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投稿日:2019年06月06日

投稿日:2019年06月06日

アンコンシャス・バイアスをなくし、男女問わずひとりひとりがイキイキと働ける社会へ ――グロービス経営大学院・公認クラブ「経営女子塾」 幹事インタビュー

クラブ活動
経営女子塾 活動レポート

グロービスの学生が、共通の目的や問題意識を持つ仲間と自主的に取り組むクラブ活動の活動事例紹介。

2017年に幹事メンバー7人で発足した経営女子塾、通称KAJJは、クラブ活動名こそ「女子」だが女性に限定したクラブではない。男性の多い職場で働く女性同士のネットワーク形成を目的に誕生したクラブだが、性差に悩むのは女性だけでなく男性も同じであることが活動を通じて浮き彫りになってきた。そのため活動内容も参加者も、徐々に女性に限定しないスタイルへと変化していったという。

現在は1〜2ヶ月ごとのイベント開催や、Facebookページでの情報共有を中心に活動中。ストレングスファインダー®︎(米国ギャラップ社の開発したオンライン「才能診断」ツール)やキャリアアンカー(個人がキャリアを選択する際の軸となる、最も重要度の高い価値観や欲求)に関する講演会、関連書籍の読書会、ダイバーシティに取り組む企業についての勉強会などを実施し、性別に関わらずひとりひとりがイキイキと働ける社会づくりを目指している。

今回は、創設者であり代表幹事の夏秋裕子氏に、クラブ発足から現在までの変遷や今後のビジョンについてインタビューした。

互いのアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を解消するには「対話」が大事

グロービス経営大学院で単科生として受講していた頃にクラブ発足を思い立ち、本科生になった年の冬に同級生らと共に経営女子塾を立ち上げた夏秋氏。グロービスで学びながら、職場では男性に囲まれマイノリティとして働く女性たちを中心に、疑問や課題意識を話し合える横のつながりをつくるべく、クラブ活動をスタートした。

「男性の中に女性一人で働いていると、自分の悩みが性差によるものなのか個人の問題なのかがわかりにくいのです。それを議論できる場をつくりたいと思ったのが設立のきっかけでした。最初に開いたワークショップも、各自が持っている課題意識を共有して話し合うというもの。参加者は20人くらいでしたが、男性参加者も4〜5人いました」

活動を進める中で夏秋氏に新たな気づきを与えたのは、男性参加者の声だった。「男だって『強くなきゃいけない』とか『泣くのはカッコ悪い』と言われて窮屈」「『お父さんはATM』なんて言われることもある」など、男性も同様に悩みを抱えていることを知った。

「女性に限らず男性も、性差による伝統的な役割分担意識に苦しんでいることがわかってきました。問題は、男性にも女性にもあるアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)。解消するためにはモヤモヤと悩むのではなく、お互いの違和感について対話し、気づきを与え合うことが重要だと思います。そういう場をつくることで、男女問わず自分らしく活躍できる人が増えたらいいなというのが、経営女子塾の根底にある想い。現在のクラブ活動名には「女子」とあるが、将来的にはクラブ活動名を変更しようという話も出ています」

自ら旗を立てると、自分自身の意識も変わる

2019年2月のイベントでは、イメージコンサルタントの酒井淑恵氏によるイメージ戦略の講演が行われた。酒井氏が開発した外見印象分析システム『Muse2015®︎』をもとにした、自身の「外見力」を高めるための1対1のレクチャーもあり、参加者の満足度は男女ともに高かったという。

「ビジネスシーンでの服装は女性にとって悩みのタネ。黒のパンツスーツは無難ですが、自分らしくなくて居心地が悪かったり、無難すぎて埋もれたりする場合もあります。ある程度ドレスコードのある男性であっても、『自分をどう見せたいか』によってふさわしい格好が変わってくる。それをプロの方に教えてもらいたいと思い、酒井先生に登壇をお願いしました。なりたい自分や接する相手に応じて『どんな自分を出していくか』という戦略の立て方は、とても興味深かったですし実用的でした」

今春から勤務先企業の新任マネージャーとして活躍している夏秋氏。部下は全員男性だという。同じ境遇のクラブメンバーが数人いたことから、『女性が管理職になったら読む本』(ギンカ・トーゲル著/日本経済新聞出版社)の読書会の開催をはじめ、今後はリーダーシップに関する講演会なども予定しているそうだ。

またイベントごとに幹事を募集している点も、経営女子塾の特徴のひとつ。入学年やリアル/オンラインのイベント形態を問わず、毎回さまざまなメンバーが集まっている。

「幹事として企画やファシリテーションをすることでリーダーシップが磨かれますし、登壇者やほかの幹事とのネットワークも築けます。それをいろいろな方に体験してほしいという想いから、イベントごとに幹事を募集しています」

「自ら旗を立てると、自分自身の意識も変わる」という夏秋氏。一個人の悩みを解決するためにクラブ活動を立ち上げた彼女の想いは、いつしか「みんなが働きやすい職場へと改善するには?」「後輩が同じ悩みを抱えないようにするには?」という、より大きな視点での課題意識へと変化していったという。

 「経営女子塾のおかげで、自分の悩みが個人の問題ではなく性差の問題だと気づけました。自分個人の問題だと思いつめてしまうと、『私が悪い』『ここに違和感をおぼえる私がおかしい』と自分を否定してしまいかねません。このクラブ活動は、対話を通して気づきを得るための完全リスクフリーな場。社会でノーリスクなネットワークを持つことは、自分の心理的安全を保つことにつながりますので、何かモヤモヤを抱えている方は男女問わず気軽に参加してほしいと思います」

「経営女子塾」が主催する講演会のレポートはこちら

「KAJJ(経営女子塾)」とは

ダイバーシティ&インクルージョンをテーマに、女性も当たり前にリーダーシップを発揮し、男女問わずひとりひとりがイキイキと活躍できる社会の実現を目指す人たちが集うクラブ。1~2ヶ月に1回のペースでイベント・勉強会を行っており、社会、組織、個人の各観点に光をあてます。専門家の講演、自己啓発プログラム、対話を通し広い視野と新たな視点を得ることができます。

クラブ活動とは

社会の「創造と変革」に貢献することをテーマに掲げ、グロービスの学生が自主的に取り組む活動です。共通の目的や問題意識を持った同志が集い、それぞれのクラブが多彩なテーマで独自の活動を展開しています。学年の枠を超えて、在校生と卒業生が知識や経験を共有し合うクラブ活動は、志を実現につなげるための場として、大きな意味を持つものとなっています。

グロービスのクラブ活動一覧はこちら

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