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投稿日:2019年06月06日

投稿日:2019年06月06日

「外見戦略」を制する者が、ビジネスを制する! ――グロービス経営大学院・公認クラブ「経営女子塾」 イベントレポート①

クラブ活動
経営女子塾 活動レポート

グロービスの学生が、共通の目的や問題意識を持つ仲間と自主的に取り組むクラブ活動の活動事例紹介。

前回の代表幹事インタビューに続き、先日行われたグロービス経営大学院・公認クラブ「経営女子塾」が主催する講演会の内容をお届けします。

(※肩書きはインタビュー当時のものです)

メラビアンの法則によれば、人間は表情・声のトーン・内容などの間に矛盾が生じた場合、言語・聴覚・視覚の3つの情報から相手を判断し、その割合は視覚が55%、聴覚が38%、言語が7%だという。人の第一印象は最初の6秒間で決まる。いくら精度の高いプレゼンや講演をしても、見た目や話し方がイマイチだと相手が受け取る印象は悪くなってしまう。

そんな非言語コミュニケーションの重要性に早くから着目し、30年近くにわたり「外見力向上」を提案し続けているのが、With-Bright株式会社 代表取締役社長の酒井淑恵氏。自ら開発した外見印象分析システム『Muse2015®︎』をベースに、イメージコンサルタントとして個人レッスン・講演・メディア出演などを行っている。

 2019年2月にグロービス経営大学院大阪校で開催されたのは、「外見力の重要性」をテーマにした酒井氏による講演会。『Muse2015®︎』を使った戦略方法やビフォーアフター事例紹介、イベント参加者一人ひとりのタイプ診断などが行われた。またAIを活用した『Muse2015®︎』のビジネス化を構想しているユーモア株式会社代表表美也子氏と、卒業生でもある若松邦茂氏を交え、ビジネス化の経緯や今後の展望も語られた。

アメリカの大統領選で生まれた「イメージコンサルティング」

イメージコンサルティングの発祥はアメリカだという。「テレビが普及し、ちょうどケネディ大統領の選挙戦があった時代にイメージコンサルティングは生まれました。ラジオは姿が見えず言葉そのものが伝わりやすいですが、テレビは服装や雰囲気が演説に大きく影響します。そのため地位や目的に合わせて、外見を戦略的につくっていくイメージコンサルティングという概念が生まれたのです」と酒井氏。

外見戦略において、日本は欧米諸国よりもかなり出遅れてしまった。酒井氏がイメージコンサルタントを始めた当初も、なかなか理解してもらえなかったそうだ。

「日本には『襤褸を着ても心は錦』という言葉があります。当初は、『外見と仕事の能力は別物』『外見にかまう暇があったら仕事をしろ』と取り合ってもらえませんでした。ですが欧米では、自分のステージに合わせて外見を整えていないと『仕事ができない』と捉えられます。人の記憶として残りやすいのは、服装や雰囲気などの映像。『あの人に○○をお願いしよう』と思い立つとき、記憶を支えているのは映像なのです」

最近は日本でも意識が変わってきており、とくに政治の世界では変化が顕著だという。ある政治家は、髪型やスーツのサイズ、ネクタイのノットの大きさを一新し、地位にふさわしい堂々とした雰囲気を得た。

酒井氏のクライアントの成功事例も多数ある。ある40代の女性経営者は、会合に行くといつも社員に間違われていたが、服装・姿勢・立ち振る舞いなどを改善して社長らしい外見を手に入れた。「売れない漫才師」と揶揄されていた男性経営者は、地位や年齢に合った風格を習得した。ある女性医師は女性らしい柔和さを身につけ、看護師や患者と良好な関係を築けるようになったという。実際のビフォーアフターの写真も紹介されたが、いずれも同一人物とは思えないほどの変貌ぶりだった。

外見戦略の秘訣は、「外見から考えない」

表情や態度などの外見は、五感に訴えかけるもの。酒井氏によるとポイントは「清潔感」「安心感」「信頼感」だという。

「清潔感=明るさ。表情や服の配色で決まります。商談前など自信がないときは、何度も深呼吸をして顔に血をめぐらせると明るさがアップします。安心感=親しみ。顔の雰囲気や、服とのバランスも重要です。かっちりとしたスーツなのに髪がはねている、フルメイクなのにラフなデニムなど、見た目のバランスが崩れていると人は不安な気持ちになります。そして信頼感=知性。6秒以上見ていられる不信感のない外見であることが大切です」

