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投稿日:2025年02月20日
投稿日:2025年02月20日
英語の勉強をあなたの幸福感につなげる方法
- 米良 克美
- グロービス・ファカルティグループオフィス
現代のビジネスパーソンにとって英語能力の開発は不可欠
昨今のビジネスのグローバル化は顕著であり、外資系企業や多国籍企業のみならず、日本企業で働く社会人でも現場で使える英語能力が求められつつある。実際に、シャープやファーストリテイリング、楽天など、日本においても「英語公用語化」を掲げる企業が出てきている。このことからは、広く日本で働く社会人において、個人が英語学習に取り組んで英語能力を開発する必要性は高まっていると言えよう。
表1 回答者属性(回答者数)
英語に対する自信と主観的幸福度
TOEICスコアと主観的幸福度
英語に対する学習態度によって幸福度が異なる!?
最後に、英語に対する学習態度と主観的幸福度の関係について調べた。英語に対する学習態度については、英語学習に対する意欲の有無、そして実際の学習実行の有無で区分した4群での比較を行った。具体的には、英語学習の状況について以下4群に分け、各群の主観的幸福度を調べた。
- ① 英語を学習したいし、実際に英語学習をしている「学習意欲+/学習実行+」
- ② 英語を学習したいが、実際には英語学習はしていない「学習意欲+/学習実行-」
- ③ 英語を学習したくないし、実際に英語学習はしていない「学習意欲-/学習実行-」
- ④ 英語を学習したくないが、実際には英語学習をしている「学習意欲-/学習実行+」
その結果、①学習意欲+/学習実行+の群、すなわち英語学習意欲を持っていて実際に学習を行っている「有言実行」群が最も主観的幸福度が高いことが明らかとなった。一方で、興味深いことに、④学習意欲-/学習実行+の群、すなわち英語学習に対する意欲を持っていないにも関わらず実際には学習を行っている「やらされ」群の主観的幸福度が最も低いことが明らかとなった。
英語の学習態度と主観的幸福度
重要なのは「やらされ」でない学びにすること
新卒や中途採用の参考として、また昇進や昇格の要件としてTOEICスコアを用いる企業は多い。このような流れは、従業員が英語を学習するモチベーションに繋がるだろう。ただ場合によっては、英語能力開発に対する過度なプレッシャーや強制力につながることも考えられ、今回見られたような「やらされ」学習者を生み出す可能性が考えられる。
年度末が迫り、年度の振り返りをする中で、改めて英語学習に取り組もうと考えている読者もいるのではないか。しかし、自分自身の中で納得した英語学習の目的やモチベーションを持っていない状態でむやみに学習に取り組むと、あなた自身の幸福度を下げることにつながるかもしれない。
このような「やらされ感」を払拭するためには、改めて学ぶ目的を明確にして自分自身が納得できる状態にすることが必要だ。この学びは自分が思い描く「ありたい姿」に本当につながっているのか?、ただ単に周りの人達に流されて勉強しているだけではないか?、といった問いかけを自分にしてみること、「やらされ」になっていないか確認するために有効だろう。
本調査で得られた知見が、主観的幸福度高く、幸せに英語能力を開発する方法論を考える一助になってくれることを願ってやまない。
<参考文献>
『英語に対する自信や学習姿勢と学習者の主観的幸福度の関係』米良克美/天野慧(著)日本教育工学会論文誌 2024年 48(Suppl.), 193-196
米良 克美
グロービス・ファカルティグループオフィス