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投稿日:2026年04月08日

投稿日:2026年04月08日

【卒業生インタビュー】認定NPO法人STORIA 代表理事 佐々木 綾子氏「震災を越え、“愛情が循環する社会”を創る」

佐々木 綾子
認定NPO法人STORIA 代表理事
グロービス経営大学院 2018年卒業
認定NPO法人STORIA 代表理事 佐々木 綾子氏「震災を越え、“愛情が循環する社会”を創る」

MBAの真価は取得した学位ではなく、「社会の創造と変革」を目指した現場での活躍にある――。グロービス経営大学院では、年に1回、卒業生の努力・功績を顕彰するために「グロービス アルムナイ・アワード」を授与している(受賞者の一覧はこちら)。

今回は2023年「ソーシャル部門」の受賞者、認定NPO法人STORIA代表理事の佐々木 綾子氏にインタビューした。困難を抱えたこどものサードプレイス事業と保護者の相談支援事業を地域や行政、企業と協働で取り組む佐々木氏の想いを聞く(インタビュアー:西村 美也子)。

「なぜ私は生かされたのか」:震災と原体験が灯した「志」

西村:この度はアルムナイ・アワード受賞、誠におめでとうございます。受賞した感想をお聞かせください。

佐々木: ありがとうございます。ただ、実はどこか居心地の悪さも感じていて。私は受賞を目指して活動してきたわけではなく、ただただ目の前のこどもたちや親御さんの必要に応えてきただけなのです。でも、この賞が、困難の中にあるたくさんのこどもたちやご家庭の現実に光を当て、その声を社会に届ける機会になるなら、大変光栄です。
同時に、この場に立つと、共に歩んできたこどもたち、親御さん、そしてスタッフやプロボノの仲間たちの姿が浮かびます。本当に、みんなで一緒に立たせてもらったと感じています。

西村:佐々木さんは企業で営業としてご活躍され、要職にも就かれていました。そこからNPOへ転身されていますが、大きな決断だったと思います。最も大きなターニングポイントは何だったのでしょうか?

佐々木:やはり、東日本大震災です。これまで当たり前にあった日常を突然失う瞬間に立ち会い、「なぜ多くの方々が亡くなった中で、私は生かされたのだろうか」と、自らの生き方を問い直す瞬間でした。その問いの答えとして見出したのが、「困難を抱えるこどもたちや親御さんと、喜びも悲しみも共に感じながら生きていく」という道でした。ここからNPOに転身し、最終的にSTORIAを立ち上げました。

西村:なぜ、NPOとして子供たちの居場所をつくる事業を創業しようと思ったのでしょうか。きっかけとなる原体験があれば教えてください。

佐々木: 私の原点は、私自身の家庭環境にあります。幼少期に機能不全家庭で育ち、肉体的・精神的なつらさを経験しました。そこで感じた「悲しみ」や「孤独」が、生きづらさを抱える人々の「声なき声」に自然と敏感になった理由だと思います。あの痛みを抱えてきたからこそ、人の痛みに共感でき、この仕事に真剣に取り組めている。この経験を、未来を創るエネルギーに変えたいと強く思いました。

そして、私の変わらない価値観は「人は生きているだけで価値があって、素晴らしい存在である」ということです。かつての営業の世界では、数字や効率性の中で人が病んでいく姿を多く見ました。だからこそ、表面的なもので人の価値は変わらないと確信しています。STORIAでは、この信念を土台に、スタッフやボランティア、関わる人たちとの間で「愛情の循環」を生み出し、その愛でこどもや親御さんを愛し、その先にある社会全体に流していくことを大切にしています。

「答えのない問題」に挑む:慈愛と戦略が支えるコンパッション経営

西村: STORIAでは新しい事業がスピード感をもって立ち上げられています。特に印象的なプロジェクトや、困難だったことはありますか?

佐々木: 私たちの特徴は、こどもたちの居場所事業から始まり、親御さんの孤独感、自己肯定感、経済といった様々な課題に相乗効果を生む多角的な事業へと広がった点です。これは、単一のサービス提供に留まらず、社会全体に変化をもたらす原動力になっています。

一方で、困難は尽きません(笑)。一つは、「答えのない問題」に常に限られた資源の中で向き合い続けることです。「これをすれば必ず解決する」という確信がない中で、終わりが見えない挑戦を続けるのは、大きなチャレンジです。

もう一つは、「コンパッション経営」。合理性を重視しつつも、受益者だけでなく、関わるすべての人の幸せを同時に考えながら組織を持続させることです。「何かを犠牲にして成り立つ幸せ」は違うと思っているので、慈愛をもって経営していくことは、今も大きなチャレンジです。

西村: その困難を乗り越えるための具体的な戦略を教えていただけますか。想いだけでなく、どのような工夫をされたのでしょうか。

佐々木: 実はかなり戦略的に動いています。最初は200〜300万円といった小さな助成金を集め、その中で「このソリューションは社会全体にとってプラスになる」と証明できる成功モデルを小さく作り上げることを大事にしました。成功事例ができたら、そこにリソースを集中投入し、大きな資金調達へと挑戦する。このサイクルでSTORIAを育ててきました。