酒井氏の提唱する外見戦略の秘訣は、「外見から考えない」こと。好みのファッションをすればいいわけではないし、単におしゃれをするのとも違う。どんな人間になって、どんな姿で仕事をしたいかという「自分の理想」と、会社や社会など「環境が求める理想」、それらをすり合わせて相応の外見を考えていくことを重視している。その理想を実現するために、一人ひとりが持つ個性を客観的に分析してくれるのが、『Muse2015®︎』である。

分析の材料として使われるのが「形」「質感」「色」の3要素。それぞれのミックスの仕方により、外見の魅力は大きく5つのカテゴリに分けられる。各カテゴリはわかりやすいようにキャラクター化されており、女性であれば「天使」「妖精」「観音」「女神」「天女」、男性であれば「プリンス」「クリエイター」「ジェントルマン」「ボス」「プレジデント」となる。ひとつのキャラクターだけに該当するのではなく、通常は一人の中にいくつかのキャラクターが入り混じっていて、その割合も数値化されるのがユニークなポイントだ。

自分の魅力を客観的に知れる『Muse2015®︎』

酒井氏が挙げた芸能人の例では、「天使」が強いのは吉川ひなのさん、小倉優子さん、櫻井翔さんなど。顔や目や体が丸く、質感は軽く、色は薄め。「可愛い」「ふんわり」といったキーワードが似合うタイプだ。

「妖精」タイプは広末涼子さんや東山紀之さん。目や輪郭がすっきりとした直線で、質感は軽く、色は薄め。キーワードは「爽やか」「みずみずしい」などが挙げられる。

「観音」タイプは倖田來未さん、神田うのさん、北村一輝さんなど。複雑な曲線の多いフォルムで、質感も色も重め。「ゴージャス」「セクシー」などのキーワードがしっくりくる。

「女神」タイプは黒木メイサさん、米倉涼子さん、長瀬智也さんなど。直線が強く、日本人離れした外見が特徴で、「スタイリッシュ」「理知的」といったキーワードが当てはまる。

そして「天女」タイプは檀れいさん、黒木瞳さん、佐藤健さんなど。流曲線でバランスがよく、キーワードは「エレガント」「穏やか」などがぴったりだ。

「私は『天使』と『女神』と『天女』を30%くらいずつ持っています。本当は『天使』のテイストに合ったファッションが好きですが、社長という自分のステージをふまえ、『女神』をメインに『天女』を少し加えた外見を心がけています。自分の中のどこを消してどこを引き出すかを考えるためにも、自分が置かれているステージと理想を整理することが重要です」

イメージコンサルティングは社会的地位の高い人ほど効果が高い。周囲への影響力が大きいからだ。酒井氏のクライアントにも社長や起業家、弁護士、医師などが多いという。

「外見戦略にはコンサルタントの力も重要ですが、ご本人が自分の力である程度できればなお良い」と酒井氏。その思いを受け継ぐ形で、AIを使った新たなビジネス化を構想しているのが、表氏とグロービスの卒業生でもある若松氏である。

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「KAJJ(経営女子塾)」とは

ダイバーシティ&インクルージョンをテーマに、女性も当たり前にリーダーシップを発揮し、男女問わずひとりひとりがイキイキと活躍できる社会の実現を目指す人たちが集うクラブ。1~2ヶ月に1回のペースでイベント・勉強会を行っており、社会、組織、個人の各観点に光をあてます。専門家の講演、自己啓発プログラム、対話を通し広い視野と新たな視点を得ることができます。

クラブ活動とは

社会の「創造と変革」に貢献することをテーマに掲げ、グロービスの学生が自主的に取り組む活動です。共通の目的や問題意識を持った同志が集い、それぞれのクラブが多彩なテーマで独自の活動を展開しています。学年の枠を超えて、在校生と卒業生が知識や経験を共有し合うクラブ活動は、志を実現につなげるための場として、大きな意味を持つものとなっています。

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