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投稿日:2019年02月13日

投稿日:2019年02月13日

第11回G1サミット 初日:世界をリードする日本への確かな1歩を

堀 義人
グロービス経営大学院 学長 グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー

第11回G1サミットが、2月8日から11日にかけて青森県三沢市で開催されました。

平成が始まって早々にバブルがはじけ、日本経済は失われた20年に突入。その閉塞感を打ち破り、日本を良くしようと2009年に立ち上げたのが、G1サミットです。年を追うごとにコミュニティは広がり、今年は約500名(ご家族含む)もの仲間が結集しました。

目玉は3つ。1つ目は統一テーマ「100の行動2.0~世界をリードする日本へ~」です。日本がリーダーとして世界を牽引していくためにいかなる行動を取る必要があるのかを議論しました。

2つ目はアクティビティです。「G1 Sports Festival」と「平成最後のG1フェス『昭和ナイト』」を用意し、思いっきり楽しみました。

3つ目はオプショナルプログラムです。KIBOW八戸&小林八戸市長と行く八戸屋台村みろく横丁、六ヶ所村視察ツアー、八戸缶詰サバ缶づくりツアー、ネイチャーウォーク、落語から学ぶ粋・野暮&コミュニケーションを開催。青森県ならではの貴重な体験をすることができました。

徹底的に学び、遊び、熱い議論が交わされた4日間を写真で振り返ります。

<2月8日(金)>

田空港にて、スタッフ一同でパチリ。これから3泊4日の長丁場、頑張ります。オプショナルツアーの八甲田山スキーが悪天候のため中止となったので、僕もみんなと一緒に向かいます。(^^) 

三沢上空に到達したものの、大雪で引き返して羽田に逆戻り。気を取り直して東京駅から新幹線に乗り、八戸に着きました。これから会場となる星野リゾートの青森屋に向かいます。G1サミットは、しばしば雪のために現場力が試されます。第2回のトマムも雪がひどく、飛行機は飛ばず、車は入れず、電車も停止していました。第5回の裏磐梯も大雪でした。

着いて早々、青森屋スタッフとの顔合わせを行いました。今回、G1社員12名に加えて、グロービスから34名が手伝いに来て計46名。外部スタッフ(バルニバービ、花まる学習会、照明・音響他)72名が手伝ってくれています。

KIBOW八戸がスタート。1番目のプレゼンターは、八戸ハマリレーション・プロジェクトの早狩昌幸さん。テーマは「『食べ手』を育て食文化をつくる」です。最初の質問者が、食いしん坊万歳の辰巳さんでした。いい雰囲気です。(^^)

2番目のプレゼンターは、リモートストリーのタナカミカさんです。東京で10年働いたあとに子供ができ、育児環境を窮屈に感じて子連れUターン。旦那様は東京にお住まいで別居婚。オンラインママ大学を始めるとのことです。新しい生き方ですね。

3番目のプレゼンターは、公認会計士の石動龍さんです。シングルファーザーになって、虐待死が気になり始めたとのこと。この問題を解決すべく思いついたのが、「ちょいドネ」です。コーヒー500円飲んだら100円寄付する仕組みです。

4番目のプレゼンターは、ゆめきちプロジェクトの下田智美さん、差波直樹さん、佐貫巧さん、安田美央さん。「心の温度によりそう場」。13年前に母世代が作った夢基地を再整備して、地域の子ども達が集う場として再生したいとのこと。

5番目のプレゼンターは、北三陸ファクトリーの野口進一さん。テーマは「『よそもん』の想いが、北三陸の持続可能な水産業の未来を創る」。洋野町の人口は最盛期から3千人減、65歳以上の漁業従事者は30%に。その問題を解決するために、まったく縁の無い洋野町に移住。ウニの養殖と加工を始めたそう。北三陸から世界へ。

6番目のプレゼンターは、「旅育の森」プロジェクトの宝来館の岩崎昭子女将と佐藤大介さん。テーマは「三陸を知り、生き抜く力を育む」です。避難道をつくりお客様の命を守ったものの、震災後に宿の経営が厳しくなってきたそう。海域60mの場所にシェルターをつくり、学ぶ場所にしたいとのこと。