そして、多くの方々に関わってもらう上では、「エネルギーの質」が重要です。「こんな社会はダメだ」という怒りや悲しみを原動力にするのではなく、「こういう社会をつくりたい」というビジョンを共有し、みんなで同じ絵を見て進む。「こういう社会をつくりたい」というビジョンと、自分自身の「こうありたい」というあり方を大切にし続ける。うまくいかないことがあっても、「あの世界をみんなで一緒につくるんだ」という強い信念があるから、諦めずに続けられます。

このワクワク感と、私たちの哲学である「respect &fun」という関係性を大切にしたあり方が、自治体や行政を含め、様々なセクターとの協働を生み、長期的な支援に繋がっているのだと思います。実際、グロービス生をはじめとするプロボノ・ボランティアの方々が、年間約1,000万円相当の仕事を無償で担ってくださっています。

グロービスでの学びの活用:想いを戦略に変える「レバレッジポイント」

西村: NPOという非営利の分野で、なぜMBA、そしてグロービスを選ばれたのでしょうか。

佐々木: 震災後、「困難を抱える人のために生きたい」という想いだけでは限界があると感じたからです。非営利セクターであっても、事業の持続性や社会的インパクト創出には、経営の観点が不可欠でした。グロービスの「志」を大切にする姿勢に強く惹かれ、シングルマザーで自身も困難な状況でしたが、「私が学ばせていただいたことを社会にお返しする」という使命感から、奨学金をいただき入学を決めました。

実際に、グロービスで学んだロジックや数字に基づいた深い戦略は、様々なステークホルダーへの説明責任を果たす上で大いに役立っています。特にソーシャルベンチャープログラムで学んだ「レバレッジポイントを見極める」考え方は、限られたリソースをどこに集中させるかという事業判断の核になりました。

また、グロービスの仲間たちには、私にとって同じ志を持つ「同志」として気持ちの面でも支えられています。そんな仲間と一緒に考えたり活動したりすることで、自分ひとりでは乗り越えられない課題にも取り組むことができました。

事業運営が厳しい局面に直面し、1年分の資金が確保できずこどもたちの居場所を失いかけた時も、プロボノの仲間たちが戦略を練り、クラウドファンディングを立ち上げてくれました。800人以上の支援を集めて首の皮一枚で存続できたあの経験は、グロービスの仲間がいなければ実現できなかったことです。

未来を創る「志」の羅針盤:信じた想いを力に一歩踏みだす

西村: 今後のSTORIAの未来と、新たに取り組みたいチャレンジについて教えてください。

佐々木:私たちは、「愛情が循環する未来」というビジョンを、自然な形で社会へ広げていきたいと考えています。
これまでSTORIAでは、モデル事業を通して生まれた価値を社会の事業へと施策化することに挑戦し、多くのひとり親やそのこどもたちに支援というつながりを届けてきました。

今後は、本質的な事業を創造し続け、企業などの多様なセクターとの協働なども行いながら、社会システム全体に変化をもたらす仕組みづくりに挑戦していきたいと考えています。
社会に関わる一人ひとりが、「自分もシステムの一部であり、変化を起こせる存在なのだ」と気づき、変化していく「優しい社会」を、共につくっていきたいです。

西村: 最後に、これからビジネスリーダーを目指すグロービスの後輩たち、そして受講を検討されている方々に、メッセージをお願いします。

佐々木:グロービス生は特に「何が正しいか」を基準に意思決定しようとしがちです。でも、これからの時代に正解なんてない。形だけの正解を追うのではなく、自分が心から信じた想いを信じて、一歩と言わず踏み出すことが大切です。たとえ間違っていたとしても、その挑戦からは必ず学びが生まれます。失敗やつまずきこそ、次の道を拓く大きな力になります。自分が心から信じた想いをエネルギーにして、一歩と言わず踏み出してほしい。私はそう強く思っています。

西村: 強い勇気をいただきました。本日はありがとうございました。

体験クラス&説明会日程

体験クラスでは、グロービスの授業内容や雰囲気をご確認いただけます。また、同時開催の説明会では、実際の授業で使う教材(ケースやテキスト、参考書)や忙しい社会人でも学び続けられる各種制度、活躍する卒業生のご紹介など、パンフレットやWEBサイトでは伝えきれないグロービスの特徴をご紹介します。

「体験クラス&説明会」にぜひお気軽にご参加ください。

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ご希望の受講形式と同じ形式での参加をおすすめしています。

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  • 4/18(土) 14:00~16:00

    体験クラス&説明会

    開催:オンライン(Zoom開催)
    本科(MBA)への進学を検討している方・進学を視野に単科で1科目から学び始めたい方向け

  • 4/22(水) 19:30~21:30

    体験クラス&説明会

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  • 5/9(土) 14:00~16:00

    体験クラス&説明会

    開催:オンライン(Zoom開催)
    本科(MBA)への進学を検討している方・進学を視野に単科で1科目から学び始めたい方向け

該当する体験クラス&説明会はありませんでした。

※参加費は無料。

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※社員の派遣・研修などを検討されている方の参加もご遠慮いただいております。こちらのサイトよりお問い合わせください。

佐々木 綾子

認定NPO法人STORIA 代表理事
グロービス経営大学院 2018年卒業