

GLOBIS Articles
- 思考
- テクノロジー
- イノベーション
- テクノベートMBA
投稿日:2025年03月18日
投稿日:2025年03月18日
生成AIとは?従来のAIとの違いや仕組み、ビジネスへの活用事例を解説
近年急速に進化を遂げている生成AI(Generative AI)。テキストや画像、音声、動画などを自動生成するこの技術は、ビジネスやクリエイティブの現場を大きく変革しつつあります。GPTやDALL-Eなどの代表的モデルをはじめ、AIが生み出す未来とはどのようなものか?本記事では、生成AIの基本概念から最新トレンド、活用事例、課題までを詳しく解説します。
生成AIとは?基本概念から最新トレンドまで解説
生成AI(Generative AI)とは、人工知能(Artificial Intelligence)の一種で、テキスト・画像・音声・動画・コードなどのコンテンツを自動生成するものを指します。従来のAIがデータの分析や分類を主な役割としていたのに対し、生成AIは新しくコンテンツを創り出すところが特徴です。
ディープラーニングを活用することで、生成AIの能力は近年飛躍的に成長を遂げてきました。テキスト・コード生成、画像・動画生成、音声・音楽生成などの分野で、高度なアウトプットをごく短時間で出せるようになったことで、ビジネスやクリエイティブでの活用が急速に拡大しています。
生成AIが注目される理由
生成AIがこれほど注目される理由のひとつは、その進化のスピードの速さです。
代表的な生成AIである、OpenAIが開発したGPTシリーズを例に取ると、初代GPT-1が開発されたのが2018年。わずか2年後、2020年公開のGPT-3では高度なテキスト生成を実現。さらに2022年にはGPT-3.5をベースとして、より自然に近い会話が可能なChatGPTが公開され、世界で爆発的な人気を獲得しました。その後もGPT-4、o1と短期間で次々と進化を遂げ、機能が強化されています。このペースで進化が続くとしたら、どこまで能力が高まるのかと話題を集めています。
また、ビジネスシーンに留まらず生活全般における応用例の広がりも注目点です。例えばマイクロソフトのOffice製品にはGPTを活用したツール「Copilot」が搭載され、WordやPowerpointの作成、Excelでのデータ分析等を効率化できるようになりました。
他にもさまざまな企業で、文書作成やカスタマーサポート等に生成AIが活用されています。学習サービスも応用例のひとつで、グロービスでもChatGPTを活用した対話型学習システム「GAiChaL」をリリースしています。
生成AIと従来のAIとの違い
生成AIはそれまであったAIと、どんな点が違うのでしょうか。
膨大なデータを基に人間以上の高度な判断を行うという面では共通するものの、従来型のAIはあらかじめ決められたタスクを自動で行うのに対し、生成AIでは新しいコンテンツを作り出せる点が最大の違いです。
従来型のAIの代表的なユースケースを見ると、ショッピングサイトでの購買履歴からお勧めの商品を提示する、囲碁や将棋で局面を判断して最善手を導く、クレジットカードの使用状況から不正を検知するといった具合に、入力されたデータを分析、判断して決められた形で出力するというタスクに適しています。
生成AIでは、短い質問文から詳しい内容の長文で回答する、自由に話題の移る問いかけに対しても自然な形で応答する、抽象的な指示文から画像やデザインを作るというように、より自然な対話やクリエイティブな作業が求められる場面を得意とします。
生成AIが革新した代表的機能
上記の「生成AIが得意とする機能」について、より詳しく見ていきます。
テキスト生成とは、ユーザーが「プロンプト」と呼ばれる短文の指示、質問に対して、最適な文章を出力するものです。たとえば商品やニュースの解説文などをごく短時間に作成できます。応用例としては、カスタマーサポートの応答、広告コピーのアイデア出し、プログラミングの支援なども可能です。
画像生成とは、たとえばユーザーが文字で「ネコ」と入力したのに対して、ネコの画像を作成するものです。ポスターやバナーのデザインにおいて、多様な案をごく短時間に作ることができます。応用例としては、ゲーム開発、ファッション業界におけるバーチャル試着、医療業界における臓器画像の作成などがあります。
音声生成は、テキスト情報を入力してそれを自然に読み上げたような音声を作るものです。動画内でのナレーションや、コールセンターでの自動応答などで省力化が実現しました。さらに、視覚障碍者の支援や音楽制作にも応用範囲は広がっています。
このように、従来の技術では考えられなかった、革新的な機能が次々と実現しているのです。
生成AIの種類と主要モデル
現時点で生成AIのモデルは数多く存在し、各社が開発にしのぎを削っています。