最後のプレゼンターは、NPO法人Reconnectの小倉和也さん。震災前に家庭医療を始めて、今やICTを使って地域の医療介護連携ネットワークへと進化しているそう。今後は、八戸共生大学をつくり、学びの場をつくりたいとのこと。

KIBOW八戸、プレゼンと表彰式が終わりました。皆さんの素晴らしいプロジェクトが前に進み、八戸がより元気になることを願いながら、閉会です。

KIBOW八戸に引き続き、オプショナルプログラム後半は小林八戸市長と行く八戸屋台村「みろく横丁」です。大いに盛り上がっています。日本を良くするリーダー同士の交流もG1の大切な役割です。

<2月9日>

G1サミット2日目は、朝7時前に起床。雪は止んでいました。今日は、飛行機が予定通り飛んで欲しい。これから4つのオプショナルプログラムが開催されます。1つが六ヶ所村視察ツアー、2つ目がサバ缶づくりツアー、3つ目がネイチャーウォーク、そして4つ目が落語です。

オプショナルプログラム「塩沼大阿闍梨と行くネイチャーウォーク」、大阿闍梨によるありがたい説教を聞いたのち、早速ウォーキングです。G1サミットは、朝8時から始動しています。

G1サミットオプショナルプログラムの「落語から学ぶ粋・野暮&コミュニケーション」。古今亭菊之丞師匠の口演が開始しました。落語はG1サミットでは初めてです。落語からコミュニケーションを学びます。

落語セッションの後半は、パネルディスカッション。師匠を囲んで松井孝治慶應義塾大学教授、御立尚資ボストン コンサルティング グループ シニア・アドバイザー。落語の奥深さがわかり、本当に面白いです。(^^)

いよいよ第11回G1サミットが始まりました!冒頭に僕が開会宣言をしました。

続いて、会場の青森屋を提供してくれた星野リゾート代表の星野佳路氏のスピーチです。

第1部全体会は「憲政市場最長政権が創るレガシーとは~世界をリードする日本になるために(経済・社会保障編)~」です。パネリストは日本総合研究所の翁百合氏、世耕弘成経済産業大臣、モデレーターは慶應義塾大学の竹中平蔵氏。コントリビューターは東京大学の柳川範之氏です。

第2部全体会は「憲政史上最長政権が創るレガシーとは~世界をリードする日本になるために(外交・憲法編)~」です。パネリストは西村康稔官房副長官、東京大学政策ビジョン研究センターの三浦瑠麗氏。モデレーターは、慶應義塾大学の神保謙氏です。三浦さんは「朝まで生テレビ」に出演後、そのままG1サミットに登場。

第3部分科会Pは「どうなる憲法改正~健全な国民的議論を巻き起こすには~」です。パネリストは参議院議員の風間直樹氏、経済産業大臣政務官の滝波宏文氏、衆議院議員の古川元久氏、モデレーターは三浦瑠麗氏です。

第3部分科会Eは「ESG・新たな視点~グローバルで求められる日本の役割とは~」です。パネリストは丸井グループの青井浩氏、衆議院議員の越智隆雄氏、世界銀行グループMIGAの本田桂子氏、GPIFの水野弘道氏、ボストン コンサルティング グループの秋池玲子氏です。

第3部分科会Tは「AIとロボティクスの融合~日本企業が世界で勝つための戦略とは~」です。パネリストは慶應義塾大学の安宅和人氏、Takramの田川欣哉氏、Preferred Networksの西川徹氏、村田機械の村田大介氏、モデレーターは川田テクノロジーズの川田忠裕氏です。AIとロボットの最先端リーダーが参加する注目のセッション。

第3部分科会Hは「安倍政権の残された聖域~社会保障制度改革は進むのか~」です。パネリストは法政大学の小黒一正氏、Yale大学の成田悠輔氏、参議院議員の古川俊治氏、衆議院議員の村井英樹氏、モデレーターは三菱総合研究所の武田洋子氏です。新たに作られたテーマ「医療・社会保障」の最初のセッション。

第3部分科会Cは「日本がリードする宗教界のイノベーション」です。パネリストは太宰府天満宮の西高辻信宏氏、臨済宗 大本山妙心寺 退蔵院の松山大耕氏、モデレーターは社会学者の古市憲寿氏です。日本の宗教界の若きリーダーに古市さんが質問を投げかける注目のセッションです。

