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投稿日:2025年03月13日

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メタバースとは?ビジネス分野の活用事例と今後の展望

生成AIとは?従来のAIとの違いや仕組み、ビジネスへの活用事例を解説

現代のデジタル社会において、「メタバース」という言葉をビジネスシーンでも頻繁に耳にするようになりました。Facebook(現Meta)のマーク・ザッカーバーグCEOが社名変更とともに大きく打ち出したことで注目を集めたメタバースですが、その本質や実際のビジネス活用について理解している方はまだ多くありません。

本記事では、メタバースの基本概念から最新の活用事例、ビジネスパーソンが知っておくべき将来性まで、幅広く解説します。

メタバースとはどういう意味か

メタバースとは、「超越」を意味する「Meta」と「宇宙」を意味する「Universe」を組み合わせた造語で、現実世界を超えた仮想空間を指します。具体的には、ユーザーがアバター(自分の分身となるキャラクター)を通じて行動し、他のユーザーとコミュニケーションを取ったり、さまざまな活動を行ったりできるオンライン仮想空間のことです。

メタバースの主な特徴は以下5つが挙げられます。

  1. 持続性:サーバーが落ちても、ユーザーがログアウトしても、仮想世界は継続して存在し続ける
  2. リアルタイム性:現実世界と同様にリアルタイムで活動や交流が行われる
  3. 経済システム:独自の経済圏を持ち、デジタル資産の売買や交換が可能
  4. 社会的つながり:現実世界と同様にコミュニティや社会的関係が形成される
  5. 没入感:高度な没入体験を提供する

メタバースは単なるゲームやSNSとは異なり、現実世界の延長線上にあるデジタル空間として、私たちの生活やビジネスに大きな変革をもたらす可能性を秘めています

メタバースとVRの違いとは?

メタバースとVR(仮想現実)は密接に関連していますが、同じものではありません。両者の主な違いは以下です。

メタバースとVR(仮想現実)は密接に関連していますが、同じものではありません。両者の主な違いは以下です。

つまり、VRはメタバースの没入感をより高めるための技術のひとつであり、メタバースはVRを含むさまざまな技術を活用して構築される社会的プラットフォームと言えます。

ビジネス分野におけるメタバースの活用

メタバースはビジネスの世界に新たな可能性をもたらしています。さまざまな業界でメタバースを活用した革新的な取り組みが始まっています。

バーチャルオフィスとしての活用

バーチャルオフィスとは、Web上に構築された疑似的なオフィスであり、物理的に出社せずとも、社内メンバーとWeb上で同期的なコミュニケーションを取ることが可能なツールです。

最近の主なバーチャルオフィスサービスとしては、以下のようなものがあります。

  • oVice(オヴィス):2Dマップ上でアバターを動かし、近くにいる人とビデオ通話が可能。日本企業に広く導入されている
  • Gather(ギャザー):レトロゲーム風の2Dマップで、接近するとビデオ通話が始まる。カスタマイズ性が高い
  • Teamflow:ホワイトボードやドキュメント共有機能が充実した共同作業向けプラットフォーム

これらのサービスは、チームの一体感醸成や偶発的なコミュニケーション(セレンディピティ)の創出、リモートワークでの孤独感軽減などの効果があると言われています。

バーチャルイベントとしての活用

メタバースは、物理的な制約を受けないイベント開催の場としても積極的に活用されています。従来のリアルイベントでは避けられなかった地理的制約がメタバース上では解消され、世界中どこからでも参加者が集まることができます。これにより、国際的なカンファレンスや展示会でも移動コストや時差の問題を大幅に軽減することが可能になりました。

また、メタバース上のイベントでは物理的な会場のキャパシティによる制限がないため、何万人、何十万人という大規模な参加者を同時に受け入れることができます。

さらに、メタバースイベントの大きな利点として、参加者の行動データを詳細に分析できる点が挙げられます。どのブースに何人が訪れたか、どの展示に最も関心が集まったか、参加者がどのような経路で会場内を移動したかなど、リアルイベントでは取得が難しいデータをリアルタイムで収集・分析することができます。これにより、イベント主催者はより効果的なマーケティング戦略を立てることが可能になります。

バーチャルショップとしての活用

メタバースは実店舗を持たずに商品を販売する新たな小売形態として注目されています。3D空間での商品閲覧や仮想試着により、顧客は時間や場所を問わず没入型のショッピング体験を楽しめます。

また、AIとアバターを組み合わせたパーソナライズされた接客や、同じ趣味を持つ顧客同士の交流の場としても機能しています。ラグジュアリーブランドのGUCCIは「GUCCI TOWN」をRoblox上に開設し限定デジタルアイテムで話題となり、日本の百貨店も2022年からメタバース店舗を展開してリアル店舗との連動性を高めています。

ゲーム分野でも活躍するメタバース

メタバースの概念はゲーム分野から発展してきた側面があり、現在も最も活発に活用されている分野のひとつです。

「フォートナイト」や「Roblox」などのゲームプラットフォームは、単なるゲームを超えて、コンサート、映画上映、ファッションショーなど多様なイベントが開催される総合的なメタバースプラットフォームへと進化しています。

とくにRobloxは、ユーザー自身がゲームを作成・公開できるプラットフォームとして、若年層を中心に世界で3億人以上のアクティブユーザーを抱えています。企業マーケティングの場としても注目され、Nike、Disney、Gucciなど多くのグローバルブランドがRoblox内に独自の空間を構築しています。

日本発のバーチャルYouTuber(VTuber)文化も、アバターを通じた活動という点でメタバースと親和性が高く、エンターテイメント分野における日本独自のメタバース活用として世界的に注目されています。

メタバースが注目されている背景とは

メタバースが急速に注目を集めている背景には、複数の社会的・技術的要因が存在します。

デジタルネイティブ世代の台頭

Z世代(1990年代後半〜2010年代前半生まれ)を中心としたデジタルネイティブ世代は、幼少期からオンラインゲームやSNSに親しんでおり、デジタル空間での活動や交流に抵抗感がありません。この世代にとって、メタバースは自然な社会活動の場として受け入れられています。

パンデミックによる非接触ニーズの高まり

新型コロナウイルスは、リモートワークやオンラインコミュニケーションの普及を加速させました。その結果、物理的な接触を避けながらも、人とのつながりや協働を実現する手段としてメタバースへの期待が高まりました。

5G・クラウド技術の進化

高速・大容量・低遅延の5G通信やクラウド技術の進化により、複雑な3D空間をリアルタイムで多数のユーザーが共有することが技術的に可能になりました。これらのインフラの整備がメタバースの実現を支えています。

VR/AR技術の進化と普及

VRヘッドセットやARグラスなどのデバイスの性能向上とコスト低下が進み、一般消費者でも高品質な没入体験が得られるようになりました。とくにMeta社のQuest 3やApple社のVision Proなど、大手テック企業の参入により市場が活性化しています。

ブロックチェーン・NFT技術の発展

ブロックチェーン技術やNFT(非代替性トークン)の発展により、デジタル資産の所有権や取引の信頼性が担保されるようになりました。これにより、メタバース内での経済活動の基盤が整備されています。

メタバースで実現できること

メタバースがもたらす新たな可能性について、具体的な側面から見ていきましょう。

オンラインコミュニケーションにおける没入感

メタバースでは、アバターを通じた高い没入感のあるコミュニケーションを取ることができます。自分の分身となるアバターで対話することで、実際にその場にいるような感覚を体験できるのです。

従来のWeb会議やチャットでは非言語情報が限られ、表情しか伝わらず、多人数での会話も一方通行になりがちです。一方、メタバースでは身振り手振りなどの豊かな非言語表現が可能で、空間内での位置関係によって自然な会話の流れが生まれます。また、同じ仮想空間にいるという連帯感があり、偶発的な出会いや雑談も生まれやすくなります。

物理的には不可能な演出が可能

メタバースの大きな特徴のひとつは、現実では物理的に不可能な演出を自由に実現できることです。現実世界では重力や物理法則に制約されますが、メタバースではそれらの制限を超えた空間設計が可能です。たとえば、建物が空中に浮かぶ都市、天井がない開放的な空間、現実では存在しない色彩や光の表現など、あらゆるビジュアルを創り出せます。

メタバース空間を活用した実例の一つが、日産自動車が展開する「NISSAN CROSSING」です。このバーチャルショールームでは、現実のショールームでは不可能な演出を取り入れています。例えば、以下のような体験やコンテンツを楽しむことができます。

  • メタバース上で電気自動車に乗車し、地球温暖化の深刻さを体験するツアー
  • 四季折々の桜の風景を表現したエリアをドライブできる試乗体験
  • 名車とその時代を感じるセットの中で、写真や動画の撮影が楽しめるスタジオ

このような演出により、訪問者は単なる商品展示ではなく、ブランドの世界観やビジョンを直感的に体験できます。このほか教育や建築などさまざまな分野で、より直感的な理解や顧客体験向上を促進する活用が期待されています。

実店舗を持たずに事業運営ができる

メタバース内では物理的な店舗や設備がなくてもビジネスを展開できます。土地取得や建設費用、内装工事といった初期投資が不要なため、参入障壁が大幅に下がります。

また、家賃や光熱費、店舗スタッフの人件費などの固定費も削減でき、コスト効率の高い運営が可能です。さらに、物理的な国境を越えて世界中の顧客にアプローチできる点も大きな利点です。

事業におけるメタバースの今後

PwCの調査によると、日本企業がメタバースを活用したい領域は「オンラインミーティング」が最多で、「オンラインイベント・セミナー」「マーケティング・販促」「営業・提案」への期待も高まっています。

さらに、市場規模は急速に拡大しており、世界のメタバース市場は2022年の8兆6,144億円から2030年には123兆9,738億円まで成長すると予測されています。日本市場も2022年度の1,825億円から2026年度には1兆42億円規模に拡大する見込みです。一方で、技術導入コストや専門人材の確保、ROI測定の難しさなど課題も残されています。

グロービス経営大学院でビジネススキルを学ぶ

メタバースをはじめとするデジタル技術の進化は、ビジネスモデルや顧客体験を根本から変えています。こうした変革の時代に必要なのは、最新技術そのものの知識だけでなく、テクノロジーを活用して新たな価値を創造する戦略的思考力です。グロービス経営大学院では、デジタル時代の経営戦略やビジネスモデル創造について学びを深める実践的な科目を提供しています。

これらの科目を通じて、具体的なテクノロジーの使い方だけでなく、デジタル時代のビジネスリーダーとして必要な戦略的思考力と実行力を身に付けることができます。テクノロジーの進化に合わせて常に最新の事例や理論を取り入れたカリキュラムにより、メタバースのような新たな領域にも柔軟に対応できる力を養うことが可能です。

テクノベート・ストラテジー

ICTの劇的な進歩によって生じた経済原理をひもとき、「テクノベート」時代ならではの企業戦略の考え方を学んでいきます。従来の定石とは異なる戦略思考を身に付けることで、新たなテクノロジー環境での競争優位性構築に役立てることができます。

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デザイン思考と体験価値

人間中心的な発想からテクノロジーを活用し、顧客の体験価値を一新するイノベーションについて学びます。グループプロジェクトを通じてデザイン思考の手法を実践的に身に付けることで、新たなテクノロジーを活用した顧客体験デザインにも応用可能な視点を養います。

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テクノベート・ビジネスモデル論

デジタル競争下で強力な成長エンジンとなっているビジネスモデルの本質を理解し、革新的なビジネスモデルの創造や既存ビジネスモデルの変革を推進する力を養います。新たな収益モデルや事業構想を考える上で欠かせない視点を身に付けることができます。

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まとめ

メタバースは今後、私たちの働き方、学び方、遊び方、そして人とのつながり方に大きな変革をもたらすでしょう。ビジネスパーソンとして、この新たな技術潮流を理解し、自社のビジネスにどう活かせるかを検討することが重要です。

そして、メタバースをはじめとするデジタル技術を活用したビジネス戦略を学ぶには、グロービス経営大学院のような実践的な教育機関での学びもひとつの選択肢です。時代の変化に対応し、新たなビジネスチャンスを掴むためには、継続的な学習と挑戦の姿勢を持ち続けることが重要です。

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