で結果が出せたのは本当に良かった」(岩松さん)

(参考記事)大人が全身全霊をかけて生み出すビジネスカンファレンス「あすか会議」の舞台裏~あすか委員インタビュー①

メンバーの縁は、平田さんが繋いだ。たとえば、クリティカルシンキングのクラスが一緒だったという奥野さんと中川さん。中川さんは、セクションが一緒でもある。岡田さんはセクションが一緒であり、前年のJBCCを戦った仲間。岩松さんはあすか委員が一緒だが、その前に勉強会で知り合い、クラス後の懇親会で心の距離が縮まってからの仲だという。

「奥野さん、中川さんは本当に優秀で。勉強会も率先して開いてくださっていて『一緒に戦えたら』と思った。岡田さんは去年も一緒だったし、今年も一緒にやりたくて。岩松さんは、参加した勉強会でたまたまご一緒したら、プレゼンが超優秀!なのにとても気さくで……あすか委員も一緒だったし、JBCCもぜひやろう、と」(平田さん)

平田さんの呼びかけに、「グロービスに入った時に、基本的に『誘われることは全部やろう』と決めていた」という奥野さんは即快諾。「あすか委員をやっているし、家庭もあるしで『JBCCはちょっと……』と思っていましたが、平田さんから誘われたのでやろうと決めました」と岩松さん、「去年、プレJBCC*がとてもキツかったので、去年の本選は参加しなかった。正直今年は出る気がなかった」という中川さんは、「せっかく誘われたのだし、平田さんとなら」とジョインを決めた。岡田さんは「セクション内などで自分から声を掛けたり誘って頂いたりがあったけれど、最終的にテンションの高い平田チームに合流しました」

2021年5月上旬。全メンバー、怒涛の5ヵ月を送ることが決まった瞬間だった。

まずは「チームビルディング」から始める

メンバーが集まった時期も早ければ、動きも早かった。5月下旬にはキックオフミーティングを実施。当初、チームの目標を、「予選突破」と掲げた。加えて、チームのスローガンやチームWAY・取り組みWAY・個人WAYなどを決めるべく、何度かミーティングを繰り返した。(決定事項は以下)

そのほか、連絡ツールは何を使うか、資料保管やファイル保存の際の名前付けルールなど、細かい運用も決定。性格診断テスト(MBTIとストレングスファインダー)の共有も行い、お互いの価値観理解が深まり、JBCCに求めていることも言語化された。「結果、心理的安全性の高いチームになれたと思う」(岡田さん)。過去、JBCCにトライした学生たちの中には、チームビルディングが上手くいかず、チーム崩壊やメンバーチェンジが起こったケースもある。実はここが、重要なプロセスなのだ。

「期間中は、『みんなで北海道に行こう!』とよく言っていた気がしますね(笑)。リスト化したスローガンの横に、『優勝旅行で北海道行きたい』『カニ食べたい』と裏テーマがメモしてあって。そういう楽しみも入れながらやりました」(奥野さん)

その後、7月のケース発表までの約2ヵ月間には、2019年のケースを使った予行演習を実施。実際に提言作成するプロセスを疑似体験することで、お互いの得意分野がみえてきたのはもちろん、本番で起こることの予測ができ、備えの共有ができた。

6月末までは、平田さんと岩松さんがあすか委員に参加していたため、週1ペースでミーティング。7月以降は週2~3回集まって、議論を重ねた。全員がそれぞれ忙しい合間をぬって時間を確保していたが、とくに平田さんは「忙しすぎてところどころ記憶がないです」と笑うだけある。というのも、6月はあすか会議、JBCC、大学院の授業3科目と驚くほどの超過密スケジュールだったのだ。

「時間が無い」は皆同じ。「仲間との創造」のためにできる工夫は全てする

仕事と大学院の学びの両立。これだけでもハードなのに、JBCCへのチャレンジ、加えてあすか委員まで体験したというメンバーまで。「記憶を無くす」ほど大変なことを敢えて選んだのはなぜだろうか。

「最後の思い出づくりに、いいものを創り上げられるメンバーとやりたい」という思いだった、とリーダーの平田さんは語る。ほかのメンバーも、仲間との創造活動への思いを強調した。とはいえ、思いだけでは現実を乗り切れない。大学院、仕事、家庭……あらゆる人がパラレルな居場所を持つ中で、時間配分や家族への配慮はどのようにしていたのだろうか。