テキスト生成系のモデルには上に挙げたOpenAIのGPTに加え、Google社が開発したGemini、Meta社が開発したLLaMaなどがあります。画像生成系には、DALL-E、Satble Diffusion、Midjourneyなどがあります。音声生成系には、VALL-E、Whisperなどがあります。
テキスト系モデルの特徴と活用シーン
テキスト系モデルの進化の特徴として、テキストだけでなく画像や音声も統合的に処理できるようになったことが挙げられます。これはマルチモーダル化と呼ばれます。
ChatGPT‐4Vでは、画像を読み込ませてそこに映っているものを説明する記事や改善のためのアドバイスを出力させることができます。ウェブサイトの画像を読み込ませて、それを表示させるコードを生成することも可能です。
また、音声生成系モデルと組み合わせて、インタビューや会議の音声データから文字起こしをしたり、動画の音声を読み取ってリアルタイムで字幕を付けたりといった作業が高品質な形で可能となりました。
<実際の使用例:画像解析用プロンプト>
画像生成モデルの進化と可能性
画像生成モデルは、精細化が進むとともに、静止画から動画の生成へと進化が進んでいます。
OpenAIの開発したSoraは、DALL-Eの進化形とも言える、テキストのプロンプトから動画を生成するモデルです。リアルな動きやカメラワークの切り替えなどが可能となり、これまで手間をかけて制作されていた映像やアニメと見まがうほどの動画が、ごく短時間で生成されます。
今後、映画・アニメ制作、広告、ゲーム、教育など多くの分野で活用が期待されます。まだ最終的な出来上がりとしては未成熟なところがあるとしても、短時間で十分な品質な映像を生成できることから、映像作品やゲームの制作・開発過程の省力化に大きく貢献する可能性があります
注目の生成AI活用事例
生成AIの進化のスピードに合わせ、それを組み込んだサービスが市場に続々と投下され、正に日進月歩の様相を呈しています。以下に代表的な事例を紹介します。
業務効率化の事例
ビジネスシーンの業務効率化については、上述のマルチモーダル化を受けてAIエージェントが注目されています。AIエージェントとは、ユーザーの指示に従い、自律的にタスクを進めていくプログラムです。従来のAIは単発でユーザーがプロンプトを入力し、それに応答するにとどまりましたが、AIエージェントは状況を理解し、計画を立て、継続的に実行することができます。
たとえばOpenAIが提供するAIエージェント「Operator」では、飛行機や新幹線の予約、ネットショッピングなどが、最初に簡潔な指示をするだけで実行できます。送付先リストと大よその文面を指示すれば、その送付先にメールを送信することもできます。
このようなAIエージェントの動きは、MicrosoftのCopilot、GoogleのGemsなどにおいても進んでいます。
今後も、テキストのみならず音声・画像・動画を活用するAIエージェントが普及し、ビジネスシーンにおける業務効率化が大きく進むことが期待されています。
消費者向けサービスの進化事例
消費者向けサービスの品質向上の面でも、生成AIの活用場面はますます増えています。
検索エンジンにおいて、検索されたキーワードに対して単に関連サイトを表示するだけでなく、AIが作成したまとめを表示する機能が普及しています。
また、ネットを介した消費者サービスで、問合せ対応にチャットボットを置き、ユーザーが入力した質問にリアルタイムで生成AIが応答することは今や当たり前になってきています。
生成AIによる機能向上が著しいのは、学習サービスの分野です。たとえば、語学学習アプリでは、人間が講師となる従来の会話形式の代わりに、AIが発音を聴き取り矯正すべき点をフィードバックしてくれます。また個別の学習状況に応じて最適化された課題が出されることも大きなメリットです。
消費者向けサービスも、音声・画像・動画との組み合わせによって、上記の他にも医療・ファッション・エンタメ等の分野でさらに新サービスの出現が期待されます。
生成AI導入の課題と対策
ビジネス領域の広範な場面で浸透している生成AIですが、現時点ではリスクも指摘されています。特に課題感が強いのが、セキュリティの確保と著作権との調整です。それぞれについて見ていきましょう。
データセキュリティの確保
生成AIにおけるデータの取り扱いに関するリスクとして、たとえば以下があります。
- 学習させたデータの中に機密情報が含まれていて、それが流出する
- 学習させたデータの中に個人情報が含まれ、それを取得した際の利用目的を越えて活用される
- 悪意のあるプロンプト入力により、AIサービス提供者が予期しない動作、出力をさせられる
これらの対策として、具体的には以下が挙げられます。
- 機密情報を含むデータは、専用のサーバーやプライベートクラウドで処理する
