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投稿日:2024年02月28日

投稿日:2024年02月28日

起業家を育てる「創造の生態系」とは?~3つのプログラムによる起業家支援~

グロービス経営大学院(以下、グロービス)東京校にて、創造ファカルティ・グループ主催による初のセミナーが開催された。

※創造ファカルティ・グループとは?

ここでいう「創造」とは近い将来、新規事業の立ち上げや起業を志す方に向けてグロービスが提供している科目領域のこと。また「ファカルティ・グループ」とは、グロービスの教育コンテンツ開発などを担う部署名を指す。

創造ファカルティ・グループは科目開発以外にも、起業を志す方に向けた実践的なサポートプログラムを提供している。今回のセミナーは2部制で、第1部でサポートプログラムの全体像を紹介した後、つづく第2部では2名のグロービスの卒業生起業家によるパネルディスカッションを実施することで、起業のリアルについて感じてもらうとともに、多くの方が希望をもって起業に臨んでもらうことを目的としている。

グロービスが展開する「創造の生態系」の全容とは?「G-CHALLENGE」・「G-GROWTH」・「G-STARTUP」とは、どういったプログラムなのだろうか?

グロービス「創造の生態系」の進化

まずは「創造の生態系」の進化の過程について、グロービス経営大学院 創造ファカルティ・グループの朱子青によるサポートプログラム紹介が行われた。朱によれば、その歴史は1996年、ハンズオン型(経営支援を積極的に行う)ベンチャーキャピタルの先駆けとしてグロービス・キャピタル・パートナーズが産声を上げたことに端を発する。

このように多様なプログラムが存在する中で、たとえばグロービス・キャピタル・パートナーズは「累計運用総額は1,800億円を超えており、日本のベンチャーキャピタルとしては非常に大きな存在となっています」と朱。実際、2022年の7号ファンドでは727億円を運用しており、GREEやライフネット生命、ユーザベースなどビジネスの世界で立派に市民権を獲得した企業に出資。案件募集は常時行っているという。

3つのプログラムによる起業家支援

現在、「創造の生態系」の根幹を成しているのは「G-CHALLENGE」・「G-STARTUP」・「G-GROWTH」の3つのプログラムである。基本的にはグロービスの在校生/卒業生に向けて創設されたものだが、「G-STARTUP」だけは在校生/卒業生のみならず、誰でもチャレンジ可能なプログラムとなっている。

G-CHALLENGE

グロービスの在校生/卒業生が対象となる、国内有数のビジネスコンテスト。大賞受賞者は最大1,000万円の出資を受けられるだけでなく、グロービスの教員陣による1年間のメンタリングや東京校の教室利用(セミナー会場として利用できる)、商品やサービスローンチ時の宣伝協力など、創業に向けて全面的なサポートを受けられる。
グロービスのカリキュラムには『ベンチャー・マネジメント』・『ベンチャー戦略プランニング』・『ベンチャー・キャピタル&ファイナンス』といった科目が用意されている。
2022年、これらの科目受講を通して起業への興味がより強くなった方のために、G-INCUBATEという研究プロジェクトが発足した。参加には一定の審査が必要となるが、合格すればG-CHALLENGE大賞受賞を目標に掲げつつ、起業に向けて研鑽を積むことができるという構図だ。

また、2024年からは新たにKIBOW賞の創設も決定している。この審査に協力する「KIBOW社会投資ファンド」は、医療介護・社会福祉といった分野への投資が積極的であるため、より幅広い分野の起業家を後押しする準備が整ったといえる。

G-STARTUP

ユニコーン100社を目指して創設されたアクセラレータープログラム。グロービスの在校生/卒業生のみならず誰でもチャレンジ可能で、出資決定となればグロービスの多様なリソース(出資以外にも、「志」・「仲間」・「知見」)が提供される。
募集対象となるのはシリーズAに未達のシードステージであり、ユニコーンとなることを目指して社会に創造と変革を起こす志を持っていることと、対峙するマーケットや産業構築への理解が深く、テクノロジーを活用した事業を行う企業である。

※シリーズAとは?

シードステージを経たスタートアップ企業が、自社の製品やサービスに実際の市場が存在することを証明し、さらに事業規模を拡大するための資金調達を行う段階のこと。
尚、シードステージとは起業の黎明期にあたる。事業のアイデアを具体化してプロトタイプを制作するための初期投資を求める段階であり、G-STARTUPでは「株式等の資金調達累積2.5億円未満が目安」と定めている。

G-GROWTH

高い成長性が期待できるベンチャー企業のための投資ファンド。グロービスの在校生/卒業生が中心となって起業し、累計1億円以上の資金調達実績があることが条件となる。株式出資の長期保有を基本としながらも、すでに9社が出資を受けており、それぞれ2,000万~5,000万円規模となっている。投資額は最大1億円。

さらに、朱によると「在校生/卒業生に対する積極的な投資活動を通して、グロービスのカリキュラムに還元できる知見を充実させたい」との想いが大きい。投資する領域を絞ることはせず、ソフトウェア・人材派遣・医療・AI・小売など、多岐にわたる分野のケースを充実させることができているという。

このように、G-CHALLENGEでチャンスを勝ち取った起業家のたまごたちは、シードステージでG-STARTUPを、その先のシリーズAに進む段階になればG-GROWTHを視野に入れ、出資獲得に知恵を絞りながらユニコーンを目指して事業を成長させていく。その知見はグロービスのカリキュラムに組み込まれ、さらに次世代へと受け継がれてゆく。これこそ、グロービスが進化を加速させながら提供している「創造の生態系」なのだ。

出資を獲得した起業家たちの軌跡と躍動

さて、ここからは実際にG-GROWTHでの出資を獲得した2名の卒業生起業家の経験談を、さまざまなエピソードを交えながらお届けしていく。グロービスの「創造の生態系」の中で、どのようにスタートアップが育っていくのか、より具体的なイメージを持っていただきたい。

【動画】森田憲久氏・石川真也氏によるセッションはこちら(モデレーター:山中礼二)

※企業名やプロフィールは、セミナー開催当時のものです(2023年9月時点)