「朝は6~8時、夜は20時以降で、ほぼ1時間刻みになんらかのミーティングが入っていた」という岩松さん。

限られた時間を有効活用するために、

  1. 優先順位をつけ、今大事なことに集中をすること 
  2. 場に出すものは背景・根拠までまとめたうえで“so what”(そこから何が言えるのか)を出す

この2点を徹底したという。

「一度、忙しすぎて“so what”のない状態で共有したら、平田さんに『どういうこと?』という顔をされまして(笑)。反省しました」(岩松さん)。「してない、してない、誤解ですよ!」と笑う平田さんに続き、奥野さんは「確かに、ミーティングにあたって“so what”を持たない人はいなかったね。そのストレスが無いのは大きかった」と振り返った。限られた時間を実りあるものにすべく、各人努力したのがわかる。

スケジューリングも工夫した。週末の昼間には家族との時間を優先すべく、ミーティングは朝7時からに限定。とはいえ、「私には3歳の息子がいるのですが、息子が早起きしてきたら、膝の上に乗せて打ち合わせに参加させていました(笑)」(中川さん)、「今こういう大会があって、参加すればこんな能力がつく。グロービスに入ったのはそれが目的なので、数ヵ月時間を融通してほしい、と家族に話して承諾して貰いました。とはいえ家庭の方もほったらかしというわけにはいかないので…在宅勤務で助かった面も大きいですね(笑)」(岩松さん)と、プライベートとのバランスはギリギリラインで保っていた様子。

異動直後で、現部署と前部署を行き来しながら仕事していたという岡田さんは、職場の一部の人に「申し訳ない、本当はもっと色々挑戦したい。けれど、10月中旬まで少しだけ業務負荷を抑えたい……」と自己開示しつつ時間を捻出した。「5時間睡眠の生体リズムがついていたので、朝と夜にミーティングを配分した」という奥野さん、「自分が決断したことは、誰の責任でもないから、『やりたい』気持ちが勝っていたのでとにかくやりきった」という平田さん。それぞれのスタイルで乗り切ってきたが、「最後の1~2週間はキツかった」と全員が口をそろえた。

「資料提出直前の1週間とプレゼン前の1週間は、毎晩3時ぐらいまでやっていましたね」(岩松さん)

「食欲もなくなって、その1週間だけで2キロ痩せました。究極の1週間。でも、やる時なんて、そこしかないじゃないですか。胃を壊したんでしょうね、終了後、あごにニキビがたくさんできたんです(笑)。治すのに1週間ぐらいかかりました」(平田さん)

今回取り組んだテーマは、「新素材の金属を開発・製造・販売するベンチャー企業が、資金提供者/戦略上の業務提携先を得るための提案資料作成」というもの。これまでのJBCCでは、中堅クラスの大企業の経営再建というテーマが多く、過去の分析・現状把握・未来への計画というプロセスが考えやすいものだった。ベンチャー企業のケースであることに加え、粉末冶金という耳慣れない素材を扱うベンチャーのケースに、この5人はどうやって取り組んだのだろうか。後編では、具体的な取り組みに焦点を当てていく。

グロービス経営大学院東京校
平田真子チーム(2020年入学)

日本ビジネススクール・ケース・コンペティション(JBCC)優勝チーム

優勝・文部科学大臣賞/日本経営 ゴーイングコンサーン賞/トリプルバリューエンゲージメント賞を受賞

奥野 元貴/メーカー勤務。金属分野に詳しく、今回のケースでは知識面を大きくサポート。JBCCは今年度初トライ
中川 雅志/グロービス社員であり、グロービス経営大学院の受講生でもある。2020年はプレJBCCに参加
平田 真子/商社勤務。2020年に続きJBCC参加は2度目。並行してあすか委員も担当
岡田 昌洋/IT業界勤務。平田さん、中川さんと同セクション(大学院のホームクラスのこと)。平田さんと同じくJBCCは2度目のトライ
岩松 琢磨/医療機器業界勤務。平田さんと一緒にあすか委員を担当。JBCCは今年度初トライ