- 機密情報が含まれる可能性のある出力を、制限できる設定をしておく
- 個人情報をAIに読み込ませる際に「匿名化」と呼ばれる、個人が識別されないような加工を行う
- AIにアクセスできる利用者に制限をかけたり、ログを残すようにする
他者の著作権との調整
生成AIは既存のコンテンツを学習することから、以下のような著作権との衝突が課題となっています。
- AIの学習データとして既存コンテンツを利用することそのものが、そのコンテンツの著作権者にとって「意図に反する利用」になるケース
- AIが生成したコンテンツが既存のコンテンツを模倣したものになるケース
具体的な対策としては以下があります。
- AIの学習に使うデータを著作権フリーのものや、自社のデータに限定する
- AIが作成したコンテンツをチェックし、既存の著作権侵害の可能性を確認するプロセスを設ける
- AIの学習データに協力した著作権者には適切な報酬が支払われる仕組みを作る
生成AIの未来展望
ここまで見てきたように生成AIは、テキスト・画像・動画・音声のマルチモーダル化や自律的に実行までできるAIエージェントへの進化が急速に進んでいます。
これによって、いわゆるホワイトカラー業務全般の効率化、映画やアニメ、ゲームに代表されるクリエイティブ産業の変革、 教育サービスのパーソナライズ、医療・ヘルスケアサービスの発展といった場面で、抜本的な影響を与えることが予想されます。
働き手としても消費者としても、AIが個人の思考や意思決定をあらゆる場面で支援するパートナーとなっていくことでしょう。
「グロービス経営大学院」でビジネスに必要なスキルを身に付けよう
変化が激しい現代においては、ビジネスの意思決定を行う上でAIをはじめとするテクノロジーの知識が不可欠となっています。テクノロジーによる産業構造の変化や競争原理・経済性原則を理解し、戦略を考える力が今後ますます求められるようになるでしょう。そうしたスキルを習得するためには、書籍や動画によるインプットだけでなく、ディスカッション形式の講座などアウトプットを行うことが重要です。
グロービス経営大学院では、実務経験豊富な教員陣のファシリテーションのもと、さまざまな人とディスカッション形式で学べるテクノロジー関連の科目を用意しています。これからのビジネスパーソンにとって機械学習やAIをどのように活用して問題解決していくか考える「テクノベート・シンキング」や、機械学習やAIが当たり前になった世界の企業戦略の定石を学ぶ「テクノベート・ストラテジー」などを提供しています。
<こんな方におすすめです>
- 企業や組織のDXを推進するための知識やスキルを身に付けたい方
- 環境変化やテクノロジーの進化に適応するための戦略を学びたい方
- テクノロジーを活用した問題解決の考え方を身に付けたい方
体験クラス&説明会日程
体験クラスでは、グロービスの授業内容や雰囲気をご確認いただけます。また、同時開催の説明会では、実際の授業で使う教材(ケースやテキスト、参考書)や忙しい社会人でも学び続けられる各種制度、活躍する卒業生のご紹介など、パンフレットやWEBサイトでは伝えきれないグロービスの特徴をご紹介します。
「体験クラス&説明会」にぜひお気軽にご参加ください。
STEP.3日程をお選びください
体験クラス&説明会とは
体験クラス
約60分
ディスカッション形式の
授業を体験
学校説明
約60分
大学院・単科生の概要や
各種制度について確認
グロービスならではの授業を体験いただけます。また、学べる内容、各種制度、単科生制度などについても詳しく確認いただけます。
※個別に質問できる時間もあります。
説明会のみとは
学校説明
約60分
大学院・単科生の概要や
各種制度について確認
グロービスの特徴や学べる内容、各種制度、単科生制度などについて詳しく確認いただけます。
※個別に質問できる時間もあります。なお、体験クラスをご希望の場合は「体験クラス&説明会」にご参加ください。
オープンキャンパスとは
MBA・入試説明
+体験クラス
大学院の概要および入試内容の
確認やディスカッション形式の
授業を体験
卒業生
パネルディスカッション
卒業生の体験談から
ヒントを得る
大学院への入学をご検討中の方向けにグロービスMBAの特徴や他校との違い、入試概要・出願準備について詳しくご案内します。
※個別に質問できる時間もあります。
該当する体験クラス&説明会はありませんでした。
※参加費は無料。
※日程の合わない方、過去に「体験クラス&説明会」に参加済みの方、グロービスでの受講経験をお持ちの方は、個別相談をご利用ください。
※会社派遣での受講を検討されている方の参加はご遠慮いただいております。貴社派遣担当者の方にお問い合わせください。
※社員の派遣・研修などを検討されている方の参加もご遠慮いただいております。こちらのサイトよりお問い合わせください。