グロービス経営大学院

お知らせ

2026年10月07日

2026年10月07日

AI活用の鍵は「組織文化」、経営層と現場には認識差も グロービス経営大学院、日経ビジネスとAI活用の実態や組織課題を共同調査

グロービス経営大学院大学(以下 グロービス経営大学院)は、ビジネスメディア「日経ビジネス」(発行:株式会社日経BP)と共同で、グロービス経営大学院の在校生・卒業生を対象に、AI活用の実態や組織における阻害要因、AI時代のビジネスパーソンに求められる能力について調査を実施しました。

本調査では、経営層の約8割がAIを日常的に活用していることが明らかになりました。自組織のAI活用頻度と阻害要因との関係を分析したところ、最も強い負の相関を示したのは、試行錯誤や失敗を許容する文化がないことでした。また、経営層の34.5%が自組織でAI活用の推進を鈍らせている要素は思いあたらないと回答する一方、一般社員では、使用できるツールの制限や経営層のAI理解度、組織文化などの課題を阻害要因として挙げる割合が経営層より高く、経営層と現場でAI活用をめぐる認識に差がある可能性が浮かび上がりました。

調査実施の背景

生成AIをはじめとするテクノロジーの進化により、ビジネスの現場におけるAI活用は急速に広がっています。個人がAIを活用して業務を効率化するだけでなく、企業にとっては、AIを経営や業務プロセスにどのように組み込み、組織全体の競争力向上につなげていくかが重要なテーマとなっています。
一方、AIを導入するだけで、組織全体での活用が進むとは限りません。AI活用を進めるうえでの組織的な課題や、経営層と現場の認識の違いに加え、AI時代に人やビジネスリーダーにどのような役割・能力が求められるのかについても、企業経営における重要な論点のひとつとなっています。
こうした背景を踏まえ、企業経営の最前線を伝えるビジネスメディア「日経ビジネス」と次世代のリーダー育成に取り組むグロービス経営大学院は共同調査を実施。経営の現場を捉える視点と、経営・組織・人材育成の視点を掛け合わせ、AIの利用実態にとどまらず、組織的な課題や今後のAIと人間の役割、人材要件までを多角的に明らかにすることを目指しました。
本調査では、グロービス経営大学院の在校生・卒業生を対象にWEBアンケートを実施し、618件の有効回答を得ました。経営層、管理職、一般社員など幅広い職位の回答をもとに、AI活用の実態、組織における阻害要因、今後のAIと人間の役割、AI時代に求められる人材要件について分析しました。

調査サマリ

1.経営層の約8割がAIを日常的に活用

経営層の79.8%が、AIを「業務の中核」または「日常業務の中で頻繁」に利用。利用目的では、「情報収集・調査(86.3%)」、「文書作成・推敲・文字起こし(84.2%)」などが上位となり、 経営層はAIを日常業務のさまざまな場面で活用。

2.AI活用の阻害要因で最も強い負の相関は「失敗を許容しない文化」

AI活用の阻害要因のうち、回答者が認識する自組織のAI活用頻度と最も強い負の相関を示したのは、「AIに限らず、新しいものを導入した際の試行錯誤や失敗を許容する文化がない(相関係数 r=−0.29)」。

3.経営層の約3人に1人が「AI活用の阻害要因なし」、一般社員との認識差も

AI活用推進を鈍らせている主な要因を尋ねたところ、経営層の34.5%が「自組織において、AI活用の推進を鈍らせている要素は思いあたらない」と回答。 一方、一般社員では、「AIに限らず、業務で使用できるツールに関する制限が厳しい(37.6%)」、「経営層のAI理解度が低い(28.0%)」、「AIに限らず、新しいものを導入した際の試行錯誤や失敗を許容する文化がない(26.8%)」となり、職位による認識差が浮き彫りに。

4.AIが担う領域が広がる一方、「ビジョンの発信・共有」や人と向き合う役割への期待

経営層では、今後3~5年でAIが不可欠な役割を担う業務として、「バックオフィス業務(総務・経理等)(88.5%)」が最多。人間が不可欠な役割としては、「営業・販売・接客(77.0%)」、「ビジョンの発信・共有(74.1%)」、「モチベーション・メンタルヘルス管理(64.7%)」が高い割合。

調査結果詳細

1.経営層の約8割がAIを日常的に活用

経営層のAI活用頻度について、「業務の中核としてAIを活用している(AIなしでは業務遂行が困難)」は23.7%、「日常業務の中で頻繁に利用している(ほぼ毎日)」は56.1%となり、合わせて79.8%でした。経営層において、AIの活用が日常業務に広がっています(図1)。

(図1)

AIの利用目的では、経営層は「情報収集・調査」(86.3%)、「文書作成・推敲・文字起こし」(84.2%)が上位でした。なお、「意思決定支援(シナリオ分析、意思決定の補助等)」へのAI活用は、経営層で47.5%、一般社員で28.7%となりました(図2) 。

(図2)

2.AI活用の阻害要因で最も強い負の相関を示したのは「失敗を許容しない文化」

自組織のAI活用頻度とAI活用を阻む要因との関係を分析したところ 、「AIに限らず、新しいものを導入した際の試行錯誤や失敗を許容する文化がない」は、相関係数 r=−0.29で、阻害要因の中で最も強い負の相関を示しました。次いで、「経営層のAI理解度が低い(r=−0.26)」、「AI活用の目的・意義が不明確(r=−0.23)」でした。
組織におけるAI活用頻度には、ツールやルールだけでなく、新たな取り組みにおける試行錯誤や失敗を許容する文化、経営層のAI理解などといった組織的な要素が関係していることが示唆されます(図3) 。 

