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投稿日:2020年09月03日
投稿日:2020年09月03日
「シリコンバレーの日本人『シリアル・アントレプレナー』に訊く ~世界で克つ事業創造の実践知と起業家精神とは~」 特別セミナーレポート
- 小林 清剛
- Chomp Inc. Co-founder and CEO
2020年6月、グロービス経営大学院は、参加者約1,100名の特別セミナーをオンラインで開催した。本記事では、その様子を一部ご紹介したい。
スピーカーは、大学時代からこれまで数社の起業を経験し、現在はシリコンバレーでChomp Inc.のCo-founder and CEOとして活躍するシリアル・アントレプレナーの小林清剛氏。
シリアル・アントレプレナー=「生き方」
「起業家とは、職業や役職ではなく『生き方』」
そう語る小林氏の起業家人生の原点は大学時代。コーヒーの通販会社に始まり、3社目に設立したスマホ広告会社のノボットで成功を収め、KDDIグループへ売却。現在はシリコンバレーで外食体験共有アプリ『Chomp』開発のほか、日本人の起業家数名とともにエンジェルファンドの経営も手がける。
「創業をする人だけではなく、大企業やVC(ベンチャーキャピタル)にいても、事業を起こし続ける人は起業家だと考えています。時間が経つのを忘れるくらい事業をつくることに没頭できる起業家としての生き方が、私は大好きです。起業家は自分で事業をつくって価値を生み出すだけでなく、自分が得た経験やネットワークを他の起業家に共有することで、世の中に更に大きな価値を生み出すことができるが点も魅力です」
新しい事業に何度も挑戦するシリアル・アントレプレナー。その生き方を継続する秘訣として、小林氏は2つの取り組みを挙げた。
「1つ目は、自分の志や軸を失わないための仕組みです。起業家として何を成し遂げたいのかを日・週・月・年単位で確認するようにしています。そして2つ目は、起業家として自分が成長し続けている確信をもつための仕組み。経験や失敗から学んだこと、人から助言や本などから学んだことを3,000〜4,000項目のチェックリストにして毎日見直し、順次更新しています」
小林氏はなぜ活動拠点にシリコンバレーを選んだのか。その理由は、彼が抱く志に関係していた。
「私の志は、世界中の人に使ってもらえるプロダクトを作ることです。世界から優秀な人が集まり、経験やノウハウを共有しているシリコンバレーは、その志を実現するためにベストな場所。街全体が実験場のような場所なので、ここで最先端の製品を使って生活している自分が『ほしい』と思うものは世界にまだない可能性が高い」
また、もう1つの志である、「次代の起業家が事業を成功させるための基盤を作り」にも言及。
「アメリカ西海岸は、私たちにとって世界一フェアな場所だと感じています。起業家として世の中にどう貢献するか考えたときに、日本人や他の移民がこの場所で成功するための仕組みを作ることが自分の使命なのではないかと。現在も、共にここで挑戦をする日本人などの起業家たちとお互いに支援し合っています」
死ぬ気で10年間努力を続ければ、ほとんどの人は結果を出せる。しかし大半の人は、途中で諦めてしまう。そうならないためにも、前出のチェックリストのように、学びや経験を「積み重ねる」方法をもつことが重要だと小林氏は言う。
ほかにも、起業や事業継続において欠かせないネットワーキングについて、「周囲の一人ひとりに対し、自分がどれだけ役に立てるか、良好な人間関係を築けるかがとても大切です。私は新しい人と会ったときには、“How can I help you?”と聞いて、何か自分が役に立てることがないかを聞くのを習慣にしています」とコメント。また、チェックリストには健康管理のためのマイルールも含めていることなども紹介した。
「起業家に一番大切なのは『なぜ起業したいのか』。実際に事業をつくってみて、時間を忘れるほど熱中できるかどうか、ユーザーや仲間が喜んでくれるかどうか、などを確かめてみると良いです。そして、もし起業家としての生き方が本当に好きだと気づいたら、今日私がお話ししたことが少しでも役に立てば嬉しいです」。
起業家という生き方に魅せられた小林氏。彼らしいアドバイスでセミナーを締めくくった。
小林 清剛
Chomp Inc. Co-founder and CEO
1981年生まれ。大学在学中にコーヒーの通販会社を設立。2009年にスマホ広告事業の株式会社ノボットを設立し、2011年にKDDIグループへ売却。2013年に米国サンフランシスコにてChomp Inc.を設立し、現地でスタートアップをしている。また、2015年にTokyoFoundersFundを共同設立し、米国を中心に30社前後の企業に投資をしている。グロービス経営大学院卒業。