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組織の「変革」に挑み続ける4名の取り組みとは?――グロービス公認クラブ「変革クラブ」 イベントレポート②

2019年01月10日

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クラブ活動 グロービス変革クラブ 活動レポート

グロービスの学生が、共通の目的や問題意識を持つ仲間と自主的に取り組むクラブ活動の活動事例紹介。


前回に続き、先日行われたグロービスの学校公認クラブ活動「変革クラブ」が主催するイベント「第2回 グロービス・変革・チャレンジ」の内容をお届けします。

事例発表 ~変革チャレンジャー部門~

「グロービス・変革・チャレンジ」の事例発表は3部門に分かれている。変革チャレンジャー部門、変革マスター部門、変革スターター部門の3つだ。


変革チャレンジャー部門は、今まさに行動している最中の人。変革マスター部門は、すでに変革を行っており、終わりのフェーズに近づいている人。そして変革スターター部門は、変革したいがまだ踏み出せていない人、これから踏み出そうとしている人を対象としている。

発表後には、ゲストコメンテーターからフィードバックをもらう。今回のコメンテーターは、グロービス経営大学院研究科長の田久保善彦さん、アイディール・リーダーズCOOで変革クラブ設立メンバーの後藤照典氏、日本交通グループ・大国自動車交通代表で2017年アルムナイアワード受賞者の濱暢宏氏の3名。

事例発表 ~変革チャレンジャー部門~

知財担当として、技術をビジネスへ昇華(2017期 奥智照さん)

2016年10月にKDDI研究所とKDDI総研が合併し、近未来を予測しながら最新技術を研究するKDDI総合研究所が誕生。その翌年、同社の知的財産戦略グループに出向することになった奥さん。

ミッションは、社会を変える力である「技術」を、ビジネスモデル特許取得を通じてビジネスの種として市場に送り出すこと。そして、研究開発したものがビジネスに繋がる可能性を高めることだった。しかし、200人いる組織に若手が突然飛び込んだところで、なかなか成果に繋がらないのが実情だった。


また、旧KDDI研究所の研究者には特許により関心を持ってもらいつつ、旧KDDI総研のアナリストには技術により関心を持ってもらわなくてはならない。さらには、ベテランの元研究者を中心とした知的財産戦略グループのメンバーにも協力してもらう必要があった。

奥さんが講じた解決策は、意識改革のために相手の懐に飛び込むこと。研究者から特許出願の相談を受ける際に「どんなビジネスで使われるのか」を尋ね続ける、レスポンスが悪い人の研究室に立ち寄る、ビジネスモデル特許は簡単に取れるとアナリストに折を見て伝え続ける、グループのベテランメンバーには青二才を演じ続けて「手伝ってやるか」と思ってもらうなど、相手の懐に入って相手が使う言葉を用いながらコミュニケーションすることで、出向先で業務改善賞を受賞するという成果をあげた。


現在は出向解除となり、法人ソリューション部門等へビジネスモデル特許取得に向けた草の根活動を継続している。

奥さんの発表に対して、各コメンテーターからフィードバックが行われた。


田久保さんは、「相手のスタイルに寄り添って信頼の基盤をつくっていくプロセスはまさにその通り。変革に乗ってこない人が多かったのは、困っていなかったからなのでは? 変革には「大義」が必要だ。」とコメント。


また、後藤氏からは、「1on1のコミュニケーションで懐に入っていくアプローチは素晴らしい。あとは、自分が介在しなくても、あの人とあの人を繋げたらこういう会話が生まれるというのを見据えて行動できるとなお良い。」とのコメントがあった。 


さらに濱氏からは、「大企業での意思決定プロセスをきちんと把握したうえで臨めている。以前NECは、折りたたみ携帯電話の上部に着信を知らせるLEDをつけ、特許を取得した。それは女性が携帯をバッグにどうしまっているかを担当者が細やかにリサーチしたから。そうした小さな特許を使って地道に実績を重ねていくことが大事だと感じた。」と、過去の事例を引き合いに感想を述べた。

老舗のオーナー社長企業で、人財育成プランをゼロから構築(2010期 宮本朋和さん)

年商800億円、従業員600名規模の生活用品卸会社で、4年前から人事教育担当を務めている宮本さん。新入社員・中堅社員の研修プログラム、採用方針にいたるまでを教育体系を一から構築してきた。


宮本さんが直面したのは、新たな人財育成プランをつくり上げる苦労に加え、トップマネジメントの期待値とスピード感に追いつくことの難しさ。着任後、粘り強くプランを磨き上げ、実質の準備期間はわずか数ヶ月という中で、入社3年ですべての業務に精通するプロフェッショナルを育てるための研修プログラムをスタートさせた。そして研修が軌道に乗り始めたタイミングで、新たな変革のチャレンジとして、30歳前後の社員向けプログラムの構築にも乗り出している。


多くのチャレンジを乗り越えられた理由として、自分自身の「志」、グロービスの同志の応援、家族の支えを挙げた宮本さん。「負けるものかという気持ちと、ピンチこそチャンスと捉える力、そして周りへの感謝が変革には大事」というメッセージで締めくくった。

宮本さんの発表に対し、田久保さんは「オーナー企業、特に強いオーナーがいる企業の場合は、トップと方向性は同じなのに時間感覚が違うということがよくある。それをどこまで合わせられるかが重要。」とコメント。


また、濱氏からは「3年育成プログラムについて、これを導入すると3年後どうなるか、コストはどうか、などトップは費用対効果を気にしたと思う。実務とは違う学びが育成プログラムにはあることを具体的に伝えた、など、トップの説得方法まで発表できればよりいいプレゼンになったのでは。」とコメントがあった。

勝てる新規事業を育てるための、役員提言プロジェクト(2018期 澁谷直幸さん)

澁谷さんはNTTドコモの新規事業部門に7年所属後、総務部で取締役会事務局等を担当。日本の携帯電話市場が飽和し、新規事業立ち上げを強化するようになった同社では、直近3年で利益の約15%を通信事業以外で獲得するようになった。

ただ、新規事業での収益を今後さらに拡大し、安定化させていくためには、より収益性の高いサービスを見極めて集中的にリソースを投下していく必要がある。そこで、意見を同じくするメンバー9名とともに役員提言プロジェクトを発足。週1日仕事後に2〜3時間議論を重ね、3ヶ月後に役員への提言を実現した。


澁谷さんたちはまず、立ち上げ段階で着実に収益性を見極めるための課題として、定期的な人事異動を挙げた。サービス立ち上げ後、その行く末を見ずに異動になる可能性が高いと、立ち上げ自体が目的化して収支予測が甘くなるケースが多いからだ。さらに、収益性の高いサービスを厳選して継続していくための課題としては、サービスの今後を見極める評価基準をより明確化する点などが挙げられた。

その解決策として、サービス開始後に半年に1回の審査を導入。顧客満足と収益性、いずれの指標も未達であれば、戦略変更か撤退を速やかに決定することを提言した。また、予測が甘かったサービスは立ち上げメンバーが撤退まで実行する体制にすることで、立ち上げの目的化を抑制。撤退は悪いことではなく、新たな事業にリソースを割くための前向きなアクションだと説明した。その結果、提言内容を推進する管理職が指名され、サービス撤退のリリースが表に出てくるようになった。


最後に、変革行動を起こすためのポイントとして澁谷さんは、「ステークホルダーの不幸から目を背けない」「同じ思いを持った仲間を見つけるために発信する」などを挙げた。

澁谷さんの発表に対し、田久保さんは「大きな成功要因は、経営者の興味関心とマッチするところにいい球を投げられたことだと思う。実際の提案資料もこのプレゼンのように論理性が高かったのではないか。」とコメント。

また、後藤氏からは、「ここを止めればここが動く、というシステム思考で考えられているプロジェクト。どこかが動くとたいてい副作用が出るので、副作用と対策をあらかじめ想定しておくことも大事。」とコメントがあった。

エンパワーメント促進に向けて、社員満足度を向上(2014期 小林明尚さん)

Amazonの人工知能Alexaの音声データ処理を行う部門で、日本の組織を統括する小林さん。世界には各言語を担当する複数の拠点がある中、品質・生産性・定着率などはすべてトップクラス。そこで、社員の満足度やモチベーションに関しても全世界トップを目指すべく、改革をスタートした。


まずは、部門のビジョンを「地球上で最も働きやすい職場」から「地球上で最も働きがいのある職場」へ変更し、全体集会で提言。「働きやすい」だと環境への要望ばかり出がちだが、「働きがいのある」にすることでメンバーに主体性を持ってもらうことが狙いだ。

また、社員満足を「マネジメント」「やりがい」「カルチャー」などに分解し、それを支えるものは何かを言語化して、各マネージャーへのコーチングを実施。チーム単位での週次社員満足度会議、キャリア開発のワークショップなども行った。最初は成果を度外視してひたすらアクションを起こし、一定期間が過ぎたあとに社員満足度を精緻に分析。短期間にもかかわらず、行ったアクションでの向上に成功したそうだ。


「私にとって社員満足度改善は、あくまでもひとつの指標」と語った小林さん。ゆくゆくはエンパワーメントを再開発し、一人ひとりのメンバーがオーナーシップを持って働ける組織にしていきたいという。

小林さんの発表に対して、田久保さんは「働きがい」に言葉を転換した点は重要。働きやすさは押し売りできるが、働きがいは本人に感じてもらうしかない。社員一人ひとりの意識を変えるには、まずはマネージャーにいかに当事者意識を持ってもらうかがカギ。」とコメント。


また、濱氏は「以前、タクシーアプリ開発をしているグループ会社・Japan Taxiで、社員の働きがいについて悩んでいた時期があった。そのときはマネージャー候補とひたすら1on1をし、人生で成し遂げたいことは何か、それに対して組織がどんな機会を提供できるかをとことん話し合った。そして自身のビジョンと会社のビジョンが合致する人をマネージャーとして育成。外部から採用した場合も、入社後半年は役職をつけず、適した人材だけをマネージャーにした。」と、ご自身の実例を紹介。


さらに、後藤氏からは「社員満足度とは、期待値と実感値のギャップ。そのため、期待値を下げればいいという短絡的な方向に向くケースもあるが、それは本質ではないので要注意。「働きがい」への転換は素晴らしい。ちなみに、最近人事の間で流行っているキーワードは「エンプロイエクスペリエンス」。満足度ではなくどんな経験をさせていくか、目指すところに向かってどんなキャリアを積んでもらうかを、個別にデザインしていくことが注目されている。」とコメントがあった。

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グロービス変革クラブとは

組織や企業、業界、社会の「変革」を成し遂げる人材の輩出を目指すクラブ。在校生・卒業生約1,400名が在籍し、変革コミットメントシートの作成やワークショップ、分科会などの活動を通して「一人ひとりが変革に強いコミットメントを持ち、自身の変革プランを磨き上げる」場を提供しています。

クラブ活動とは

社会の「創造と変革」に貢献することをテーマに掲げ、グロービスの学生が自主的に取り組む活動です。共通の目的や問題意識を持った同志が集い、それぞれのクラブが多彩なテーマで独自の活動を展開しています。学年の枠を超えて、在校生と卒業生が知識や経験を共有し合うクラブ活動は、志を実現につなげるための場として、大きな意味を持つものとなっています。


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