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投稿日:2018年11月15日

投稿日:2018年11月15日

営業費用と販売費及び一般管理費は同じ?

溝口 聖規
グロービス経営大学院 教員

営業費用と販売費及び一般管理費は同じでしょうか?この質問もよく受けます。そこで、今回は営業費用と販売費及び一般管理費の違いについて説明します。

販売費及び一般管理費は現在の会計ルールに規定される費用ですが、営業費用は厳密には会計ルールに規定される費用ではありません。営業費用と言う表現は、主にビジネスシーンで使われる表現だと考えます。一般には、

営業費用=売上原価+販売費及び一般管理費

という理解で用いられることが多いと思います。

会社の本業の利益である営業利益を算出する過程で、売上高を含む営業収益に対応する本業に関する費用と言う意味合いだと考えられます。以前、会社法(旧商法)に基づいた損益計算書(P/L)上の損益区分に、営業損益の部が設定されていたことの影響もあるのではないかと思われます。

【参考】以前の会社法(旧商法)のP/Lの損益区分

また、営業費と表現される場合もあります。営業費も会計ルールに規定される費用ではありませんが、ビジネスにおいては

営業費=販売費及び一般管理費

として使用されるケースが多いようです。営業活動に費やされた費用ということで、販売費及び一般管理費の中でも販売費を主な目的としているようです。

また、営業費=営業費用として用いられる場合もあります。商慣習で使用される用語は、会計ルールによる明確な定義がなされていないこともあります。名称だけではなく、具体的にどのような費用を意図しているのかを把握した方が良いでしょう。

なお、国際財務報告基準(IFRS)では、現在の日本の会計ルールのようにP/Lの利益を売上総利益、営業利益、経常利益、当期純利益と一律に定めていません。会社の業績を分かりやすく説明するために必要に応じて利益を区分することになります。そのため、会社によっては、売上原価と販売費及び一般管理費に区分することなく両者を合わせて営業費用として開示している場合もあります(楽天、NTTドコモ、日本取引所グループ等)。今後の日本の会計ルールの改正によっては、現在IFRSを採用していない会社であっても同様の影響があるかもしれません。

溝口 聖規

グロービス経営大学院 教員

京都大学経済学部経済学科卒業後、公認会計士試験2次試験に合格し、青山監査法人(当時)入所。主として監査部門において公開企業の法定監査をはじめ、株式公開(IPO)支援業務、業務基幹システム導入コンサルティング業務、内部統制構築支援業務(国内/外)等のコンサルティング業務に従事。みすず監査法人(中央青山監査法人(当時))、有限責任監査法人トーマツを経て、溝口公認会計士事務所を開設。現在は、管理会計(月次決算体制、原価計算制度等)、株式公開、内部統制、企業評価等に関するコンサルティング業務を中心に活動している。

(資格)
公認会計士(CPA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、公認内部監査人(CIA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA)