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投稿日:2019年01月22日
投稿日:2019年01月22日
堀義人のダボス会議2019速報(1)世界は不透明感を増している
- 堀 義人
- グロービス経営大学院 学長 グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー
ダボス会議(正式名称はWorld Economic Forum Annual Meeting)が始まった。今年で12回目の参加だ。先行き不透明な世界情勢に対する不安な空気が蔓延するなか、日本人として、リーダーとして何をすべきか――僕なりの見解を速報として毎日発信していきたい。
ここ3年は、初日のディナーで世界の大枠を理解してから、ダボス会議での焦点を絞ることができる。今年で12回目の参加となるダボス会議は、とても不透明感が漂っている。昨年は、G7の首脳陣が勢ぞろいだった。来られなかったのは、安倍総理だけだった。
一方、今年はG7の首脳で来るのが日本のみだ。他の国は全て国内事情で来られないのだ。トランプ氏は政府機関閉鎖、英国のメイ首相はBREXIT、フランスのマクロン大統領は黄色いベスト運動でキャンセルとなった。ドイツとカナダは政権の弱体化により、国内事情を優先せざるを得ない状況だ。つまり、G7首脳は、安倍総理を除きみな内向きになっている。
ディナーで主に話題として上がったのが、貧富の格差から生じる社会の断絶だ。そして、ポピュリズムの台頭による政治的不安定さだ。しかも、BREXITで象徴されるように、それぞれの国で良い解決策が見つかっていないのが実情だ。米国も欧州も社会の不安定化が増しているにも関わらず、処方箋が見つかっていないのだ。
それぞれの国の中での問題でもそのような不安定さが増す中、気候変動問題、保護主義の台頭、ナショナリズムの高揚による地域問題、テクノロジーの進化にともなうデータの寡占化など、解決策が見つからない多くの世界的問題が増長している。
今までは経済が良かったが、これから下降に向かうと世界がさらに厳しい局面に突入するであろう。世界経済は、米国のみで現状支えられている感じだ。中国は成長が急激に減速し、欧州は横ばいから停滞へ。頼みの米国経済も政府機関閉鎖と米中貿易戦争で万全ではない。
テクノロジーの影響も無視できない。以前は良い処方箋と考えられていたが、最近では悪の原因として捉えられている。
世界は不安定かつ不透明感を増している。明日から始まるダボス会議のセッションでは、世界経済の行方、テクノロジーの方向性、社会の断絶、地球環境問題、地政学リスクを中心に参加したい。
積極的にさまざまなセッションに参加し、多くの人の意見を聞き、自分なりに世界の現状を認識し解決策を考えていきたい。なるべくポジティブな視点からコラムを書き続けていくこととしよう。2019年ダボス会議の初日を終えた。明日に備えて早めに寝ることにする。
2019年1月21日
ダボスにて
堀義人
【ダボス会議2019速報】
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堀 義人
グロービス経営大学院 学長 グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー
京都大学工学部卒、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。住友商事株式会社を経て、1992年株式会社グロービス設立。1996年グロービス・キャピタル、1999年 エイパックス・グロービス・パートナーズ(現グロービス・キャピタル・パートナーズ)設立。2006年4月、グロービス経営大学院を開学。学長に就任する。若手起業家が集うYEO(Young Entrepreneur's Organization 現EO)日本初代会長、YEOアジア初代代表、世界経済フォーラム(WEF)が選んだNew Asian Leaders日本代表、米国ハーバード大学経営大学院アルムナイ・ボード(卒業生理事)等を歴任。現在、経済同友会幹事等を務める。2008年に日本版ダボス会議である「G1サミット」を創設。2011年3月大震災後に、復興支援プロジェクトKIBOWを立ち上げ、翌年一般財団法人KIBOWを組成し、理事長を務める。2013年6月より公益財団法人日本棋院理事。いばらき大使、水戸大使。著書に、『創造と変革の志士たちへ』(PHP研究所)、『吾人(ごじん)の任務』 (東洋経済新報社)、『人生の座標軸』(講談社)等がある