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投稿日:2025年07月15日

投稿日:2025年07月15日

【実務直結】企業再生のリアルを体感する──グロービス経営大学院「ストラテジック・リオーガニゼーション(SRO)」

本橋敦子
グロービス コンテンツオウンドメディアチーム

経営危機に立ち向かう「変革力」を鍛える

経営環境の不確実性が増す現代において、企業は突発的な不祥事や収益性の悪化、外部環境の激変といった多様な危機に直面しています。こうした状況下で求められるのが、「変革力」です。グロービス経営大学院の展開科目(注)「ストラテジック・リオーガニゼーション(Strategic Reorganization:SRO)」は、まさにこの変革力を鍛える実践型の科目として、多くのビジネスリーダーから高い評価を受けています。

この科目は、収益性の中長期的な悪化や短期的な存続危機に瀕した企業の再生をテーマに、実在の企業を題材としたケースメソッドを通じて、経営者視点での戦略立案と実行プランの構築を体得するカリキュラムです。

出典:グロービス経営大学院「ストラテジック・リオーガニゼーション」(https://mba.globis.ac.jp/curriculum/detail/sro/)

(注)「グロービス経営大学院の展開科目」とは?
グロービス経営大学院のカリキュラムは、基本応用展開の3つの科目に分かれています。展開科目は、経営戦略の基礎や応用を学んだ上で、企業再生やベンチャー経営といった特定の専門分野を深く掘り下げるための科目です。

【構成】ケースで学ぶリアルな企業再生プロセス

SROは全6回で構成され、それぞれの回では次のようなテーマと企業ケースが扱われます。

  • Day1:市場構造変化に挑む
    • 富士フイルム とコダックの「デジタル革命」
  • Day2:地域企業の連続危機対応
    • 佐嘉平川屋、平川大計氏インタビュー
  • Day3:大手旅行会社の変革過程
    • トーマス・クック・グループ
  • Day4:外部不安要因への適応戦略
    • サンテックパワーホールディングスの倒産回避、フォルクスワーゲン排出ガススキャンダル
  • Day5:不祥事からの信頼回復
    • 日本マクドナルドの期限切れ食肉問題
  • Day6:長期ビジョンを見据えた再構築
    • ゼネラル・エレクトリックの「インダストリアル・インターネット」戦略

受講者はこれらの実例から、再生戦略の「セオリー」だけでなく、文脈・歴史・組織文化・当時の制約といった「リアル」にも踏み込み、危機に陥った企業を生き返らせるために何が必要か、ひいては自身の身の周りでなかなか思うように変わらない組織を変えていくには何が必要か、現場感覚を伴った意思決定力を養います。

【特徴】チームで挑む実践型グループワーク

SROの最大の特徴は、グループワークです。受講者は変革戦略立案チームを組成し、実在の苦境企業に対し、経営者の立場になったと仮定して再生戦略を策定し、プレゼンテーションを実施します。

この演習は、単なるケース読解ではなく、意思決定・合意形成・戦略実行プランの設計など、マネジメントの全機能を疑似体験するものです。また、他チームからの鋭い質問に応じることで「問いを立てる力」や「他者の納得を得る力」も同時に鍛えられます。

受講後は、経営に対する視座が高まり、専門外の領域とも対話できる「経営共通言語」を身につけることができます

【学生の声】現場で即活用できる知見が得られる

公認会計士/事業再生コンサルタント Aさん 
「財務再構築だけでなく、なぜその問題が起きたのかを企業の『文脈』から理解する大切さを学びました。過去の成功体験や組織文化への深い理解が、現場での提案の質を大きく変えます。まさに実務直結の内容です」

人事担当管理職 Bさん 
「事業構造改革に携わる中で受講しました。組織の過去や文化をリスペクトしながら変革を提案することで、幹部との関係構築もスムーズになり、自分の影響範囲が広がったと感じました」

※コメントはグロービス公式YouTube『SRO講座紹介』より引用(https://www.youtube.com/watch?v=1rWK-X4lOqY)

【対象者】次のような方に最適

  • 自社・自部門の戦略を抜本的に見直したい方
  • 企業再生・経営変革を担うコンサルタント
  • 専門領域を超えて経営全体を学びたいミドルマネジメント以上の方
  • 経営のリアルに即した疑似体験を求める方

【まとめ】実務と理論の架け橋となる講座

SROは、単なる知識習得ではなく、実際の経営現場を想定した「実践の場」として設計されています。経営者の苦悩と決断、現場の矛盾と制約、チームの葛藤と統合を体感することで、ビジネスパーソンとしての視座が大きく進化します。

「再生」は一部の専門家だけの仕事ではなく、すべてのリーダーにとっての必須能力である──SROはその力を育むための最高の訓練場です。

この記事は、グロービス経営大学院の公式科目詳細および受講生インタビュー動画をもとに構成されています。

本橋敦子

グロービス コンテンツオウンドメディアチーム

大学卒業後、全国紙の記者として10年勤務。仙台支局で事件・事故、裁判、行政、スポーツ、東日本大震災の被災地を取材したほか、異動後の東京経済部では流通・小売り、通信、フェムテックなどをテーマに執筆した。現在はグロービスにて、オウンドメディア「GLOBIS学び放題×知見録」 の編集を担当。