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投稿日:2018年11月29日

投稿日:2018年11月29日

スタートアップから見たアクセラレータープログラムの現実とは? 

太田 賢司
株式会社コードミー Founder / CEO
河野 剛進
株式会社バカン 代表取締役
喜納 信也
株式会社ミナカラ 代表取締役薬剤師
手塚 究
株式会社AirX代表取締役

モデレーター

會田 幸男
ASACプロジェクトマネージャー
大牧 信介
グロービス・テクノベート・ラボ ディレクター

本記事は、先日行われたセミナー「大企業×スタートアップ協業の本音トーク。採択スタートアップが語るアクセラレーター比較」の内容を書き起こしたものです。スピーカーは、スタートアップとしてアクセラレータープログラムの参加経験があるコードミーの太田賢司氏、バカンの河野剛進氏、ミナカラの喜納信也氏、AirXの手塚究氏、モデレーターはシード期のスタートアップを支援するASACの會田幸男氏と、企業主催型アクセラレータープログラムの企画・運営を支援しているグロービスの大牧信介です。(約9000文字)

アクセラレータープログラムの良さと難しさは?

大牧:本日はアクセラレータープログラムに採択され、大企業と協業経験のあるスタートアップ4社の起業家の皆さまに集まっていただきました。早速ですが、大企業と協業する中で、苦労した点や期待とは違った点、あるいは上手くいった点を教えてください。

喜納:アクセラレーター系のプログラムでいうと、ベンチャーキャピタルが主催するアクセラレーターキャンプに参加して投資家との合宿で事業計画を作ったり、ASACさんや経産省のアクセラレータープログラム、あとは製薬メーカーのヘルステックプログラムとか、生命保険会社のプログラムなど、結構受けてきました。

難しいのは、うちの事業がまだ成熟していない場合はそこのすり合わせです。ディスカッションしている最中は盛り上がるけど、「実際どうするんだっけ?」みたいな話で空中分解することもある。一方で、プロセスを通して得られるものもあって、1番は大企業ができないことに気付けること。

例えば、ある製薬メーカーさんにやりたいことを話したら「できない」と。よく聞いてみると、規制ではなく単に業界の商習慣でできない。ならば、ほかのメーカーさんも同じだから僕らがやるチャンスかもしれない。あるいは、地雷があるかもしれないから避けることもできる。普段、営業に行くとなぜ断られたか分からないことが結構あると思うんですけど、アクセラレータープログラムの期間中にそこの見通しが得られるんです。

太田:私がなぜアクセラレータープログラムに応募するのかというと、シンプルに会社の信頼度を上げたいから。会社のステージによって違うと思いますが、われわれは今2年目のスタートアップなので、すごい企業さんと組んでいる実績があることで信頼度が上がるんですね。さらに、テストマーケティングをして実績が出てくると、事業自体も伸びます。

一方で、スタートアップ側の「このリソースを活用させてほしい」という期待感と、アクセラレーターする企業さんの、「ここ活用していいですよ」に齟齬があると、いい方向にプログラムが動かないこともあります。そこは、同じ企業のアクセラ担当の方でもレベル感が違うところが正直あります。

河野:私は創業と同時にASACのアクセラレーションプログラムに入りました。なぜかというと、以前手伝った会社がその1期生だったんですね。そこですごくスケールしている状況を見て、かつ、そこの人たちがキラキラして楽しそうだったから応募したんです。

このプログラムに期待していたのは、僕たちの場合はニーズがどこまであるか分からないんで、大企業の人たちと話しながらニーズを聞いて、深掘って、試していくこと。プロダクトがまだ100%できあがっている状態じゃなかったんで、どうすれば受け入れてもらえるか、社内に通せるかっていうのをかなり悪戦苦闘してもらいながら、僕たちもそれに応えられるように通していくって作業がありました。大企業が求めているプロダクトは何か、その裏のオペレーションや課題を深く知るのにもプログラムがすごく役に立ちました。

事業担当者の方は、部門の方々との調整にはかなり苦労されていて、そこでスタックすることもありました。それでも、乗り越えていけたのは、事業担当者の熱量や思い、あとはこちら側のそこに対する熱量やプロダクトあってのこと。こういうところが相まると、苦しさも乗り越えていけるのかなと思います。

あと、ASACのコミュニティは、ボロクソに言われたときに励まし合ったり駄目出ししあったりする意味ではすごくいいなと思っています。大企業の方々とも、つないでもらいました。アクセラレーションプログラム自体や、個別のアクセラレーションプログラムになってないものなど、中立的な立場で見てマッチングしてもらいました。

會田:ASACは、いわゆる事業提携に向かっていく場合、まずそこに本当に課題あるのかとか、そもそもソリューションとしてその課題に対するソリューション、それでプロダクトに落とし込む、そこでいいのかみたいなところをある意味、もう起業家と毎週のようにディスカッションしてボロクソに言い合いながらやっていくのが特徴です。

逆に言えば、腹を割って話したうえで本当にそこにやっぱ課題あるよねと、世の中に課題存在するよねってちゃんとアクセラレーターと起業家で握ったうえで、部門のオペレーションを回している現場の方々に「これをやることで世の中のこういった課題を解決できるんだ」っていうところを伝えられるかどうかみたいなとこって結構大事ですよね。

河野:アクセラレーションに入っていらっしゃる方って本当に熱量の高い方なんで、いきなり事業部にいくよりもそういった方たちにサービスを広げていく手伝いをしていただけるのは、スタートアップにとってはありがたいことだし期待することでもあります。

手塚:私たちの大企業さんとの取り組みは、グロービスさんとCrewwさんに機会いただきました。振り返ってみると参加してよかったなと思っています。理由としてはグロービスさんにすごく間に入っていただきまして。大企業さんの新規事業担当者さんにスタートアップとして言いにくいことを言っていただいたり、2者間の進捗を見ていく中でフォローいただいたり。通常の打ち合わせベースの進め方とは全然違って、かなりやりやすかったなというところは感じています。

課題感としては、昨年末ぐらいからお話をさせていただいて、これから実証実験をやっていく段階なんですけれども、スタートアップとしては私や誰かがイエスを1つ出せば全部寄せて事業を伸ばしにいくことができる。一方で新規事業担当さんとしてはリソースを使うにあたって、1つのNoが出ないように調整していくようなことがあると感じていまして。そのあたり、事前にある程度設定いただいたうえで活用させていただければ、よりスピーディーにやっていけるかなと思います。とはいえ、大企業さんとの提携なくして新しい産業はつくれないと思っています。

大牧:大企業側の担当部門の方と「将来こういうとこ行きたいよね」という大きなビジョンを共有してやっていく。そして時間軸ですね。大企業が企画を前に進めるには、いろいろ合意をとらないといけないし、規制や社内プロセスなども踏まえて足場を固めながら進めるので時間がかかってしまう。そこの時間軸を変えることは、やっていくべきですね。

會田:そのスピード感とのギャップを埋めていくところって、グロービスはどうサポートするんですか。

大牧:まず大きな方向性、ビジョンみたいなところで、互いに理解、共感をつくることを出発点にします。あとは、ダイレクトに大企業側へスタートアップ側の資金がいつバーンアウトするかをお伝えするようにしています。スタートアップの資金調達の時間軸の現実に触れると、大企業側の支援の本気度が高まります。

スタートアップが協業する大企業に期待すること

大牧:スタートアップの皆さんは、大企業に対して具体的に何を期待していますか。

喜納:実は、アクセラレータープログラムで大企業側のスピードが遅くて困った経験はないんです。むしろ、ある製薬メーカーさんのアクセラレータープログラムでは、すごくいい経験をさせてもらいました。グローバルトップ10に入る会社ですが、執行役員の人が毎週メンタリングしてくれて。こっちの事業の話もするんですけど、その中で組めそうな部分が見えたらすぐにそこの部門の部長を翌週連れてきてディスカッションして、「こういうかたちで1回ちょっと期間中に検証しよう」と。

最後にグローバルの社長を連れてきてプレゼンさせてくれたんです。終わったあとに「ここの部分、今回プログラムで会ってない部門なんだけど、もしかしたら話があるかも」みたいな感じになって。パワー持っている人が実際にこのプログラムに参加しているかどうかは、特に大企業の構造から考えてものすごく重要なのかなと思います。

會田:組織階層みたいなものを超える座組みにアクセラレーションプログラムはなっていて。社内でも力があって決裁権のある方がプログラムに参加しているかどうかは、スタートアップ側としても魅力だし、そういったところは結構見ていると思うんですよね。

その観点でいうと最近CVC(コーポレート ベンチャーキャピタル)が増えてきて、意思決定のスピードが変わってきていると思うんですけど、CVCとの取り組みで何か感じることはありますか。

喜納:その事業の目利きをするのが誰なのかは気にしています。最近、独立系のベンチャーキャピタルがCVCの目利きになっていることも多いですよね。事業提携に限らずファイナンスのシーンでも、リード系のベンチャーキャピタルとフォロー系のベンチャーキャピタルもいて、事業の目利きをして次のラウンドの時価総額とかを決めている。

大企業さんが赤字をものすごく掘っているスタートアップに対して、数億円でこの金額ですって計算するのは難しいじゃないですか。でもファイナンスの場合はまず交渉相手であるリード系のベンチャーキャピタルが、「今回のラウンドで半分以上とるんで、これでいきます」みたいに進めるのはよくある話かなと思って。

ベンチャーキャピタルに限らず、目利きできる人がそこを担って事業会社やCVCが組んでいくのは当たり前になってきているし、美しいなと思っています。

アクセラレーターをどういう基準で選ぶか?

大牧:スタートアップの皆さんは、数多くのアクセラレータープログラムがある中で、実際のところ何を基準に選んでいますか?

河野:僕たちは完全にステージと目的で使い分けています。基本的には協業を考えたときに、自分たちが足りないところをいかに補うかという観点がすごく大事で。例えば初期のフェーズだったらニーズの検証とか、相手が本当に困っているところを知るうえで、まずは実際に使っていただけそうな企業がパートナーになりうるプログラムを探しました。それが出来上がったら、今度は販売とか保守を連携してもらえるようなパートナー。直近だと大阪ガスさんや、NTT東日本さんとか。そういうところを選ぶようにしています。

並行して、自社のサービスっていろんなところで可能性があると思っているので、それを広げてくれるようなパートナーは別軸で考えていました。例えばものすごくオフィス向けに強いとか、ビジネスパーソンとのネットワークをダイレクトに持っているような会社。僕たちはそこに足りない技術とか、僕たちだからこそ素早くつくれる部分とか、そういうところを提供することによって補完するみたいな。そういう関係性で選んでいます。

太田:今これだけアクセラレータープログラムが出てきている中で、実際にそのアクセラレーターを受けたスタートアップがどれだけ羽ばたいていっているのか、最近見るようにしています。2期前に採択されたスタートアップが今、ビフォーアフターでどれだけ変わっているのかを見て、そこに魅力を感じたところを受けようと考えています。

會田:その観点では、ベンチャーキャピタルのファンドレイズと近いですよね。結局、実際投資したところがちゃんと伸びているのか。伸びれば次の2号ファンドをつくれるし、伸びてなかったらそこで終わりだしみたいな。ある意味そういった目線でも大企業のアクセラレーションプログラムって見られていると。

AirXさんは、実際アクセラレーションプログラムが始まって、いかがですか。

手塚:実は、創業当時から提携したいと思っていた企業さんで。とはいえ、われわれがやれることをつくりあげてからと思っていて、それができたタイミングにちょうど応募があったんですね。なので、即エントリーしたのを担当者の方が見て刺さってくださったみたいで。そこから盛り上がったというのが正直なところです。とはいえ時代背景もあったなと思っていまして、割と長期的視点で会話していただけたので、採択いただけたのかなと思います。

大牧:AirXさんをはじめとする多くのスタートアップと大企業とで一緒に新規事業をつくっていくにあたって、グロービスはビジョンづくりや対象とするユーザーの考え方の議論、それらを深めるためのデザイン思考のワークショップなどをしています。それがないとついつい商談モードになったり、大企業側の課題解決のためだけのスタートアップ選考になってしまったり、お互いWin-Winになれないんです。ワークショップをしながら、1つのビジョンに向けてこういうソリューションをつくっていきましょうと一体感をつくっていく場を用意させていただきました。

手塚:採択前にいろいろプロセスがあったんですけど、丸2日間ぐらいご一緒させていただくなかで、グロービスさんから「じゃあ実際にお客さんに聞いてみましょう」と、企業の担当者さんと一緒にヒアリングに行くようなむちゃぶりもありました。それによってお客様から実際にニーズがあることも理解でき、ご一緒させていただくきっかけにもなりました。結果的に「その課題解決は未来に必要なのか」いうところも同じ目線で会話していくことができ、そこは通常の打ち合わせでは絶対に得られないものだったと思います。

ホスト企業はどう振る舞うべきか?

参加者:今ちょうどアクセラレーターやらせていただいています。スタートアップの方々から見て、ホスト企業はどう振る舞えばよいか教えていただけますか。

太田:採択後に、自分の持っているサービスと企業さんの持っているリソースをかけ合わせて何をつくろうかっていう、そこから始まるっていうケースはあります。スタートアップ側としては、担当者の方がそこでどう振る舞ってくれるのか、結構見ているんですね。

「こういうアイデアあるんですけど、リソース活用させてもらえますか?」とお願いした際、いろいろ動いていただいたうえで「ちょっと難しいですね」と言われるなら納得感があるんですよ。ただ、あるプログラムで、他のスタートアップの方が同じようにアイデアを投げたら「答えを出しますから2週間待ってください」と言われ、2週間後に「考えた結果、上にあげないことを決めた」と言われたと。

この話を聞いて、時間が限られている中でそれってどうなんだろうって、シンプルに思ったんですよね。そういう振る舞い方を、結構スタートアップは見てるんじゃないのかなと思います。

河野:僕は今、することが決まったという状況です。その状況で大企業がやったらいいと思うのは、「何をしてほしいのか」をスタートアップ側に改めて問うということ。スタートアップのやるべきことの1つは、お願いすることなのかなと思っていて。何を期待しているのか改めてすり合わせていく、そういう時間はすごく意味があると思いますね。

全然違う視点で大企業の皆さんにお願いしたいのは、僕たちが大きな夢を言うんで、それを一緒になって日本だけのリソースで考えずにグローバルにも開放していってほしいということです。グローバルに実証実験の場をつくるとか、グローバルの販売網に乗っけるとか、そこの苦しさを一緒に味わっていただきながら日本から本当に世界に出るのを当たり前にしてもらえると、今グローバル展開で苦戦しているIT系企業も活路が見出せると思います。

手塚:アクセラレータープログラムに応募する目的としては、新しく産業を伸ばしていきたいとか、市場を通じて社会を変えていくってところなので、そういう意味ではどうしてもリソースが限られてしまうのがスタートアップの課題感でもあるので。目線を合わせながら一緒に時間軸とかを決めていって会話ができれば、そこに向けてリソースとかも準備はできるので、コミュニケーション量が1番大事なのかなとは思います。

喜納:事業の内容がうまくすり合わないことは、毎回起きています。大企業側の問題ではなく、スタートアップ側の問題で起きることが僕の場合は多くて。スタートアップってコアになって全力で成果が出るように走っていて、いろいろ検証し続けています。そのなかで、先週話したことに全く興味なくなることって結構あったりします。スタートアップがやっている活動の中にもタイミング次第で会社の本流になっていないものって結構ある。それでも、プログラムで結果を出すために、リソースを割いて横道行きますみたいなことは、僕の性格上難しくて。それはそれで仕方ないのかなと思います。

會田:ASACは大企業のアクセラレーターの方の支援をやっていますが、僕は振る舞いとして大事なのは、1番はアクセラレーションプログラムに専任の、3カ月だったら3カ月間コミットする人を充てることだと思います。ただ、実際のところは専任としてやれないことも多いと思います。その場合でも、専任感を出すのは大事で。たとえば、スタートアップって仮説検証の繰り返しなので、起業家が推す仮説に対して、それってどうなのかっていうのを現場の担当者にすぐつなげることができるアクセラレーターが、すごく評価されていると感じます。

プログラムにエントリーするタイミングは?