(図3)

3.経営層の約3人に1人が「AI活用の阻害要因なし」、一般社員との認識差も

所属組織でのAI活用推進を鈍らせている主な要因を尋ねたところ、経営層では34.5%が「組織においてAI活用の推進を鈍らせている要素は思いあたらない」と回答しました。一方、一般社員では、「業務で使用できるツールに関する制限が厳しい(37.6%)」、「経営層のAI理解度が低い(28.0%)」、「新しいものを導入した際の試行錯誤や失敗を許容する文化がない(26.8%)」となりました。AI活用をめぐり、職位によって自組織の現状の捉え方に違いがあることがわかりました(図4)。

(図4)

4.AIが担う領域が広がる一方、「ビジョンの発信・共有」や人と向き合う役割への期待

経営層に、今後3~5年でAIが不可欠な役割を担うと考える業務を尋ねたところ、「バックオフィス業務(総務・経理等)(88.5%)」が最も高く、「マーケティング(顧客理解・販売促進等)」と「戦略立案・分析」がともに69.1%でした(図5)。
一方、今後3~5年で人間が不可欠な役割を担うと考える業務では、「営業・販売・接客(77.0%)」、「ビジョンの発信・共有(74.1%)」、「モチベーション・メンタルヘルス管理(64.7%)」が続きました(図6)。
今後、AIの活用が幅広い業務領域に広がると考えられている一方、人間には、ビジョンを示したり人と向き合ったりする領域で重要な役割が期待されていることが分かりました。

(図5)

(図6)

AI時代に求められる経営力を備えたリーダーの育成

本調査では、経営層が今後3~5年でビジネスリーダーに求められる能力として重視しているのは、「リーダーシップ(人・組織を巻き込み、方向づける力)(86.3%)」、「コミュニケーション能力(対人・対組織の調整力)(82.7%)」、「やり抜く力(困難に直面したときにあきらめない意欲)(79.1%)」などであることが分かりました。 一方、「デジタル・AI活用能力(生成AI・ITツールの業務活用)」は48.9% でした(図7) 。
 経営層では、人や組織を巻き込み、方向づけ、やり抜く力が重視されていることがうかがえます。

(図7)

また、職位別に見ると、「好奇心」を重要な能力として挙げた割合は、経営層69.8%、上級管理職63.3%に対し、中間管理職49.8%、一般社員42.0%となりました(図8) 。経営層・上級管理職ほど「好奇心」を重視する傾向が見られ、AI活用が広がる中で、新たな可能性に関心を持ち、問いを持ちながら探究し続ける姿勢も、 AI時代のリーダーに求められる重要な要素と考えられます。 

(図8)

グロービス経営大学院では、こうしたAI時代に求められる「問いを立てる力」「中長期の視点で構想する力」「人・組織を巻き込み、動かす力」を磨く経営教育を行っています。AIから得られる情報や分析を活用するだけでなく、何を問うのか、どのような未来を描くのかを考え、自ら意思を持って人や組織を動かしていく力を育むことを重視しています。 その中でも、デジタル技術を活用し、新たな事業や価値を構想する力を養うため、  「テクノベート*」を、これからの経営を学ぶうえで欠かせない領域として教育に取り入れています。 「テクノベート・シンキング」「AI&データサイエンス」などの科目を通じて、最新テクノロジーを知識として学ぶだけでなく、実際に活用しながら、ビジネスにどのような価値を生み出せるかを実践的に学びます。 また、テクノロジードリブンで新たな価値創造をリードする力を養う「テクノベートMBA」に加え、経営や組織の変革を担うリーダーを対象とした「エグゼクティブMBA」を提供しています。

グロービス経営大学院は、AIやテクノロジーを活用しながら人や組織を率い、創造と変革を実現するリーダーの育成を今後も推進してまいります。
*テクノロジーとイノベーションを組み合わせた造語

調査概要

  • 調査期間:2026年5月19日~6月14日
  • 調査方法:WEBアンケート
  • 調査対象:グロービス経営大学院在校生・卒業生
  • 有効回答数:618名(うち経営層139名)
  • 回答者属性:
    【職位】経営層 139人(22.5%)、上級管理職 90人(14.6%)、中間管理職 221人(35.8%)、一般社員 157人(25.4%)、その他 10人(1.6%)
    【所属組織の従業員規模】5,000人以上 165人(26.7%)、1,000~4,999人 131人(21.2%)、300~999人 102人(16.5%)、100~299人 72人(11.7%)、100人未満 146人(23.6%)

※無回答、重複回答等により、一部の項目では回答合計数が618件とならない場合があります。
※本調査は、グロービス経営大学院の在校生・卒業生を対象としたものであり、国内のビジネスパーソン全体の代表値ではなく、AI活用に関する実態や傾向を把握するための参考値として扱っています。
※本調査で示す相関関係は、因果関係を示すものではありません。
※回答者の職種、業種などの詳細については、報道関係者の方に個別にご案内しています。
  ご希望の場合は、グロービス広報室(pr-info@globis.com)までお問い合わせください。


<『日経ビジネス』 で特集記事>
AIを戦略的に使いこなす「AI駆動型リーダー」の実像とそのあり方について考える特集を「日経ビジネス」2026年9月21日号と「日経ビジネス電子版」(https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00928/)でお読みいただけます。