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ボトムからの変革ストーリー。大企業若手有志団体コミュニティ「ONE JAPAN」設立までの道のり――グロービス経営大学院・公認クラブ活動「変革クラブ」 イベントレポート①

2019年08月22日

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クラブ活動 変革クラブ 活動レポート

グロービスの学生が、共通の目的や問題意識を持つ仲間と自主的に取り組むクラブ活動の活動事例紹介。

組織や企業、業界、社会の「変革」を成し遂げる人材の輩出を目指す、公認クラブ活動「変革クラブ」。参加者の変革の炎を燃やし続けるために毎月開催しているというイベントは、講演だけでなくディスカッションやコミットメントシートの作成など「参加型」のスタイルが採用されている。


2018年12月14日に開催されたイベントは、題して「『変革の一歩目』一歩踏み出したグロービス経営大学院の学生が語る、ボトムからの変革ストーリーとは?」。前半の全体会は、大企業の若手有志団体で形成されるコミュニティ「ONE JAPAN」の共同発起人である濱松誠氏が登壇。後半の分科会は、同団体を牽引する4名の卒業生が各テーブルに分かれ、グループディスカッション形式で実施された。


変革クラブのイベントは毎回、参加者によるコミットメントシートの作成からスタートする。「①現状把握」「②コミットメント(あるべき姿)」「③課題の特定」「④今日の学び・気づき」「⑤変革のアクションプラン」のうち①〜③をイベント前に記入し、イベント終盤で④⑤を記入するという流れだ。①〜③の記入後、濱松氏の講演が幕を開けた。

はじまりは、経営層も巻き込んだ若手有志団体「One Panasonic」

グロービス経営大学院・大阪校の元単科生である濱松氏。2006年にパナソニックに入社し、北米向け薄型テレビのマーケティング、インドの事業推進、本社人事部門での採用戦略や人材開発に携わったのち、現在は家電部門の社内カンパニー・アプライアンス社にて新規事業に従事している。(※)


新入社員だった頃から内定者と社員との交流会を企画し、入社後もその活動を続けていた濱松氏。本社人事部門に異動した2012年、パナソニックの若手社員を中心とした組織活性化のための有志団体「One Panasonic」を設立した。当時29歳だった自身の心境を彼は次のように語っている。


「1930年代にいち早く事業部制を導入した当社ですが、一方で縦割りによる組織のサイロ化(企業の部門間で連携が行われず孤立した状態)があったのも事実で、私はそこに課題を感じていました。しかし1兆円規模を動かせる役員でもない限り、どれだけ頑張っても社員一人では何もできません。出世を目指そうと思っても、社員数27万人の中で『中の上』くらいだった私ではすぐに出世もできそうにない(笑)。主力商品をバンバンつくるようなヒットメーカーになるという方法もありますが、私の職務はエンジニアでも商品企画でもない。ならば数で変革を巻き起こそうと考え、仲間を集めるところから始めました」

濱松氏の思いに共感し、部門の域を越えて集まった若手社員たち。その情熱は当時の社長にも通じ、社長自らが会社への思いを語り、社員の質問に答える会も実現したという。こうして経営層も巻き込むことに成功したOne Panasonicは、これまでに講演会や懇親会などさまざまな活動を行い、参加者3,000人にのぼる有志団体へと拡大した。


2014年からは中途退職者のネットワーク、パナソニック・アルムナイ・ネットワークの形成を進め、再びパナソニックに入社する「出戻り」人材が少しずつ増加。その成果ともいえるのが、4年後の2018年12月にパナソニックが発表した「出戻りキャリア」の積極採用である。


「大企業の出戻り採用は、過去にリストラなどの経緯がある場合が多く難しいと言われています。パナソニックも4年かかったと思われるかもしれませんが、大企業においては『4年しか、かからなかった』とも捉えられます。近年、日本全体で人手不足や人材の流動化といった課題が浮上してきていることもあり、経営層も決断に踏み切ったのだと思います」

同じ課題を抱える大企業の若手を集め、「ONE JAPAN」をスタート

その後2016年に2人の共同発起人とともにONE JAPANを設立した濱松氏。縦割りで組織間の連携が弱く、挑戦や変革がしにくい、いわば「大企業病」を課題に感じている若手の有志団体を中心としたコミュニティだ。設立からわずか2年で50社1,200名が所属する団体に成長している。