参加者:スタートアップがアクセラレーターにエントリーすべきタイミングについて教えていただけますか。

手塚:大企業さんと会話したとき、何か一緒にできるものがスタートアップ側にあるときが、タイミングだと思います。AirXはそれをまずはつくりきったうえで、次のステップへ進む機会として応募しています。

河野:僕の場合は遅いほうがとか早いほうがっていうこと自体は、あんまり意識してないんですけれども。その企業にとって足りないものを補うのに必要なタイミングでエントリーするのが良い。ただし、人によっては、例えばもっと遅く会っといたほうがよかったなっていうはやっぱりあります。例えば最初の段階で駄目な印象が付くとそこから覆すのは難しいので。とはいえ、相手の厳しさにもよるんで、結構これはバラバラですね。これは正直もう運なのかなと思っています。

太田:「このアクセラレーションプログラムに自分はこれを期待する」っていう明確なものがあれば、早ければ早いほどいいと思います。一方で順番は結構大事だと考えています。狙っているものがある中でどの順番でアクセラレータープログラム受けるか、このプログラムを先に受けて実績つくったほうがいいのかなどは、私は戦略的に考えました。

例えば自分のサービスって香り×テクノロジーで、システムがすごく肝になるんですね。だからこそ、IBMさんのBlueHubを最初の段階で採択いただいたという実績がすごく生きてくる。ほかのプログラムで「システムはどうしてるんですか?」と聞かれたときに、「自分たちでやってます」って言うよりも、「IBMさんのBlueHubでつくったんです」って言うほうが圧倒的に信頼感が高まるんですよね。なので、自分のサービスで最初に抑えておいたほうがいいプログラムとかスキルを見るという、その順番が結構大事なのかなと考えてます。

喜納:タイミングはあんまり考えたことはないです。採択されるだけじゃなくて採択されないこともすごく多くて。製薬メーカーさんがどこを選ぶのかでいうと、事業のドメインと自分たちのフェアウェイとプログラムが重なるがどうかみたいなところだけを見ています。それ以外はもうとにかくトライみたいな感じで。これも受けてみないと分かんないじゃないですか。駄目だってことが双方分かればそれは学びになって、別に途中で止めても悪くはないと思うんですよね。

あともう1つは会社を経営していて思うのは、ネットワークが重要だということ。ただ単に名刺を持っているだけでなく、一時期でも汗水流して一緒にうんうん唸って頑張った相手とは、アクセラレータープログラム中に結果が出なくても、そのあとに大きく結果が出せることもある。そういう意味で、チャンスがあるんだったら無邪気にどんどん行って、落ちても「タイミングとか相性とかあるし、まあいっか」という感じで次へ行く、という感じでやってます。

河野:ASACのプログラムでは今シード特化型をやっていますけど、その場合は早いほうがいいかなと思っていて。「僕たちの今後の成長がASACの評価なります」って言ったらめちゃくちゃ頑張ってくれて、すごい人をつないでくれたりもしたんですね。そのときの大企業とのネットワークはずっとあるので、そういう意味では最初の信頼がないときこそ入ったほうがいいかなと思います。

大企業とスタートアップが協業して強い産業、新しい産業をつくる

會田:日本とアメリカのイグジットのマーケットを比べたときに、日本は8割がIPOで2割がM&Aなんですね。アメリカは逆で2割がIPOで8割がM&A。何を意味しているかというと、大企業のお金がそれだけスタートアップに流れているわけです。お金が流れる前にまず人が流れて、人が流れる前にアライアンスがあるので、そこの違いが明らかにあります。大企業との協業は、日本のスタートアップエコシステムをもっとスピードを上げて成長させて日本に強い産業をつくっていくために非常に大事なところだと思っています。そういった目線で大企業とスタートアップが取り組んでいけば、日本は変わるんじゃないかなと思っています。

大牧:大企業とスタートアップとの協業はアクセラレータープログラムによって増えてきていますが、新事業、新産業に育てていくには、まだまだこれからです。今盛り上がってはいますが、一時的な取り組みにせず、長期スパンで継続的にやってくことでノウハウをためて成果につながる仕組みをつくっていくべきだと考えています。皆さんと一緒に引き続きディスカッションしながら形にしていきたいと思っています。

太田 賢司

株式会社コードミー Founder / CEO

河野 剛進

株式会社バカン 代表取締役

喜納 信也

株式会社ミナカラ 代表取締役薬剤師

手塚 究

株式会社AirX代表取締役

モデレーター

會田 幸男

ASACプロジェクトマネージャー

大牧 信介

グロービス・テクノベート・ラボ ディレクター