第4部 分科会Pは「北朝鮮情勢と日本の安全保障」です。パネリストは笹川平和財団の小原凡司氏、慶應義塾大学の神保謙氏、衆議院議員の長島昭久氏、モデレーターは在中国日本大使館の四方敬之氏です。

第4部 分科会Eは「気候変動とエネルギー政策」です。パネリストは、経済産業省の飯田祐二氏、国立環境研究所の行木美弥氏、GPIFの水野弘道氏、モデレーターは国際環境経済研究所の竹内純子氏です。官庁の立場、株主の立場、シンクタンクの立場から気候変動問題について、徹底議論しています。

第4部 分科会Tは「日本がリードするAIの社会実装~日本のリアル企業が世界で勝つための方法論~」です。パネリストはPKSHA  Technologyの上野山勝也氏、JINSの田中仁氏、東京大学の松尾豊氏、モデレーターはブレインパッドの草野隆史氏です。大人気のテクノロジーセッションです。

第4部分科会Hは「安倍政権の残された聖域~成長戦略としての少子化政策~」です。パネリストはIBJの石坂茂氏、三重県知事の鈴木英敬氏、参議院議員の森まさ子氏、モデレーターはホットリンクの内山幸樹氏です。2015年のG1サミット全体会「選択する未来~人口減を食い止め継続的に成長する方法とは」以来の少子化議論です。

第4部分科会Cは「ソーシャルビジネスを成長させるお金の使い方を議論する」です。パネリストはカタリバの今村久美氏、フローレンスの駒崎弘樹氏、財務副大臣の鈴木磬祐氏、ETIC.の宮城治男氏、モデレーターはジャパンギビングの佐藤大吾氏です。社会起業家のオールスターセッションです。(^^)

G1サミットの2日目のエンタメは、柴田三兄弟です。2012年に開催された青森屋でのG1サミットで演奏いただいてから7年ぶりの演奏です。柴田三兄弟は、成長していました。これからも頑張って欲しいです!

夕食の後はナイトセッションです。「100の行動2.0」に沿ってテーマごとに25のグループに分かれ、G1メンバー全員で議論。議論の内容は最終日の全体会セッションで発表します。

夜9時からは、スタッフミーティングです。史上最強の寒波が襲来して、飛行機がほぼ飛ばず。ロジがガタガタになり、変更が続く中、現場力で対応しました。僕からは、(1)変更等で大変でも、笑顔だけは忘れずに、(2)コミュニケーションを密にとって、常に最善を尽くすように、とお願いしました。

最後はG1メンバー恒例のG1囲碁、G1サロンがG1サミット会期中に行われています。日本を良くするリーダー同士の交流も、G1の大事な役割です。

なお、セッションは原則全て(一部非公開を除き)GLOBIS知見録で動画やテキストにて掲載します。どうぞお楽しみに!

2019年2月12日
自宅にてツイッターや写真をもとにコラムにまとめました
堀義人

堀 義人

グロービス経営大学院 学長 グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー

京都大学工学部卒、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。住友商事株式会社を経て、1992年株式会社グロービス設立。1996年グロービス・キャピタル、1999年 エイパックス・グロービス・パートナーズ(現グロービス・キャピタル・パートナーズ)設立。2006年4月、グロービス経営大学院を開学。学長に就任する。若手起業家が集うYEO(Young Entrepreneur's Organization 現EO)日本初代会長、YEOアジア初代代表、世界経済フォーラム(WEF)が選んだNew Asian Leaders日本代表、米国ハーバード大学経営大学院アルムナイ・ボード(卒業生理事)等を歴任。現在、経済同友会幹事等を務める。2008年に日本版ダボス会議である「G1サミット」を創設。2011年3月大震災後に、復興支援プロジェクトKIBOWを立ち上げ、翌年一般財団法人KIBOWを組成し、理事長を務める。2013年6月より公益財団法人日本棋院理事。いばらき大使、水戸大使。著書に、『創造と変革の志士たちへ』(PHP研究所)、『吾人(ごじん)の任務』 (東洋経済新報社)、『人生の座標軸』(講談社)等がある。