参加団体はOne Panasonic、共同発起人が設立した富士ゼロックス・NTTグループの有志団体のほか、トヨタ自動車、本田技研工業、日本郵便、東日本旅客鉄道、キヤノン、ベネッセコーポレーションなど、業種を問わずさまざまな企業の有志団体が名を連ねる。マッキャン・ワールドグループや日本アイ・ビー・エムといった外資系企業が参加している点も興味深い。これらの団体とともにワークショップや勉強会を行い、イノベーションを起こすための活動を続けている。

参加者は20〜30代が85%、40代以上が15%。「実は課長以上の役職者は14%で、40代以上の割合とほぼ同じ。この国がいかに年功序列であるかがわかる数字です。ただ10月に経団連の中西会長が就活ルール廃止を発表(※)したことで、長く続いた新卒一括採用の慣習がようやく変わるかもしれませんね」と濱松氏は述べた。


今いる会社に情熱を失いかけたときの選択肢は3つ。「辞める」か「染まる」か「変える」かだと濱松氏は言う。「辞めるのは簡単。でも辞めずに『変える』ことを選ぶなら、グロービスで経営を学ぶミレニアル世代のみなさんが行動に移さなければいけません。ある方が『今までにないものをつくるなら、今あるものを知れ』とおっしゃっていましたが、自社のいいところや悪いところ、戦略について言語化できますか? そこから地道に仲間をつくり、変革の必要性やエビデンスを見せながら提言し続けるのです。そうしてパナソニックもモノカルチャー(特定の生産品にだけ依存する経済構造)な風土から、多様性のある風土へと少しずつ変わってきました。まずは『どうせ言ってもムダ』症候群をなくして一歩を踏み出すことが大事です」


また「評論家になってはいけない」とも繰り返し語った。「行動せずに勉強しているだけでは、机上の空論を振りかざしてしまう。まわりにも『そんなことやって意味あるの?』と言う評論家がたくさんいます。でもやっている人にしか見えない景色や達成感があって、旗を立てたら必ず仲間は集まってきます。自分が傷つくリスクは考えないといけませんが、忙しい合間をぬってこの会に参加するほど熱量の高い変革クラブのみなさんならきっと変革を成し遂げられるはずです。みなさんがやらずして誰がやるのか?とも思っていますので、ぜひ一歩を踏み出してほしいと思います」


※日本経済団体連合は2018年10月9日、就職活動の開始時期などを定めた「採用選考に関する方針」を2021年入社の就職・採用活動から廃止することを正式に発表した。

変革の一歩を踏み出すうえで重要なこと

「大企業の強みは、有形無形の資産を豊富に持っていること」と濱松氏。「人材」「技術」「ブランド」「歴史」「信頼」「資金」「顧客基盤(チャネル)」という資産を言語化し、自社変革の道筋を言語化することが、経営を学ぶグロービスの学生の役割であるという。


また有志活動を行う際は、社員のモチベーションが上がるといった「社員個人」にとってのメリットだけでなく、「会社全体」にとってのメリットも語れるようにすることが重要とも語った。

具体的には「コストをかけずに社内の自立人材が育つ」、社員をモチベートすることで「人材定着率が上がる」、意欲の高い若手がいることで「人材採用力が上がる」(マイクロソフトからパナソニックに復帰した専務の樋口氏も、復帰の理由のひとつにOne Panasonicの存在を挙げているという)、「関係の質の良化」、そして「組織活性化」といったメリットが挙げられる。


「自社の課題に気づいたのなら、気づいたみなさんが変えていくしかありません」と力強く語る濱松氏。最後に変革家に必要なポイントとして、「根回し」「茶目っ気」「仲間」「継続」などのキーワードを挙げた。


20分という短い時間の中で、変革への熱い想いを終始エネルギッシュに伝え切った濱松氏。2019年1月にOne Panasonicの代表を引き継いだ本田慎二郎氏をはじめとする、4名の分科会登壇者にバトンを渡し、濱松氏の講演は終了した。


※文中の会社名・役職等はイベント当時のものです。

イベントレポートの続きはこちら

「変革クラブ」とは

組織や企業、業界、社会の「変革」を成し遂げる人材の輩出を目指すクラブ。在校生・卒業生約1,400名が在籍し、変革コミットメントシートの作成やワークショップ、分科会などの活動を通して「一人ひとりが変革に強いコミットメントを持ち、自身の変革プランを磨き上げる」場を提供しています。

クラブ活動とは

社会の「創造と変革」に貢献することをテーマに掲げ、グロービスの学生が自主的に取り組む活動です。共通の目的や問題意識を持った同志が集い、それぞれのクラブが多彩なテーマで独自の活動を展開しています。学年の枠を超えて、在校生と卒業生が知識や経験を共有し合うクラブ活動は、志を実現につなげるための場として、大きな意味を持つものとなっています。


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