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【医療の枠を越えて、組織を動かす力を】医療従事者がMBAを学ぶ理由とは
- 本橋敦子
- グロービス コンテンツオウンドメディアチーム
はじめに
医師、看護師、理学療法士、医療経営者──。専門職として高度なスキルを求められる医療従事者が、近年「経営を学ぶ」必要性を強く感じ始めています。変化の激しい医療現場では、単に医療行為を行うだけに留まらず、組織運営や人材マネジメント、テクノロジーの活用など、多角的な視点が欠かせません。そんな中、実務と直結する学びを提供するグロービス経営大学院のMBAが注目を集めています。
この記事では、医療従事者がなぜMBAを学ぶのか、その背景や意義、そして学びを通じてどのような変化が起きているのかを解説します。
医療現場を取り巻く環境の変化
医療業界は今、大きな構造転換の只中にあります。急速に進む高齢化、医療財政の逼迫、医療従事者の働き方改革、そしてCOVID-19以降の医療体制の再構築──。これらの要因が複雑に絡み合い、現場の運営やマネジメントにおいて、より柔軟で戦略的な対応が求められています。
さらに、デジタルヘルスやAIの活用といった医療テクノロジーの進化により、医療提供の在り方そのものが問われるようになりました。これまでの経験や勘だけでは立ちゆかない局面が増えているのです。
こうした変化に対応するためには、医学的専門性だけでなく、経営的視点を持ちながらリーダーシップを発揮する存在が欠かせません。経営戦略、人材マネジメント、テクノロジー活用などの知識とスキルを体系的に学ぶことが、医療の質と持続可能性を高める鍵となります。
実務に活かすために学ぶ──医療従事者の動機に合致するグロービスMBA
医療従事者がMBAを志す理由は、「経営学そのものを深く研究したい」からではありません。多くの場合、軸にあるのは医療という専門領域に向き合い続けるために、現場で使える経営の視点や意思決定力を身につけたいという、極めて実務的な動機です。
たとえば、次のような場面で「判断できる」「組織を動かせる」力が求められます。
- チームや部門を率いる立場になったとき
- 病院経営や人材マネジメントに直面したとき
- 地域医療、事業承継、新規開院などの重要な意思決定を迫られたとき
そのための“道具”として経営を学びたいという前提が明確だからこそ、実践重視のグロービスMBAが選ばれています。
グロービスの授業は、理論の探求そのものを目的とせず、
- 現場の課題をどう構造化するか
- どのように意思決定するか
- 行動と成果にどうつなげるか
にフォーカスしています。医療現場のリアルな課題を題材に、異業種の受講生と議論を重ねることで、「明日からの仕事に使える」実感が得られる学びが設計されています。
経営の知識を実務に活かす力
グロービスMBAの最大の特徴は、実務に直結するカリキュラムです。経営戦略、マーケティング、人材マネジメント、テクノロジー活用、デザイン思考など、多様な科目を通じて、現場で即活かせる思考力と実行力が身に付きます。
医療の現場で実際に活用されている例として、以下のようなものがあります:
- 医療チームの組織改革や人材育成
- 地域医療構想に基づく病院経営の再構築
- 患者満足度向上を目的としたサービス設計
- 新規事業や新サービスの立ち上げ・推進
- 医療法人・病院経営におけるM&Aや事業再編の意思決定
単なる知識のインプットではなく、学びを仕事に反映しながら成果につなげていく「実践重視」の姿勢が、医療従事者にも高く評価されています。
実務前提の学びを支える、柔軟な学習環境
グロービス経営大学院が医療従事者から支持されている理由は、「学びやすいから」ではありません。前段で述べた通り、実務に活かす前提で経営を学びたいという明確な動機があり、その学びを現場と切り離さずに継続できる環境が整っている点に価値があります。
医療従事者の働き方を前提に設計された主な仕組みは以下の通りです。
- オンライン×通学のハイブリッド型授業
勤務状況や居住地に左右されず、継続的に受講できる - 土日・夜間中心の開講スケジュール
フルタイム勤務を前提に、学びを日常業務に組み込みやすい - 1科目から始められる単科生制度
実務での課題意識を持ったまま、必要なテーマから学べる
中でも医療現場との親和性が高いのが授業振替制度です。
- 急な当直や緊急対応で欠席しても、別日程で同一科目を受講可能
- 「欠席=学びが断絶する」リスクを最小限に抑えられる
これは単なる柔軟性ではなく、実務と学びを同時に走らせるための実質的な安全装置と言えます。
学びやすさは目的ではなく、実務に活かす学びを継続するための条件。
その設計思想が一貫している点こそが、医療従事者からグロービスMBAが選ばれている理由です。
医療従事者のリアルな声:MBAで得た学びと変化
グロービスで学ぶ医療従事者たちは、MBA取得を通じてどのような変化を経験しているのでしょうか。実際のコメントをもとに、そのリアルな声をご紹介します。(ご所属やお肩書はインタビュー当時のもの)
「新型コロナ対応を通じて、医療だけでなく、組織をどう動かし、どう戦略を描くかという視点が不可欠だと実感しました。医学の知識だけでは現場は動かせない。グロービスで学んでいた医師たちの姿を見て、MBAで学ぶ内容こそが、まさに自分に必要なものだと気づいたのです」
— 森 隆浩さん(総合診療科医)
「上司の退職をきっかけに、突如多くのスタッフを率いるマネジャーに昇格しました。臨床の現場で成果を出すことと、組織として成果を出すことはまったく別であり、ビジョンを示し人を動かすためには、マネジメントの知識が不可欠だと痛感しました」
— 松山 太士さん(理学療法士)
「組織の中でマネジメントを担う立場となり、『よい経営とは何か』を本気で考えるようになりました。グロービスで学びを深め、志系科目を通じて人生をかけてやるべきことが明確になり、自分のクリニックを開院したいという想いが固まりました」
— 水野 晶子さん(呼吸器内科医・院長)
「産婦人科医として働く中で、将来の事業承継や病院経営に関わる可能性を意識するようになりました。グロービスでは、業界や立場の異なる仲間と率直に意見を交わす中で、医療の現場を少し引いた視点から考えられるようになったと感じています」
— 菅 ももさん(産婦人科医)
これらの声に共通するのは、「医療の専門性を超えて、組織や社会に影響を与える力を得た」という実感です。単に知識を得るだけでなく、自身の行動や仕事の質そのものが変化しているのです。
まとめ|医療従事者にとってのMBA、その実践的価値
医療の枠を越えて、社会や組織に価値を提供していくためには、医学的専門性だけでは不十分な時代になりつつあります。現場を俯瞰し、チームを動かし、未来を描く力が求められています。
グロービス経営大学院のMBAは、こうした力を実務を通じて身につける場です。多忙な日常の中でも学びを継続できる制度と、多様な背景を持つ仲間との対話を通じて、医療従事者一人ひとりの「変化」を支えています。
これからの医療を担う人材として、自身の可能性を広げたい方にとって、グロービスでの学びは大きな一歩となるはずです。
本橋敦子
グロービス コンテンツオウンドメディアチーム
大学卒業後、全国紙の記者として10年勤務。仙台支局で事件・事故、裁判、行政、スポーツ、東日本大震災の被災地を取材したほか、異動後の東京経済部では流通・小売り、通信、フェムテックなどをテーマに執筆した。現在はグロービスにて、オウンドメディア「GLOBIS学び放題×知見録」の編集等を担当。

